
牛乳に比べてカロリーや脂質が少ない豆乳は、ダイエット中にも取り入れやすい飲み物。今回は豆乳のダイエット効果をはじめ、正しい飲み方、おすすめアレンジレシピを紹介。豆乳ダイエットの実践を検討している人は参考にしてみよう。
この記事の監修者

荒井 名南さん
管理栄養士/健康食育ジュニアマスター/離乳食アドバイザー/フードスペシャリスト
豆乳のダイエット効果・栄養素
豆乳は大豆から作られる植物性の飲料で、さまざまな栄養素を含んでいる。ここでは、ダイエットにも活用できる豆乳のおもな栄養素とその働きについて、紹介。
- 大豆タンパク質:基礎代謝の向上をサポート
- 大豆イソフラボン:女性ホルモンのバランスを整える
- サポニン:脂肪蓄積を抑制・脂肪燃焼を促進
大豆タンパク質:基礎代謝の向上をサポート
豆乳に含まれる「大豆タンパク質」は、不足しがちなタンパク質の摂取に役立つ栄養素。植物性タンパク質であり、体内で筋肉や臓器を作る役割がある。大豆タンパク質は、運動と組み合わせることで「筋肉量の維持・増加」をサポートする。
筋肉量が保たれることで、身体は日々のエネルギーを効率よく使ったり、消費するエネルギーを増やすことができる。また、筋肉量を増やすことで基礎代謝が向上して「太りにくく、痩せやすい身体づくり」に役立つ。
さらに、タンパク質の消化と吸収には時間がかかるため、満腹感が持続し「間食・食べ過ぎ」を抑えやすくなる。植物性のため、動物性タンパク質よりも「脂肪」「糖質」の摂取を抑えながら、必要な栄養素を効率よく取り入れられる。
大豆イソフラボン:女性ホルモンのバランスを整える
「大豆イソフラボン」は肌の新陳代謝の促進や、女性ホルモンの「エストロゲン」と似た働きがある。そのため、大豆イソフラボンは「植物性エストロゲン」と呼ばれることもあり、エストロゲンの不足を補う効果が期待できる。
「肌」「髪」の健康維持はもちろん、ホルモンバランスの変化からくるトラブルの予防に役立つ。日々のリズムが乱れがちな時期にも、心身の不調対策として豆乳を取り入れてみるのもおすすめ。
サポニン:脂肪蓄積を抑制・脂肪燃焼を促進
豆乳に含まれる「サポニン」には抗酸化作用がある。「血中の脂肪」や「コレステロール」を酸化させるのを防ぎ「悪玉コレステロールの蓄積」を予防する。また、腸で吸収された「ブドウ糖」と「脂肪酸」の合成を防ぎ、「脂肪の蓄積を抑制する」役割もある。
ほかサポニンは「アディポネクチン」というホルモンの分泌に働きかけて、脂肪燃焼を促進してくれる効果も。

大豆に含まれるサポニンの「脂肪燃焼効果」と「脂肪蓄積抑制効果」は、ダイエットの強い味方です。サポニンは大豆のほかにも、「ごぼう」に含まれています。
ダイエット中はどれがよい?豆乳の種類
豆乳はおもに3種類あり、「味」「風味」などがそれぞれ異なる。それぞれの種類の特徴と飲み方について紹介。
- 無調整豆乳
- 調整豆乳
- 豆乳飲料
無調整豆乳
「無調整豆乳」は大豆を水に浸して磨り潰し、絞った液体をそのまま加熱処理したもの。添加物を含まないため、大豆由来の栄養素のみを摂取できるのが魅力。
無調整豆乳はそのまま飲んだり、料理やスムージーの材料にしてもOK。豆乳独特の風味が苦手な場合は、「バナナ」「はちみつ」「きな粉」などを加えると飲みやすくなる。
調整豆乳
「調整豆乳」は飲みやすさを追求した豆乳の1種。無調整豆乳に「砂糖」「食塩」「乳化剤」などを加えて調整したもので、大豆固形分が6%以上含まれており、無調整豆乳に比べてクリーミーな口当たり。
豆乳特有の風味が苦手な人でも飲みやすく、「忙しい朝」「小腹が空いたとき」などダイエット中の栄養補給におすすめ。
調整豆乳はそのまま飲む以外に、「コーヒー」「紅茶」などに加えてカフェラテ風にアレンジするのもよい。砂糖が入っているため、エネルギーは無調整豆乳よりもやや高め。ダイエット中は、砂糖の摂取量に注意しながら適量を楽しもう。
豆乳飲料
「豆乳飲料」は豆乳をベースに「果汁」「コーヒー」「紅茶」などを加えた飲み物。大豆固形分は果汁入りの場合2%以上、その他は4%以上と定められており、調整豆乳よりも大豆由来の成分は少なめ。
豆乳が苦手な人でも楽しめる豊富な味わいで「バナナ」「いちご」「抹茶」など、好みのフレーバーを選べて飽きずに続けられる。
ただし、「砂糖」「果糖」などが添加されているものも多いため、カロリーや糖質には注意が必要。ダイエット中は成分表示をよく確認し、適量を守って摂取しよう。

「調整豆乳」「豆乳飲料」であればシンプルに温めるだけ、「無調整調乳」であればゆであずきを入れておしるこ風、市販のコーンスープなどに溶かして使ってもおいしいです。そのまま飲むのであれば、無調整豆乳の方が低エネルギーでダイエットによいですが、入れる物によっては、調整豆乳の方が低エネルギーになる場合があるので、その点を考慮しながら選ぶとよいでしょう。
ダイエット中に意識したい!豆乳の正しい飲み方
豆乳を活用してダイエット効果を得るためには、「適切な摂取量」「タイミング」が大切。正しい方法を知ってダイエットに活かそう。
- 1日200ml~400mlを目安に飲む
- 飲むタイミングは「朝食前」がおすすめ

空腹時に飲む場合は、血糖値の急上昇を抑えるために「無調整豆乳」を選ぶのがおすすめです。
1日200ml~400mlを目安に飲む
豆乳の1日の適切量は明確には決まってないが、食品安全委員会の資料によると、大豆イソフラボン(大豆イソフラボンアグリコンとして)の1日の上限値は、閉経前(15〜59歳)・閉経後(50歳以上)の女性及び男性(15歳以上)が毎日飲むと仮定した場合の「70~75mg/日」とされている。
そのため、一般的に、1日の豆乳摂取量は「200ml~400ml」が目安となり、この量を1日2~3回に分けて摂取するのがおすすめ。
エネルギーの過剰摂取を防ぐため、1日の総摂取エネルギー量を考慮しながら、適量を守ることが大切。豆乳の栄養を活かしながら、バランスの取れた食生活を心がけよう。

ダイエット中はカロリーオフの豆乳を選ぶことで摂取エネルギーが抑えられます。一方で、商品によっては脂質量が多いものもあるため注意が必要です。エネルギー量と脂質量の両方を確認して選ぶようにしてください。
飲むタイミングは「朝食前」がおすすめ
豆乳に含まれる食物繊維が胃に膨張感を与えて満腹中枢を刺激するため、食前に豆乳を飲むことで食べ過ぎ防止になる。「食事の30分前」を目安にしてみよう。とくに、朝食前に豆乳を飲むことがおすすめ。朝食のタイミングでタンパク質を摂取すると1日の代謝を高めやすくなる。
また、就寝前の豆乳摂取も効果的で、豆乳に含まれる「トリプトファン」というアミノ酸には、良質な睡眠を促す作用がある。睡眠の質が向上すると、成長ホルモンの分泌がされやすくなり、「脂肪の分解」や「筋肉の修復」が効率的におこなわれる。

豆乳を飲むタイミングとしては、朝食にこだわらずとも「おやつ」「間食」の時間もおすすめです。14時から16時頃は脂肪の蓄積を促進する「BMAL1」という遺伝子タンパク質の働きが最も抑えられるため、飲むタイミングに迷ったらこの時間帯に豆乳を飲むのがおすすめです。
豆乳の飲みすぎによるデメリット
ここでは、ダイエット中に豆乳を飲みすぎた場合のデメリットについて解説。
- カロリーオーバーの可能性がある
- 栄養バランスが偏ってしまう
- 腸に負担がかかり下痢を起こす
- ホルモンバランスが乱れる可能性がある
カロリーオーバーの可能性がある
豆乳は健康的な飲み物だが飲みすぎるとエネルギー過多になることも。無調整豆乳の場合、「100mlあたり約40kcal」のエネルギーを含んでいる。
また、「調整豆乳」や「豆乳飲料」の場合は、砂糖が添加されているためエネルギー量がさらに高くなることも。豆乳を飲むことだけでなく、それ以外の食事のカロリーにも気をつけて「1日200〜400ml程度」に抑えよう。
栄養バランスが偏ってしまう
植物性タンパク質や大豆イソフラボンが豊富である一方、「ビタミンB12」「ビタミンD」などの栄養素は少なめ。また、「カルシウム」の含有量も牛乳に比べて少ない。
ダイエット中でも、バランスの取れた食事を心がけることは大切なこと。豆乳を取り入れつつ、ほかの食品からも必要な栄養素を摂取するようにしよう。
腸に負担がかかり下痢を起こす
豆乳に含まれる「食物繊維」や「大豆オリゴ糖」は、腸内環境を整える一方で、急に大量に摂取すると腸に負担をかけてしまう。そのため、飲みすぎると下痢を引き起こす可能性も。とくに「豆乳を飲み慣れていない人」「消化器系が敏感な人」は注意が必要。
下痢になると体内の水分やミネラルが失われ、かえってダイエットの妨げになってしまう可能性もある。また、豆乳の原料である大豆に対してアレルギーのある人も、下痢などの症状を引き起こすことも。
ホルモンバランスが乱れる可能性がある
イソフラボンは、体内で女性ホルモンのような働きをするため、大量摂取に気をつけよう。ただし、日常の食事で適量を守る限り、問題となることはほとんどない。
日本人の平均的な大豆イソフラボン摂取量は「1日約30〜50mg」とされており、豆乳1杯(200ml)には約25mgのイソフラボンが含まれている。1日1〜2杯の豆乳は、健康維持に役立つ量として取り入れられる。
ダイエット中に使い分けたい!豆乳と牛乳の違い
ここでは、「豆乳」と「牛乳」の違いについて、「カロリー」「栄養価」「効果」などのさまざまな観点から解説。
- カロリー(エネルギー)と栄養価の違い
- 腸内環境の改善効果の違い
- 美容効果の違い
- 筋トレをする場合は「牛乳」・カロリーオフしたい場合は「豆乳」
カロリー(エネルギー)と栄養価の違い
【カロリーの比較(200ml)】
- 無調整豆乳:約90kcal
- 牛乳:約120kcal
【脂質量の比較】
- 豆乳:約6g
- 牛乳:約8g
【タンパク質(量・種類)の比較】
- 量:豆乳が牛乳より約0.6gが多い
- 種類:豆乳は植物性タンパク質/牛乳は動物性タンパク質
豆乳は牛乳よりも「低エネルギーで脂質が少ない」。また、豆乳は「大豆イソフラボン」「サポニン」など、大豆特有の栄養素を含む一方で、牛乳は「カルシウム」「ビタミンB2」が豊富に含まれている。
腸内環境の改善効果の違い
豆乳に含まれる「オリゴ糖」や「食物繊維」は腸内環境を整えるために役立つ。
また、牛乳にはラクトース(乳糖)が含まれており、腸内細菌叢(腸内フローラ)に影響を与える。牛乳と豆乳には同じように腸内環境を整える効果があるが、乳糖をうまく消化できない乳糖不耐症の人は豆乳の方が取り入れやすい。
美容効果の違い
豆乳には「大豆イソフラボン」が豊富に含まれており、肌や髪の新陳代謝を高めるなど日々のスキンケアを助ける働きがある。また、「ビタミンE」には抗酸化作用があり、健康的な肌づくりに役立つ。
一方、牛乳には肌トラブルの予防に役立つ「ビタミンA」や、肌のハリをサポートする「ビタミンB群」などが多く含まれている。
ただし、肌の健康を維持するためには栄養バランスのよい食事で栄養素を過不足なく摂取することが大切。豆乳や牛乳は不足しがちな栄養素を補うための手段として活用しよう。
筋トレをする場合は「牛乳」・カロリーオフしたい場合は「豆乳」
豆乳は低エネルギーで植物性タンパク質が豊富なため、ダイエット中の栄養補給にも適している。
とくに、食事の間食として豆乳を取り入れることで、空腹感を抑えつつ不足しがちなタンパク質などの栄養素を摂取できる。また、朝食の一部として豆乳を飲むことで、1日の始まりの代謝を高める効果も期待できる。
一方、牛乳は運動後の筋肉の回復・成長に役立つ。ダイエットで適度な筋トレをおこなう場合は、運動後に牛乳を飲むとよい。ただし、摂取量には注意がしよう。朝食や運動後など、エネルギーを効率的に使える時間帯に取り入れるのがおすすめ。
ダイエットにおすすめの豆乳を使ったレシピ3選
ここでは、編集部おすすめの豆乳を使ったダイエットメニューを紹介。効率的に豆乳を使ってダイエット中の食事を楽しもう。
- あさりとキャベツの豆乳スープ
- 鶏もも肉ときのこの豆乳さっぱり胡麻サラダ
- 豆乳もち
あさりとキャベツの豆乳スープ
【材料】
- あさり水煮缶:50g
- 人参:20g
- キャベツ:30g
- しいたけ:15g
- 豆乳:100ml
- 鶏ガラスープの素:小さじ1
- 水:100ml
- 味噌:大さじ1/2
- 塩:少々
- こしょう:少々
【レシピ】
- 「人参」「キャベツ」は角切り、「しいたけ」はスライスに切る
- 鍋に「水」「1」「あさりの水煮」を入れ具に火が通るまで煮る
- 「豆乳」「鶏ガラスープの素」「味噌」を加え、塩こしょうで味を整える
編集部コメント

あさりには「ビタミンB12」「タウリン」が含まれています。タウリンには血液をさらさらにする効果があります。キャベツとあさりの組み合わせは、ストレス対策にもなります。
鶏もも肉ときのこの豆乳さっぱり胡麻サラダ
【材料】
- 鶏もも肉:150g
- しめじ:30g
- かぼちゃ:40g
- 水菜:30g
- ドレッシング
- 無調整豆乳:1/2カップ
- ポン酢:1/4カップ
- 白すりごま:大さじ1/2
【レシピ】
- ドレッシングの材料をすべて混ぜ合わせる
- 鶏もも肉は皮を剥ぎ、食べやすい大きさに切る
- しめじは割き、かぼちゃはスライス、水菜は食べやすく切る
- フライパンで鶏モモ肉を両面焼く。しめじ、かぼちゃはレンジで蒸す
- 器に「水菜」「4」を盛り付けて「1」をかける
編集部コメント

鶏もも肉を使い、腹持ちがよくさっぱりと食べられるようにしました。肉と豆乳からタンパク質が補えます。きのこには「食物繊維」「ビタミンD」といった栄養素も含まれ、便秘改善、余分なコレステロールや糖質の排出も手伝ってくれます。
豆乳もち
【材料】
- 豆乳:100ml
- 砂糖:大さじ1/2
- 片栗粉:大さじ1
- 水:大さじ1
- きな粉:適量
【レシピ】
- 豆乳に砂糖を入れて混ぜ、600Wのレンジで2分加熱する
- 水溶き片栗粉を入れよく混ぜ、600Wのレンジで1分加熱する
- 取り出したらよく混ぜる
- きな粉と砂糖を合わせたバットに適当な大きさにした「3」を絡める
編集部コメント

豆乳には脂質代謝改善に有効な成分の「サポニン」「レシチン」が含まれています。サポニンは、脂肪の吸収・蓄積を防いでくれます。また、レシチンには肝臓での脂質代謝に関わる成分で肥満のほか「脂肪肝」「肝硬変」の予防にもおすすめです。
ダイエット中の豆乳に関するQ&A
豆乳は「冷たいまま飲む」のと「温めて飲む」のではどちらがよい?
A:温めて飲むのがおすすめ

温かい飲み物を飲んで身体が温まると副交感神経が促進されてリラックス効果が得られるだけでなく、身体が温まり代謝の向上につながります。また、血流が促進されるため、臓器の動きが活発になります。一方、冷たい豆乳を飲むと胃腸の動きが鈍くなり、代謝が下がってしまうこともあります。
豆乳を毎日飲み続けても問題ない?
A:適量であれば毎日飲んでも問題ない

1日の適量を守って飲むのであれば、毎日の継続的な摂取は問題ありません。ただし、人によっては豆乳に含まれる成分がアレルギー反応を引き起こす可能性があります。カバノキ科花粉症の患者が豆乳を飲むと、これまで豆乳を飲んで異常がなかったのに、突然アレルギー反応が見られることも。少しでも異変を感じたらすぐに医療機関を受診してください。
豆乳が美容にいいというのは本当?
A:肌や髪の新陳代謝を促す効果が期待できる

豆乳に含まれるサポニンには、活性酸素を除去する働きがあります。また、イソフラボンに肌の健康をサポートする役割もあります。イソフラボン入りのスキンケア商品もありますが、食事からの摂取がおすすめです。
保育園での給食運営・食育指導の経験がある管理栄養士。しっかり食べながら、1年半で10kgのダイエットに成功した経験を生かし、ダイエット指導を行うほか、子どもの食や健康に関する記事の執筆や監修を行っています。食品メーカーのサイトや雑誌に執筆記事多数掲載。「親子のしあわせごはん」をテーマに、「取り分け離乳食」や野菜を使った簡単レシピの開発、飲食店へのメニュー提供、商品開発なども行っています。千葉県出身、2児の母。