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【前刀禎明氏×堂上研】「好き」を邁進することがウェルビーイングを高める近道

仕事で経験を積むうちにあらゆることに動じなくなる。その分野において熟練の域に達した証なのかもしれない。一方で新人の頃に抱いていたワクワクは少ない。夢を膨らませ続けるにはどうしたらいいのだろうか?

ソニーやウォルト・ディズニー、アップルなどを渡り歩き、現在は創造力を鍛えるアプリ『DEARWONDER+』の開発に携わる前刀禎明さんに、Wellulu編集部の堂上研がその秘訣を伺った。

 

前刀 禎明さん

ディアワンダー株式会社 代表取締役CEO & CWO/株式会社リアルディア 代表取締役CEO/AI inside株式会社 取締役CMO

ソニー、ベイン・アンド・カンパニー、ウォルト・ディズニー、AOLなどを経て、アップル米国本社副社長 兼 日本法人代表取締役に就任。独自のマーケティング手法でiPod mini」を大ヒットに導き、スティーブ・ジョブズ氏に託された日本市場でアップルを復活させた。その後はリアルディアを設立し、セルフ・イノベーション事業を展開。2023年にディアワンダーを設立し、さらに新しい挑戦を始めた。著書は『学び続ける知性 ワンダーラーニングでいこう』(日経BP)等。

堂上 研さん

Wellulu編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザイン ディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

独創性と対話力を培うプラットフォームとは

堂上:まずは、前刀さんが開発された『DEARWONDER+』について教えてください。どんなプラットフォームなのでしょうか?

前刀:好奇心を刺激して創造力を育むものです。近年重視されている第3の知性の「CQ(Curiosity & Creativity Quotient)」を、「プレイ」「クリエイト」「シェア」といった3つの観点から高めていくものになります。

堂上:コンセプトを聞くだけで面白そうです。コンテンツの具体的な内容が知りたくなりました。

前刀:では、実際にiPadでアクセスしますね。

堂上:iPadがメインになるんですか?

前刀:そうです。アルファ世代(2010年から2024年頃までに生まれる世代)は、キーボードの操作よりフリック入力やタッチスクリーンが自然になるので。そのためiPadをメインにし、iPhoneはサブの位置付けにしています。

前刀:「プレイ」モードで調べたいキーワードを書き込むと、それに関連した画像がピックアップされます。それをクリックすると説明も出てくる。言葉が浮かばない場合は、AIに質問することもできます。ちなみに自分が描いた絵からも検索ができますよ。

堂上:すごい! ワクワクしますね。

前刀:でしょ! 実はAIにちょっと工夫をしていて、すぐに答えを出すわけではありません。たとえばキーワードとして、「Wellulu」と書いたとしましょう。そしたらAIに「『Wellulu』の何が知りたいの?」と聞き返されます。ここで、自分が調べたい内容をあぶり出す作業が発生します。

堂上:解像度を上げていく質問をされるんですね。

「PLAY」好きなキーワードを円で囲んでイメージを探索。思い浮かばないときはAIと会話

前刀:そうやって自分の頭の中を具現化していくのです。紋切り型の答えに到達しない仕組みともいえます。

堂上:僕たちが大切にしている言葉のひとつに「セレンディピティ」があります。

前刀:まさにそれです! 偶然の出会いは、本当に大事なんです。想像の範囲を超えていきますから。そうして「プレイ」で集めたキーワードやイメージを、「クリエイト」モードでまとめていく。その過程はすべて記録されているので、振り返ることもできます。

「CREATE」イメージやキーワードを使って自由にアイディアをかきとめる

前刀:「シェア」モードでは書き留めた内容はオンラインで仲間と共有できるので、アイデアのブラッシュアップがすぐにできます。

「SHARE」アイディアを共有してブラッシュアップ

堂上:すごい! Wellulu編集部でも取り入れたいです。

前刀:ぜひぜひ。『DEARWONDER+』を用いたら、仕事へのアプローチが変わると思います。ただし、プレゼンテーションの資料をきれいに作るアプリではありません。あくまでイマジネーションを湧かせるために使うものです。

堂上:頭の中で考えていることを形にし、みんなでディスカッションをして磨きあげていくんですよね。無料でダウンロードができるんですか?

前刀:月額3000円のサブスクです。年間で利用する場合は3万円かな。

堂上:リーズナブルですね。

前刀:僕は子どもも大人もウェルビーイングになる世界を目指していまして、『DEARWONDER+』は、そのためのひとつのツールなのです。

『DEARWONDER+』について詳しくはこちら

『DEARWONDER+』公式サイトはこちら

挑戦を求めて新しい環境へと飛び込み続ける

堂上:革新的なプラットフォームに感動しました。ここに辿り着くまでにどんなキャリアを積まれてきたのですか?

前刀:僕は20代の頃から「リセット&リスタート」を信条としています。なぜなら仕事に慣れてくると、こなせるようになって、その時点で成長は止まります。それを防ぐために、マンネリ化してくると新しい環境へ飛び込むようにしているんです。社会人のスタートはソニーからはじまり、ベイン・アンド・カンパニー、ウォルト・ディズニー、AOL、ライブドア、アップルと続きます。

堂上:それぞれの期間はどのくらいですか?

前刀:長くて5年ですね。

堂上:どんなタイミングで次へと進むのでしょうか?

前刀:何かを成し遂げた時です。アップルを例にすると、日本市場でiPodが大ヒットして、危機的であったアップルが復活したのを見届けたらすぐ辞めました。入社した当時はiPhoneもなく、iPodとMacも鳴かず飛ばずでした。銀座のApple Storeも閑古鳥で、それを立て直していくのが僕のミッションだったのです。スティーブ・ジョブズとの約束を3年で果たそうと考えましたが、予想よりも早く2年で軌道に乗りました。もう自分じゃなくても大丈夫だと思ったので予定より早く去ることにしました。もっと長くいたらストックオプションで稼げていたかもしれません(笑)。すごい時価総額になりましたからね。でも僕の情熱は消えていた。ウェルビーイングを感じられない状態になっていたのです。

堂上:新しいものに惹かれるんですね。

前刀:めちゃめちゃ。さらに言うと、創業者好きでもあります。大学院を修了してソニーを選んだのは、創業者の盛田昭夫さんと井深大さんがいらしたから。ウォルト・ディズニーはさすがにいなかったですけれど、小さい頃に彼が出演した番組をテレビで観たことがあったので。そしてAppleは、言わずもがなスティーブですよね。

堂上:“好き”を邁進されるという、もっとも理想的な形です!

前刀:そうそう。尊敬すると同時に心の中のライバルでもあります。僕はまだ彼らには遠く及びませんが、先日、唯一勝てるものがあると気づいたんです。

堂上:と、言いますと?

前刀:僕だけがまだ、生きています。彼らの偉業は更新されないけれど、自分はまだアップデートができると。

学びを繰り返すと感性は閉じない

堂上:好奇心と行動力の塊ですね。前刀さんのように生きるには、どうすればいいのでしょうか?

前刀:実はあまり深く考えてないんです(笑)。先ほどの話の延長にはなりますが、仕事は慣れてこなせるようになると、その案件は自分じゃなくてもいいような気がしてくるんですよね。僕は自分にしかできないことを追求していたんです。

将来の進路について学生から相談を受けることもあります。そんな時は「深く考えなくて大丈夫。現時点ではダメだと考えていても、何年後かには全然違うことで頭を抱えるから。それよりも、今この瞬間を楽しみながら取り組んでいると、成長した自分が助けてくれるよ」と話します。自分の心と直感に従う勇気を持つといんですよ。

堂上:まさに、ウェルビーイングを体現されていますね。話を聞くにつれて、おいくつなのかが気になってしまっています。

前刀:1958年生まれです。2024年8月に66歳を迎えるのかな。話題のドラマ『不適切にもほどがある!』で描かれている昭和の世界をまさに体験してきた世代です。

堂上:あのドラマはめちゃくちゃ面白いですよね!

前刀:そんなこともあったなぁ〜と懐かしく観ていますよ。ここであえて口にしますが、ウェルビーイングな社会を作るためにアンコンシャスバイアスを取り除いたり、リスキリングをするというのは“おじさん”には困難です。

堂上:なんと。でも、それこそが思い込みじゃないんでしょうか?

前刀:ちゃんと説明しますね。僕の指す“おじさん”とは年齢ではありません。頭が凝り固まっている人を定義しています。DXを進める前に“OX(おじさんトランスフォーメーション)”に取り掛かったほうがいい。彼らの頭をやわらかくすることです。

仕事で前例踏襲を続けていると、知らぬ間に思考は止まってしまいます。ただ過去のサンプルを真似ているのはビジネスパーソンにとっては心地良い。だって仮に失敗をしたとしても自己責任にはならないから。時代や環境など逃げ道はいくらでもありますし。

堂上:なるほど。

前刀:持論ではありますがね。長く生きていると情報も多くなるので、それらを処理するためには効率化せざるえなくなる。だからあらゆる事例に対して、「普通はこう」などと自分の基準でカテゴライズをします。そうすると、余計なことを考えずに済むので。これがとてもリスキーで、蓄積するうちにアンコンシャスバイアスの基になっていく。

堂上:固定観念に縛られている人は、20代でもいますよね。たしかに、そのスタンスでいると“おじさんトランスフォーメーション”が必要です。自分をアップデートしていく手立てはあるのでしょうか?

前刀:「もう〇〇歳だから」といったセリフを口にしないようにすることですかね。なぜなら、自分の素直な感性を閉ざしてしまうから。

話の引き出しの多さが幸福度アップにつながる

前刀:好奇心が旺盛だと年齢を問わずに、頭がやわらかい傾向にあります。同時に経験を積むことで、関連付ける力は磨かれていく。僕は創造的にリンクさせるのが大好きで、フル活用していますよ。

よくコミュニケーション能力の高い人を、「話の引き出しが多い」と表現しますよね。そんな方は、頭の中が整理整頓され、ラベルがピシッと貼られている。シーンに合う引き出しを開けて会話を広げます。僕の場合は半開きになっています。『DEARWONDER+』の「プレイ」で、イメージが浮遊しているような空間に近いです。話題に紐づいたネタを即座に切り返していきます。

堂上:引き出しの多さはウェルビーイングの高さにつながります。これまでのお話から、前刀さんが人生をとことん楽しまれているのが伝わってきました。きっと人が集まってくるのは、ご自身がウェルビーイングを感じているからなんだと思います。誰もが幸せなムードを放つ人のそばにいたいので。

前刀:僕は120歳まで生きるつもりです。だから、将来を想像するとワクワクするんですよ。

堂上:かつて先輩から「人生100年時代だとしたら、50歳はリセットの年で2度目の0歳なんだと考えたらおもしろいよね」と教わりました。まさに、それですよね。

前刀:それを120歳に置き換えると、僕はまだ5歳ですね。人からよく“逆コナン”だといわれます。「見た目は大人、頭脳は子ども」だと(笑)。

堂上:お話を伺っていると、前刀さんは140歳まで生きていそうな気がしています。前刀さんにとってのウェルビーイングをおたずねしようと思っていたのですが、生き方すべてがそうなので聞くことがないですね(笑)。最後に、これからどんな社会を作っていきたいと考えていますか?

前刀:固定観念によって自らが苦しめられるという人を減らしたいです。みんなが、もっと自由になってワクワクしてほしい。

堂上:ぜひ、そんな社会を一緒に作っていきましょう! 「Wellulu」で勝手に巻き込んじゃいますね。本日は楽しいお話をありがとうございました!

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