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良質な睡眠はウェルビーイング生活の出発点!睡眠不足で経済損失も?日本社会の睡眠問題とは

ブレインスリープ

Wellulu編集部は、最新の睡眠医学の知見と先進のテクノロジーを掛け合わせ、睡眠の質を高める寝具やデバイス開発、企業の睡眠コンサルティングを手がける株式会社ブレインスリープを訪ねた。

ウェルビーイングな暮らしを送るうえで、「良質な睡眠習慣」は全ての土台といっても過言ではない。しかしながら、長年ずっと、日本人の平均睡眠時間は他の先進国と比べて最低ラインであることをご存じだろうか。

睡眠不足に陥るとなぜウェルビーイングな暮らしは遠ざかるのか。そして、日本人はなぜこうも眠らないのか。睡眠の質を高めるおすすめのワンポイントアドバイスもあわせて、同社代表取締役CEO・廣田 敦さん、執行役員 兼 ブランドコミュニケーショングループマネージャーの坂村 愛実さんに話を聞いた。

睡眠不足が脳・カラダ・心に与える恐ろしい悪影響

ブレインスリープ

- でははじめに、ブレインスリープの事業内容を教えてください。

廣田:ブレインスリープは、睡眠医学の知見と、先進のテクノロジーを掛け合わせて脳と睡眠を科学するソリューションカンパニーです。

「睡眠」というテーマに特化し、ピロー(枕)やマットレス・睡眠データを計測できるデバイスやアプリなどのオリジナルプロダクトを販売。そのほか、企業やクリニック向けの睡眠コンサルティングなども実施。人々の睡眠課題を解決し、人や社会の可能性を目覚めさせることを目指しています。

- 私たちは睡眠不足に陥ると、カラダや心はどのように変化するのでしょうか?

廣田:睡眠は、単に体を休めて疲れを取るだけではなく、脳を休息させ、記憶を整理・定着、ホルモンバランスを調整し、免疫力をアップさせます。よって睡眠不足に陥ると、筋肉や肌などが再生されず、その人が本来もっている若さを保つことができなくなります。

坂村:睡眠時間が短くなると、レプチン(食欲抑制ホルモン)の分泌が低下し、グレリン(食欲増進ホルモン)の分泌が増えることが示されています。つまり、睡眠時間が短いと食欲に関するホルモンのバランスが乱れて食欲が増進してしまい、肥満につながりやすいと考えられます。

坂村 愛実

- 不健康なカラダの状態だとウェルビーイングが遠ざかってしまいますね……。

廣田:それだけではありません。睡眠不足になると些細なミスが増えてしまいます。実際にとある研究では、6時間睡眠を2週間続けたところ、日本酒を1〜2合相当の「酔っぱらい状態」まで認知機能が低下するというデータが示されています。そのため、睡眠不足の状態でミスが増えるのは至極当然ともいえます。

坂村:メンタルヘルスへの影響も大きいです。私たちは寝ている間に副交感神経が優位になることによって、心身ともにリラックスでき、日中にすっきりとポジティブな気持ちを保つことができます。

しかし、睡眠不足によりこうした交感神経と副交感神経のバランスが取れなくなってしまうと、ネガティブな気持ちや雑念が湧き出やすくなり、イライラや不安感、焦燥感が増幅してしまうのです。

日本人に根付いている“寝ずに働く”という美徳意識

廣田 敦

- 睡眠に対する意識は年々増している印象ですが、実際はどうなんでしょうか。なにか調査データがあれば教えてください。

廣田:弊社では2019年の創業時から毎年、全国47都道府県の1万人を対象に『睡眠偏差値®』調査を実施。この調査では、睡眠負債や睡眠習慣などに加えて、生産性やストレスの度合い、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクなどを総合的にスコアリングしています。

調査をしてみると、2023年の平均睡眠時間は6時間43分。2020年から2022年は平均21分増加しましたが、2023年は-5分となり2021年と同じ睡眠時間に戻っています。OECD加盟国の平均睡眠時間が8時間25分であることと比べると、世界でもまだまだ最低レベルだといえます。

- 最低レベル……。

坂村:男女別に睡眠の質の悪化につながっている原因を主観的に回答していただくと、自身の睡眠の質が「わるい」もしくは「非常にわるい」と回答したのは1万人のうち4,287人も。その原因として考えられるものを回答していただくと、男性が1位「仕事の内容」、2位「職場の人間関係」、3位「労働時間が長いこと」とトップ3位は全て仕事関係でした。

一方で女性は、1位「仕事の内容」、2位「職場の人間関係」は男性と同じですが、3位は「ホルモンバランスの変化・乱れ」となり、女性ならではの生理・妊娠出産・更年期などの原因が睡眠の質に影響を与えていることが分かりました。

- しかし、なぜこうも日本人の睡眠時間や睡眠の質は低いのでしょうか? 日本社会に存在する睡眠課題の本質的な要因を捉えないとなかなかウェルビーイングな暮らしに近づかないのではと思うのですが、なにか考えられる原因はありますか?

ブレインスリープ

坂村:昔、「24時間、戦えますか。」というキャッチコピーが流行ったことをご存じですか? この言葉が示しているように、過去の成功体験から『とにかく寝ずに働くこと』が日本人の美徳として根付いたのではないかと考えています。

廣田:24時間営業のお店が多いことも要因と言われています。もちろん以前と比べると睡眠に対する意識はアップデートされていますが、それでも日本人の根底にある文化やマインドはなかなか根深いものなので、そう簡単には変えられないものだとも思います。

睡眠不足による経済的損失は甚大。眠らないと損するという事実

ブレインスリープ

- 一人ひとりが睡眠の質を高め、よりウェルビーイングな毎日を送るために何がボトルネックだと思いますか?

廣田:難しいテーマですね。まずは個々が自分の睡眠に向き合いその人にあった対策をみつけることも大事だと思っていますが、それだけでなく、企業や社会全体での意識改革も重要だと感じています。

坂村:会社にパワーナップ(昼寝)を良しとする文化がない場合、他の社員が働いている横で堂々と仮眠を取れるかというとなかなか難しいですよね。どうしても周りの反応は気にしてしまうわけで。だから、個人・チーム・経営陣・から企業全体とどのレイヤーでも睡眠の重要性を理解していく必要があると思います。

- 日本の会社はまだ従業員の睡眠に対する意識が低いと?

廣田:会社によって、従業員の睡眠課題への取り組みは差が開いている印象ですね。従業員がウェルビーイングであるかどうかが仕事の生産性に直結していると気づいている会社はいち早く取り組まれていますが、まだ自覚がない会社は昔と価値観が変わっていないのではないかなと。

- では、企業側の睡眠に対する認識を変えるために有効だと思うアプローチはなんでしょうか?

坂村 愛実

坂村:「睡眠不足によって発生する経済的損失は大きい!」ということを“知る”ことが一番ではないでしょうか。

プレゼンティズム損失コストと呼ばれる、従業員の体調不良やパフォーマンスの低下によって失われるコストに占める「睡眠不足」の割合は、生活習慣指標の中でもっとも大きいというデータ※も。なんと睡眠不足の人はそうでない人と比べて、年間約33万円の損失があるといわれています。

また、弊社の調査によると、睡眠時間が平均以下の人の約40%が「眠くて仕事が進まないことがある」と回答。直近一週間において、出社するのが憂鬱だと感じることが多い人ほど睡眠スコアが低い傾向にあることも分かっています。

※ 参考元:経済産業省『企業の「健康経営」ガイドブック ~連携・協働による健康づくりのススメ(改訂第1版)~ 図35』より

廣田:これまで以上に日中のパフォーマンスと睡眠の質についての関係性が明らかになると、より一層、忙しいビジネスパーソンでも自身の睡眠の質向上に取り組んでいただけるのかなと考えています。

ブレインスリープの二人が睡眠の質を上げるために心がけていること

ブレインスリープ

- では、日ごろ「睡眠の質」に向き合っているお二人は、ご自身の睡眠の質を高めるためにどんなことを意識・実践されていますか?

廣田:自分のなかで「睡眠に入るスイッチ」を作るようにしています。

例えば、寝室に入ったらスマホを見ないとか、寝る前には必ずパジャマに着替えるようにする、女性であれば香りものを一度シュッと部屋にかけてから寝るなど。特別に凝ったことをする必要はありません。ひとつ決めておくことで、ルーティンによって脳が自然と寝るモードに切り替わってくれます。

坂村:私には小さい子どもがいるのですが、子どもが小さいとなかなかまとまった時間を確保することってできないですよね。だから、質勝負でいくしかない!とまず考え方を変えています。

あとは、短い睡眠時間でも質を高めてくれる“お守り”のような情報や寝具グッズを集めています。例えば、1分1秒でも早く寝たいときでも、お風呂に入ってから睡眠したほうが眠り始めが深くなり睡眠の質が良くなるというデータがあります。このような安心材料となる情報や寝具グッズを揃えておくことを意識していますね。

- ブレインスリープの枕はどのような点で睡眠の質向上につながるのですか?

ブレインスリープ

廣田:睡眠の質を高めるには、寝始めの90分「黄金の90分」がしっかり深く眠れることが非常に大切です。「黄金の90分」を深く眠るためにはカラダの深部体温を下げること。

深部体温とは脳や臓器の温度であり、質の良い睡眠のためには通気性の良い寝具を使用することが重要です。弊社の枕は、90%以上が空気層でできているため通気性が良く、熱や湿気がこもらず、脳の深部体温を下げることができます。

坂村:触っていただくと分かるのですが、横方向には真ん中が一番柔らかくて、外に向かうにしたがって7つのグラデーションで硬くなっていく構造です。縦方向には頭の大きさや重さにあわせてフィットするアジャスト層、頭や首をしっかり支えるサポート層、下からも空気が抜けるベース層の3層から構成されています。

この構造によって、使用開始から最初の7日間でそれぞれのお客様の頭の大きさや重さにあわせ、オーダーメイドにフィット。自分だけの枕に変化していきます。

廣田:そのほか、ポリエチレンの素材のため、シャワーでまるごと洗うことが可能。衛生状態も保つことができます。

- 「睡眠の質」と言いますが、個人で客観的に測るにはどうすればいいのでしょうか?

ブレインスリープ
ブレインスリープ コイン(アイボリー)

廣田:今は睡眠データを計測するデバイスが数多く販売されていますので、どれかを試してみるのがおすすめです。弊社でいうと「ブレインスリープ コイン」のデバイスとアプリ。主な計測項目は、パーソナルな睡眠リズムや睡眠時の寝姿勢、寝床内温度の計測、いびきや環境音の録音・解析などです。

ブレインスリープ コイン

坂村:デバイスはクリップ状になっているため、ウエスト部分につけることで毎日計測されていきます。「スリープスコア」と呼ばれる睡眠の評価点が記録され、スコアは一定貯まっていくと枕などの弊社の商品やサービスと交換することも可能です。

- 最後に、睡眠の質が悪くウェルビーイングな生活から遠ざかっている人に届けたい言葉はありますか?

ブレインスリープ

坂村:睡眠の質は、起床してからどんな行動を取るかでその日の睡眠が変わるといわれています。理想は毎日決まった時間に起きること。

そうでなくても、起きたら必ず太陽の光を浴びると、約14~16時間後に眠くなるホルモン(メラトニン)が分泌されるように私たちのカラダは作られています。だから、まず一つでもいいので、その日の夜にぐっすり眠るための行動にトライしてみてください。

廣田:大人になると考えなければならないことも増えますし、いろんな付き合いも増え、睡眠時間や質に目を向けることが難しい事情もきっとあるはずです。そんな人は、「カラダの調子が良かった時」を思い出してみてください。

睡眠不足が慢性化してくると、自分の本調子がだんだん分からなくなってしまいます。だから意識的に自分がウェルビーイングだった時期を思い出して、やっていた行動や習慣を振り返る。人によっては、筋トレしたほうがすぐ眠れるという人もいれば、お酒を飲まずに寝ると質が改善されるという人もいます。

坂村も言っているように、“まずは小さな変化を起こしてみる”ことで、一歩ずつ睡眠の質は改善され、忘れかけていたウェルビーイングな朝を取り戻すことができるのではないかと思います!

ブレインスリープ

廣田 敦さん

株式会社ブレインスリープ 代表取締役CEO

2010年、化粧品会社に入社。ブランド戦略および広報責任者を経て、執行役員に就任。健康に直結する睡眠領域に魅力を感じて2022年株式会社ブレインスリープに入社し、同年11月、代表取締役社長に就任。

坂村 愛実さん

株式会社ブレインスリープ 執行役員 兼 ブランドコミュニケーショングループマネージャー

2010年、化粧品会社に入社。ブランドマネージャー・PR責任者を経て、2019年株式会社ブレインスリープに入社。広報業務を含む、企業全体のブランドコミュニケーションを担当。

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