「細胞の発電所」とも称されるミトコンドリアが私たちの健康に与える影響とは?私たちのエネルギー生産に欠かせないミトコンドリア。加齢に伴うその機能低下は、さまざまな老化現象の引き金に。ミトコンドリアを強く、活性化するヒントとして植物性乳酸菌OS-1010が持つその効果やエイジングケアの将来について、今回大阪ソーダの井戸垣さんに詳しくお話を伺った。
井戸垣 秀聡さん
株式会社大阪ソーダ 事業開発本部 イノベーションセンター長
本記事のリリース情報
「植物性乳酸菌OS-1010™」がウェブメディア「Wellulu」で紹介されました
「細胞の発電所」ミトコンドリアと老化の関係
──まずはミトコンドリアについて教えてください。
井戸垣さん:ミトコンドリアはひとつの細胞内に100〜2000個ほど存在し、細胞内で重要な役割を果たしています。「細胞の発電所」とも呼ばれていて、細胞のエネルギーを生産します。
人間の身体は食事からエネルギー源として糖質を摂取しますが体内では糖質のままでは利用できず、それをエネルギーとして利用できる形にする必要があります。体内に取り込まれた糖質のグルコースが細胞内でミトコンドリアによってATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー通貨に変換されます。このATPが体中のさまざまな生化学的プロセスを動かすためのエネルギーとして利用されるという仕組みです。
──ミトコンドリアの健康が私たちの健康に及ぼす影響について教えてください。
井戸垣さん:ミトコンドリアは、加齢に伴い、その数や機能が自然と低下していきます。ミトコンドリアが劣化してしまうとATPを効率良く生成できなくなり、それによって細胞の活動力が落ちてしまうのです。
これが老化の一因とされており、体力の低下や疲労感の増大に直結します。また、ミトコンドリアの劣化は、細胞やDNAを損傷することで知られる活性酸素の増加にもつながるため、さらなる老化やさまざまな疾患のリスクを高める可能性があります。
つまり、ミトコンドリアの健康が全身の健康状態に直接影響を与えるということです。
ミトコンドリアを活性化する「植物性乳酸菌OS-1010(フルクトバチルス) 」
──植物性乳酸菌OS-1010について教えてください。そもそも乳酸菌には植物性や動物性などの区分があるものなのでしょうか?
井戸垣さん:まず、乳酸菌の区分ですが、これは乳酸菌がどこから分離されたかに基づいています。実は、学術的には乳酸菌に植物性や動物性の区別はありません。人や動物、例えば牛の腸から分離された乳酸菌は動物性。植物由来のもの、たとえば漬物から分離された乳酸菌は植物性というように、あくまでも私たちが呼んでいるものになります。
次に、植物性乳酸菌OS-1010ですが、「フルクトバチルス」の一種です。
ヨーグルトなどに含まれている「ラクトバチラス」が良く知られていますが、「フルクトバチルス」は果物、赤ワインなどに存在する乳酸菌の一種です。
──「ラクトバチラス」、「フルクトバチルス」。乳酸菌の中にもいろいろな種類があるのですね。
井戸垣さん:はい。乳酸菌には他にもたくさんの株があります。「フルクトバチルス」は主に果物に含まれる 果糖を食べて生活しているマイナーな乳酸菌です。これまで研究や産業利用はそれほど進んでいないものの、今後、有用性の研究が進むことにより、将来的には多方面での応用が期待されています。
──なるほど。大阪ソーダが植物性乳酸菌OS-1010に注目したきっかけがあるのでしょうか。
井戸垣さん:元々は、エイジングケア・抗老化作用があるNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)という高価な化合物が話題になっていたときに、このNMNを作るものがあればと探していたのが始まりでした。
──NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)とは…?
井戸垣さん:NMNは細胞のミトコンドリアの機能を支え、エネルギー生産を促進することで知られています。フルクトバチルスはこのNMNを生成し蓄積することでミトコンドリアの活性化を助ける可能性があると考え研究していたところ、植物性乳酸菌OS-1010がミトコンドリアを直接的に活性化することを発見したというわけです。また、植物性乳酸菌OS-1010が、老化を遅らせ、寿命を延ばすことに寄与する可能性もでてきています。
──つまり…、植物性乳酸菌OS-1010がNMNに近い働きをするということがわかったのですね!
腸内からエイジングケア?植物性乳酸菌OS-1010の研究でわかったこと
──植物性乳酸菌OS-1010がミトコンドリアに与える影響の研究について、研究でどんなことがわかったのか教えてください。
井戸垣さん:植物性乳酸菌OS-1010が腸管細胞を刺激し、エクソソームの分泌を誘導させることがわかりました。エクソソームとは細胞から分泌される細胞外小胞の一種のことで、細胞間の情報伝達物質としての役割を果たすものです。各臓器の細胞はエクソソームのやりとりによって情報伝達を行っていて、これまでに多くの研究者による論文で、老化や健康などにさまざまな影響を与えていることがわかっています。
今回、大学との共同研究で、植物性乳酸菌OS-1010を加えることで得られたエクソソームが他の細胞のミトコンドリアを増強、活性化することが新たに分かりました。このエクソソームには、ミトコンドリアの生成を促進する遺伝子の発現を増やすmiRNAや特定のタンパク質が含まれており、これらがミトコンドリアの増加と機能向上を支援するのです。
この研究結果により、植物性乳酸菌OS-1010が腸を通じてミトコンドリアを増強、活性化し、筋肉細胞だけでなく肌の細胞などのさまざまな細胞を活性化させ、エイジングケアにつながる可能性が示されました。
── 少し難しい話ですが、エクソソームという物質の分泌を促すことで、植物性乳酸菌OS-1010がミトコンドリアの活性化につながるというわけなんですね。この研究を通じて、今後の展望や取り組みを教えていただけますか?
井戸垣さん:現在、体のあらゆる部位の老化予防に対して有効的なエビデンスの蓄積を進めており、今後はより広範なトータルエイジングケアを目指しています。
抗老化を多方向から考える!トータルエイジングケア
── 植物性乳酸菌OS-1010の摂取方法についてお伺いしたいのですが…。
井戸垣さん:植物性乳酸菌OS-1010の摂取に関しては、特殊な乳酸菌なので、一般的な食事からの摂取は難しいです。現在、当社では、独自技術を用いて、乳酸菌だけを培養し粉末化したものを食品・サプリメントメーカーへ提供しています。そのため、当社の植物性乳酸菌OS-1010が配合された加工食品やサプリメントからの摂取をおすすめします。
たとえば、粉末状のサプリメントとして朝の一杯のスムージーやヨーグルトに混ぜたり、機能性飲料などの食品にも適用可能です。植物性乳酸菌OS-1010が配合されたサプリメントはすでに販売されていますが、今後は食品への展開も予定していますので、ご期待ください。
食事・運動・ストレス…、元気なミトコンドリアを維持するためのポイント
── 食生活やライフスタイルの中で、ミトコンドリアによい影響を与えるもの、悪い影響を与えるものがあれば教えてください。
井戸垣さん:よい影響を与えるものとしては、まず、適度なカロリー制限です。ミトコンドリアの効率を向上させ、エネルギー生成を最適化してくれます。これにより、細胞の老化を遅らせ、寿命を延ばす可能性があります。
次に、適度な運動。とくに有酸素運動はミトコンドリアの数と機能を増強することが知られています。ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどが有効で、これにより体内のミトコンドリアが活性化され、全体の代謝が向上します。
また、食生活では、野菜、果物、ナッツ、種子など抗酸化物質を多く含む食品を取り入れることが推奨されます。抗酸化物質はミトコンドリアを損傷から守り、健康な状態を保つのに役立ちます。
悪い影響を与えるものとしては、糖質の過剰摂取です。過剰な糖質は活性酸素を発生させ 体内でミトコンドリア機能の低下を引き起こし、慢性疾患のリスクを高めます。他にも、過度のストレスはミトコンドリアに悪影響を及ぼし、全体の健康を損ねる可能性がありますので、ストレスをためないことが大切です。
Wellulu編集後記:
エイジングケアの新たなアプローチとしての植物性乳酸菌OS-1010。老化プロセスにどのようにアプローチしていくか、今後の研究や製品開発がたのしみです。健康寿命への関心が高い今日、腸を通して細胞に働きかける植物性乳酸菌OS-1010の活用やライフスタイルの改善を含めたトータルエイジングケアの需要はさらに大きくなっていくはずだと感じました。