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フードロス問題から考える、生活者の暮らしとウェルビーイング〈株式会社クラダシ〉

株式会社クラダシ

日本では約6割の食料を輸入しているにも関わらず、「3分の1ルール※」などによって多くを廃棄し、世界有数のフードロス大国になっている現実がある。その一方で、7人に1人の子どもは貧困で食事に困っているという由々しき事態も起きている※。この矛盾を解決するためには、どんなことができるのだろうか。
今回は、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を利用した編集部の体験レポートとともに、Kuradashiアンバサダー5名の方による座談会の様子と、株式会社クラダシ広報・齊藤友香さんへのインタビューをお届けする。

※厚生労働省 – 2019年国民生活基礎調査
※製造日から賞味期限までの3分の1以内で納品できなかった商品は、賞味期限までに多くの日数が残っている場合でも行き場がなくなり廃棄となる可能性があるという商慣習的なルール。

【体験レポート】Wellulu編集部が「Kuradashi」を使ってみた!

ロスおたすけ定期便
毎月ランダムにピックアップされた20点以上の詰め合わせ商品が届く、
「ロスおたすけ定期便 3,980円(税込)」が人気。

「Kuradashi」とは、フードロス削減を目指すショッピングサイト。「楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケットを創る」をテーマに、誰でも気軽に社会貢献に参加することができる仕組みであり、まだ食べられるにも関わらず捨てられてしまう可能性のある食品を販売し、売り上げの一部をさまざまな社会貢献団体の支援に充てていたり、クラダシ基金として活用したりしている。サービスを運営する株式会社クラダシは「B Corp認証※」を取得しており、今年6月30日には東証グロース市場に上場した。

サイトでは、会員登録をすることで「マイページ」から注文履歴を確認でき、自身のフードロス削減量や支援総額などの社会貢献度、さらにはSDGsの17の開発目標の該当する項目がひと目でわかるようになっている。

今回Wellulu編集部が試したのは、調理不要ですぐ食べられる手軽な商品を含む「ロスおたすけ定期便」。食品やスイーツ、飲料など約20点程度をランダムに組み合わせたパッケージとあって、何が入っているかは届いてからのお楽しみ。それではさっそく紹介していきたい。

※「B Corporation」の略称で、米国ペンシルベニア州に拠点をおく非営利団体B Lab (Bラボ)が運営する、社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対する国際的な認証制度。

ミートソース
「マルコメ」の大豆のお肉 洋風ミンチを使ったミートソース。
大豆ミートはこれまで機会がなく今回初めて実食。まるでひき肉のような食感で満足感があった。
キーコーヒー
「ミル・ガトー」の焼き菓子や「中新製菓」のウエハースを「キーコーヒー」のコーヒーと一緒に。
こんなふうにコーヒーブレイクをしながらでも、フードロス削減に貢献できる。

サービスを利用してみて感じたのは、「お得感」と「納得感」。思っていた以上に商品数とバリエーションが豊かで、普段なかなか自分で選ぶことのない商品を試すことで新しい発見にもつながり、新鮮かつ貴重な体験だった。また、個包装の異なる商品をバラ同士で組み合わせるなど、ロスを少なくするためのちょっとした一手間がユーザーにとってもメリットになっていて、まさに細かい部分にも「三方良し」の理念が宿っていた。フードロス削減をはじめとした社会貢献につながるアクションを楽しみながら継続する一つの選択肢として、試してみてはいかがだろうか。

【座談会】Kuradashiアンバサダー×Wellulu編集部「Kuradashiのココが良い」

Kuradashiアンバサダー×Wellulu編集部

左:ここからは、アンバサダー5名の方々と広報の齊藤さんとの座談会をスタートします。どうぞよろしくお願いいたします。まずは皆さんがKuradashiを知ったきっかけや、普段どのように活用されていらっしゃるかを教えていただけますか。

伊藤:よく利用しているのは「ロスワイン定期便」です。もちろん自分でも飲むんですけど、人と集まるときに持って行くのにも良いんですよね。何が届くかわからないので、毎月ワクワクしながら届くのを楽しみにしています。お得になるのはすごくうれしいんですけど、中身や味は全く問題ないのにパッケージに傷があるから商品にならないなんて、もったいないなあとも思います。

若畑:私は今は販売されていないかもしれないんですが、カフェインレスのお茶のセットが気に入っています。お店だとなかなか見つけられなかったりするので、一度にまとめて購入できて便利なんです。実家暮らしなので、よく消費するものだったら大量に購入しても家族で分けられるのがいいなと思います。私の場合、テレビやネットを見てKuradashiのことを知った母から聞いて、サイトにアクセスしたのがきっかけで知りました。

大録:私も伊藤さんと同じ「ロスワイン定期便」のヘビーユーザーです(笑)。あとはシステム的な部分の話なんですが、Kuradashiを利用することで幾らか支援されるじゃないですか。さらには支援先も選べるようになっていて。そこも単に買い物をしているだけじゃないんだなという意識が持てますよね。

Kuradashi

中根:神奈川のたまプラーザ テラスにある実店舗では、自分でボタンを入れるというアクションをする仕組みになっているので、より支援に参加しているという実感が湧きますよ。Kuradashiを利用するうえで気を付けているのは、新たなフードロスを招いてしまわないように、なるべく必要なときに必要なぶんだけ注文するということです。オンラインの商品で量が多くて消費しきれないなと思ったときは、オフラインのお店に行って買うようにするなど、オンラインとオフラインを上手く組み合わせながら利用するようにしています。

Kuradashiのココが良い

大島:ちなみに会員の皆さんはご存じだと思うのですが、Kuradashiに登録すると届くメルマガは、ときどきものすごい掘り出し物があるので要チェックです(笑)。

Kuradashi

左:それぞれにこだわりの使い方や気に入っているポイントがあるんですね。ちなみに皆さんは「フードロス」という言葉にもともと関心をお持ちだったのでしょうか?

大録:以前勤めていた会社で健康食品を扱っていた頃に、一番苦しめられたのが「フードロス」です。いわゆる「3分の1ルール※」ですよね。売れなくて最後に残った商品を見ると、生産計画を立てた自分は良心の呵責に苛まれるというか、市場を読めなかったことを反省していました。10トントラック何台分もの商品を廃棄する様子なんて、実際に見ていると涙が出てきますよ。賞味期限という概念があるのって、世界的にみても日本ぐらいですよね。消費期限はあるとしても。賞味期限ではなく消費期限がベースになったら、日本のフードロス市場はだいぶ変わるんじゃないかなと思います。

※製造日から賞味期限までの3分の1以内で納品できなかった商品は、賞味期限までに多くの日数が残っている場合でも行き場がなくなり廃棄となる可能性があるという商慣習的なルール。

フードロス問題

伊藤:未開封のものでも「賞味期限が切れてるから捨てなきゃ」っていう人はけっこう多いですよね。私は少しぐらいだったら全然気にしないですけど。賞味期限の情報だけで決めるというよりも、自分の感覚でジャッジしてますね。

左:生活者の意識やリテラシーが少しでも上がることによって、逆に社会を変えていくみたいな発想もありますよね。本来はもっと寛容で良いはずなのに、フードロスは単なる商慣習によって生まれている側面もあると思うので。まさにKuradashiはそこを変えていくビジネスモデルでもあるといいますか。

Kuradashi

大島:賞味期限とは別のフードロス問題でいうと、私は農家さんと関わる機会が多いのですが、B級品、いわゆる規格外の野菜や果物って、形がいびつだったり少しキズがあったりしただけで市場に出せないんですよね。だからそういったものは加工品として活用するケースが多いんですけど、個人的には味がそこまで変わらないんだったら、売っても良いんじゃないかなと思うんです。ただ、受け入れられるためには「鮮度や味は問題ないですよ」ときちんと発信する必要がありますよね。

齊藤:「訳アリ品」はKuradashiでもお得に販売しているのですが、味に変わりがないのであれば、そういったものでも同じように売れるようになるのが本来の理想的なフードロス削減の形ですよね。見栄えにこだわっているのって私たち消費者なので、そこを変えていくにはどうしたら?ということも考えるべきなのかもしれません。

【インタビュー】株式会社クラダシ 広報・齊藤友香さん

広報・齊藤友香

左:Kuradashiアンバサダーの皆さんは、ご職業も年齢層も実にさまざまなんですね。こういった制度はいつから始まったんですか?

齊藤:アンバサダー制度は今年で二期目になるのですが、一期目から継続してくださっている方もいらっしゃり、現在42名の方に活動していただいています。アンバサダーの皆さんはありがたいことに、Kuradashiを普段から利用してくださっていて、かつ一緒に活動に取り組んでくださるような熱意のあるファンの方々が中心です。アンバサダーの方やユーザーさんのお声から生まれた「ロスおたすけ定期便」という商品もあります。

左:そもそも、齊藤さんがKuradashiでお仕事を始められたのは、どんなことがきっかけだったのでしょうか。

齊藤:私は食品業界の経験が長いんです。以前はコーヒー業界で働いていて、6年ほどスペシャルティコーヒーの会社で広報や販促マーケティングに関わっていたのですが、業界全体が持続可能な生産方法に取り組むスタンスだったこともあり、サステナビリティへの関心は高い方だったと思います。あるとき「Kuradashi」を知ったことを機に、さまざまな食の課題があるという現実を知り、フードロス問題を中心とした食の社会課題を解決するPRにチャレンジしてみたいと考えるようになったのがきっかけです。

株式会社クラダシ

左:もともと食品業界でお仕事をされていらしたのですね。みなさんそういった経歴の方が多いんですか?

齊藤:当社の場合は意外と少ないんですよ。どちらかというとビジネスに共感して入社する人が多いです。IT企業や商社など他業種にいらっしゃった方が多い印象です。代表の関藤も商社出身です。世界の工場と言われていた時代の中国に駐在していた際に、大量生産・大量廃棄を目の当たりにしていたという原体験があり、そこから起業したという経緯があります。

左:社会課題を解決するという目的がモチベーションになっているのですね。

齊藤:私自身も他社員もそうですね。クラダシにはインターン生や、若手も多いのですが、皆さん総じてフードロス問題にとても関心が高いです。当社にはクラダシが自ら社会貢献活動を行うために創設した「クラダシ基金」というものがあり、基金を通じてさまざまな社会貢献活動を行っているのですが、その中の一つに、社会貢献活動型インターンシップ「クラダシチャレンジ」という活動があります。クラダシチャレンジは、地方創生やフードロス問題に興味がある学生が日本全国の地域・農家を訪れ、作物の収穫支援や現地での交流を通して一次産業や地域経済の活性化について考える取り組みです。クラチャレを通じて、地域の関係人口の創出・拡大、地域の魅力発信、学生への実体験を通しての学びの場の提供を目指します。

左:Z世代といわれる若い人たちは、社会課題への意識がすごく高いですよね。必要としている自治体と上手くマッチングできれば、すごく良い取り組みの例になると思います。

齊藤:高齢化や人手不足が原因で収穫できずにロスが出てしまうというケースもあるので、若い人たちの力が求められる場面は多いです。そこからさらに、例えば、みかんジュースを作る過程で学生さんにラベルのビジュアルを考えていただくといったような、商品開発のサポートを行った事例もあります。また、参加学生の旅費や滞在費、食費等はクラダシ基金から拠出しているので、学生はこのような体験を無料で行っていただけます。ユーザーさんがKuradashiでご購入くださった商品の支援金の一部で、SDGsの17の項目を横断する形で、こういったさまざまな活動ができているんです。

左:地方創生ともリンクしているのは理想的な仕組みですね。自治体からのお声がけも多いのでしょうか?

齊藤:そうですね。お声がけは多いかとおもいます。クラダシは現在全国の市や県など28の自治体と連携協定を締結しています。また自治体だけでなく三者連携といった形で、自治体と縁のある企業やメーカーと連携し、一緒に地域の課題解決や地域を盛り上げるような取り組みを行うケースも増えてきています。
また、6月8日にOPENしました木更津にある、「KISARAZU CONCEPT STORE」内にあるカフェでは、収穫量が多すぎて廃棄予定となってしまうもったいない食材を使ったスムージーなども提供しているのですが、この取り組みは「もったいないものに新たな価値をつけたい」という代表の想いそのものでもあります。現在はECやオフラインの場でもったいない食品を販売するだけではなく、食材を提供しメニューを開発するといったような、新たなチャレンジにも力を入れています。

Kuradashi

左:新しいチャレンジ、素晴らしいです。クラダシさんって、私たちが想像している以上にさまざまなことを行っていらっしゃるのですね。

齊藤:そうなんです。少しずつですが、さまざま活動を行っています。代表が常々話しているのが、「フードロスと食育はセット」ということです。地球温暖化などさまざまな環境変化によって、食べられなくなってしまう食べものは今後増えていくといわれていますが、食品を廃棄する際に出る温室効果ガスも地球温暖化の原因の1つです。温室効果ガスの排出量のうち、8~10%はフードロスによるものだと言われており、自動車から排出される量(10.0%)とほぼ同じなんです。日本は37%と食料自給率が低いのに、たくさんの食品を捨てています。そういった啓発も含めて、フードロスと食育をセットで伝えていきたいという考えがあります。

左:社会課題と教育がセットという考えは、生活者を巻き込んでいくうえでの大きなポイントになるかもしれませんね。

齊藤:環境問題を中心に、若い世代の人たちが大人になったときに直面する課題がどんどん増えていると思うので、現状を知って若い方たちがどう変えていくのか、というのは大切ですよね。私たちはソーシャルアントレプレナーを増やしていきたいと考えているので、SDGs教育や地方創生に力を入れるとともに、フードバンクや子ども食堂の支援といったクラダシ基金での活動も継続しています。

左:EC事業をメインとしながら、そこに付随する事業を幅広くやられていらっしゃるのですね。

齊藤:そのほかフードバンクさんとのマッチングシステムというのもあるんですけど、余っているものを寄付したいと思っても、自分で寄付先を探してそこのニーズに合わせて数量を調整し発送の手配をするって大変なんです。公平性・安全性・安定性を担保しなくてはいけません。それに受け入れ側の施設や団体さんの規模や設備もさまざまで、大量に送られてきてしまうと困ってしまう場合もあるんですね。そこでクラダシでは寄付したい事業者とフードバンクを、マッチングさせて支援品をお送りするというサポートなどもクラダシ基金を通じて行っています。

左:なるほど。寄付先との橋渡し役は重要ですね。6月に上場をされて、おめでとうございます。今はさらなる成長をされていくようなフェーズだと思うんですけれども、今後についてはいかがでしょうか?

齊藤:ありがとうございます。まずは今の主力のEC事業を変わらずに社会性・環境性・経済性を包括した形で拡大していくことが重要だと思っています。今後は、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」をマーケットプレイスにしていきたいと考えているので、そちらに付随する機能やサービスを拡充していくとともに、常設店舗ができましたので、オンラインとオフラインを組み合わせたOMO展開なども模索して、いけたらと思っています。

Kuradashi

大録 進一さん

Kuradashiアンバサダー

(一社)日本フードアナリスト協会 認定講師ジャパンフードセレクション審査委員、
日本ソムリエ協会ワイン検定講師、SakeDiploma、SSI認定唎酒師、日本酒講座講師

大島直子さん

Kuradashiアンバサダー

ゆず胡椒研究家。使い切れない調味料のひとつである「柚子胡椒」を使い切れる調味料に変えるために、柚子胡椒を使ったレシピや使い方を日々研究している。柚子胡椒マガジン運営。

中根理花さん

Kuradashiアンバサダー

専業主婦。Kuradashiアンバサダー他ボランティア活動で奮闘中。

若畑美咲さん

Kuradashiアンバサダー

ブロガー。「お金を稼ぐこと」をテーマにしたブログを運営中。SNSも複数運用しており、
コスメ・ポイ活・フードロスなど興味のあることは何でも発信。

伊藤邦江さん

Kuradashiアンバサダー

オリジナルストーリーをひとり芝居などで表現するパフォーマー。また、イベント運営アドバイザー、地方創生メインのライターとしても活動。地元埼玉と、神奈川のオーシャンフロントで二拠点生活中。

齊藤友香さん

株式会社クラダシ サステナビリティ推進室 広報・IRG

広報IRを担当するほか、アンバサダープロジェクトの推進やKuradashiのユーザー向けの企画など幅広く担当。

左 達也さん

Wellulu編集部プロデューサー

福岡市生まれ。九州大学経済学部卒業後、博報堂に入社。デジタル・データ専門ユニットで、全社のデジタル・データシフトを推進後、生活総研では生活者発想を広く社会に役立てる教育プログラム開発に従事。ミライの事業室では、スタートアップと協業・連携を推進するHakuhodo Alliance OneやWell-beingテーマでのビジネスを推進。Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。毎朝の筋トレとランニングで体脂肪率8〜10%の維持が自身のウェルビーイングの素。

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