
上腕三頭筋は上腕の約7割を占める大きな筋肉で、腕全体の印象を大きく左右する重要な部位。上腕三頭筋を鍛える筋トレは多くあるが、中でもダンベルを使ったトレーニングは自宅で手軽におこなえると人気がある。
この記事では、自宅でできる上腕三頭筋のダンベルトレーニングを紹介。また、積極的に組み合わせたい筋トレメニュー、ダンベルを使うメリットや効果、適切な重量設定の目安などもあわせて解説。ダンベルを上手に活用して、理想の腕を効率よく手に入れよう。
この記事の監修者

井上 大輔さん
NSCA認定パーソナルトレーナー
上腕三頭筋とは?
上腕三頭筋は二の腕の後ろ側にある大きな筋肉で、発達すると腕がたくましく、引き締まった印象になる。長頭・外側頭・内側頭という3つの部位から構成されていて、それぞれ異なる場所からひじ関節へとつながっているのが特徴。
なお、ひじを伸ばす動作を担う上腕三頭筋は、腕立て伏せやプッシュアップなど、多くの上半身トレーニングに欠かせない。とくに、ダンベルを使ったトレーニングでは腕を伸ばす際に上腕三頭筋がしっかり刺激され、筋肉が効果的に発達すると言われている。
下記の記事では、上腕三頭筋で鍛えられる部位について詳しく紹介。上腕三頭筋の部位構成や役割について知りたい人は参考にしてみよう。
上腕三頭筋の筋トレメニュー7選!自重・ダンベル・ケーブルマシンを使った種目を紹介
上腕三頭筋を構成する筋肉 上腕三頭筋は腕全体の約60%を占める大きな筋肉群で、長頭、外側頭、内側頭という3つの筋束で構成されている。とくにトレーニング初心者は、.....
ダンベルを使って上腕三頭筋を鍛えるメリット
- 自宅で手軽に本格的な筋トレができる
- 細かい重量設定で負荷を調整しやすい
- 左右の筋力差を整えられる
自宅で手軽に本格的な筋トレができる
ダンベルは場所を取らず、自宅の限られたスペースでも有効に活用できるトレーニング器具。ジムに通う時間や費用を節約しながら、効果的な筋トレをおこなえるのは大きなメリット。
また、トレーニング時間を自由に設定できるため、忙しい人も自分のペースで続けやすい。たとえば、仕事前に短時間おこなったり、就寝前の習慣として取り入れたりと、生活スタイルに合わせてトレーニングをすることで継続しやすい。
細かい重量設定で負荷を調整しやすい
ダンベルは重量を細かく調整できるため、自分の体力や目標に合わせた負荷でトレーニングが可能。筋トレ初心者の人は軽い重量から始め、徐々に重さを増やすことで、段階的に筋力アップできる。
また、無理な負荷によるケガを防ぎやすいのも、ダンベルトレーニングのメリット。自身のペースで段階的に負荷を上げていけるのは、ダンベルならではの利点。フォームが安定してきたら、0.5kg単位など細かい段階で重量を調整して、より効果的な筋力アップを狙おう。
左右の筋力差を整えられる
ダンベルは左右別々に動かすため、両腕の筋力差に気づきやすいという特徴がある。片腕ずつトレーニングすると弱い方の腕を集中的に鍛えられ、左右の筋力バランスを効果的に整えられる。
なお、筋力の偏りはケガのリスクを高めるだけでなく、日常動作にも影響する可能性がある。ダンベルトレーニングを習慣化して、見た目の変化はもちろん、身体の機能的な向上にも役立てよう。
上腕三頭筋を鍛えることで得られる効果
- 男らしいたくましく太い腕を作れる
- 上半身全体の筋力アップにつながる
- スポーツのパフォーマンスが上がる
- 腕のラインを美しく引き締め、二の腕のたるみ解消に
上腕三頭筋は腕の約60%を占める大きな筋肉群で、その発達は腕の太さと力強さに直結する。3つの筋肉がバランスよく発達すると、どの角度からも魅力的な腕になる。
また、胸筋や肩のパフォーマンス向上やひじ関節の安定性を高め、上半身全体の筋力アップとケガのリスク軽減につながる。
スポーツ面では、腕をスムーズかつ力強く伸ばせるようになり、投球やサーブ、シュートなど様々な動作の質が向上する。
さらに、二の腕のたるみ解消にも効果的。筋肉量が増えることで、基礎代謝が高まり脂肪燃焼が促進される。デコルテから腕にかけてのラインが美しくなり、ノースリーブや半袖を自信を持って着こなせるようになる。
【ダンベル使用】上腕三頭筋を鍛える筋トレメニュー2選
ダンベルを使えば、自宅でも効果的に上腕三頭筋を鍛えられる。さまざまなトレーニングで効果的な刺激を与え、バランスの取れた発達を目指そう。ここでは、初心者から上級者まで取り組みやすい、おすすめの上腕三頭筋ダンベルトレーニングメニューを紹介。
- ダンベルフレンチプレス
- ダンベルキックバック
ダンベルフレンチプレス
- 両手でダンベルをもち頭上に持ち上げる
- ひじを固定したまま頭の後ろにゆっくりとダンベルを下ろす
- ひじを伸ばすような意識でダンベルを頭上に持ち上げる
ダンベルキックバック
- 肩幅程度に足を開く。上体をやや前傾させる
- ひじは固定したまま、前腕だけを後ろに伸ばす
- 腕をスタートポジションに戻す
ダンベル・バーベル・マシンの特徴は?上腕三頭筋トレーニングの違い
トレーニング器具は、トレーニング環境や目的によって使い分けることが大切。バーベルは高重量を扱って効率的に負荷をかけられるが、マシンは動作中の負荷が安定していて、筋肉への刺激を変えやすい。
また、ダンベルはさまざまなトレーニング種目に対応できる汎用性の高さが魅力。場所を取らずにトレーニングできるため、自宅でトレーニングするときにおすすめ。反対にジムで筋トレする場合、負荷を多く与えられるマシンやバーベルを活用しよう。
【バーベル使用】ダンベルと組み合わせたい筋トレメニュー2選
バーベルはダンベルと比べて高重量を扱いやすく、筋肉の肥大にとくに効果的。ダンベルに加えてバーベルを取り入れることで、上腕三頭筋への負荷をさらに増大させ、より効率的に筋力アップを目指せる。
- ベンチプレス
- ライイングトライセプスエクステンション
ベンチプレス
- ベンチに仰向けになり、体をベンチに密着させる
- 両足裏を床にしっかりつける
- 肩幅より少し広めにバーベルを持つ
- 胸を開いて、ゆっくりバーベルを下ろし、一瞬静止する
- 息を吐きながらバーベルを押し上げる
ライイングトライセプスエクステンション
- 「EZバー」を順手で持つ
- ベンチで仰向けになる
- バーを頭より少し頭側に傾けて持ち上げる
- ひじを固定しつつバーを下げ、ゆっくりもとの位置に戻す
【ケーブルマシン使用】ダンベルと組み合わせたい筋トレメニュー2選
ケーブルマシンは、動作中常に一定の負荷を筋肉にかけ続けることができるため、ダンベルとは異なる刺激を与えることが可能。とくに、筋肉をしっかりと収縮させることを意識したトレーニングに役立つ。
- トライセプスプレスダウン(ケーブルトライセプスエクステンション)
- ケーブルフレンチプレス
トライセプスプレスダウン(ケーブルトライセプスエクステンション)
- 足を肩幅に開き、バーを順手で掴む
- バーが胸の高さになるようケーブル位置を調整する
- バーを握った際、ひじが約90度になるようにする
- ひじを固定し、脇を閉じバーを押し下げる
- 負荷が抜ける直前でバーをもとに戻す
ケーブルフレンチプレス
ダンベルで上腕三頭筋を鍛える際の回数・重量(目安)
ダンベルを使った胸筋トレーニングでは、8~12回程度で限界を感じる重さを選ぼう。適切な重さは人によって異なるが、筋肉にしっかり負荷をかけて、限界まで追い込むことが大切。
セット数を増やすほど、筋肥大と消費エネルギーの増加が期待できるため、セット数は3セットを目安にしつつ、余裕があれば増やそう。
ただし、重量や回数は「正しいフォームを維持できる範囲」で設定すること。フォームが崩れる場合は、重量を軽くするか回数を減らす。途中で休憩をする・セット数を増やして1セットあたりの回数を減らす、なども有効。
重要なのは、正しいフォームでトータルどれだけトレーニングできたか。無理なく正しいフォームを維持できる方法を選ぼう。
ダンベルで上腕三頭筋を鍛える際のコツ
ダンベルで上腕三頭筋を鍛えるためには、正しいフォームと注意点をしっかり理解することが大切。間違った方法はトレーニング効果が十分に得られないだけでなく、ケガのリスクを高めてしまう。
- 正しいフォームを意識しておこなう
- 反動を使わず動作スピードを一定にする
- ダンベルの重量は徐々に上げる
- トレーニング前後にストレッチを取り入れる
- 上腕二頭筋とのバランスを意識して鍛える
正しいフォームを意識しておこなう
正しいフォームを維持することは、ケガの予防と筋力アップに不可欠。基本はひじを固定し、手首をまっすぐに保ちながら、上腕三頭筋を意識して動作をおこなう。
また、動作中は腕を伸ばす最後の部分までしっかり意識すると、効果的に筋肉を刺激できる。鏡を見ながらチェックしたり、動画撮影で自身の動きを確認したりしながら、常に正しいフォームで実践することが大切。
反動を使わず動作スピードを一定にする
上腕三頭筋に負荷をかけるためには、動きをしっかりコントロールし、ゆっくりおこなうとよい。反動を使えば重いウエイトを扱いやすくなるが、効かせたい筋肉への刺激が減り、関節に負担がかかりやすくなる。
目安は上げる動作に2秒・下げる動作に3秒程度。とくにネガティブ動作(下げる動作)をゆっくりおこなうと、筋肉の発達を効果的に促せる。
ダンベルの重量は徐々に上げる
筋力向上には段階的な重量増加が重要だが、急激に増えるとケガのリスクを高めやすい。初心者は8~12回を3セットおこなえる重量からスタートし、フォームの安定を確認しながら進めよう。
目安としては、2週間ほど同じ重量で練習し、動作が完璧になってから0.5~1kgずつ増やすのがおすすめ。
トレーニング前後にストレッチを取り入れる
ストレッチは筋肉の柔軟性を高め、トレーニング効果を十分引き出すために重要。ケガを防ぐためにも、トレーニング前は軽いストレッチで筋肉をほぐし、血の巡りをよくするとよい。
また、トレーニング後には15~30秒かけて丁寧にストレッチをおこない、筋肉の回復を促進すること。とくに上腕三頭筋は硬くなりやすい筋肉のため、筋トレ後は面倒がらず、適切なケアを心がけよう。
上腕二頭筋とのバランスを意識して鍛える
上腕三頭筋と上腕二頭筋は逆の動きをする筋肉のため、バランス良く発達させることが重要。どちらか一方だけを過度に鍛えてしまうと、バランスが崩れ、ケガのリスクが高まったり、関節に余計な負担がかかる可能性がある。
トレーニング計画を立てるときは上腕二頭筋と上腕三頭筋、両方のトレーニングを取り入れよう。また、上腕二頭筋と上腕三頭筋を同じ日にトレーニングするのは、できるだけ避けるべき。
たとえば、胸のトレーニングでは上腕三頭筋が、背中のトレーニングでは上腕二頭筋が補助的に使われるため、同じ日に両方を鍛えてしまうと、翌日以降のトレーニングに影響が出る場合も。とくに初心者は安全性を重視して、無理のない範囲で取り組むことを心がけよう。

ダンベルで上腕三頭筋を鍛えることに関するQ&A
効果が実感できるまでの期間は?
A:目に見える変化は最短3ヶ月、平均で6ヶ月程度で現れます。

ひじに痛みがあるときのトレーニングで注意することは?
A:ひじに痛みがある場合は無理にトレーニングせず、整形外科で診察を受ける。

ひじに痛みがある場合のトレーニング方法は、痛みの原因によって異なります。過度な使用による痛みの場合は重量や回数の調整が必要ですが、根本的には痛みの原因を特定することが大切です。通常の状態で痛みがある場合はケガの可能性があるため、整形外科で診察を受けることをおすすめします。
なお、三頭筋は胸部や背中のトレーニングでも使われるため、ひじに負担がかかっている状態で無理に三頭筋を鍛える必要はありません。まずは胸部・背中のトレーニングで基礎的な筋力をつけてから、段階的に三頭筋のトレーニングも追加しましょう。
ダンベルを使うと長頭にアプローチしやすいって本当?
A:ダンベルを使うことがとくに長頭に効果的という科学的根拠は乏しい。

大学のバスケットボール部や社会人アメリカンフットボールチーム、ゴルフセンターでのトレーニング指導、RIZAP株式会社でのパーソナルトレーナーを経て、日本橋にてパーソナルジム「IGF」を開業。健康の維持・増進、改善などをベースにトレーニングの指導をおこなっている。
【所属】
NSCA Japan
日本外科代謝栄養学会
日本静脈経腸栄養学会
日本感染症学会 会員