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スミスマシンベンチプレスのやり方!正しい向き・重量・換算表を使ったトレーニングプラン

スミスマシンベンチプレスはフォームの安定性が高く、高重量にも挑戦しやすい種目。バーベルベンチプレスよりも軌道がブレにくく、狙った部位に負荷を集中させやすいことから、初心者~中級者の胸トレの強い味方としてジムで定番になっている。

この記事では、普段からスミスマシンベンチプレスに取り組んでいるWellulu編集部スタッフの体験談も踏まえた正しいやり方・重量設定の基準を紹介。RM換算表を使ったトレーニングプランの組み方も解説しているので参考にしてみて。

この記事の監修者

関根 綾さん

パーソナルジムDecision 代表トレーナー

年間約1000セッションを指導。経営者や芸能関係者の指導経験も多く、ダイエット・ボディメイク・健康維持など、さまざまな悩みに幅広く対応している。2021年より大原学園大宮校スポーツトレーナー科講師としても活動。
【保有資格/実績など】全米エクササイズ&フィットネス協会認定トレーナー(NESTAーPFT)/IMBF公認ファスティングカウンセラー/関東オープンメンズフォジーク選手権入賞

この記事の検証者

吉田 健二さん

Wellulu編集部

学生時代は運動部に所属。過去にトレーニングの継続を二度挫折したが、6ヵ月前から再びジム通いをスタート。現在は「続けられる筋トレ習慣」をテーマに、週2〜3回の全身トレーニングを中心に実践している。

目次

スミスマシンベンチプレスの基礎・メリット

スミスマシンベンチプレスはレールに沿ってバーベルが上下するため、軌道が固定されている。フリ―ウエイトのベンチプレスと比べてバーの動きが安定しやすく、安全性とフォームの再現性を高めやすい。

  • スミスマシンベンチプレスの特徴
  • スミスマシンベンチプレスの正しい向き
  • スミスマシンベンチプレスとバーベルベンチプレスの違い

スミスマシンベンチプレスの特徴

スミスマシンは上下に真っすぐ動くタイプに加え、レール全体がわずかに斜めに傾いているタイプもあり、ベンチプレス時の軌道があらかじめ決まった状態になる。フリーのバーベルよりもブレが少ないため、狙った部位に負荷を集中させやすい。

スミスマシンベンチプレスの正しい向き

スミスマシンベンチプレスでは、頭が奥に入るポジションが基本。また、ベンチを配置するときはバーをみぞおち付近に下りてくるように、位置関係を確認しながら調整することがポイント。

検証者:吉田

スミスマシンの場合はジムによって正しい向きが変わるケースも(検証者が通っている総合ジムでは手前が頭の位置でセットする)。初心者は最初にジムスタッフに確認する・周囲の人の向きを確認するなどしてから使用した方が無難かもしれません。

レールが固定されない「パワーラック」は、どこのジムでも頭が奥に入るポジションが基本みたいです。

スミスマシンベンチプレスとバーベルベンチプレスのメリット

フリーウェイトのバーベルベンチプレスは、肩やひじ、手首まわりの細かなコントロールが必要になる。スミスマシンベンチプレスは補助筋の働きは小さくなるが、大胸筋に負荷を乗せやすい。目的に応じてスミスマシンベンチプレスとバーベルベンチプレスを使い分けるのがおすすめ。

スミスマシンとバーベルのメリット比較

種類 難易度 メリット おすすめの人
スミスマシンベンチプレス 初心者〜中級者向け ・フォームが安定しやすい
・狙った部位に効かせやすい
・補助筋の関与が少ない
・高重量に挑戦しやすい
・胸を集中的に鍛えたい人
・フォームの安定を最優先したい人
・安全に重量を伸ばしたい人
バーベルベンチプレス 中級者〜上級者向け ・軌道の自由度が高い
・総合的な筋力向上に向く
・成長幅が大きい
・総合的に筋力を高めたい人

検証者:吉田

フォームの安定性を求めるならスミスマシン、追い込みをかけるならバーベルがおすすめ

普段からスミスマシンとバーベルの両方でベンチプレスを取り入れていますが、スミスマシンは軌道を気にせず胸の動きに集中しやすいというメリットを実感しています。フォームを安定させたい日や、筋肉に効かせる感覚をつかみたいときに取り入れやすい印象です。

一方で、ラストの追い込みレップで踏ん張りやすいのはバーベルベンチプレスでした。軌道が自由な分、身体全体を使って押し切れる感覚があり、スミスマシンよりも少し重めの重量設定でも挑戦できています。

監修者:関根

自分の体重と同じ重量を安定して持ち上げられるようになったら、バーベルベンチプレスを軸にトレーニングするのもおすすめです。バーベルの方が総合的に筋肉を使えるため、筋力アップにつながる高重量トレーニングに取り組めます。

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スミスマシンベンチプレスで鍛えられる部位

スミスマシンベンチプレスは、大胸筋を軸に上腕三頭筋や三角筋にも刺激が入るプレス種目。メインで狙う筋肉とサブで関わる筋肉を整理しておくと、フォームの意識が明確になり、トレーニング効果の最大化につながる構成を組みやすくなる。

部位 負荷の強度(※)
大胸筋 ★★★★★
上腕三頭筋 ★★☆☆☆
三角筋(前部) ★☆☆☆☆

※負荷の強度=各部位にアプローチできる負荷量の差

検証者:吉田

軌道を間違えると大胸筋より三角筋への負荷が増える

スミスマシンでトレーニングを始めたばかりの頃は三角筋(肩)に張りが出やすく、「胸に効いている感覚」をつかみにくかったです。その原因として、バーベルを胸の上部あたりに下ろしていたことでした。スミスマシンは軌道が固定されている分、下ろす位置を間違えると、想定していない部位への刺激が増えるので注意した方がよさそうです。

監修者:関根

本来の軌道から外れると、肩へ負担が集中しやすい・可動域が制限される・大胸筋にうまく負荷が乗らないなどの問題が起こりやすくなります。そして、フォームの不安定さがあると、肩を痛める原因になりがちです。

胸の下部(みぞおち辺り)の軌道を基準にしつつ、自分の肩幅・胸の厚みに合わせて微調整することで効率よく大胸筋を鍛えられます。

大胸筋

大胸筋は胸部の大部分を占め、腕を前へ押し出す・内側へ寄せる動作の中心として働く。プッシュ系のトレーニングで強く使われる。

【目的別】大胸筋を鍛えるメリット

ボディメイク 大胸筋が発達すると胸板が厚くなり上半身のシルエットが整う。Tシャツやジャケットの形が決まりやすく、逆三角形体型の印象を強めやすい。
ダイエット 上半身でも特に体積が大きく、鍛えることで消費エネルギーの底上げに直結しやすい。脂肪燃焼の土台づくりとして他の上半身筋群より効果が出やすい。
健康や体力 肩まわりの負担を軽減し、姿勢の乱れや肩こりの発生を抑えやすい。呼吸動作も安定し、日常の動きで疲れにくい上半身づくりにつながる。
身体能力 腕立て・投げ動作・押し出し動作などのパワー発揮を大きく支える。ラグビーや格闘技など接触系競技で力を出しやすく、瞬発的な押す動作に強さが出る。

監修者:関根

大胸筋をより立体的に発達させるには、ひとつの種目だけでなく複数方向から刺激を入れることが効果的です。スミスマシンベンチプレスに加えて、上部を狙えるインクラインベンチプレス、ストレッチ刺激を与えられるダンベルフライなどを組み合わせると、大胸筋全体がバランスよく発達しやすくなります。

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上腕三頭筋

上腕三頭筋は腕の後面にある筋肉で、ひじを伸ばす動作の中心として働く。プレス系・プッシュ系動作の安定にも重要となる。

【目的別】上腕三頭筋を鍛えるメリット

ボディメイク 上腕三頭筋が発達すると腕のラインが引き締まり、袖口から見えるシルエットが整う。上半身の厚みを強調しつつ、たくましい腕の印象をつくりやすい。
ダイエット 二の腕の引き締めに直結し、見た目の変化も出やすい。
健康や体力 荷物を持ち上げる・押すなどの動作が安定し、肩やひじ周辺の負担を減らしやすい。
身体能力 投げ・押し動作のパワー発揮を強く支える。特に球技や格闘技での瞬間的な押し込み動作に影響が大きい。

監修者:関根

上腕三頭筋をしっかり鍛えたい人は、ナローベンチプレストライセプスエクステンションプレスダウンなどの種目を追加するのが理想です。上腕三頭筋が発達することでベンチプレスの伸びにも直結し、押す動作全体の安定感が高まります。

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三角筋

三角筋は肩の丸みを作る筋肉で、腕を上げる・前へ出す・後ろへ引くなど多方向の動作に関わる。前・中・後の3部位それぞれ役割が異なる。

【目的別】三角筋を鍛えるメリット

ボディメイク 三角筋が発達すると肩幅が広がり、上半身のアウトラインがくっきりする。逆三角形シルエットを際立たせ、Tシャツ姿の存在感が大きく変わる。
ダイエット 肩周りは可動範囲が広く、トレーニング時の運動量も多い。肩全体を鍛えることで、消費エネルギーの底上げにもつながる。
健康や体力 腕の挙上動作を安定させ、肩こりや不良姿勢のリスクを抑えやすい。重い荷物を持つ・腕を使う作業がスムーズになる。
身体能力 投げ動作・スイング・タックルなど、瞬発的な力の発揮に大きく関わる。球技や格闘技だけでなく、上半身の爆発的パワーが求められる競技で影響が大きい。

監修者:関根

三角筋は前・中・後で働きが異なるため、バランスよく鍛えることが肩の立体感をつくる鍵になります。スミスマシンベンチプレスでは前部の関与が中心になるため、サイドレイズ(中部)、リアレイズ(後部) などの種目を組み合わせると、肩全体のアウトラインをより大きく、シャープに見せることができます。

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スミスマシンベンチプレスのやり方・フォーム

難易度 ★★☆☆☆
続けやすさ(※1) ★★★☆☆
トレーニング効率(※2) ★★★☆☆

※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか

【やり方】
  1. セーフティーストッパーとバーベルの位置を調整する
  2. 胸の位置にバーベルが来るようにセットする
  3. 胸を張り、フックを外す
  4. バーベルをみぞおちに落とす
  5. 肩をすくませずにバーベルを持ち上げる
バリエーション 約5種類
ケガのリスク 低い傾向
実施できる場所 ジム
器具・設備 スミスマシン
鍛えられる部位 大胸筋、上腕三頭筋、三角筋
負荷の調整 可能

STEP1:セーフティーストッパーとバーベルの位置を調整する

セーフティーストッパーの目安位置

胸の高さより少し低く設定する

※つぶれたときに首が詰まらない位置

最初のバーベル目安位置 ひじを少し曲げた状態でバーベルを持てる位置
【ワンポイントアドバイス】
  • ベンチはバーベルの中央に置く

OK:バーベルの中央にベンチがある
NG:左右どちらかにずれている

検証者:吉田

つぶれそうになってもすぐフックをかければ安全ですが、一応セーフティーストッパーも設定しておくとより安心感があります。少し可動域は狭くなってしまうのですが、検証者の場合は胸の位置を目安にセーフティストッパーを設定しています。

監修者:関根

バーベルやセーフティストッパーの設定位置だけでなく、セットアップ時にもう一つ注意してほしいのがベンチの位置です。ベンチの位置がバーベルの中央からずれてしまうと、グリップ時に偏りが出てしまいます。一番最初の設定として、まず取り組んでほしいです。

STEP2:胸の位置にバーベルが来るようにセットする

【ワンポイントアドバイス】
  • 手幅は床と前腕が垂直になる位置で握る

OK:前腕が床と垂直=肩幅より少し広め

検証者:吉田

トレーニング始めたての頃、バーベルの位置を胸の上部あたりに設定していました。この位置だと軌道が肩寄りになり、肩関節の負担が大きくなって胸への刺激が弱くなってしまいます。バーベルを胸側(みぞおちあたり)に設定するようになってからは、しっかり大胸筋に負荷が乗りトレーニング効率が高くなりました。

監修者:関根

バーベルの軌道を確認しつつ、前腕が床と垂直になる位置を基準に手幅も調整しましょう。手幅が狭いと三頭筋の関与が増え、広すぎると三角筋の関与が増えやすくなります。

STEP3:胸を張りフックを外す

【ワンポイントアドバイス】
  • フックを外す際にひじが伸びきらないようにする

OK:ひじが少し曲がっている
NG:ひじがのびきっている

検証者:吉田

フックを外す際は少し手首を反った位置で握ると、動作時に正しい手首のポジションに持っていきやすくなりました。動作に入る前に握り直すと重量を安定させる土台をつくりやすくなります。

監修者:関根

手首の位置だけでなく、フックを外す動作でひじを伸ばし切ってしまうと、肩がすくみ胸を張った姿勢が崩れやすくなります。中級~上級者は再び姿勢を整えられますが、初心者の人は難しいかもしれません。そのため、少しひじをまげた状態でフックを外せるように、最初のマシン設定で整えるようにしましょう。

STEP4:バーベルをみぞおちに落とす

【ワンポイントアドバイス】
  • 動作時に手首が反らないように注意する

OK:手にしっかり乗っている状態
NG:手首が反っている状態

 

検証者:吉田

わきは開きすぎず、少し締める感覚で取り組むと大胸筋にストレッチが入りやすかったです。また、手首が反ると押し返すときに力が逃げやすいため、常にバーベルが手のひらの中央に乗っている感覚で動作するとトレーニングしやすかったです。

監修者:関根

バーベルは母指球にしっかり乗せるイメージを持つとよいかもしれません。バーベルが安定していれば、「手を軽く開いても落ちない」ほど安定します。手首が反るとケガのリスクも高くなるので注意しましょう。

STEP5:肩をすくませずにバーベルを持ち上げる

【ワンポイントアドバイス】
  • 両足で踏ん張りながらバーベルを持ち上げる

OK:両足で踏ん張れている状態
NG:ひざが伸び力が入っていない

検証者:吉田

腕で持ち上げるというより、押す意識を持つとフォームが安定しやすかったです。また、足裏全体で床を踏み込むことで、高重量も扱いやすくなりました。

監修者:関根

バーを持ち上げる際は、足をしっかり開き、足裏全体を床に密着させることが大切です。踏ん張りが弱いと押し上げの軌道が安定せず、余計な力が入りやすくなることも。正しいフォームで10回を目安におこない、終わったらフックにかけるようにしましょう。

【検証】胸を張ったフォームと張らないフォームで比較

▼胸を張ったフォーム

▼胸を張らないフォーム

スミスマシンベンチプレスで胸をしっかり張ったフォームと張れていないフォームを比較した場合、以下のような違いが感じられた。

項目 フォームの安定性 扱える重量 大胸筋への刺激 上腕三頭筋への刺激 三角筋への刺激
胸を張るフォーム 高い 高重量 強い 中程度 弱い
胸を張らないフォーム 低い 低~中重量程度 弱い 中程度 弱い

検証者:吉田

胸をしっかり張ったフォームと張らないフォームを比較した結果、一番の違いは大胸筋のストレッチと収縮をはっきり感じられた点でした。胸を張れていないと、押し上げ時に肩や上腕三頭筋に負荷が逃げている感覚もありました。

監修者:関根

胸を張り・肩甲骨を寄せる、この2点を実践することでトレーニング効率は大きく変わります。胸を張った姿勢をキープしながら再現性の高いフォームで取り組むことで、筋肉への影響も大きく変わってきます。筋肉量が増えてきたら、自然と扱える重量も伸びてくるはずです。

スミスマシンベンチプレスの種類

種類 難易度 鍛えられる部位
(負荷の大きい順)
おすすめの人
スミスマシンインクラインベンチプレス 初心者〜中級者向け ・大胸筋上部
・三角筋前部
・胸上部の立体感を出したい人
・肩に負担をかけずに効かせたい人
スミスマシンデクラインベンチプレス 初心者〜中級者向け ・大胸筋下部
・上腕三頭筋
・胸下部の厚みを強調したい人
・フラットで刺激が入りにくい人
・高重量を扱いたい人
スミスマシンナローベンチプレス 初心者向け ・上腕三頭筋
・三角筋前部
・大胸筋
・腕裏をボリュームアップしたい人
スミスマシンワイドベンチプレス 中級者向け ・大胸筋
・三角筋前部
・胸の横幅を広げたい人
・外側ラインを強調したい人

スミスマシンインクラインベンチプレス

難易度 ★★★☆☆
続けやすさ(※1) ★★☆☆☆
トレーニング効率(※2) ★★☆☆☆

※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか

【やり方】
  1. ベンチを30〜45度ほどに傾けてセットする
  2. バーベルの高さを調整し、胸上部に落ちる位置に合わせる
  3. 肩甲骨を寄せて胸を張り、バーベルをフックから外す
  4. ゆっくり胸上部へバーベルを下ろす
  5. 10回を目途に繰り返し、終わったらフックをかける
ケガのリスク 低い傾向
セーフティーストッパーの目安位置 みぞおちに設定
最初のバーベル目安位置 ひじを少し曲げた状態でバーベルを持てる位置
実施できる場所 ジム
器具・設備 スミスマシン
鍛えられる部位 大胸筋上部、三角筋前部
負荷の調整 可能
【注意点】
  • 肩をすくめない
  • バーベルは胸の上部に落とす

肩をすくめない

バーベルは胸の上部に落とす

検証者:吉田

バーベルを落とす位置は、本当にフォームの決定打になると感じました。高すぎる位置に下ろすと三角筋前部が主役になり、大胸筋上部への刺激が弱まります。一方で低すぎる位置だと肩やひじの関節に負担が集まり、安定して押し返しづらい感覚がありました。最初はベンチ角度と落とし位置の組み合わせに慣れるまで少し難しいですが、インクラインの効果を十分に引き出すためにも重要なポイント。

監修者:関根

バーベルを落とす位置も重要ですが、肩がすくんだ状態だと肩甲骨がうまく下制できず胸郭が開かなくなります。その結果、大胸筋上部に負荷を乗せにくくなります。バーベルを胸上部に落としつつ、肩をしっかり落として構えることで、大胸筋上部にストレートに負荷を伝えやすくなります。

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スミスマシンデクラインベンチプレス

難易度 ★★★★☆
続けやすさ(※1) ★☆☆☆☆
トレーニング効率(※2) ★★☆☆☆

※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか

【やり方】
  1. 下胸にバーが落ちるように、デクラインベンチを調整する
  2. 肩甲骨を寄せて胸を張る
  3. バーベルをフックから外す
  4. 下胸付近に向かってバーベルを下ろす
  5. 軌道がぶれないよう押し上げる
  6. 10回を目途に繰り返し、終わったらフックへかける
ケガのリスク 高い傾向
セーフティーストッパーの目安位置 胸のあたりに設定
最初のバーベル目安位置 ひじを少し曲げた状態でバーベルを持てる位置
実施できる場所 ジム
器具・設備 スミスマシン
鍛えられる部位 大胸筋下部、上腕三頭筋
負荷の調整 可能
【注意点】
  • 胸の下部にバーベルを落とす

胸の下部にバーベルを落とす

検証者:吉田

大胸筋下部に向けてバーベルを落とす位置自体は理解できましたが、「下部に効いている感覚」をつかむのは正直むずかしかったです。軌道はつくれても、狙った部位への刺激を感じるには慣れが必要そうで、初心者には少し難易度の高い種目だと感じました。

監修者:関根

デクラインベンチでは、バーベルはみぞおち付近に落とすのが基本です。バーベルベンチプレスの中でも比較的下部に負荷が入りやすい種目ですが、フォームが少しズレると肩側に負担が流れやすくなります。まずは落とし位置を安定させ、胸の張りを保ちながら動作することが大切です。

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スミスマシンナローベンチプレス

難易度 ★★☆☆☆
続けやすさ(※1) ★★★☆☆
トレーニング効率(※2) ★★☆☆☆

※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか

【やり方】
  1. バーベルの高さを調整し、胸の位置に合わせる
  2. 肩幅よりこぶし1つ分ほど狭い手幅でバーを握る
  3. バーベルをフックから外す
  4. ひじを体側に沿わせる意識でバーベルを下ろす
  5. 上腕三頭筋を使う意識で押し上げる
  6. 10回実施し、終わったらフックへ戻す
ケガのリスク 低い傾向
セーフティーストッパーの目安位置

胸の高さより少し低く設定する

※つぶれたときに首が詰まらない位置

最初のバーベル目安位置 ひじを少し曲げた状態でバーベルを持てる位置
実施できる場所 ジム
器具・設備 スミスマシン
鍛えられる部位 上腕三頭筋、大胸筋、三角筋前部
負荷の調整 可能
【注意点】
  • 親指を巻かないサムレスグリップがおすすめ

親指を巻かないサムレスグリップがおすすめ

検証者:吉田

その他のベンチプレス種目と比べて、グリップをサムレスに変えるだけで上腕三頭筋への入り方が大きく変わりました。押す力を腕の後面で受け止める感覚がつかみやすく、「三頭で押す」意識を持ちやすかったです。

監修者:関根

サムレスグリップは押す力が上腕三頭筋にダイレクトに伝わりやすく、三頭筋を狙うナローベンチと相性がよい握り方です。

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スミスマシンワイドベンチプレス

難易度 ★★★☆☆
続けやすさ(※1) ★★☆☆☆
トレーニング効率(※2) ★★☆☆☆

※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか

【やり方】
  1. バーの高さを設定する
  2. 肩幅より広めに手幅を取る
  3. バーをフックから外す
  4. 胸に向けてゆっくり下ろす
  5. 胸の筋肉を意識して押し上げる
  6. 10回を目途に繰り返し、終わったらフックへ戻す
ケガのリスク 高い傾向
セーフティーストッパーの目安位置

胸の高さより少し低く設定する

※つぶれたときに首が詰まらない位置

最初のバーベル目安位置 ひじを少し曲げた状態でバーベルを持てる位置
実施できる場所 ジム
器具・設備 スミスマシン
鍛えられる部位 大胸筋、三角筋前部
負荷の調整 可能
【注意点】
  • 肩幅の2倍程度でバーベルを持つ

肩幅の2倍程度でバーベルを持つ

検証者:吉田

スミスマシンだと横幅が狭いため、広い手幅を取りにくかったです。しっかりワイド幅で大胸筋外側を狙いたい場合は、フリーウェイトでおこなう方が狙った部位に入りやすいと感じます。

監修者:関根

ワイドベンチプレスは大胸筋の外側に刺激が入りやすくなりますが、肩関節への負担も増えるため注意が必要です。もし外側を重点的に鍛えたいのであれば、ダンベルフライなどの種目で鍛える方法もおすすめです。

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角度・位置で変わるスミスマシンベンチプレスの効果

スミスマシンベンチプレスはベンチの角度と手の位置を変えるだけで、アプローチできる部位が変化する。狙いたい部位とトレーニングの目的を整理し、角度とポジションを意図的に選ぶことで、効率よく負荷を積み上げやすくなる。

  • 【目的別】ベンチの角度の調整方法
  • 【部位別】手の位置の調整方法

【目的別】ベンチの角度の調整方法

胸全体をバランスよく鍛えたい場合、フラットベンチの位置設定を基準に考えると扱いやすい。大胸筋上部のラインを強調したい場合は、ベンチ角度をおよそ30度前後のインクラインに設定し、バーをやや鎖骨寄りに下ろすイメージを持つ。

下部を厚くしたい場合はデクライン設定を活用し、みぞおちより少し下へバーを引くフォームがおすすめ。

【部位別】手の位置の調整方法

肩幅の1.2倍ほどのグリップ幅が基本的な手の位置。肩幅付近まで狭めるナローグリップにすると上腕三頭筋への刺激が増え、腕裏のボリュームアップにつながる。反対に肩幅の約2倍まで広げたワイドグリップのフォームは、大胸筋外側のラインを意識しやすい

スミスマシンベンチプレスの注意点

安全性の高いスミスマシンベンチプレスでも、油断するとケガのリスクを伴う。身体とバーベルの軌道のズレなど、以下に注意しながら狙った筋肉に負荷を集中させよう。

  • 軌道が合っていない
  • 重量があっていない

軌道が合っていない

身体の位置が合っていないと、関節だけが無理なラインを強いられる展開になりやすい。バーを下ろしたときにみぞおち付近を通過する位置関係を基準に、ベンチと身体のポジションを微調整することが大切。

首側に寄りすぎる軌道は肩前面への負担が大きく、腰側に寄りすぎるポジションは力が入らずフォームの安定性を損ないやすい。自分の可動域に合う軌道を見つける意識が、安全とパフォーマンスの両方につながる。

検証者:吉田

軌道が首寄りになるだけで、胸ではなく肩の関節が動作を支える形になり、負担が一気に高まるのを実感しています。間違った位置でトレーニングを続けると、肩の前面にイヤな張りが残り、トレーニング後もしばらく違和感が続いていました。

重量があっていない

モチベーションだけで重量を一気に上げると、フォームが崩れ、怪我のリスクと隣り合わせのトレーニングになりやすい。狙った回数を安全にコントロールできる重量から始め、バーの軌道と身体の位置関係が乱れない範囲で少しずつ負荷を引き上げていく進め方が基本

軽すぎる重量も筋肉への刺激が不足しやすいため、フォームの安定性と安全面のバランスを考えて適切な重量を見極めよう。

検証者:吉田

普段は60kg × 10回を基準にトレーニングしていますが、そこから無理に重量を上げると、下ろす位置が浅くなったり、反動を使って押し上げてしまったりと可動域が狭くなるのを感じました。結果として、胸に効かせるというより「挙げるだけの動作」になり、パフォーマンスが落ちた印象があります。

【レベル別】スミスマシンベンチプレスの重量・回数

スミスマシンベンチプレスの適切な重量は、基本的にはフリーウェイトベンチプレスと変わらない。体重・トレーニング歴に合わせた適正重量でトレーニングしよう。

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【レベル別】ベンチプレスの平均重量 初心者(~2ヶ月):平均は自重の半分「30~40㎏」 中級者(3~6ヵ月):平均は自重と同じ「60~70㎏」 上級者(2年以.....

監修者:関根

適正重量を判断する際は、「フォームを保ったまま8~10回できるか」を基準にするのがいちばん分かりやすい指標です。具体的には、みぞおち付近までしっかりバーを引きつけ、胸につく直前で0.2秒ほど軽く止められる余裕があるかが一つの目安になります。

重量が重すぎるとバーの軌道が徐々に浅くなる・肩に入る・押し上げが雑になるといったサインが出てきます。こうした変化が見えた時は、重量を適正ゾーンまで戻すようにしましょう。

検証者:吉田

トレーニング歴6ヵ月の編集スタッフが検証!

体重65㎏のWellulu編集スタッフが各レベルの重量を体験してみました。トレーニング歴を踏まえると体重と同じ重量が目安となるが、何㎏まで正しいフォームで挙上できるのか検証してみました。※今回の検証では3回挙上を目安にしています。

【初心者】30〜40kg×10回

▲Wellulu編集スタッフが40㎏に挑戦している様子

初心者はフォーム習得と慣らしが最優先。男性は自体重より軽い重量(自重の半分程度)から始めるイメージを持つ。10回前後をコントロールできる重量を基準に設定し、違和感がない範囲で徐々に重量を上げていく進め方が土台づくりにつながる。

検証者:吉田

40kg前後の重量であれば、フォームは問題なさそうです。まだ重量に余裕があり胸への刺激も弱いため、トレーニング前の動作確認・フォームアップとして30~40㎏は適切な重量かなと感じています。少し物足りない重量だと、自然と挙上ペースも速くなってしまいました。

監修者:関根

40kg前後で物足りなさを感じるのは、フォームが安定してきた証拠かもしれません。もしフォームアップを取り入れるなら、バーを下ろす位置・肩甲骨の寄せ・足の踏ん張りと体幹の安定といった基礎動作の精度を確認するようにしましょう。

【中級者】男性は60〜70kg×10回

▲Wellulu編集スタッフが70㎏に挑戦している様子

中級者は基本フォームが安定し、一定の重量を扱える段階。男性なら自体重が目安となる。RM換算で8〜10回がぎりぎり挙がる重量を設定し、週単位で少しずつ重量か回数を更新していくと、筋力と筋量の両方を狙いやすくなる。

検証者:吉田

60kgまではフォームの乱れもなく、スムーズに動作できていたと思います。70kgに増やした途端に状況が変わり、2回目まではなんとか押し返せても、3回目で一気に失速した感じでした。

監修者:関根

40kgのフォームと比較すると可動域にムラがあるので、胸につけるくらいまで下げる意識を持った方がよいかもしれません。重量が上がるとどうしてもフォームが乱れてきますが、雑にならないように注意しながらトレーニングすることで筋肉量にも影響してくると思います。

【上級者】男性は80〜100kg×10回

80㎏は安全を考慮して自制…

上級者は高重量を扱いつつフォームも崩さない段階。男性は自体重を大きく超える重量(自重の1.2~1.5倍)でトレーニングするケースが多い。1セットあたり5〜8回程度を狙う高重量ゾーンと、ボリューム重視の中重量ゾーンを使い分けることで、筋力向上と疲労管理のバランスをとりやすくなる。

検証者:吉田

普段のトレーニングでは、60~65㎏の重量を基準に10回×3セットでプランを組んでいます。ただ、もっと重量を持ち上げられるようになりたい気もするのが悩みです。

監修者:関根

重量に関しては、伸びづらい人もいれば、一気に伸びる人もいます。これは筋繊維タイプが影響していて、どうしても個人差が出てしまいます。もし重量だけを追い求めるのであれば、1セット3~5回程度のレップ数に減らしてトレーニングする方法もあります。しかし、筋肥大やボディメイクを目的とするのであれば、正しいフォーム・適切な重量・適切な回数でしっかりトレーニングする方法がおすすめです。

【RM換算】スミスマシンベンチプレスの重量をあげるロードマップ

RM換算を使うと、いま扱える重量と回数から目標重量までの距離を数値で整理しやすくなる。1RMの何%でバーを何回挙上できるかを基準に、フォーム維持を最優先しながら、重量か回数を少しずつ更新していく流れを描くことで、無理なく記録アップを狙いやすいロードマップにつながる。

RM換算表

重量 / 回数5回6回7回8回9回10回
40㎏45㎏46㎏47㎏48㎏49㎏50㎏
45㎏51㎏52㎏53㎏54㎏55㎏56㎏
50㎏56㎏58㎏59㎏60㎏61㎏63㎏
55㎏62㎏63㎏65㎏66㎏67㎏69㎏
60㎏68㎏69㎏71㎏72㎏74㎏75㎏
65㎏73㎏75㎏76㎏78㎏80㎏81㎏
70㎏79㎏81㎏82㎏84㎏86㎏88㎏
75㎏84㎏86㎏88㎏90㎏92㎏94㎏
80㎏90㎏92㎏94㎏96㎏98㎏100㎏
85㎏96㎏98㎏100㎏102㎏104㎏106㎏
90㎏101㎏104㎏106㎏108㎏110㎏113㎏
95㎏107㎏109㎏112㎏114㎏116㎏119㎏
100㎏113㎏115㎏118㎏120㎏123㎏125㎏
105㎏118㎏121㎏123㎏126㎏129㎏131㎏
110㎏124㎏127㎏129㎏132㎏135㎏138㎏
115㎏129㎏132㎏135㎏138㎏141㎏144㎏
120㎏135㎏138㎏141㎏144㎏147㎏150㎏

検証者:吉田

ロードマップ例:「60kg×10回」でトレーニングプランを組んでいる場合

検証者の普段のトレーニングプランは「60kg×10回」。RM換算をすると、およそ1RM=75kg前後。今回の実測値とほぼ一致しており、現状把握としてはかなり正確だと感じました。

このRM換算を指標に段階的に伸ばす場合、
・次のステップ:65㎏6回から始め、10回できる状態に
・その次のステップ:70㎏6回から始め、10回できる状態に
このように順番を作るのが現実的なロードマップになりそうです。

▼RM換算表を踏まえて100㎏を目指すロードマップ例

ベンチプレスは何キロからすごい? 平均重量や男女別・レベル別の違いも紹介

【レベル別】ベンチプレスの平均重量 初心者(~2ヶ月):平均は自重の半分「30~40㎏」 中級者(3~6ヵ月):平均は自重と同じ「60~70㎏」 上級者(2年以.....

スミスマシンベンチプレスに関するQ&A

スミスマシンベンチプレスが向いていない人は?

A:基本的にはいない。

監修者:関根

基本的に向いていない人はいませんが、軌道が固定されるため、自分の関節可動域に合わない場合はケガにつながることがあります。バーベルを下ろしたときに違和感が続く場合や、可動域の途中で肩まわりに詰まり感が出る場合は、重量を下げる、別種目へ切り替えるなどの選択を視野に入れてみてください。

スミスマシンベンチプレス前のおすすめストレッチは?

A:胸を開くストレッチなど。

監修者:関根

肩甲骨を大きく回す動きや、胸を開くストレッチなどで上半身前面をゆるめておくと、バーベルを下ろしたときの窮屈さが軽減しやすくなります。ローテーターカフの軽い外旋運動を行うと、肩関節まわりの安定性を高める準備としても機能します。

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