
魚はダイエット中のタンパク源としておすすめの食材。「DHA」「EPA」などの栄養素を豊富に含むだけでなく、抗酸化作用があり健康維持にも役立つ。この記事では、「魚のダイエット効果」「ダイエット向きの魚の種類」「おすすめの食べ方・食べる際の注意点」などを解説。おすすめレシピも紹介しているので、献立の参考にしてみよう。
この記事の監修者

古谷 彰子さん
博士(理学) 管理栄養士
魚のダイエット効果
ダイエット中はもちろん、普段の食生活でも積極的に取り入れたい魚。栄養豊富でさまざまな健康効果があるため、意識して食べると多くのメリットを感じられる。ここでは、魚のダイエット効果について解説。
- 筋肉量が増えて基礎代謝が高まる
- DHA・EPAが脂肪燃焼をサポート
- 抗酸化作用による代謝向上
- 満腹感が得やすく食べ過ぎを防ぐ
筋肉量が増えて基礎代謝が高まる
魚には良質なタンパク質が含まれていて、筋肉量の維持・増加に役立つ。筋肉量が増えると基礎代謝量も高まり、結果として痩せやすく太りにくい身体につながる。とくに、「マグロ」「カツオ」などの赤身魚は筋肉を効率的に作れるため、積極的に摂取したい。
また、魚は肉に比べて脂肪含有量が少なく、食べた後スムーズに消化吸収される。
加えて「牡蠣(かき)」「アサリ」「シジミ」に多く含まれるアミノ酸の一種「タウリン」には脂肪を分解する作用があり、筋肉量を増やしながら脂肪燃焼を促進できる。1日1回は魚を食べて、効果的に基礎代謝を高めるのが理想。
DHA・EPAが脂肪燃焼をサポート
青魚などに多く含まれる「DHA」「EPA」などのオメガ3脂肪酸には、脂肪を分解する酵素を活性化する働きがある。とくに、肝臓の中性脂肪を減らす効果が期待でき、メタボ対策にもおすすめ。
また、DHAとEPAには体内の慢性的な炎症を抑える抗炎症作用がある。慢性的な炎症は代謝低下の原因の1つであり、痩せにくい体質につながる。最近はオメガ3脂肪酸のサプリメントなども多く販売されているので、ダイエット中は上手に活用してみよう。

DHAやEPAの効果は、魚からでもサプリメントからでも違いはありません。ただし、タンパク質やほかの栄養素も一緒に摂取できるので魚そのものを食べることをおすすめします。
魚介アレルギーがある人や魚が苦手な人など、魚を十分に摂取するのが難しい人はサプリメントを活用することも視野に入れてみてください。なお、サプリメントは過剰摂取の危険性があるため、摂取量には十分気をつけてください。
抗酸化作用による代謝向上
魚に含まれる「セレン」「ビタミンE」などの成分は、体内の酸化ストレスを軽減する抗酸化物質を含んでいる。酸化ストレスが減ると細胞の健康を維持でき、エネルギーの燃焼効率が高まるといったメリットも。
なお、抗酸化物質は種類によって特徴や抗酸化力が異なる。たとえば、鮭やマスなどの魚には「アスタキサンチン」、ウナギなどは「ビタミンA」「ビタミンE」マグロやカツオには「セレン」が多く含まれている。

「抗酸化物質」と呼ばれる栄養素にはさまざまな種類があり、魚のほか、肉や野菜、果物にも含まれています。さまざまな抗酸化物質をより多く摂取するためにも、何か1つの食材ばかり食べるのではなく、いろいろな食べ物をバランスよくとるよう心がけましょう。
満腹感が得やすく食べ過ぎを防ぐ
一般的に魚は肉類よりも低エネルギーでヘルシーな食材。栄養素としても腹持ちがよい「タンパク質」を多く含んでいるため満腹感を得られやすいのが魅力。魚を上手に活用して、ダイエット中の空腹感対策に役立てよう。
なお、魚に含まれるEPAなどの脂質は、血糖値の上昇を抑えるホルモン「GLP-1」の分泌を促進する効果が期待でき、血糖値の急上昇による空腹感や過食を防ぐことにもつながる。
ダイエット向きの魚とその種類
魚は、おおまかに「白身魚」「赤身魚」「青魚」の3つに分けられる。それぞれ特徴や含まれる成分が異なるため、目的や好みによって食べ分けたい。ダイエットを効率的に進めるためにも、改めて各種類の特徴を理解しよう。
- 白身魚:タラ・カレイ・ヒラメ・鮭など
- 赤身魚:カツオ・マグロなど
- 青魚:サバ・アジ・イワシなど
白身魚:タラ・カレイ・ヒラメ・鮭など
白身魚は脂肪の含有量が少なく、エネルギーも「80gあたり80kcal」ほど。良質なタンパク質が豊富に含まれていて、「筋肉の維持・増加」「代謝向上」にも役立つ。
とくにタラには、脂肪の分解を促進する栄養素である「タウリン」が豊富に含まれているので、ダイエット中は意識して摂取したい。
なお、「癖がなく食べやすい」「赤身魚や青魚より消化しやすい」といった特徴があるため胃腸が弱い人にもおすすめ。蒸し料理や煮つけ、ホイル焼きなど、いろいろな調理法を試してみよう。
赤身魚:カツオ・マグロなど
カツオ、マグロなどの赤身魚は、良質なタンパク質と健康的な脂肪を含んでいる。筋肉の合成を促進するアミノ酸が豊富なため、筋トレ効果を高めたいときにはとくに有効。
とくにカツオは、疲労回復や代謝向上に効果的な「ビタミンB群」、血合には筋肉の疲労回復に効果的な「タウリン」を豊富に含んでいて、DHAやEPAとのバランスもよい。赤身魚の中では比較的低エネルギーなので、ダイエット中の食事にも適している。
また、赤身魚のタンパク質は身体への吸収率が高く、満腹感を得られやすい。味や旨みが強く食べごたえもあるので、ダイエット中の食事を楽しむのにもおすすめ。
青魚:サバ・アジ・イワシなど
アジ、イワシなどの青魚は良質な脂質を多く含んでいて、DHA・EPAの含有量も豊富。満腹感を維持しやすいほか、体内の脂肪燃焼を効果的にサポートしてくれるため、ダイエットはもちろん、生活習慣病の改善・予防にも役立つ。
とくにイワシは糖質の含有量が少なく、疲労回復や代謝維持に役立つビタミンB群も豊富。魚の中でもカルシウムの含有量が比較的多いため、カルシウム不足による脂肪の蓄積を抑える効果も期待できる。
ダイエット中は食べすぎに注意したい魚
一般的に魚はヘルシーでダイエット向きといわれているが、中には高エネルギーなものもある。ただし、健康の観点から食べてはいけない魚はない。高エネルギーな魚は食べすぎに注意しつつ、なるべくヘルシーな調理法を選ぼう。
- マグロ
- サンマ
- ウナギ
- ブリ
- サバ

分量や調理法に気をつかえば、ダイエット中に食べてはいけない魚はありません。できるだけ油や濃い味付けで食べないようにし、好きな魚を楽しみましょう。
マグロ
- エネルギー:約100~240kcal(部位によって変わる)
- 脂質:クロマグロ(赤身)で1.12g/クロマグロ(脂身)で22g
マグロは栄養豊富で人気のある魚だが、とくに「中トロ」「大トロ」など脂の乗った部位は脂質が多いため、食べすぎるとエネルギーオーバーになりやすい。
なお、マグロ(赤身)は「80gあたり約115kcal」と比較的ヘルシー。脂質も低めなので、ダイエット中は赤身を中心に選ぶのがおすすめ。刺身や漬け丼など、油を使わない調理法で、「1日80~100g程度」を目安に摂取しよう。
サンマ
- エネルギー:約250kcal(皮付きで焼いた場合)
- 脂質:18.2g(皮付きで焼いた場合)
サンマは旬になるにつれて脂がのり、高エネルギーになりやすくなる。
脂肪のエネルギー量は「1gあたり9kcal」と、タンパク質や糖質の量より倍近く高いため要注意。ただし、サンマに含まれる脂質は不足しがちな「オメガ3系」の不飽和脂肪酸などが豊富に含まれているため、決して摂取してはいけない脂質ではない。適量を心がけよう。
一方で、サンマには脂質や糖質の代謝を促す栄養素が含まれており、量や食べ方さえ気をつければ、高い脂肪燃焼効果が期待できる。調理法は「塩焼き」「蒸し焼き」など余計な油を加えない方法を選ぼう。
ウナギ
- エネルギー:約234kcal(かば焼きの場合)
- 脂質:16.8g(かば焼きの場合)
ウナギは栄養価が高く滋養強壮によいとされる魚介類。良質な「タンパク質」「ビタミン群」を豊富に含んでいて、代謝を高める効果も期待できる。
一方で、エネルギー量は高め。とくに、ウナギのかば焼きは糖質量が多いため、ダイエット中は食べすぎに注意したい。「白焼き」などウナギ本来の味が楽しめる調理法を選ぼう。
ブリ
- エネルギー:約205kcal(生の場合)
- 脂質:14.0g(生の場合)
ブリはDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が豊富な魚。「内臓脂肪の蓄積を防ぐ」「代謝の向上」などさまざまな効果が期待できる。時期によって脂の乗りが異なり、旬の時期は濃厚で旨みが多い。それ以外の時期は引き締まった身を楽しめる。
ただしブリは比較的、高エネルギーな魚。ブリの照り焼きなどタレが絡んだ料理はとくにエネルギーが高くなるので、食べすぎには注意しよう。調理する際は「刺身」「塩焼き」など、余分な油を加えない調理法を選ぼう。
サバ
- エネルギー:約232kcal(塩サバの場合)
- 脂質:15.2g(塩サバの場合)
青魚の代表格であるサバは、不飽和脂肪酸の含有量が魚介類の中でもトップクラスに多い魚。「ビタミンD」「ビタミンB12」も豊富に含んでいて、効率的な代謝向上が期待できる。
一方で、エネルギー量は高めで脂質も多いため、ダイエット中は、量と調理法をしっかり意識しよう。おすすめの調理法は「塩焼き」「水煮」など、油を使わずにできるもの。皮はカロリーが高いので取り除き、1度に食べる量は「80~100g」を目安にしよう。
ダイエット中の魚の食べ方
魚はポイントをおさえて食べるとさらに高い減量効果が期待できる。ここでは、効率的にダイエットをおこなうための魚の食べ方を紹介。
- よく噛んでゆっくり食べる
- 1日1食は魚料理を食べる
- ヘルシーな魚の種類・調理法を選ぶ
- 野菜など他食材と一緒にバランスよく食べる
よく噛んでゆっくり食べる
よく噛んで食べると消化がよくなり、食べ物の栄養素をしっかり吸収できる。その結果、筋肉量や基礎代謝が高まり、痩せやすい体質づくりにつながる。
また、ゆっくり食べると脳の満腹中枢が刺激され、少量の食事でも満足感を得やすくなる。
仕事や家事で時間に追われているとつい早食いになってしまいがちだが、食事は1回20分以上かけるのが理想的。「1口食べるごとに箸を置く」「1口につき30回以上噛む」などを心がけると、自然とゆっくり食べられるようになるので、実践してみよう。
1日1食は魚料理を食べる
DHAやEPAなど「オメガ3脂肪酸」を適量摂取すると、脂肪燃焼効果が高まって代謝が向上する。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、オメガ3脂肪酸の摂取目安量は、成人1日あたり「1.6~2.2g」。これは、「サバの切り身」「イワシ」「サンマ1尾」「鮭2切れ分」などに相当。
サバやイワシの缶詰なら1缶で十分な量のオメガ3脂肪酸が摂取できるので、生魚から調理しなくても大丈夫。忙しい朝や仕事で疲れた夜など、体調や気分によって上手に活用しよう。

魚は朝に食べるのがおすすめです。DHAやEPAを摂取すると体内で「GLP-1」というホルモンが生成され、インスリンの分泌を促して上がった血糖値を下げてくれます。
インスリンは体内時計のリセットを助け、1日のリズムを整えるのに欠かせません。そのため、朝は魚を含むご飯をしっかりと食べることが大切です。体内時計が整うと、食欲に関わるホルモンのバランスがとれてダイエットの成果を得られやすくなるでしょう。
ヘルシーな魚の種類・調理法を選ぶ
ダイエット中に食べるなら、高タンパク・低脂肪な魚がおすすめ。
基本は白身魚を中心に、赤身魚や青魚も適度に摂取しよう。調理法は、「蒸す」「煮る」「焼く」など、油を使わないものが最適。素材本来の味を活かすシンプルな調理法を選べば、エネルギーオーバーを避けつつおいしく魚を食べられる。
とくに、魚の水分と旨みを逃がさない蒸し料理はダイエットにぴったりの調理法。蒸し器がないときは深めのフライパンや鍋、電子レンジなどでも作れるため、手軽に蒸し料理を楽しもう。

電子レンジでも焼き・蒸しの調理は可能です。焼き料理ならキッチンペーパーの上などでそのまま加熱し、蒸し調理ならクッキングシートに魚と野菜を包んで加熱するだけでできます。
フライパンを洗う手間や生臭さも抑えられ、忙しい人や料理が面倒な人にもおすすめです。味付けはシンプルに塩コショウかポン酢をかけて食べるといいですね。
野菜など他食材と一緒にバランスよく食べる
栄養の偏りを防ぎ、健康的にダイエットを成功させるには、魚に加えて野菜などさまざまな食材もバランスよく食べることが大切。
とくに、「ゴボウ」「キノコ類」は食物繊維豊富で満腹感を得られやすいため、ダイエット中の強い味方。一緒にとることで血糖値の急上昇を防ぐ効果もあり、余計な脂肪の蓄積を抑えやすくなる。

魚が苦手な人は、ツナ缶やサバ缶を活用しましょう。ツナ缶は魚特有のにおいが少ないだけでなく、さまざまな料理に活用できます。チーズも魚の風味を和らげつつ、タンパク質の摂取量を増やすのに役立つので、ダイエット中は分量を守りつつ積極的にとりたいですね。
【時間帯別】朝・昼・晩におすすめの魚の種類
朝ごはんを抜く人も少なくないが、健康維持やダイエットの基本は1日3食しっかり食べること。1日1回は魚を取り入れて、日常的に健康増進をはかろう。ここでは、朝・昼・晩におすすめの魚や調理法を紹介。
- 朝:鮭やサンマなど「DHA・EPAが豊富な魚」
- 昼:栄養豊富なマグロやエネルギーが豊富な「青魚」
- 夜:タラなどヘルシーで消化しやすい「白身魚」
朝:鮭やサンマなど「DHA・EPAが豊富な魚」
鮭には脂肪燃焼を促進するDHAやEPA、抗酸化作用のある「アスタキサンチン」などが豊富に含まれている。また、サンマは「ビタミン群」が豊富で、代謝を活性化するのに役立つ。朝に魚を食べると満腹感が長く続くため、昼食の食べすぎ・間食を防ぐ効果も期待できる。
また、DHAやEPAによってインスリンの分泌が促されやすくなり、昼食や夕食での血糖値急上昇を防ぎやすくなる。
昼:栄養豊富なマグロやエネルギーが豊富な「青魚」
昼の時間帯は食事から摂取した脂質が脂肪に変換されにくいタイミング。午後も元気に活動できるよう、栄養豊富な「マグロ」「鮭」、「サバ」「イワシ」などの青魚を選ぶとよい。
マグロは脂身の多い「大トロ」「中トロ」ではなく、比較的ヘルシーな赤身がおすすめ。「刺身」「漬け丼」「サラダ」に加えるなど、油を使わない食べ方を意識しよう。軽めの調理法を選ぶことで胃腸にも負担がかからず、魚の栄養をきちんと吸収できる。
夜:タラなどヘルシーで消化しやすい「白身魚」
夜は1日の中でとくに脂質の代謝が落ちる時間帯。夕食で高エネルギーなものを食べると余計な脂肪が蓄積されやすいため、魚は低エネルギー・高タンパクな「白身魚」を選ぼう。
とくに、タラは脂肪の分解を促進する「タウリン」が豊富に含まれており、白身魚の中でもダイエット向きの種類。癖がない分、「レンジ蒸し」「トマト煮」「鍋」などさまざまな料理に活用しやすいので、好みの食べ方を見つけてみよう。
ダイエット中におすすめの魚レシピ
魚を毎日おいしく食べるためには、料理のレパートリーを増やしておくべき。ここでは、編集部おすすめのダイエットに最適な魚レシピを紹介。
- マグロとアボカドの柚子胡椒和え
- 鮭の粕汁
マグロとアボカドの柚子胡椒和え
【材料】
- マグロ:100g
- アボカド:1個
- たれ
- しょうゆ:大さじ1
- ごま油:大さじ1
- 柚子胡椒:小さじ1/2
【レシピ】
- マグロ、アボカドはそれぞれ1.5cm角に切る。
- ボウルにたれの材料を合わせておく。
- 2に1を入れ、よく和える。
編集部コメント

和えるだけで簡単に作れる一品。マグロは脂質が少ないため、アボカドの良質な脂質と組み合わせることで、栄養バランスが整います。柚子胡椒とごま油の香りがアクセントになり、風味豊かで満足感のある味わいです。
鮭の粕汁
【材料】
- 鮭:2切れ
- 大根:1/6本
- にんじん:1/4本
- 油揚げ:1枚
- だし汁:1200ml
- 味噌:大さじ3
- 塩、しょうゆ:適量
- 酒粕:150~200g
【レシピ】
- 大根はいちょう切り、にんじんは半月切り、油揚げは太めの短冊切りにする。
- 鮭は食べやすい大きさに切り、塩を振って10分ほどおいてから熱湯をかけて臭みをとる。
- 鍋にだし汁を沸かし、1と2を入れる。酒粕もちぎって入れ、中火で煮込む。
- 具材に火が通り酒粕が溶けたら、火を止めて味噌を入れる。味が薄ければ塩としょうゆで調整する。
編集部コメント

寒い季節にもぴったりな一品。酒粕は「ビタミン」「食物繊維」などの栄養を豊富に含む発酵食品としても注目されています。酒粕に含まれる食物繊維やオリゴ糖は整腸作用をもたらします。また「レジスタントプロテイン」と呼ばれるタンパク質はコレステロールを下げる作用が期待できます。汁物にすることで栄養を逃さず摂取できますよ。
「魚と肉」ダイエット中に食べるならどっち?
魚と肉はどちらもタンパク質が豊富な食材として知られている。タンパク質は健康維持のほか、スムーズなダイエット成功に欠かせない栄養素。ここでは、肉と魚のどちらを優先的に食べるのがよいかを目的別で紹介。
- 脂肪を落とすなら「魚」を優先的に食べる
- 筋肉量を増やすなら「どちらでもOK」
- 魚と肉どちらもバランスよく食べることが大切
脂肪を落とすなら「魚」を優先的に食べる
一般的に魚は、肉より低エネルギーでダイエット向きの食材。魚に含まれる「DHA」「EPA」は脂肪分解酵素を活性化させ、効率的な脂肪燃焼をサポートしてくれる。また、これらの不飽和脂肪酸には血糖値を下げる作用があり、インスリンの過剰分泌による脂肪の蓄積を抑えるのにも役立つ。
加えて、魚のタンパク質は肉類より消化しやすいため、胃腸が弱い人でも食べやすい。「運動が苦手な人」「食事管理中心のダイエットを計画している人」は、意識して魚を食べるのがおすすめ。
筋肉量を増やすなら「どちらでもOK」
タンパク質の構成的に肉、魚どちらでも筋肉を増やす効果に変わりはない。ただし、肉には疲労回復効果のある栄養素が豊富に含まれていて、運動後の食事に最適。また、代謝を助ける「ビタミンB1」「ビタミンB2」なども多く、代謝アップによるダイエット効果も期待できる。
一方、肉の脂肪含有量は魚より高いため、過剰に食べるエネルギーオーバーになりやすい。コンビニなどであれば「サラダチキンバー」「フィッシュバー」「豆腐バー」など手軽にタンパク質を摂取できるものが多く販売されているので、好きなものをトレーニング後に取り入れてみよう。

運動後すぐは糖新生を防ぐため、まず炭水化物をとることがおすすめです。タンパク質は運動後の糖質摂取後に食べましょう。
魚と肉どちらもバランスよく食べることが大切
魚と肉どちらが太る・痩せるかは、「種類」「調理法」「食べる量」によっても変わる。大切なのは、ダイエットに適した種類を選び、適切な調理法と摂取量を意識すること。どちらかに偏った食事をするのではなく、1日の中でバランスよく摂取するとよい。
タンパク質をバランスよく摂取するなら、「肉」「魚」「卵」などの動物性タンパク質に加え、植物性タンパク質である「大豆」も同量取り入れたい。朝・昼・夜で食材を使い分けると、飽きずにダイエットを続けやすくなる。
筋肉量を増やしつつ脂肪を効率的に落とすためにも、バランスの取れた食事を心がけよう。

痩せやすく太りにくい身体をつくるには、バランスのよい食事が欠かせません。理想は朝食で「卵」、昼食で「魚」、夕食で「肉」「大豆」をとるなど、1日の中で均等に摂取したいですね。
さまざまな食材からタンパク質を摂取すると、身体に必要なほかの栄養素も自然に補えるようになります。日々ローテーションで取り入れて、健康的なダイエットをおこないましょう。
ダイエット中に魚を食べる際の注意点
ここでは、ダイエット中に魚を食べるときの注意点を解説。
- 食物アレルギーに注意する
- 調味料の脂質やエネルギー量も考慮する
- いろいろな調理法を試して飽きない工夫をする
- 練り物や加工品に注意する
食物アレルギーに注意する
特定の魚にアレルギーがある可能性を考慮しよう。魚アレルギーは子どもだけでなく、成人でも発症する。軽度であれば口の中の違和感や皮膚のかゆみ程度だが、重症の場合は嘔吐や下痢、呼吸困難を引き起こすことも。
魚アレルギーの症状は食べてから2時間以内に現れるケースが多いため、食後に異変を感じたらアレルギーを疑おう。初めて口にする魚は少量のみ食べて、体調に変化がないか確認することも大切。

とくに、「サバ」「カニ」「エビ」など食品表示が義務づけられている魚介類を食べるときは注意が必要です。アレルギーの症状は人によって異なりますが、もし魚を食べた後に身体にかゆみを感じるようなときは、医療機関で検査を受けましょう。
調味料の脂質やエネルギー量も考慮する
「低エネルギー・低脂質」な魚であっても、使用する調味料によっては糖質や脂質の過剰摂取が起こる。たとえば、「マヨネーズ」「バター」などの油脂系調味料は少量でも高エネルギーのため、ダイエット中は避けたい。
また、醤油や味噌など塩分の高い調味料もむくみの原因になるため、ダイエットの妨げになりかねない。調味料は魚本来の旨みを引き出す程度に、必要最小限だけ使うのがポイント。
高エネルギーな種類は避け、「レモン汁」「ポン酢」「香草」など風味豊かな素材を中心に取り入れよう。
いろいろな調理法を試して飽きない工夫をする
毎日同じような味付けだと、魚そのものに飽きてしまう。魚の栄養を楽しみながら摂取するには、調理法を工夫して味わいを変えてみよう。魚は「焼く」「蒸す」「煮る」「お酢で和える」「炒める」など、いろいろな調理法を取り入れられる。
また、和風、洋風、エスニックなど、味付けのバリエーションを増やすのも効果的。油を使った調理法や調味料は控えめにしつつ、シンプルかつ魚と相性がよいアレンジを加えてみて。

魚の栄養素を余すことなく摂取するなら、蒸し料理がおすすめです。蒸し料理なら魚をまるごと調理でき、栄養価の損失もほとんどありません。
一方、魚焼きグリルなどで脂を落とす調理法は脂質こそ減らせますが、DHAやEPAなど健康効果のある栄養素も落ちてしまう可能性があります。魚の脂質はあえて落とす必要はないと覚えておきましょう。
練り物や加工品に注意する
「かまぼこ」「さつま揚げ」などの魚加工品は糖質量や塩分量が多いため、食べすぎには注意しよう。魚加工品は製造の過程で「砂糖」「でん粉」「食塩」などの原料が使われることもあり、結果的に糖質や塩分の含有量が多くなる場合も。
魚だからと安心してお腹いっぱい食べてしまうと糖質オーバーを引き起こし、かえって太りやすくなったりむくみの原因になるため、ダイエット中は適量を守ること。
また、中には「DHA・EPAが入ってる魚肉ソーセージ」「プロテイン入りのちくわ」など、工夫された商品もあるので、魚が苦手な人は活用してみよう。
ダイエット中の魚に関するQ&A
魚は皮も食べた方がダイエット効果が高い?
A:適切に調理された魚の皮は栄養価が高いので、ダイエットや健康維持に役立つ

魚の皮には、「ビタミンA」「ビタミンB群」「コラーゲン」「カルシウム」などの栄養素が豊富に含まれています。これらの栄養素には代謝を高めたり、余計な脂肪の蓄積を抑えたりする働きがあり、ダイエットのサポートに役立ちます。
ただし、調理の過程で焦げてしまった皮は栄養価が下がっている可能性があり、食べてもおいしくありません。無理に食べる必要はないので、おいしく調理できたものだけ食べましょう。
魚肉ソーセージはダイエットにおすすめ?
A:魚肉ソーセージでも魚由来の栄養素は摂取可能。調味料は使わずそのまま食べよう

DHAなど魚由来の栄養は魚肉ソーセージにも含まれているので、選択肢の1つとして考えて構いません。ただし、魚肉ソーセージは塩分含有量が高いものが多く、マヨネーズなどをつけて食べると塩分過多につながります。魚肉ソーセージを食べるときはそのまま、何もつけずに食べるがおすすめです。
博士(理学) 管理栄養士
愛国学園短期大学 家政科 准教授、早稲田大学 ナノライフ創新研究機構 招聘研究員、(株)アスリートフードマイスター 認定講師、発酵料理士協会特別講師としても勤務。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチすることを専門とする。科学的根拠を基にしたライフスタイルへのアドバイス、実体験を基にした食育活動や講演活動、料理教室も開催している。『食べる時間を変えるだけ! 知って得する時間栄養学』(宝島社/2022)、『10時間空腹リセットダイエット』(主婦の友社/2023)、他多数の書籍を執筆。
【所属】
愛国学園短期大学 家政科 准教授
早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 招聘研究員
あきはばら駅クリニック 非常勤管理栄養士
アスリートフードマイスター認定講師
発酵料理士協会特別講師