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抗肥満効果やアンチエイジング!スーパービタミンE「トコトリエノール」の働き【芝浦工業大学 ・福井教授】

私たちの生活でも馴染みの深い栄養素「ビタミンE」。卵やアボカド、かぼちゃなどに含まれ、加齢によって出てくる症状の予防に役立つことから、“若返りのビタミン”とも呼ばれている。

そんなビタミンEの一種である「トコトリエノール」に、抗肥満効果があることがわかった。体重増加を著しく抑制し、同時に悪玉コレステロールのレベルも低下させるという。

今回は研究の第一人者である芝浦工業大学生命科学科・福井浩二教授に、新たに認められたトコトリエノールの効果について伺った。

●トリコトリエノールとは?
ビタミンEの一種で、非常に強い抗酸化作用、抗肥満効果、コレステロール値を下げる効果、美容効果などを持つ。一般的にビタミンEと呼ばれているものは「トコフェロール」というもので、これと比較しても「トコトリエノール」の方がより高い効果が予想されていて、稀少性とその高い効果からスーパービタミンEと呼ばれている。

福井 浩二さん

芝浦工業大学システム理工学部生命科学科 教授

2017年から芝浦工業大学 システム理工学部生命科学科の教授に。ビタミンE、老化、酸化ストレスなどをキーワードに研究を続けている。所属学会は、教授日本酸化ストレス学会(代議員,学会誌委員会委員,JCBN Executive Editor)、日本酸化ストレス学会関東支部会(世話人)、日本基礎老化学会(評議員)、日本ビタミン学会(代議員,関東地区代表幹事,国際交流委員,トピックス等担当委員)など。

本記事のリリース情報
生命科学科・福井浩二教授の研究がウェルビーイングメディア「Wellulu」に掲載されました

ビタミンEが持つ「抗酸化作用」と「抗肥満効果」の意外な接点

アンチエイジングの味方!抗酸化ブロック!若返りのビタミン「ビタミンE」

── はじめに、福井教授が今回の研究をしようと思ったきっかけを教えてください。

福井教授:意外に思われるかもしれませんが、私は元々肥満について調査していたわけではなかったんですよ。人間の加齢と抗酸化作用の研究をしていました。よく同じ年齢でも見た目が若いとか、体力がたくさんある人っていますよね? みなさん同じように年をとっても、「老化の進み具合」が違うのはなぜか、という点に着目していました。

そこで、時間によって自然に加齢していくことを生理的老化とし、人によって差が出てくる部分を「病的老化」とわけて捉え、その要因を取り除くことで健康寿命を長くできるのではないかと考えました。いわゆる年齢より老けている人とは時間で弱った訳じゃなくて、さまざまな要因(ストレス)によって病的老化が進んでしまっている状態なのではないかと。「アンチエイジング」ということばは美容業界でも人気ですが、具体的にそれを実現するにはこの「病的老化の要因)」を取り除くことが有効なわけです。

病的老化の予防には運動や食事、生活環境といったことが複合的に影響してきます。その中で、銅や鉄が錆びるように、「酸化」が問題な可能性(1956年にアメリカの学者が発表)も指摘されていました。そこで出てくるのが、近年注目されている「抗酸化作用」ですね。今回の主役であるビタミンEもその効果があることは有名です。

── なるほど、老化や抗酸化作用の研究からトコトリエノールの効果にたどり着いたのですね。

福井教授:そうなんです。「ある程度カロリー制限をした方が寿命がのびる」という研究があり、なぜそのような効果が出るのか疑問に思っていたんです。ただ一節に、食事をたくさんとると、酸素を取り込んでいるわけです。酸素をたくさん取り込むストレスを試しに減らしてみたら…?ということで実験を始めました。

太っている動物の寿命を研究するため、抗酸化作用を試そうと「ビタミンE」を与えてみたところ…長生きするかな?と思っていたら老化が鈍化しただけでなく、痩せ始めたんです。はじめは偶然かと思いましたが何度やっても同じ結果になる。薬でもない、自然界にある栄養素で痩せるとしたらすごい効果ですよね?そこから、トコトリエノールの抗肥満効果を中心に調べるようになりました。

スーパービタミンE「トコトリエノール」の効果とは?

抗肥満効果、肝臓ダメージの抑制、悪玉コレステロール濃度の低下、脂肪燃焼まで

── 実際、トコトリエノールにみられた抗肥満効果にはどんなものがあったんですか?

福井教授:研究では、高脂肪食と高脂肪食にトコトリエノールを混ぜた飼料をマウスに与え、実験を行いました。13週間にわたり、高脂肪食をマウスに与えたところ、マウスの体重は著しく増加しました。一方、高脂肪食とトコトリエノールを与えたマウスでは、体重増加が抑制されていました。さらに、トコトリエノールが腎臓周辺の白色脂肪組織の蓄積を低下させ、高脂肪食による肝臓のダメージを抑制できることがわかりました。

加えて、トコトリエノールには、血中の善玉コレステロール(HDL)の濃度に影響を与えることなく、悪玉コレステロール(LDL)の濃度を低下させる効果もありました。

まだこのメカニズムは研究中ではありますが、「腎臓周辺にある白色脂肪組織」の蓄積も低下させるようでした。脂肪組織にトコトリエノールがたまりやすいことが確認でき、そこから体重や脂肪が現象しているわけなので、脂肪燃焼などの効果があるとみています。

ビタミンE「トコフェロール」とスーパービタミンE「トコトリエノール」の違い

福井教授:また、中性脂肪や悪玉コレステロール(酸化コレステロール)の上昇を抑制する効果は元々ビタミンEにある効果なのですが、一般的によく言われるビタミンEは「トコフェロール」というもので、トコトリエノールのほうがより効果が高いと予想されています。しかも良質な(身体に必要な)脂質にはほぼ影響がないので、健康的にコレステロールを減らせるのです。

ちなみに、トコフェロールが食品に100含まれているとすると、トコトリエノールは5くらいです。稀少な分、効果が高く、スーパービタミンEと呼ばれています。

「トコトリエノール」を効果的に摂取する方法は?【食事・サプリメント】

「トコトリエノール」が豊富に含まれる食材

── 美容・健康両方の面から効果が期待できそうな成分ですね!でも、稀少ということはサプリで摂っていくしかないのでしょうか?

福井教授:そんなことはないですよ。毎日の食事でもトコトリエノールは摂ることができます。胚芽米や全粒粉、米糠・米油・アボカド・カボチャ・アーモンドなどに豊富に含まれています。たとえば、主食なら胚芽米、全粒粉でつくられた茶色いパンなどを意識して選ぶと、日常的に摂りやすいかもしれませんね。

あと、糠漬けの糠にはビタミンEが豊富で、糠床を混ぜる人は手が若々しいというケースもありました。生活の中でビタミンEを自然に摂ることはできるので、サプリにこだわる必要はないですよ。

── 割と油分だったり、こっくりした食べ物に含まれているんですね。抗肥満効果というイメージからさっぱりした食べ物がいいのかと思っていました。

福井教授:そのイメージは正しいです。ビタミンEは「油にとける」ビタミンなんです。だから油っぽいものの中に含まれています。さらさらした水っぽいものには、溶け込むことはできないんですよ。逆にビタミンCは水に溶けるビタミンなので、コンビニにある飲み物などにもよくふくまれていますよね。ダイエットで食べ物を制限する人は多いと思うのですが、摂取する食べ物・飲み物で吸収できるビタミンが違うので、偏った食事をすると健康にも美容にもよくないことが多いです。

おすすめの調理法は油で炒める!サプリメントなら食後30分以内に!

── バランス良く食べるというのが大事なのですね。より効率的にトコトリエノールを吸収するには、どんな摂り方がいいのでしょうか。

福井教授:さきほど挙げたものの中で、カボチャやアーモンドから効率的に摂るには、さらに油で炒めると吸収しやすいと言われています。ただ、人の身体は、同じビタミンEでもトコフェロールのほうが消化・吸収しやすいとみられています。なので、トコトリエノールをよりたくさん摂りたい場合にはサプリメントを補助的に使うのがいいと思います。

もし、サプリを考えている人は単独で飲むのではなく、食後30分以内に摂るようにしてください。これも上記と同じ理由で、油に溶け込んで身体に吸収されやすくなるからです。

抗肥満効果だけじゃない!スーパービタミンEの健康へのさまざまな効果に期待

神経細胞を元気に保ち、脳にも良い影響をもたらす可能性

── 抗肥満効果以外の効果もトコトリエノールにはたくさんあるようですが、どんなところに注目されていますか?

福井教授:最初に話した抗酸化作用はもちろん、神経細胞を元気に保つ効果にも注目しています。「肥満が認識機能障害を引き起こす可能性がある」という研究もあり、抗酸化・抗肥満両方の作用で認識機能障害を予防できるのではないかと考えています。実際に、食事からビタミンEを抜いたものを2ヶ月間マウスに与えたところ、物覚えが悪くなるという研究結果も出ています。

逆にいえば、トコトリエノールを日常的に摂ることで、そういった障害も予防することができるかもしれませんよね。脂肪だけでなく脳にもいい影響があるかもしれない、ということです。

── 本日はありがとうございました。最後に研究で新たにわかったことや、福井先生が研究を進めていることがありましたら教えてください。

福井教授:今回のトコトリエノールの研究ではマウスが中心でしたので、実際に人に長期間摂取してもらって、しっかりしたデータを摂っていきたいと思っています。実際に太ってしまったあとでも効果があるのか、効果があるとしたらどんな理由なのかという「詳細なメカニズム」を調べていきたいです。

前述の通り、トコトリエノールは脂肪だけでなく神経や脳にもいい影響がある栄養素だからこそ、さまざまな効果を明らかにすることで、みなさんのウェルビーイングにつなげていきたいですね。抗酸化作用や肥満を抑制する作用は、肝機能や認知症といったものにも効果があるかもしれません(研究者によって賛否両論がありますが、期待はしています)。
薬じゃなくて、天然に存在する栄養素で、病気が防げたらそんないいことはないよねと思っています。

こうやって取材を受けることで、世の中の人が知らない効果を発信できたり、僕がしらないニーズを掘り起こしたりできるかもしれないですしね。この調査が人のよりよい暮らしに貢献できたらいいなと思って、これからも研究を進めていきます。

Wellulu編集後記:
健康はもちろん、ダイエットなど美容にも効果を発揮するスーパービタミンE「トコトリエノール」。積極的に摂取していきたい成分ですね。

福井先生の研究で、さらにさまざまな効果が明らかになっていきそうです。
今後の発表にも注目していきたいですね。

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