米、麦、芋、黒糖など一言に焼酎といってもさまざまな香りや味わいがあり、また、これまで焼酎を楽しんでいなかった人にもおすすめのフルーツの香りの焼酎の出現など、進化を続ける焼酎の世界。また、糖質が気になる人には嬉しいお酒かも?今回、焼酎について田苑酒造の松下さんに詳しくお話を伺った。
松下 英俊さん
製造部 鹿児島工場 工場長(杜氏)
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糖質ゼロ?太りにくい嬉しいお酒・焼酎の種類と特徴を知ろう
──本日はよろしくお願いします。初めに焼酎の種類について教えてください。
松下さん:はい、焼酎を大きくカテゴリー分けすると、一般的には単式蒸留焼酎(乙類焼酎)と連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)の2種類があります。単式蒸留焼酎は1回の蒸留で造られ、連続式蒸留焼酎は連続で2回以上蒸留することで造られます。
──蒸留とはどのような工程なのでしょうか?蒸留回数が違うことで大きく異なる点はありますか?
松下さん:まず、蒸留とは液体を沸点まで加熱して気化させ、そのあと冷却して再び液体にする工程のことをいいます。
単式蒸留焼酎と連続式蒸留焼酎では、蒸留器の構造も異なり、酒税法に基づいてそれぞれの度数にも制限があり、単式蒸留焼酎は45度以下、連続式蒸留焼酎は36度未満と定められています。
焼酎には法律で定められた品目があり、たとえば、本格焼酎という言葉をラベルで目にすることがあるかと思いますが、これは単式蒸留焼酎の一種です。本格焼酎として名乗るためには、国税局によって定められた特定の原料を使用する必要があり、一般的に知られている原料には、米、麦、芋、黒糖などがあります。
──度数にも差があるのですね!米、麦、芋、黒糖を使った焼酎についてそれぞれの特徴を教えてください。
松下さん:まず米焼酎ですが、製法にもよりますが、一般的には華やかでフルーティーな香りが特徴です。味わいは甘みがあり、ずっしりとした感じがあります。
麦焼酎は、ほのかに香ばしい香りがすることもありますが、フルーティーなものもあります。全体的にはライトで柔らかい味わいが特徴です。
芋焼酎は、もっとも個性が強い焼酎で、香りや味とともに芋の香ばしさ、ふくよかさ、甘みが感じられます。全体的にパンチがあり、濃厚な味わいが特徴です。
黒糖焼酎は、黒糖を使用するため、独特の甘みとまろやかさがあります。香りも甘く、飲みやすさがあります。
──ちなみに松下さんはどの焼酎が一番お好きですか?
松下さん:私は麦焼酎が一番好きです。弊社が麦焼酎を作っているからというわけではなく、個人的に香ばしさや柔らかい味わいが好きです。変に個性が強すぎないので、万人受けしやすく、親しみやすいところが魅力ですね。飲みやすく、すっと喉に入ってくる感じが自分に合っています。
焼酎は糖質ゼロ
──飲みやすいのはよいですね。蒸留酒は太りにくいという話を耳にしたのですが、どうなのでしょうか?
松下さん:そうですね、蒸留酒は確かに太りにくい傾向があります。これは焼酎の製造工程においては糖質が含まれていますが、蒸留すると糖質は揮発せず、最終的には焼酎に含まれないためです。つまり、焼酎は糖質ゼロとなり、太りにくいお酒と言えます。
──糖質を気にしている人にぴったりですね!
松下さん:そうですね、糖質制限をしている方におすすめという表現よりも、焼酎ならば「制限」ではなく糖質を「気にする必要がない」といった表現がよいかと思っています。
ビールやワインには糖質が含まれているため、飲みすぎると糖質の摂取量が増えてしまいますが、焼酎はその心配がないので、気楽に楽しんでいただけます!
──実際に糖質がないから焼酎を選ぶという人もいらっしゃるのでしょうか?
松下さん:はい、とくに通販では「本格焼酎はプリン体・糖質がありません」といった宣伝をしていることもあり、ダイエット中のお父さんにおすすめするなど、そういった理由でビールではなく焼酎を選ぶ方もいらっしゃいます。
低カロリーで選ぶなら単式蒸留焼酎(乙類焼酎)
──ほかにも食事制限や身体作りをしている人におすすめの焼酎があったりしますか?
松下さん:基本的には単式蒸留焼酎をおすすめします。単式蒸留焼酎は連続式蒸留と比較して度数が低いことが多く、香りや味がしっかりわかるので水で割っても美味しく飲めるため、その分カロリーが抑えられます。
──度数とカロリーの関係ですね。注意すべき点はありますか?
松下さん:注意したいのは、糖質がないからといって健康的とは限らない点です。カロリーは含まれているので、糖質ゼロだからといって飲み過ぎには注意です。また、適度な飲み方を心がけることが重要です。
進化する焼酎!自分に合うものを選んでおいしく楽しむ
──自分に合う麦焼酎の選び方について教えてください。
松下さん:焼酎を選ぶ際にはまず、ラベルや説明文をチェックしてみてください。たとえば、「フルーティーでスッキリ」や「芳醇で力強い」など風味の説明を見て、それが自分の好みに合っているかどうか判断してみることです。実際に買ってみて、失敗することもあるかもしれませんが、まずはラベルを参考に試してみてください。
──とくに若い女性におすすめの焼酎はありますか?
松下さん:最近のトレンドとして、フルーツ系の香りがする焼酎が人気です。当社だと「DEN-EN FLAVOR」というバナナやマスカット、リンゴの香りがする焼酎があります。従来の芋焼酎のような独特の香りがないので、若い女性にもおすすめです。
──フルーツの香りがする焼酎ですか!炭酸割りも合うのでしょうか?
松下さん:はい、炭酸割りにするとさらに香りが引き立ちます。最近は炭酸割りも浸透してきており、焼酎の新しい楽しみ方として広まっています。炭酸で割ることで、アルコール度数を自分の好みに合わせて調整できるのも強みですね。
──やはり女性目線で開発されたのでしょうか?
松下さん:そうですね、フルーツの香りがする焼酎は女性目線を重視して開発されたもので、女性がおもに担当していました。女性目線をもとに、さらに特徴を出すために試行錯誤しました。
──焼酎の割り方というと一般的には水やお湯、炭酸で割ることが多いですが、ほかにもおすすめの割り方はありますか?
松下さん:そうですね、たとえば、紅茶やジャスミン茶で割ると香りが豊かになりますし、サイダーのような炭酸飲料でも合うんですよ。いろいろと試してみて、自分だけの好みの割合や飲み方を見つけてみてください。
──ちなみに松下さんご自身は、どのように割って飲まれますか?
松下さん:焼酎の種類によって割り方を変えていますね。たとえば、ある焼酎は水割りで、別の焼酎は炭酸割りで、といった感じです。ロックで飲むこともありますね。最終的には自分の好みで飲み方を見つけるのが一番だと思います。
──では、初心者におすすめの割り方や飲み方のアドバイスはありますか?
松下さん:最初はメーカーが推奨する飲み方を試してみるのがよいと思います。そのあと、自分の好みに合わせて割り方を変えていくとよいですね。各メーカーのおすすめの飲み方も参考になりますが、自分で試行錯誤するのもまた別の楽しみです。
──普段はビール党という人にもおすすめの焼酎の飲み方はありますか?
松下さん:ビール党の方には炭酸割りがおすすめです。炭酸の爽快感と喉越しがビールに近く、飲みやすいです。また、レモンの輪切りを加えると、おしゃれでさっぱりとした味わいになります。
──焼酎に合うおつまみのおすすめを教えてください。
松下さん:糖質を気にしている人には、冷奴がおすすめです。薬味を添えるだけで焼酎に合い、ダイエット中でも楽しめます。また、シンプルに焼酎に合うおつまみには、ポテトチップスがおすすめです。さまざまな味があり、気分に合わせて楽しめるのが魅力です。
──焼酎と相性がよい意外な食べ物はありますか?
松下さん:以前、チョコレートメーカーの明治さんとコラボして、焼酎とチョコレートのペアリングをしてみました。とくにバナナの香りがする焼酎はチョコレートと非常に相性がよかったです。
──チョコレートと焼酎はなんだかおしゃれですね!より焼酎を身近に感じられそうです。
松下さん:そうですね、昔の焼酎のイメージを覆すような商品も増えているので、若い方にも親しみやすくなっていると思いますので、ぜひ試してみてほしいですね。
Wellulu編集後記
焼酎というと個性があり、種類によっては好みがわかれやすいイメージがありましたが、現在はフルーツの香りの焼酎があったりと日々進化を遂げ、より親しみやすいものになっているとのことで、女性だけでなく若い人の間でも焼酎のイメージが変わったり、飲む人が増えていくのではと感じました。また、糖質が気になる人にもおすすめとのことで、健康を気にしながらお酒を楽しみたい人にもぴったりだと思いました。