日常生活に取り入れられる健康習慣として注目されている水素水。ただ、水素水にもいろいろな種類があって、どう違うのか知らない方も多いのでは?そもそも、「飲む水素」と「浸かる水素」では身体への影響はどう違うの?と思っている方もいるかもしれません。そこで今回は、日本トリムの佐藤さんに水素水の製造方法や身体への働きなど、水素水に関することを聞いてきた。
佐藤 光佑さん
株式会社日本トリム 経営企画部
本記事のリリース情報
Welluluに「電解水素水で腸内環境を整える!製造方法、研究結果など、水素水のあれこれを聞いた【日本トリム】」が掲載されました
水素水に飲む・浸かるで期待できる働きは違う?
水素水のおもな3つの製造方法
──まずはじめに、水素水の具体的な定義や作り方について教えていただけますか?
佐藤さん:水素水はその名の通り“水素ガスが含まれている水”のことを指します。
水素水の製造方法はたくさんあり、代表的なものは「バブリング製法」、マグネシウムを用いた「化学反応法」、そして私たちがおこなっている「電気分解法」などです。
バブリング製法は水に水素ガスを直接注入する方法で、化学反応法は水とマグネシウムを反応させて水素ガスを発生させる方法です。電気分解法では、水を電気分解することで水素と酸素に分ける方法です。
── 水素水にも、さまざまな作り方があって家庭でも気軽に飲むことができるのですね。
佐藤さん:はい。私たちが製造・販売している製品は主に家庭用医療機器である整水器です。他社で販売されている製品としてバブリング製法でつくられたものや自宅で水素を充填する機械なども販売されています。
──それぞれどのように水素を発生させているのでしょうか?
佐藤さん:整水器は、水を電気分解して水素と酸素に分ける「電気分解法」を使用しています。サーバータイプの機械は水素ガスを注入する「バブリング製法」を使用することが多いですね。
水にスティックを浸すタイプのものは「化学反応法」で、おもにマグネシウムを使って化学反応を起こし、水素を発生させるものです。
──ちなみに、水素ガスボンベも売られていますが、これで水素水を作ることはできるんでしょうか?
佐藤さん:水素ガスを水に直接注入するバブリング製法の機械で使用する水素ガスとは種類が異なりますので、水素水を作るのには適していません。
電気分解法でつくられた「水素水」は何が違う?
──電解水素水(電気分解法でつくられた水素水)について教えていただけますか?
佐藤さん:先ほど、水素水にはさまざまな製造方法があるとお話ししました。電解水素水というのは、“電気分解によって作られた”水素水のことを指します。「バブリング製法」や「化学反応法」などで作られた水素水は、電解水素水とは呼びません。
──電気分解とはどういう仕組みなのか、もう少し詳しく教えてください。
佐藤さん:電気分解とは、水に電気を通すことで、水がプラスとマイナスの極に分かれる反応です。マイナス極側には水素が多く含まれた弱アルカリ性の水が生成され、プラス極側には酸素が多く含まれた弱酸性の水ができます。このマイナス極側の水素が多く含まれた水が、水素水として飲用されるという仕組みです。プラス極側にできた弱酸性の水は、食器洗いや野菜洗い、お風呂などの用途にお使いいただけます。
──バブリング製法など、ほかの製造方法で作られた水素水と比べたときの、大きな違いは何ですか?
佐藤さん:バブリング製法と電気分解法で生成された水素水の大きな違いは、水素濃度が高い点です。
胃腸症状の改善効果
──以前、水素水・水素風呂などが話題になりましたが、なぜなのでしょうか?
佐藤さん:酸化をもとに戻す還元作用を持つものとして、ワインに含まれるポリフェノールやお茶のカテキン、ビタミンCなどがありますが、水素にも同様の抗酸化作用が期待されて話題になりました。
水素風呂や水素吸引など、さまざまな形で水素を取り入れる商品がたくさん登場していましたね。
──確かにさまざな製品が販売されていた気がします。ただ、水素を吸ったところで、活性酸素を抑制できないのでは?
佐藤さん:一部の病院では、心停止や心肺停止になった患者に対する先進医療として、水素吸引が承認されています。心停止から回復する際に大量の活性酸素が発生するため、それを抑えるために水素を吸引させる治療がおこなわれているんですよ。
──え!そうだったんですね。もうひとつ気になるのですが、水素風呂はいかがでしょうか?
佐藤さん:口から飲んで摂取するのと、皮膚から吸収するのでは違いがあります。一般的に皮膚からの吸収の方が早いと言われていますが、まだ研究が進んでいる段階なので、効果については確定的なことは言えません。
弊社では水素吸入や水素風呂ではなく、電解水素水整水器を展開しています。飲用としての水素水の研究と普及に力を入れています。
──飲料として取り入れる場合は、普段飲んでいる水を電解水素水に置き換えることで、どのようなメリットが期待できるのでしょうか?
佐藤さん:まず、胃腸症状の改善が期待できますね。電解水素水は腸内環境を整えるため、日常的に飲むことで胃腸のはたらきがよくなります。免疫細胞の約7割は腸内に存在すると言われているので、腸内環境がよくすることが重要だと考えています。
電解水素水研究でわかった電解水素水の働き
──電解水素水に関する研究を続けられているとのことですが、研究の結果でわかっていることがあればぜひ教えてください。
佐藤さん:はい、これまでに長年にわたり、電解水素水に関する研究を大学や研究機関と共同でおこなっており、その結果は論文として発表しています。
1997年に発表された論文「BBRC」を皮切りに、水素には活性酸素を抑制する抗酸化作用があることが示唆されており、この抗酸化作用が、抗炎症、抗疲労、抗糖尿病などにも繋がることが、2024年に抗酸化に関する専門誌「Antioxidants」に掲載されました。共同研究を始めた当初は細胞試験や動物試験がおこなわれていましたが、近年では臨床試験もおこない、その結果も論文発表しています。
──非常に興味深い研究結果ですね。ちなみに日本トリムさんの電解水素水の濃度はどのくらいなのでしょうか?
佐藤さん:水素水の濃度は、「ppm」もしくは「ppb」という単位で表されます。1ppmは1リットルの水の中に1mgの水素が含まれているという意味で、1ppbは1リットルの水の中に0.001mgの水素が含まれているということです。
機種や選択する電解レベル、水の流量にもよりますが、弊社の上位モデルの電解水素水は最大1300ppbを生成します。
3000ppbなど、弊社以上の濃度を謳っているバブリング製法で水素を充填した製品も販売されているのですが、実は水素は非常に小さい分子ですぐに抜けてしまうため、濃度が高くても流通の過程で水素が抜けてしまうんです。
ステンレスやアルミ製の容器であれば少しは保持されますが、ペットボトルなどではとくに抜けてしまいます。
──作った時点で水素の濃度が高かったとしても、飲むまでに抜けてしまうんですね。
二日酔いへの効果も? 今後の医療応用にも期待
──今後の研究として、着目している点は何かありますでしょうか?
佐藤さん:電解水素水が人間に与える影響についてさらに深く掘り下げたいなと考えています。たとえば、最近では早稲田大学との共同研究で、水素が肝細胞に対する抗酸化作用を持つことが確認できました。アルコール摂取後のアセトアルデヒド、二日酔いの原因物質を水素が抑制することが明らかになっています。
──二日酔いへの効果を研究中なんですね。とても興味深いです。
佐藤さん:ありがとうございます。また現在は、抗酸化力を持った水を医療に応用する研究にも力を入れています。たとえば、透析治療において電解水素水を使用することで、血中の活性酸素や酸化ストレスを抑制し、合併症発症のリスクを41%低減できることが東北大学との共同研究で示されています。
──約41%も合併症発症のリスクが減るなんて…! 透析治療での応用はどの程度進んでいますか?
佐藤さん:現在、透析クリニックでの導入が進んでいます。透析関連の学会・研究会でも反響があり、導入を検討いただいている透析施設もあります。透析患者の予後を改善するために、電解水素水が役立つと評価されています。
──電解水素水の医療応用は、非常に将来性がありますね。
電解水素水をもっと生活に取り入れよう!
──日常生活に電解水素水を取り入れるタイミングについて、おすすめはありますか?
佐藤さん:電解水素水は医療効果のある水ですが、薬とは異なり、特定のタイミングで飲む必要はありません。重要なのは、日々こまめに飲むことです。水分補給として通常の水を電解水素水に変えることがポイントです。こまめと言われても具体的なタイミングが知りたいという方のためには、「先制飲水Ⓡ」をおすすめしています。水分が失われやすいタイミングに備え事前に飲むことです。それにより体内水分量の乱高下(血液のドロドロとさらさらの繰り返し)を防ぎます。具体的には、朝食前(起床後)、外出前、運動前、入浴前、就寝前です。
ジムに通われている方は、スポーツジムに電解水素水やバブリング水素水が置かれているのを見かけたこともあるかと思います。以前、立命館大学との共同研究で、トライアスロン選手が自転車を漕ぐ際に浄水を飲むグループと電解水素水を飲むグループに分けてエネルギー効率を比較したところ、電解水素水を飲むグループのほうがエネルギー効率が良いという結果が出ています。運動前と運動中に電解水素水を飲むことで、エネルギーの効率的な利用が期待できますよ。
また、日常的に電解水素水を飲用いただいている方(1日に500ml以上、週5日以上を6か月以上継続している方)とそうでない一般の方の血液を比較した臨床研究では、電解水素水を日常的に飲用いただいている方は、血液中の酸化ストレス値(d-ROMs:血液中の過酸化物質の量を反映)が一般の方に比べ有意に低い結果が出ています。
──電解水素水を日常的に利用するという意味では、コーヒーや紅茶、料理などにも活用できるのでしょうか?
佐藤さん:はい。普通の水と同じように飲むだけでなく、料理や飲み物にも活用できます。電解水素水には成分を引き出す力があるので、お茶やコーヒーを淹れる際にとてもおすすめです。料理でも出汁を取る際に、いつもより上質な出汁が取れるようになったとお客様からの声もいただいています。
水出し麦茶を作る際に抽出が早くなったという声も多く届いていますよ。
──料理やお茶、コーヒーなどでも、いい影響があるなんて知りませんでした。電解水素水の活用方法が広がりますね。
佐藤さん:そうですね。またガーデニングをされている方は、植物に電解水素水をあげるのもおすすめです。植物も人間と同じように、太陽の光などで酸化ストレスを受けます。電解水素水を葉面に散布することで、この酸化ストレスを抑えることが期待されているんです。また、電解水素水は根の成長を促進する効果もあるとされています。根がしっかりと張ることで、土壌から栄養分を効率よく吸収できるため、強い植物が育つと考えられます。
── ありがとうございます。電解水素水の活用方法について、理解が深まりました。
佐藤さん:よかったです。水素水にはバブリング製法、薬剤を使った化学反応、電気分解などのさまざまな製造方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
水素水とひとくくりにするのではなく、生活に取り入れる際はそれぞれの特徴や違いを理解してもらえたらと思います。弊社としても、引き続き正確な情報を提供し、水素水の認知度と理解を深めていくことに努めていきたいです。
編集後記:
今回のインタビューを通じて、水素水にはさまざまな製造方法があり、それぞれ異なる特徴と効果を持つことがわかりました。特に、電解水素水の持つ胃腸の改善効果や近年の研究内容などは、日常の健康維持に大いに役立つ可能性を秘めています。水素水の効果についてはまだ研究が進行中ですが、日常生活に取り入れることで体調や生活の質を向上させる一助となるかもしれません。皆さんもぜひ、水素水の新たな活用方法を試してみてはいかがでしょうか?ただ正確な情報収集も大切に!
大学卒業後日本トリムに入社。営業をへて、現在は経営企画部にて主に整水器の販売促進や企画運営を担当