Wellulu Academy

公開日:  / 最終更新日:

赤パプリカの抗酸化パワーで酸化ストレスに負けない身体を作る!【グリコ栄養食品】

野菜売り場でもひときわ目立つカラフルな野菜・パプリカ。どの色のものを選ぼうか?実はそれぞれ栄養価も違う?その中でも赤パプリカには、抗酸化力の高い栄養成分がたっぷり!紫外線から肌を守ってくれたり、肥満を改善してくれたり、疲労軽減効果も?赤パプリカに含まれる強力な抗酸化パワーについて、今回、グリコ栄養食品の舟橋さんに詳しくお話を伺った。

舟橋さん

グリコ栄養食品株式会社 技術開発センター ウェルネス開発グループ グループ長

入社後、化粧品原料・機能性食品原料の研究開発を担当し、現在はグループ長としてココロとカラダの健康につながるウェルネス原料全般の関わりを通じて、人々の「すこやかな毎日、ゆたかな人生」への貢献に努めている。

本記事のリリース情報
「赤パプリカ由来キサントフィル」に関するインタビュー記事が掲載されました

目次

トマトより赤パプリカ?酸化ストレスにはより高い抗酸化力を

──本日はよろしくお願いします。まず赤パプリカについて教えていただけますか?

舟橋さん:よろしくお願いします。弊社が使用している赤パプリカは一般的にスーパーで売られている丸いタイプではなく、細長いタイプのものなのですが、これらはスペイン、ペルー、南アフリカなどの温暖な地域がおもな生産地です。

──パプリカというと赤色以外のものもありますが、なにか違いはあるのでしょうか?

舟橋さん:パプリカには、赤、黄、オレンジ、緑といった色がありますが、それぞれ含まれる栄養素が異なります。まず、パプリカの色は成熟度合いによって異なり、最初はどのパプリカも緑色をしています。そこから段々と成熟が進むにつれ、黄色やオレンジ、そして最終的に赤色になります。

──成熟の段階の違いが色の違いだったのですね。それぞれに多く含まれる栄養素について教えていただけますか?

舟橋さん:黄パプリカはルテインという成分を多く含んでおり、これは目の健康によいといわれています。赤パプリカは、ビタミンCやβ-カロテン、カプサンチンといった抗酸化成分が豊富です。オレンジパプリカは、赤と黄の中間的な存在で、両方の栄養素をバランスよく含んでいます。

──目の健康から抗酸化成分まで、どの成分も私たちの健康にとって魅力的ですね。

舟橋さん:はい。その中でも弊社が赤パプリカに着目した理由は、その抗酸化力の高さにあります。

色鮮やかな野菜には抗酸化力がある?

──黄色やオレンジではなく、赤いものであることが重要なのですね。色に注目したのは興味深いです。

舟橋さん:熱帯魚や日光をよく浴びる夏野菜は鮮やかな色をしていることが多いですよね。これは強い紫外線から身を守るための防御機構として鮮やかな色を持っていると考えられ、この防御機構は抗酸化力と関連しているのです。とくに赤パプリカには抗酸化力の高いカロテノイドが多く含まれています。

──カロテノイドについて詳しく教えていただけますか?

舟橋さん:カロテノイドは750種類ほどあり、大きく分けるとカロテンとキサントフィルに分類されます。キサントフィルは700種類ほど存在し、とくに抗酸化力が高いことで知られています。ほかの野菜と比べても赤パプリカにはこのキサントフィルが豊富に含まれています。

緑黄色野菜であるホウレンソウ・ニンジン・トマトと赤パプリカを比較したときのカロテノイド含有量・カロテン含有量・キサントフィル含有量をまとめたグラフが以下になります。

──トマトも赤い野菜なのに、カロテン含有量とキサントフィル含有量の比率が赤パプリカと真逆ですね。トマトにも抗酸化作用があると聞いたことがあります。

舟橋さん:そうですね。トマトの場合はリコピンが主要成分で、それがカロテン類に分類されています。

──なるほど~。

赤パプリカに含まれる7種類のキサントフィル

舟橋さん:赤パプリカのキサントフィルをさらに細かく見ると、赤パプリカにはカプサンチン、カプソルビン、ククルビタキサンチンAなどの特に抗酸化力の高い成分や、β-クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、クリプトカプシン、カプサンチンエポキシドなどを含んでいます。

──聞いたことない成分がいっぱいありますね。

舟橋さん:この中で、カプサンチン、カプソルビン、ククルビタキサンチンAは赤パプリカに特徴的な色素です。

──合計7種類のキサントフィルの成分があるとのことですが、それぞれどう違うのでしょうか?

舟橋さん:どれも抗酸化作用はあるといわれているのですが、実は身体を酸化させる活性酸素にも種類がいろいろあります。7種類のキサントフィルが、複数の活性酸素に働きかけることができます。

──複数の種類を含んでいるからこそ、高い抗酸化作用が期待できるということなんですね。

舟橋さん:はい。弊社では赤パプリカから有効成分を抽出した機能性表示食品にもご使用いただける「PapriX」を製造販売しており、その機能を有効活用するためにさまざまな研究に取り組んでいます。

──続けてそれらの研究について教えてください。

赤パプリカ由来キサントフィルの研究でわかったこと

体脂肪・BMI低減サポート

舟橋さん:まずひとつ目の研究として、医師が健常と判断したBMIが25以上30未満の成人男女100名を対象に、赤パプリカから抽出したキサントフィルを含む「PapriX」を摂取するグループ、プラセボ(偽薬)を摂取するグループに分けて、12週間継続して摂取してもらいました。

評価項目として、CTスキャン画像を用いて内臓脂肪面積、皮下脂肪面積、総脂肪面積を、また、腹囲、体重、BMI等を測定しました。

その結果、「PapriX」を摂取したグループでは、皮下脂肪面積と総脂肪面積が有意に減少する傾向が見られました。また、腹囲、体重、BMIにおいても、「PapriX」を摂取したグループで有意に減少する傾向があることを確認しています。

──これは、どのようなメカニズムが考えられますか?

舟橋さん:推定ではありますが、肥満状態では脂肪細胞が肥大化し、その結果「アディポネクチン」という痩せホルモンの分泌が減少し、逆に脂肪細胞から分泌されやすい「レジスチン」というホルモンが増加するため脂肪代謝が悪化します。

β-クリプトキサンチンやカプサンチンが有効成分として働くことで脂肪細胞の代謝に関与する「PPARγ」という転写因子を高発現させ、アディポネクチンの量が増加しレジスチンの量が減少します。

これにより、肥大化していた脂肪細胞が正常なサイズに戻り、脂肪が減少するというメカニズムが考えられます。

紫外線刺激低減サポート

──続いて、紫外線の刺激に関わる研究について教えてください。

舟橋さん:この研究では、健常成人男女43名を「PapriX」を摂取するグループ、プラセボを摂取するグループに分け、5週間にわたり摂取してもらい、紫外線照射後に肌の赤みを生じる最小の照射量を示す「最小紅斑量(さいしょうこうはんりょう)」と肌が黒くなる最小の照射量を示す「最小黒化量(さいしょうこっかりょう)」を評価しました。

その結果、「PapriX」の摂取によりプラセボと比較して最小紅斑量が有意に増加することがわかりました。また、「PapriX」の摂取前と比較して、摂取後には最小黒化量が有意に増加する傾向があることを確認しています。

これは紫外線抵抗性が増し、紫外線刺激を低減するサポートがあることを示しています。

──どのようなメカニズムなのでしょうか?

舟橋さん:紫外線を浴びると、体内では一重項酸素という活性酸素が発生します。赤パプリカに含まれるキサントフィル、とくにカプサンチン、カプソルビン、ククルビタキサンチンAが一重項酸素を消去することで、紫外線抵抗性を高めていると考えられます。

運動サポート機能

──続いて、運動疲労に関する試験についても教えていただけますか?

舟橋さん:この試験では、陸上部女子学生14名を対象に、「PapriX」含有飲料かプラセボ飲料のいずれかを4週間摂取してもらい、20分間のトレッドミル運動(スピードや傾斜の変わるベルトコンベアの上を歩く運動負荷検査)を実施して、運動中の酸素摂取量と運動直後の疲労感についてアンケートを実施しました。

その結果、「PapriX」含有飲料を摂取したグループでは、試験前後で有意に酸素摂取量が減少することが確認されました。これは、同じ運動をこなすにあたって摂取前より少ない酸素量で済むことを意味しています。

──少ない酸素量で済むというのは、極端な言い方をすると息切れがしにくくなる、ということでしょうか?

舟橋さん:その通りです。また、運動直後の疲労感に関しては、「PapriX」含有飲料を摂取したグループが、摂取前と比べて有意に疲労感が軽減されたという結果も得られました。

──こちらはどのようなメカニズムが考えられますか?

舟橋さん:これは酸素の運搬効率の改善が関与していると考えています。運動中に酸素を効率よく運搬することで、筋肉への酸素供給が改善され、疲労感の軽減が考えられます。

酸素を運搬する赤血球は、細い毛細血管を通る際に変形する必要があるのですが、活性酸素によってダメージを受けるとこの変形する力が低下してしまいます。この低下をキサントフィルがもつ抗酸化力を用いて、活性酸素を消去し、赤血球の変形能を保護することで、酸素の運搬効率が改善され、運動中の酸素摂取量が減少し、疲労感が軽減されると考えられます。

──ちなみにこれまでの臨床試験では、どのくらいの量の赤パプリカ由来のキサントフィルを摂取していたのでしょうか?

舟橋さん:すべての試験では、赤パプリカ由来のキサントフィルを1日9ミリグラム摂取する形でおこなわれました。赤パプリカでいえば約2個分に相当します。

キサントフィルは油をつかった調理で摂取するのがおすすめ

──ここまでのお話を聞いて、キサントフィルをもっと積極的に摂取した方がよいのかなと感じました。

舟橋さん:そうですね。キサントフィルは野菜からの摂取が可能なのですが、そもそも多くの人が必要量の野菜を摂取できていないのが現状です。厚生労働省のデータベースによると、1日の野菜摂取量と緑黄色野菜の摂取量それぞれの目標摂取量に対して、実際の摂取量は大きく不足しています。とくに緑黄色野菜摂取量は20代から50代の働き盛りの世代で著しく不足しています。

──野菜不足、私も心当たりあります。ちなみに、キサントフィルの摂取方法として推奨されていることなどあれば教えてください。

舟橋さん:キサントフィルは油に溶けやすい性質があるため、炒め物やドレッシングと一緒に摂取すると体内での吸収率が向上します。たとえば、赤パプリカを使った料理をする際は、油を使った調理法が効果的です。

──摂取するタイミングや量についてのおすすめはありますか?

舟橋さん:とくに特定のタイミングはないのですが、食事と一緒に摂取することでほかの栄養素と一緒に吸収されやすくなります。また、キサントフィルは継続的な摂取が大切です。

──過剰摂取によるデメリットはありますか?

舟橋さん:キサントフィルは体内に長期間留まらないため、過剰摂取による有害な作用は報告されていません。さらに、キサントフィルは野菜に含まれる成分であり、通常の食事で摂取する範囲では健康に害を及ぼすことはないので、安心して摂取してください。

紫外線、ストレス…、酸化ストレスが溜まる要因とその対策として

──そもそもなのですが、酸化ストレスの要因にはどのようなものがあるのでしょうか?

舟橋さん:紫外線や運動、日常的なストレスはもちろんですが、呼吸自体でも酸化は起こっています。そのため、運動で呼吸が激しくなると酸化ダメージが増加します。さらに、BMIが高い人は、脂肪細胞中の酵素活性が変化するため、酸化ストレスが高まる傾向にあります。

──日常のいろいろな場面に酸化の要因があるのですね。

舟橋さん:はい、そのため、弊社では、運動や健康、紫外線対策など、さまざまなニーズに合わせて「PapriX」をご提案しています。たとえば、内臓脂肪を気にする方には体脂肪減少効果、外での運動が多い方には疲労感軽減効果や紫外線対策を提案しています。「PapriX」は、サプリメントだけでなく、美容ドリンクや粉末タイプの製品などにもご利用いただいており、日常のさまざまな場面で手軽に摂取いただけます。

Wellulu編集後記
赤パプリカに豊富に含まれる抗酸化成分は紫外線から肌を守り、肥満の改善、運動疲労の軽減など、ありがたい効果ばかりですね。ストレスの多い毎日を過ごす現代人に重要な、酸化ストレスとどう付き合っていくか、赤パプリカの持つ抗酸化力が私たちの健康にどんなよい影響を与えてくれるか、これからの研究で明らかになるのを期待しています。ついついスーパーではそのときの気分で色を選んでしまっていましたが、それぞれの栄養価の違いも考えながら選んでみたいです。

RECOMMEND

←
←

Wellulu Academy

食の持つ「エモーショナルな価値」とは?料理を楽しむ・誰かと一緒に食べる食事【味の素】

Wellulu Academy

世界の幸せをデザインする。武蔵野大学が日本初の「ウェルビーイング学部」を開設!記者発表会レポート

Wellulu Academy

人口急減・超高齢化社会の到来に向けたイノベーション事業「美術館セラピープロジェクト」が人口最少県で始動【鳥取大学・石田准教授】

Wellulu Academy

「メタバース・Web3.0時代の到来~ヘルスケア・ウェルビーイング新時代~」レポート

Wellulu Academy

「“場”のウェルビーイングを構築するために」私たちが考えるべきこと

WEEKLY RANKING

←
←

Biz4-Well-Being

理念共感で就職先を選ぶ社長就活とは? 『誰と働くか』を追求した先にあるもの

Wellulu-Talk

【船橋俊一氏×宮田裕章教授×堂上研】豊かなまちづくりに欠かせないエリアの個性とコミュニティの自発性

Wellulu-Talk

【加藤寛之氏】まちで暮らす人々が「今、いい感じ」と思える場所をつくる都市計画とは

Others

ダイエット中でもOKの太りにくいお酒6選!飲み方のコツや太りやすいお酒も紹介

Wellulu Academy

抹茶でうつ症状が改善?抹茶に含まれる成分の相互作用とその効果【熊本大学・倉内准教授】