スクワットで効果を出すためには、「とにかくたくさんやる」ことよりも、自分の目的に合った回数と負荷を設定することが重要。というのも筋肥大、ダイエットなど、目的に応じて実施すべき回数や強度が異なるからだ。
この記事では、目的別のおすすめの回数をはじめとし、回数を増やす際の注意点やおすすめステップを紹介する。
この記事の監修者

坂詰 真二さん
スポーツ&サイエンス代表、フィジカルトレーナー
この記事の検証者

山本 祐志郎さん
6年前に始めたハンドボールで培った瞬発力や体力を活かして、日々の生活や仕事にも前向きに取り組む。朝の公園ランニングやHIITトレーニングを日課とし、時にはヨガで心身を整えるなど、アクティブな日々を過ごしている。
スクワットは何回やればいい?回数の設定方法
スクワットの効果を最大限に高めるためには、目的に応じて適切な回数と負荷設定を行うことが重要。一般的には、10〜12回をギリギリ反復できる程度の難易度が、トレーニング効率を高めやすい。

セット数の目安は3セットであるが、トレーニング初心者や久しぶりに運動を再開する場合は、まず1セットから始め、慣れてきた段階で3セットへ移行するとよい。
また、スクワットのおすすめの頻度は週2〜3回が目安、短時間でも継続的に刺激を入れることが効果的だが、筋肉痛が強い日や、ひざ・腰に違和感が生じた日は、無理をせず休息日に切り替えよう。

監修者:坂詰
重要なのは、種目そのものによって回数が決まるのではなく、自身の筋力レベルと種目の組み合わせによって最適な回数が決まるということです。自分が「ギリギリ適切なフォームで反復できる強度」を基準に設定することで、スクワットの効果を最大化することができます。
【男女別】スクワットの平均的な回数

- 【男性】スクワットの平均回数
- 【女性】スクワットの平均回数
【男性】スクワットの平均回数

男性の自重スクワット回数の平均は、初心者(初級者)でおよそ16回。トレーニングを継続することで筋力が向上し、フォームが安定してくるため、より多くの回数をこなすことも十分可能。
無理に回数を追うのではなく、自身の体力レベルに合った回数から始め、徐々に負荷を高めていくことがおすすめ。
【女性】スクワットの平均回数

女性の自重スクワット回数の平均は、初心者(初級者)でおよそ9回といわれている。性別による筋力差や体格差も影響しているが、大切なのは自分のレベルに合った回数を適切な回数に設定すること。
フォームを崩さず反復できる範囲を基準にし、徐々に回数や負荷を増やすことで、安全かつ効率的にレベルアップを図ることができる。
【目的別】スクワットの1日の回数目安

- ダイエット
- 下半身の筋肉量増加
- 下半身の筋力向上
- 筋持久力向上・姿勢の改善
- 日常動作の向上
- 疲労回復・むくみ改善
| 目的 | 回数 | セット数 | インターバル | 負荷の目安 |
| ダイエット 下半身のシェイプアップ |
6-12回 | 3セット | 30-90秒 | 中負荷 |
| 下半身の筋肉量の増加 | 6-12回 | 3-5セット | 30-90秒 | 中負荷 |
| 下半身の筋力向上 | 1-6回 | 3-6セット | 2-5分 | 高負荷 |
| 筋持久力向上 姿勢の改善 |
15-20回 | 2-3セット | 30-60秒 | 軽負荷 |
| 日常動作の向上 | 8-12回 | 2-3セット | 60-90秒 | 中負荷 |
| 疲労回復 むくみ改善 |
15-20回 | 1-2セット | 30-60秒 | 軽負荷 |

監修者:坂詰
まずはノーマルスクワットで正しいフォームを維持できているかどうか確認しましょう。とくに十分な余力がある状態でないと、フォームが崩れやすく、狙った筋肉に適切な刺激が入らなくなってしまいます。
また、トレーニング初期の1〜2週間は「導入期間」として考え、重量や回数にはこだわらなくて大丈夫です。この期間で身体に正しい動作を覚えさせ、基礎を固めていきましょう。
ダイエット

スクワットは下半身の大きな筋肉を鍛えられるため、基礎代謝量を効率よく高められるトレーニング。基礎代謝が上がることで日常生活の消費カロリーが増え、結果としてダイエットにつながる。
ダイエット目的の場合は、1~2回できる余力を残してきる中負荷で6〜12回を3〜5セットおこなうことが重要。 適切な負荷をかけることで筋肉への刺激が高まり、代謝アップの効果を得やすくなる。

検証者:山本
回数を重ねるにつれて呼吸が上がりやすく、下半身全体がしっかり使われている感覚がありました。フォームが崩れると太ももの前側ばかりに効きやすくなるため、背すじを保ちながら動作するのが意外と難しかったです。
負荷設定を調整すると、汗のかき方や筋肉への刺激が大きく変わると感じました。

監修者:坂詰
スクワットは下半身の筋量アップに直結し、基礎代謝向上に効果的なトレーニングです。フォームが乱れると狙いたい部位に刺激が入りづらくなるため、「足裏全体で体を支える」「背中を丸めない」といったポイントを意識しましょう。
ダイエット目的では、筋肥大効果の高い中負荷・中回数で実施することが大切です。
下半身の筋肉量増加

下半身の筋肥大を目的とする場合は、1~2回できる余力を残してきる中負荷で6〜12回を3〜5セット実施することが効果的。同じ部位の種目を2~3種目行うことで 成長ホルモンの分泌が促され、筋線維の肥大を促進しやすくなる。
また、成長のためには休養が不可欠であるため、週2~3日程度の頻度でトレーニングをおこない、十分な回復期間を確保することが望ましい。

検証者:山本
高負荷でおこなうと、回数後半でお尻や太ももの裏側にしっかり刺激が入る感覚がありました。フォームが乱れやすく、膝が内側に入りそうになることもあったため、下半身全体で踏ん張る意識が必要だと感じました。セットを重ねると体力の消耗が大きく、休憩の重要性を実感しました。

監修者:坂詰
筋肥大を狙う場合は、下半身の大きな筋肉に十分な負荷をかけることが不可欠です。とくに「深くしゃがむ」「膝を外側に開かない」といったポイントを意識することで、狙った部位への刺激が高まります。
また、筋肥大を促進するには同じ部位を2~2種目行うことも必要です。1種目が正しく余裕を持って行えるようになったら、2種目行ってっください。
下半身の筋力向上

下半身を引き締めたい場合は、軽〜中程度の負荷で15〜20回を3セットおこなうことが適している。この際「1~2回の余力を残して行うこと」が継続の秘訣。
この負荷設定は筋持久力を高める効果が高いが、筋肥大効果と実施中の消費エネルギー量アップの両方をターゲットにするので、下半身のシェイプアップにつながりやすい。

検証者:山本
軽めの負荷でも回数を多くすると、太ももやお尻にじんわり効いてくる感覚がありました。動作のテンポを一定に保つのが意外と難しく、疲れてくるとついスピードが速くなってしまう場面もありました。
終わった後は下半身が軽く張るような心地よい疲労感が残りました。

監修者:坂詰
シェイプアップを目的とする場合は、特に正しいフォームで動作を丁寧に繰り返すことが成果につながります。間違った方法ではかえって脚のシルエットが崩れてしまうので「ひざとつま先の向きをそろえる」「膝を外側に開かない」「背すじを伸ばす」ことに注力して行って行いましょう。
軽〜中負荷でも十分効果が得られるため、テンポを乱さず一定のリズムで続けることを意識しましょう。
筋持久力向上・姿勢の改善

体幹強化や姿勢改善を目的とする場合は、自重〜軽負荷で10〜15回を2〜3セットおこなうのがおすすめ。 背すじを真っすぐ伸ばした正しい姿勢を保ちながらゆっくりしたテンポで実施することで、腹筋や背筋などのアウターマッスルとインナーマッスルが働き、体幹全体を効率よく鍛えられる。
また、背骨沿いの脊柱起立筋を強化することで、姿勢の安定に加えて腰痛予防にも役立つ。

検証者:山本
姿勢をまっすぐに保ちながら動作するのが想像以上に難しく、油断すると腰が反ったり身体が左右にぶれたりしました。負荷は軽めでも、体幹がしっかり働いている感覚があり、回数を重ねるとじわっとお腹まわりが疲れてきました。

監修者:坂詰
体幹を鍛える際は、動作そのものよりも「軸を保つ意識」が重要です。背中が丸まったり反ったりするとアウターマッスル、インナーマッスル共に働きにくくなるため、ゆっくりと一定のテンポでおこないましょう。
背すじを真っすぐに保つためには、「股関節をしっかり曲げる=お尻を後ろに突き出しながら下げていく」ことを意識して行うのも重要です。
日常動作の向上

日常動作の質を高めたい場合は、中負荷で6〜12回を2〜3セットおこなうことが効果的。 下半身の筋力が向上することで、階段の上り下りや歩行、立ち座りといった日常の動作がスムーズになり、身体全体のパフォーマンス向上につながる。

検証者:山本
中負荷で実施すると、太ももやお尻にしっかり力が入る感覚があり、動作の安定感も変わってくると感じました。普段の生活では使えていない筋肉が働くのか、セット途中で息が上がりやすく、下半身全体に心地よい疲労感が残りました。

監修者:坂詰
日常動作の快適さは、下半身の基礎的な筋力に大きく左右されます。負荷が軽すぎると変化が出にくいため、「筋肥大効果と筋力アップ効果の両方が狙える」の中負荷を選びましょう。
足幅を狭めにし、つま先と膝を正面に向けて行うことで、歩行や階段昇降の動作が楽にできるようになります。
疲労回復・むくみ改善

健康維持を目的とする場合は、自重〜軽負荷で5〜10回を2〜3セットおこなうことがおすすめ。 まずは5回程度から始め、徐々に回数を増やしていき、最終的に10回を1セットとして無理なく継続できる状態を目指そう。
下半身の筋力を高めることで、転倒予防・基礎代謝の維持・日常生活における活動範囲の拡大につながり、総合的な健康づくりに効果的。

検証者:山本
負荷を軽めに設定すると無理なく続けられ、動作や呼吸に余裕を持って取り組めました。少ない回数でも姿勢を丁寧に意識すると、下半身の筋肉がしっかり使われている感覚があり、日常的な運動として取り入れやすいと感じました。


監修者:坂詰
健康維持を目的とする場合は、「一生継続できる強度」で取り組むことが最も重要です。回数や負荷の大きさにこだわりすぎず、フォームが乱れない範囲で少しずつ負荷や回数を増やしていきましょう。
自重でも十分効果が得られるため、週2~3回の習慣として無理なく続けることが健康状態の向上につながります。
【種類別】各スクワットの1日の回数目安
スクワットも種類によって強度が異なる。ここでは、各スクワットでの回数や頻度も目安を紹介。
| 種目名 | 回数 | 頻度 | ポイント |
| ダンベルスクワット | 10〜15回 × 2〜3セット | 週2〜3回 |
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| バーベルスクワット | 6〜10回 × 3〜5セット | 週1〜2回 |
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| ブルガリアンスクワット | 8〜12回(左右) × 2〜3セット | 週2〜3回 |
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| 片足スクワット | 5〜8回(左右) × 2〜3セット | 週1〜2回 |
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以下の記事では、各種類別のスクワットのやり方や効果を高めるコツ、回数などを詳しく解説中。より深く知りたい人は参考にしてみて。
スクワットの回数を増やすうえでの注意点

- 無理な回数設定をしない
- 軽い負荷でやらない
- フォームが崩れていないかを意識する
- 反動を使わない
- 筋肉痛が残っているときは無理せず休む
無理な回数設定をしない

スクワットの回数を増やす際は、はじめから高い目標を設定しないことが重要。無理な回数設定をするとフォームが乱れやすく、継続が難しくなるだけでなく、ケガのリスクも高まる。
まずは正しいフォームで実施することを最優先して、慣れてきたら少しずつ回数を増やしていくことがおすすめ。
軽い負荷でやらない

毎日実施する場合を除いて、極端に軽い負荷で回数だけをこなしても、トレーニング効果は限定的。自重スクワットを30回以上余裕でおこなえる場合、実施中の消費カロリー増えていくものの、筋肥大や筋力アップにはつながりにくい。
適度な負荷がかかる範囲で回数を設定することで、スクワットの効果を最大限引き出すことができる。必要に応じて、ダンベルやバーベルなどの負荷を取り入れるのもひとつの方法。
フォームが崩れていないかを意識する

回数を重ねて疲労がたまると、どうしてもフォームが崩れやすくなる。フォームが乱れると、狙った筋肉に十分な刺激が入らないだけでなく、ひざや腰を痛める原因に。
そのため、しゃがむ深さやひざの向き、背中の角度など、基本姿勢を常に意識しながらトレーニングをおこなうことを意識しよう。回数よりも正しいフォームを優先し、丁寧な動作を心がけるのがポイント。
反動を使わない

勢いに任せてしゃがんだり、反動を使って立ち上がったりすると、スクワットの効果は大きく損なわれる。反動に頼ることで本来使うべき筋肉が十分に働かず、関節や腰への負担が増える危険も。
動作は常にコントロールし、ゆっくりと安定したフォームでおこなうことが重要。
直接的な消費エネルギー量を増やすために、回数を増やしたい場合は。、逆に腕振りや反動を利用することが効果的になる。
筋肉痛が残っているときは無理せず休む

筋トレ後の筋繊維は一時的に損傷しており、修復するまでに48〜72時間ほどの休息が必要。これを「超回復」と呼び、筋肉はこの期間に成長する。
筋肉痛が残った状態で無理に鍛え続けると、回復が追いつかず効果が落ちるだけでなく、ケガにつながる可能性も。
そのため、筋肉痛がある場合は休息を優先し、十分に回復してから次のトレーニングに取り組むことが大切。
スクワットを毎日続ける効果や注意点

| 毎日やったほうがいい理由 |
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| 毎日やらないほうがいい理由 |
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監修者:坂詰
低負荷・高回数のスクワットは、筋肥大や筋力アップの効果は下がりますが、運動不足を補い、血行不良を改善する効果が期待できます。
疲労が残らないように、膝や股関節を曲げる角度を浅くして、負荷を軽減して行ってください。
スクワットの回数に関するQ&A
Q:年齢に応じて回数の目安は変化する?
A:回数は変わらないが、強度を変える

監修者:坂詰
年齢によってスクワットの回数が大きく変わるわけではなく、重要なのは回数ではなく負荷を調整することです。 体力や筋力には個人差があるため、レベル・体力・性別に合わせて負荷を変えることが効果的です。
加齢や運動不足で筋力は低下しますから他人と比較するのではなく、自分に合った負荷で取り組むことで、安全に継続しやすく、トレーニング効果も高まります。
Q:1日の合計回数は分割してもOK?
A: できたら分割しない方が効果は高い

監修者:坂詰
1日の合計回数を分割しておこなうことも可能ですが、まとめて実施したほうが効果は高くなります。スクワットのような筋トレでは、まとめ行い筋肉を刺激することにより筋肉を増やすホルモン分泌が高まりやすく、トレーニング効果が出やすいためです。
分割が習慣化しやすいというメリットもありますが、可能な範囲でまとめておこなうことをおすすめします。
Q:ひざや腰が痛い人は回数をどう調整すればいい?
A: 動作ができる可動域を確かめて深さを調整する

監修者:坂詰
ひざや腰に痛みがある場合は、深く曲げたときに痛むのか、負荷が強くなったときに痛むのかなど、原因は人によって異なります。まずは痛みが出ない動作域を確認し、その範囲内で無理のない動作をおこなうことが重要です。
「足幅を狭くする」「つま先と膝を正面に向ける」「足の外側に荷重しすぎない」「膝を外側に開かない」この4点に注力しながら実施すると、膝の負担は最小限になります。
フィジカルトレーナー、NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。横浜市立大学文理学部卒。株式会社ピープル(現コナミスポーツ)にてディレクター、教育担当を歴任後、株式会社スポーツプログラムで各種アスリートのコンディショニング指導を担当する。1996年に独立後、パーソナル指導、トレーナーの育成とともに、書籍、雑誌、TVなど各メディアで健康情報の提供をおこなう。22万部越えの「世界一やせるスクワット」(日本文芸社)ほか著書多数。3月末に『眠れなくなるほど面白い 図解 筋肉の話』(日本文芸社)を上梓。公式youtubeチャンネルはhttps://www.youtube.com/@shin.training-channel