おつまみの歴史は平安から室町時代にまで遡る?お酒のお供としてだけではなく、現代のライフスタイルの変化に合わせて進化を遂げているおつまみ。ヘルシーで栄養価が高く、間食におすすめな理由とは?さらに噛むことの重要性や食の楽しさについてなど、今回なとりの森岡さん、海藤さん、鈴木さんに詳しくお話を伺った。
森岡さん
執行役員。マーケティング・R&D開発本部本部長
海藤さん
マーケティング・R&D開発本部副本部長。食品総合ラボラトリー所長
鈴木さん
マーケティング・R&D開発本部食品総合ラボラトリー副所長
本記事のリリース情報
Webメディア「Wellulu」にて当社の特集記事が掲載されました!
たんぱく質摂取にぴったり!おやつや間食へと進化するおつまみ
──まずそもそもおつまみについてお話をお伺いできればと思います。おつまみの歴史や始まりについて教えていただけますか?
森岡さん:そうですね。おつまみという言葉の由来には諸説あると思いますが、基本的には平安から室町時代にかけて言われ始めたとされています。当時は魚や貝の干物、果物や木の実など、料理をしなくてもそのまま食べられ、手でつまんで食べられる食品を「つまみもの」と呼んでいたそうです。それに丁寧語の「お」を付けて「おつまみ」となったと言われています。
──すごく歴史が古いんですね!意外でした。ほかにも酒の肴(さかな)や酒のアテなどもありますが、おつまみとの違いは何でしょうか?
海藤さん:おつまみは基本的に手でつまんで食べられる手軽なものと私は認識しています。
一方、酒の肴や酒のアテは、もう少し広い意味で、お酒と一緒に食べるさまざまな食べ物を指しているのかなと。酒のアテというと関西でよく使われているイメージです。
鈴木さん:当社の代表的なおつまみとしては、イカの「あたりめ」や「さきいか」、畜肉系の「サラミ」や「ビーフジャーキー」、そしてチーズの「チーズ鱈(チータラ)」があります。
これらは全体的にたんぱく質が含まれています。その他の栄養成分として、イカにはタウリンというアミノ酸の一種が多く含まれ、畜肉系は鉄分、チーズはカルシウムが含まれています。
──こう見ていると、たんぱく質が含まれるものばかりな気がします!お酒のおつまみにこのようなたんぱく質が豊富なものが用いられるのには何か理由があるのでしょうか?
海藤さん:アルコールって摂取後、肝臓で分解されますよね。その過程で多くの酵素が必要になるのですが、実はこの酵素はたんぱく質からできているため、体内のたんぱく質が消費され、減ってしまうんですよね。だからアルコールを摂取する際にはたんぱく質の補給が重要になるんです。
都市伝説的にたんぱく質を摂れば二日酔いにならない!なんて言われていますが、私はあながち間違ってないと思っています。かといって、大量のステーキなどを食べても胃もたれを起こすので、適度に摂取することが大切です。
──確かに、たんぱく質とアルコールの関係について知ると、「たんぱく質を摂れば二日酔いにならない」という言葉も理にかなっている気がしてきました。
間食としてのおつまみ
──おつまみを間食として利用している人も多いそうなのですが、その背景について教えてください。
森岡さん:ライフスタイルの変化により、3食の食事をしっかりと摂るのが難しい人が多くなっていることも影響していると思います。これまではおつまみはお酒のお供としてがメインでしたが、間食で不足する栄養素を補うという食べ方が増えてきています。
実際のアンケートでも、おつまみを食べる目的としてお酒のお供だけでなく、おやつや小腹満たしとして食べる人が増えているんですよ。おつまみの価値が多様化している証拠だと感じています。
──栄養を補完する、ということですが、私たちが1日に必要とするたんぱく質の量に対して、おつまみでどれだけのたんぱく質を補えるのでしょうか。
鈴木さん:厚生労働省の基準では、体重1㎏あたり1gのたんぱく質を摂るといいと推奨されています。だいたいですが、成人男性なら約65g、女性なら50gが目安となります。当社の製品は、素材の水分を特殊な技術で乾燥させているため、少量でも比較的効率よくたんぱく質を摂取できる食品だと思いますよ。
おつまみで噛む習慣を!大人も子ども楽しく味わえる
──私の周りでも食事の代わりにおつまみを食べるという人がいるのですが、健康的に問題ないのでしょうか?
森岡さん:そうですね。おつまみだけで食事を済ませると栄養バランスが偏りますので、あくまで補助的なものと考えていただきたいですね。ライフスタイルが多様化している現代では、食事だけで必要な栄養を摂るのが難しいことも多いと思います。そういう場合に、おつまみを間食としてうまく取り入れていただきたいですね。
おつまみといっても素材もさまざまで、その日の気分によってバラエティ豊かに選んで召し上がっていただける、そういう部分で間食としての魅力があると思います。楽しさと健康の両立ってできるんだなと思ってもらえたら嬉しいですね。
──間食として、ということでこれまでのおつまみらしいパッケージから新しいパッケージへの挑戦もされているとのことですが、どういった点で新しいのでしょうか?
森岡さん:これまでのおつまみは酒のつまみとしてのイメージが強かったのですが、ちょうど今年の3月発売の新製品では、親しみやすいオリジナルキャラクターを配置した、可愛いパッケージの製品を作りました。これまでのパッケージだと、特に若い世代の方々には、おやつや小腹満たしとして食べるのに抵抗があるのかな、と思ったんです。
森岡さん:これは鶏肉で作ったジャーキーなんですけど、ヘルシーでたんぱく質が豊富です。入社3年目の若手の女性社員が自分でも食べたいという思いで作ったんです。見た目も可愛いので、おかげさまで非常に好評です。
──本当にかわいいですね。これならおやつとしても堂々と出して食べられそうです。
おつまみで噛む習慣を
──最近はやわらかい食べ物が増えたことで、噛む回数が減っていて、子どもたちの顎が小さいなど、咀嚼に関する問題がありますが、おつまみを取り入れることで得られる咀嚼と健康への影響についてはどう考えていますか?
鈴木さん:やはり噛むことで顎の発達や歯並びが良くなるだけでなく、筋肉を鍛える効果もあるので、とくにお子様やお年寄りにとっては、筋肉を維持・強化するために咀嚼はとても重要なことだと考えています。
また、おつまみの多くはたんぱく質を含むので、筋肉や血液が作られるのはもちろん、それに噛むことが合わさり、筋肉のトレーニングになるため、相乗効果が期待できると思っています。
──たしかに、たんぱく質もあるので、一石二鳥というか、効率的ですね!うまく噛むコツはありますか?
鈴木さん:効果的に噛むためには、あまり多くの量を一度に口に入れてしまうと、うまく噛めないので、少しずつ味わいながら食べることがコツなのかなと思います。
海藤さん:咀嚼回数や食事を楽しむことも踏まえて、少量を味わいながら、唾液も分泌されて消化も促されるので、そういった面もよいメリットだと思います。
昔の人々は今よりも多く噛んで食事をしていたため、顎の発達や、骨格が違うなと感じます。だんだんと噛まなくなっていますが、私は美味しさは味だけでなく噛むときの食感も含めてだと思っているので、変わっていくといいなと思っています。
──そうですね、噛むことの重要性を考えるとむしろ積極的に硬いものを食べる習慣をつけたいです。
海藤さん:あとは子どものおやつとしてもおすすめしたいですね。たとえば、イカのおつまみである「いかそうめん」は歯ごたえがありながらも食べやすい形状で、噛むことで味がじわっと出てくるため、子どもたちにも咀嚼の重要性を教える良い機会になります。親が子どもに「よく噛んで食べよう」と教える際に、うまく取り入れて使っていただけたらと思います。
──咀嚼の効果について標語を使って広めているとのことですが、どのような意味が込められているのでしょうか?
鈴木さん:「ひ・み・こ・の・は・が・い~ぜ」という標語は、咀嚼の重要性を端的に伝えるために「日本咀嚼学会」が作ったものです。
たとえば肥満の「ひ」だと、ダイエットをしてしまうと身体が作れなかったり、体力が低下したりってありますよね。実際は食べた方が代謝もよくなるよ、といった意味でも、食べた方がいいよ、噛んだ方がいいよ、ということです。
──では、おつまみの1日の摂取量の目安はどれくらいと考えていたらよいでしょうか?
鈴木さん:一般的に間食のカロリー目安は200kcalとされていて、その点でいえば、例えば個食用の「JUST PACK さきいか」は1袋あたり41kcalなのでヘルシーです。間食として1袋食べても問題ないカロリーで、その分栄養素も摂取できますし、咀嚼の効果も得られます。1袋を目安に取り入れていただければ、ちょうど良い範囲だと思います。
「チータラ」を鍋の〆に!おつまみの新しい楽しみ方
──皆さんのおすすめのおつまみを教えてください。
鈴木さん:やはり「チータラ」です。栄養価が高く、当社の代名詞ともいえるロングセラー商品の1つです。。チーズは牛乳を凝縮したもので、カルシウムをはじめとするミネラルやビタミンを含んでいます。。また、「チータラ」にはタラの魚肉も含まれており、異なるたんぱく質源を同時に摂れることも魅力の1つです。疲れた時でもさまざまな栄養を摂って元気に過ごすっていう意味では、おすすめです。
海藤さん:私は「サラミ」がおすすめです。脂質を多く含むイメージですが、適度に含み、1日に推奨される脂質量を効率よく摂取できます。たとえば、全体の摂取カロリーが2000kcalの場合、脂質は20%、つまり400kcal程度を摂ることが推奨されています。脂質はたんぱく質と同じく、エネルギーを作り出すための重要な栄養素であり、おいしさとしても重要な要素です。脂質の摂りすぎには気を付けつつ、ビールやワイン、日本酒、焼酎など合わないお酒はないくらいの個人的には完璧なおつまみです。
森岡さん:私のおすすめは「チーズinかまぼこ」です。これはタラの魚肉とチーズが入っており、非常にバランスが良いです。1本1本小分けされているので、少しだけ食べたい時や家族で分けて食べることもでき、非常に便利です。
──子どもが絶対好きなやつですね!
森岡さん:そうなんです、やはりおつまみ売り場というと、どうしてもお酒のお供というイメージが強いため、親子連れやお酒を飲まない方々って、そもそもそこを通らないんですよね。そこで、期間限定で子どもが喜ぶ「クレヨンしんちゃん」とのコラボパッケージも展開しており、親子で楽しんでいただけるようにしています。(「チーズinかまぼこ クレヨンしんちゃんパッケージ」は2024年8月末で販売を終了いたします。)
海藤さん:実際、近年は飲酒人口が減少している上、お酒を飲む量も減っている傾向があります。このような状況下で、当社はお酒のお供をメインとしてやっている中、とくに若い世代に向けて、将来のヘビーユーザーになってもらうことは、会社の存続にとって非常に重要なことなんです。
なので、こういった取り組みが将来のユーザー層を取り込むきっかけにうまく活きてくれればと思っています。
──おつまみを活用したおすすめのアレンジレシピはありますか?
森岡さん:しゃぶしゃぶや鍋料理の具材として「チータラ」を使う「チーしゃぶ」というアレンジを提案しています。熱々の鍋に入れると、チーズがトロッと溶けて、とても美味しいんです。
また、レンジで温めたり、ホットプレートで焼いたりすると、外はカリッと中はトロッとして香ばしく食べられるのでおすすめです。
海藤さん:あとは「チータラ」を天ぷらにするというのも一つの方法です。実際に居酒屋さんで「チータラの天ぷら」がメニューにあったんですよ。中のチーズがトロッとして、たんぱく質が豊富ですし、油をビールでさっぱりと流し込む、相性抜群です。
──世代によって人気のある商品や傾向の違いはありますか?
森岡さん:そうですね、イカ製品や水産製品は中高年層に人気があり、一方でサラミや「チータラ」のような製品は若い層に好まれる傾向があります。しかし最近では、間食としてヘルシーな栄養補給を求める若い世代の間でも、イカ製品が人気を集めています。
──ところで開発の際、お酒との相性を確認するためにビール片手に試食することもあるんですか?
海藤さん:その質問はよく聞かれるのですが、開発中にお酒を飲むことは基本的にはありませんね。ただし、就業時間後や休日に自宅で、お酒との相性確認を行うことはあります。
──食育の観点でなにか取り組みはおこなわれていますか?
森岡さん:はい、本社のある東京都北区近隣の小学校で食育セミナーを行っています。イカセミナーや「チーズ鱈」セミナーを行っています。実際にチーズを溶かして「チーズ鱈」づくりの実演や、できたて「チーズ鱈」の試食などを行っています。
──楽しそうです!むしろ大人も参加したいくらいです…。
鈴木さん:イカセミナーの際には子供たちに噛むことの重要性やイカの栄養素についても伝えるようにしています。やわらかい食べ物と硬い食べ物どっちが好きですか?と聞くとやはりやわらかいものが好きと答えるんですよね。でも実際にさきいかなどの硬い食品を食べてもらうと「硬いけど美味しい!」と言ってくれるんです。こういったことで、噛むことの楽しさを感じてもらえればと思っています。
Wellulu編集後記:
想像以上に古くからたのしまれてきた「おつまみ」、現代のライフスタイルにおける役割の変化が起きているとの視点は、新しくもあり、納得のいくものでした。お酒を飲まない人でもおつまみ好きな人がいるように、確かに素材の美味しさが詰まっていて、なおかつお菓子よりヘルシーな商品が多いので、もっと間食としてのイメージが広がっていくといいなと感じました。現代人の咀嚼回数改善の一助にもなりそうですね。