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「なぜ?」から始まる教育。好奇心がひらく、これからの学びのかたち

社会のあり方が大きく変わりつつある今、教育の役割もまた再定義されようとしている。「学ぶ」のかたちが多様化するなか、「育てる」「教える」といった一方向の関係から、子どもが自ら考え、ウェルビーイングな生き方を切り拓く力が求められる時代へ。

リクルート スタディサプリ教育AI研究所の所長であり、東京学芸大学大学院の教授として教壇にも立つ小宮山利恵子さんは、多様な立場で教育に関わりながら、その可能性を模索してきた。

Wellulu編集長であり、企業や社会における「よりよく生きる」を探究している堂上研と、教育とウェルビーイングの交差点に立つ二人が語る、教育のあり方とは? そして、いま私たちに必要な“学びの姿勢”とは。

堂上が教授で授業を受け持つ経営情報イノベーション専門職大学(iU)でおこなわれた対談授業の様子をお届けする。

 

小宮山 利恵子さん

株式会社リクルート スタディサプリ教育AI研究所所長/国立大学法人 東京学芸大学大学院教育学研究科教授

東京都出身。国会議員秘書を経て教育分野へ転身し、ベネッセ会長秘書、グリー、オンライン学習サービス「スタディサプリ」を展開するリクルートなどで多様な立場から教育とテクノロジーの接点に取り組む。リクルートでは次世代の教育研究をリードする傍ら、大学での教鞭や政策提言にも力を注ぐ。韓国・チュニジア・アメリカへの留学経験を持つ、グローバルな教育研究者。

堂上 研

株式会社ECOTONE 代表取締役社長/Wellulu編集長

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集長に就任。2024年10月、株式会社ECOTONEを立ち上げる。

https://ecotone.co.jp/

目次

任せて、信じて、見守る。教育の原点は「経験」の中にあった

堂上:本日はよろしくお願いします! 小宮山さんとお会いするのは、10年以上ぶりですかね!? けれども、お互いSNSで繋がっていたので、なんか常にお会いしていた感じです。まずは、小宮山さんの自己紹介をお願いできますか?

小宮山:よろしくお願いします。私は今、リクルートで「スタディサプリ教育AI研究所」の所長をしています。もともとは大学院を卒業後、国会議員の秘書を4年半ほど務めていました。

堂上:当時から教育に関心があったんですか?

小宮山:はい。私は母子家庭で育って、奨学金で高校、大学、大学院まで進学しました。だからこそ、経済的に厳しい環境にいる子どもたちにも教育のチャンスを届けたい、という思いがずっとありました。それが原点ですね。

結婚を機に秘書の仕事は辞めましたが、夫も同じ業界にいたので、しばらくは選挙活動などのサポートを続けていました。全国を飛び回るなかで、たくさんの人と会い、現場で感じ取ることの大切さを学びました。今の仕事にもすごく活きています。

堂上:子どもの頃の経験が、今の取り組みにもつながっているのですね。もう少し詳しく伺いたいのですが、子どもの頃って、どんなタイプだったんですか?

小宮山:小学4年生までは、先生の話も聞かず、外で遊んでばかりいるような子でした(笑)。自転車を乗り回して泥だらけになって遊んだり、家ではゲームばかり。勉強は正直、まったく好きじゃなかったですね。

堂上:それは意外です! ご家族から「勉強しなさい」と言われなかったんですか?

小宮山:言われてたと思いますが、基本的に無視していました(笑)。でも、5年生のときに転機が訪れたんです。担任の先生が変わって、「利恵子さんはこのままでいいですよ。一生懸命遊んでいれば、将来きっと大成します」と私の前で母に言ってくれたんです。

堂上:それは素敵なエピソードですね! まさに“受け入れる教育”ですね。Welluluの取材でも、子どもに「こうしなさい」と親が言うより、ほったらかしが良かったと。子どもは子どもで、考えているのだから、勝手に育っていく。信じて、待つことの大切さを語る方が多いです。

小宮山:そう思います。そのとき初めて、「自分を認めてもらえた」と感じました。そこから、自然と勉強にも向き合えるようになったんです。

堂上:ご自身の子育てについても、ぜひ聞かせてください。息子さんは高校3年生でしたよね?

小宮山:はい。私に似てゲームが大好きで、中学2年生の夏までは1日7〜8時間プレイしてました(笑)。でも、私は「やめなさい」と言わず、むしろ応援してました。ゲーミングチェアやキーボードも用意して、環境を整えてあげていたくらい。

堂上:えっ、まさかの応援してたんですね! 親としては心配になってしまいがちですが……。

小宮山:はい(笑)。今のゲームは、オンラインで世界とつながれるので英語の練習になったり、学校の友達と帰宅してからもコミュニケーションできたりという良い側面もたくさんあります。ただし、半年ごとにルールを一緒に決めて、破ったら罰則を設けるという仕組みにはしていました。

堂上:ゲームばかりに時間を取られてしまうと、ほかの勉強やら、スポーツやら、そのタイミングでやるべきことができなくなりますが、どうされていたのですか?

小宮山:中学2年生の夏、サマースクールに1週間参加したんです。スマホもゲームも一切触れない環境で過ごして、帰ってきた日に息子が言ったんです。「ママ、勉強の生産性が高いことがわかったから、僕は勉強するよ」って。それからは、ゲームの代わりに勉強に7〜8時間集中するようになりました。

堂上:それはすごい……自分で気づいたんだ! 自分で気がついて、自分で行動を変える。転機が訪れるときってあるんですね。

小宮山:そうなんです。「親が口出ししない」「期待しない」「信じて待つ」。これが、本人のスイッチを入れるんだと思っています。高校受験のときにも、私はほとんど口出ししませんでした。それどころか、リモートワークを活用して沖縄でダイビングしてましたよ(笑)。月の半分ほど、沖縄で過ごしてたんです。

堂上:本当に、ほったらかしてるじゃないですか(笑)。でも、干渉しなかったからこそ、息子さんが自分自身で考える“余白”が生まれたのかもしれませんね。

小宮山:もちろん、家庭の状況や子どもの性格にもよると思います。サポートが必要な子ももちろんいます。我が家の場合は、学習習慣がついていたこともあり、ある程度放っておいたことが息子のためになったのだと思います。

堂上:なるほど。子どもの個性によって、近くにいてほしい子もいるし、放っておいたほうがいい子もいる。その見極めが大事なんですね。

肩書きを越えて学び続ける。“生きること=学ぶこと”の実践者

堂上:そんな小宮山さんが、今リクルートで教育に携わっている経緯も教えてください。

小宮山:もともと教育に携わりたくて、ベネッセに入りました。子どもが生後6カ月のときだったのですが、育児で塞ぎ込み気味になっていたので、社会とのつながりが欲しかったんです。

その後は、ソーシャルゲーム企業のグリーに転職し、社長室や経営企画などを経験しましたが、やっぱり教育にしっかり携わりたいと思って。副業でライターをしていたときに、リクルートの初代フェロー・藤原和博さんや、スタディサプリの創業者・山口文洋さんと出会ったことがきっかけで現職に至ります。

堂上:ご縁って、本当に大切ですよね。

小宮山:そう思います。スタンフォード大学の社会学者が発表した「弱いつながりの強さ」という理論があるのですが、まさにその通りで。「人生のチャンスはちょっとしたきっかけで回り出す」と実感しました。

堂上:Welluluも、まさにその“ゆるいつながり”でここまできてるんですよ。紹介に紹介が重なって……という連鎖で、もう200人近くの方にお会いしています。

小宮山:すごいですね……! 今日こうして堂上さんと10年ぶりぐらいに再会できたのも、その流れで生まれたことなんですよね。ありがたいです。

堂上:それにしても、小宮山さん、肩書きが多すぎませんか(笑)?

小宮山:今は、リクルートのスタディサプリ教育AI研究所の所長、東京学芸大学の教授、東京海洋大学の大学院生。あとは「またぎ」、つまり鹿やイノシシの狩猟もやっています。リクルートは年間平均週休約3日制(※)なんですよ。その3日目を好きなことに費やせるので、新しいことにどんどん手を出しています(笑)。
※会社休日及び年次有給休暇の計画的付与による指定休5日を含む

堂上:またぎ!? 狩猟って資格が必要なんですよね?

小宮山:はい。免許を取りました。鹿児島や栃木で実践もしています。ほかには寿司職人の見習いとして、2023年には店舗で4カ月修行し、その後半年間は寿司学校にも通いました。

堂上:「学ぶこと」を楽しんでいるのが伝わってきますね。

小宮山:そうなんです。学びが私にとっての息抜きにもなってます。私自身、学びがあるから心が整うなと改めて感じました。

堂上:仕事と生きることが、一体化してるのですね。ウェルビーイングな生き方をしている人は、オンとオフの境目がなくなっている人が多いように思います。

小宮山:そうですね。気づきがあると、それが自然と学びにつながっているんです。私は「先生」と呼ばれるとおごりが出そうになるので、常に初心者でいられる領域・環境に関心があります。ですから、どんな新しいことでも面白がれます。

堂上:「先生」と呼ばれても、それに甘んじない姿勢があるからこそ、学びが続くんですね。昔から好奇心旺盛で、行動力があったのですか?

小宮山:大きな転機は、大学2年生のときの韓国留学でした。当時はお金がないから留学は無理だと思っていたのですが、ゼミの先生に勧められて交換留学に応募してみたんです。そうしたら、じつは応募者が私しかいなくて(笑)、運良く合格! 奨学金も獲得できて、その経験で「手を挙げなければ、何も始まらない」と気づきました。

堂上:手を挙げないと気づけないことってたくさんありますよね。僕らもよく「行動した人だけが見える世界」の話をしています。そのときの小宮山さんが、手を挙げたから、今の小宮山さんに繋がっている。

小宮山:そうなんです。その後、チュニジアにもアラビア語留学に2カ月行きました。これも友人と一緒に応募したのですが、受かるために根気よくリサーチを続けて、戦略を練って、無事二人とも合格したんですよ。

堂上:気づきを得てから、挑戦と学びを続けているのは素晴らしいです。その一歩が次のチャンスにもつながっていくのですよね。

小宮山:私は「ひとつのことをずっと続けなきゃいけない」と思うとつらくなるので、違うなと思ったら少し休んで別のことをして、また戻る。同時並行でいくつも動かしています。

ただ、軸は常に「教育」にあります。またぎを始めたのも、ジビエが好きで自分で食べるだけではなく「生産者側の視点に立ちたい」と思ったからです。日本のこれまでの教育は消費者視点が多いですが、生産者の視点を持つことも大切だと考えています。狩猟免許を東京都で取得し、鹿やイノシシの現状を学ぶなかで、捕獲した動物の約5%しか流通せずほとんどが廃棄されていることを知り、どのような課題があるのかをリサーチしています。食育の視点からも貴重な学びになっています。

「なぜ?」が好奇心の扉を開く。「探究心」がつながりを広げていく

堂上:「好き」って気持ちはどこからくるんでしょうね。人って、何かを好きになるとき、最初から夢中なわけじゃなくて。ちょっとした興味から“飛びついてみる”っていうのも大事ですよね。

小宮山:本当にそう思います。私はなんでも興味が湧いちゃって、そこから体系的にちゃんと勉強したくなるんですよね。

たとえば「日本酒」について。すごく美味しいお酒がどんどん増えてきていますが、地域によって味や香などさまざまです。どうしてだろう? って気になってからは調べずにはいられなくて。気づけば、利き酒師の資格を取り、今は審査員までやっています(笑)。

堂上:すごい……! というか、やっぱり新たな肩書きが出てきました。そこも、やっぱり「なぜ?」って疑問が出ると、深堀りしたくなるんですね。

小宮山:そうなんです。「なんで? どうして?」と頭に“?”マークが浮かんだら、もう探究スイッチが入っちゃいます(笑)。

堂上:小宮山さんが出された著書『好奇心でゼロからイチを生み出す「なぜ? どうして?」の伸ばし方』(2025年/Discover)でも「問いを立てることの重要性」が語られていますよね。小宮山さんご自身がまさに「なぜ? どうして?」の人だなと感じました。

小宮山:おそらく1日100個以上「なぜ?」が浮かんでいると思います。たとえば、今日もここ(iU)に来るまでに、スカイツリーを見て「なんであそこに建ったの?」「押上駅が「東京スカイツリー駅」と併記されてるのって、間違う人が多いからかな?」とか、常に疑問だらけ。脳内がはてなマークでいっぱいです(笑)。

堂上:まさに、この本でも書かれている「AI時代を生き抜く“0→1(ゼロイチ)力”」ですね。気づく・対話する・探究する・行動する・失敗する。これらの力は、どれもこれからの時代に必要だと感じます。

小宮山:私は東京学芸大学のアントレプレナーシップ論の講座の中で「失敗」をテーマにした授業を毎年実施していて、授業一コマ分100分かけて失敗について話すんです。かつては「いかに早く正解にたどり着くか」で評価されがちでしたが、今は違います。早くトライして失敗して、改善していく。失敗はネガティブじゃなくて、この繰り返しのプロセスこそが学びの種なんです。

堂上:ある起業家も「やり続けてる限り、失敗は失敗じゃない。やめた瞬間が“失敗”なんだ」と言っていました。

小宮山:おっしゃるとおりですね。それに、いろいろなことに挑戦していく中で過去の失敗を学習し、新たな挑戦でもそれが活かせます。

堂上:どんどんいろいろなことに挑戦できる環境がある、そして失敗を失敗ではなく、成長につなげる。まわりは失敗に寛容である。このサイクルは重要ですね。

そんな中、いろいろ挑戦しているから、いろいろなコミュニティに所属する。多くのコミュニティに所属している人ほど幸福度が高いというデータがあるんです。

たとえば小学生が「学校」と「家庭」しか居場所がないと、学校でつまずいて、さらに家庭でも「学校行きなさい」って言われちゃったら、居場所がなくなってしまいます。小宮山さんのようにいろいろなことに興味を持って、複数のゆるいつながりを持っていると、選択肢が生まれますよね。

小宮山:すごく納得します。ちょうどこの前インスタライブでも、視聴者さんから相談されたときに「コミュニティを複数持ってください」と話しました。

堂上:自分が興味関心のある場所がいくつかあると、無理せず行き来できるんですよね。

小宮山:合わなかったら抜けてもいいし、また入り直してもいい。そのときの自分に合った場所は変わってくるものです。それに、1回しか会っていない人が、思わぬご縁をつないでくださることもよくあります。だからこそ、“ゆるいつながり”は大切にしていきたいですね。

「時間は命」。相手の時間をいただくことに誠意を持つ

堂上:とはいえ、またこうして10年ぶりに再会できるのも、不思議なご縁ですよね。時間を経て、またつながるのも面白い。

小宮山:本当ですね。でも私は「会いたい人」に無理して会いに行くことはしないようにしているんです。20代の頃は、会いたい人がいたら無理してでも会いに行こうと頑張っていました。でも結局、自分がその人と対等に付き合えるステージにいないと、対等な関係にはなれないとわかったんです。

堂上:たしかに。ご縁は、自分の努力や成熟度に比例して拓けていくのかもしれません。

小宮山:実力が伴ってないと、ただ挨拶だけで終わってしまうんですよね。それに気づいたのが、30代になってからでした。だから無理に会おうとはしなくなりました。「時間をいただく」ということは、「命を費やしていただく」ことですから。

堂上:時間は命……素敵な解釈ですね。「時間は命」という考えに至った背景があるのですか?

小宮山:私は、自分自身が一度「死んだ」と思ってるんです。父がすごく暴力的で、アルコールとギャンブルにも依存していて。小学生高学年のときに、父にテレビを投げつけられて、額を大きく切って救急車で運ばれたことがあって……その時、「あ、もう自分は一度死んだ」と思ったんです。

堂上:それは……壮絶ですね。

小宮山:だから、今の私は“第二の人生”なんです。 この後、もし車に轢かれて死んでも、全く後悔はない。それぐらいの感覚で生きています。もちろん、会社や家族、友人など迷惑をかけたくない相手はいますが、私自身としては、やりたいことは全部やって生きている。だから、悔いはありません。

堂上:今がいちばん充実しているんですね。

小宮山:そうかもしれません。ですから、今日こうしてお会いすることも、いただいた時間に対して“何か持ち帰ってもらいたい”という気持ちがとても強いです。

堂上:その感覚、本当に大事ですよね。楽天でCWOをしている小林正忠さんが、以前「三間(さんま)」を重要視していると話されていました。「仲間・時間・空間」の3つの間で「三間」。仲間や時間、空間には、間・余白が必要だという考えですね。

小宮山:いい言葉ですね。私は「発信」も心がけています。自分の考えを言葉にすることで、自分自身が学ぶきっかけにもなりますし、そこから新たな出会いも生まれます。

堂上:行動する・手を挙げる・発信する。そのすべてが“セレンディピティ”を生むんですよね。これは「計画的偶発性理論」にも通じます。小宮山さんは、それを“素”で実践されてますよね。

小宮山:動いてないと、体調が悪くなるんです(笑)。仕事と学びと遊びが三位一体になっていて。人から見たら「遊び」に見えることも、私にとってはすごく真剣にやっている“仕事”ということもよくあります。たとえば寿司職人、またぎ、利酒師。どれも人間の感性が問われるもので、AIには置き換えられないことばかりなんです。

堂上:なるほど。小宮山さんが興味を持つものって、全部「人との会話」や「人の温度」がある気がします。だからAIには置き換えられない。人間ならではの“変数”を楽しんでいる感じですね。

「運」を引き寄せる感謝の習慣

堂上:小宮山さんにとって「ウェルビーイング」とはどんな状態でしょうか? 今、何をしているときが一番楽しいですか?

小宮山:なんでも楽しいんですよ(笑)。旅、食、動画、寝る、散歩……。ただ、人に迷惑かけないっていうのは大前提ですけど。

堂上:日常生活のなかで、イラッとすることはないんですか?

小宮山:もちろんありますよ(笑)。でもそういうときは「自分の伝え方が悪かったかな」とか、「確認不足だったかな」と振り返るようにしています。あとは神社に行く。今日も朝、行ってきました。

堂上:神社、お好きなんですね。僕も毎年伊勢神宮にお礼に行ってます。やっぱり感謝って大切ですよね。

小宮山:好きです。神社にお参りする際は、「ありがとうございます」という“感謝”から始まりますよね。母からも「謙虚でいなさい」と言われて育ったので、感謝の気持ちは忘れないようにしています。私の周りにも、神社に通ってる人は多いんですよ。感謝する習慣があると、人間関係も自然とうまくいくのかなって。完全に私の妄想ですけど(笑)。

堂上:わかる気がします! しかも、それって「運がいい人の特徴」にも通じますよね。僕が対談した方も、運がいい人が多いです。そして運がいい人って、やっぱり「行動」しているんですよね。

小宮山:「運ぶ」と書いて“運”ですからね。やっぱり、動いていると運もやってきてくれる気がします。

「1億総ヒマ社会」で自分らしく生きられるように

堂上:最後に、小宮山さんが描くこれからの社会像を聞かせてもらえますか?

小宮山:個人的な妄想ですけど、AIの進化で午前中で仕事が終わる人が増えて、午後は「1億総ヒマ社会」になるんじゃないかと。そんなときに、個に応じた学びやエンタメを提供できる社会があったら素敵ですよね。一人ひとりが「いきいきと生きる」ためのサポートがしたいです。

堂上:めちゃくちゃ面白い! その社会で何か一緒にできたら嬉しいです。

小宮山:ぜひ一緒にやりましょう。ただ、普段はあまり将来のことを考えていなくて。運で生かされていると思っているので、自分自身にもあまり期待していないんです。「今、どう動くか」に全力集中してますから。それが結果として、自分や周囲の人にとっての力につながればいいなと思っています。

堂上:だからこそ、運を引き寄せてるし、今を思い切り楽しめているんですね。このままの生き方を貫いて、100歳になっても同じ会話をしてる気がします(笑)。

小宮山:たしかに(笑)。

堂上:今日は本当に、たくさんの気づきと元気をいただきました! 小宮山さんの問いを持ち続ける姿勢や、遊ぶように学び続ける姿に触れて、これからの教育や社会のあり方に大きなヒントをもらえました。“ゆるいつながり”の大切さや、「今をどう生きるか」に集中する姿勢は、まさにウェルビーイングの本質だと思います。どうもありがとうございました!

小宮山:こちらこそ、ありがとうございました!

堂上編集長 後記:

小宮山さんとはじめて出逢った日は、鮮明に覚えている。僕がはじめて「博報堂の中で考えた教育事業」のパートナーとして文科省からご紹介いただいた。

そのときも小宮山さんは、運動靴でエネルギッシュな感じで動き続けていた。この日も、同じように運動靴で押上駅から15分くらい歩いて、iUまで足を運んでくださった。

彼女の肩書きは10を超えるだろう。そして、それらは全てコミュニティを持っており、本気で向き合っている。すごいパワーだ。しかも、僕らからしたら、全部の領域が重なっていないように感じるから、突拍子もなく新しいことを常に探究しているように思う。

けれども、彼女の頭の中では、全部繋がっているし、学び続けることにウェルビーイングを感じているのだろう。

ウェルビーイングな人は、周りもウェルビーイングにする。小宮山さん、素敵な時間をありがとうございました。

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