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6時間睡眠では不十分?忙しい毎日を改善するなら、まずは睡眠時間の確保から【快眠タイムズ】

睡眠は私たちの生活の基盤を支える大切な要素。しかし、忙しい現代社会では睡眠時間や質が軽視されがちで、これが日中のパフォーマンスやライフスタイルに影響を与えることも少なくない。本記事では、快眠タイムズ責任者・上級睡眠健康指導士の加賀さんに、睡眠と満足度の関係や運動技能や記憶への影響、さらには手軽に始められる睡眠環境の見直しについてお話を伺った。忙しい中でも簡単に取り組める実践的なアドバイスが満載。

加賀 照虎さん

上級睡眠健康指導士(第235号)

3,000万PV超の睡眠メディア「快眠タイムズ」を運営。 世界経済危機から夫婦の痴話喧嘩まで、世の中のありとあらゆる諸問題の原因は睡眠にあると考えています。大袈裟な話ではありません。それほど睡眠の良し悪しが人の行動に影響を与えているのです。だからこそ、より良い生活のために、より良い睡眠が大切となるのです。ではどうやって睡眠を良くするのか?その方法をご紹介しています。

本記事のリリース情報
【メディア情報】Webメディア「Wellulu」にてインタビュー取材を受けました。
Webメディア「Wellulu」にてインタビュー取材を受けました。

目次

重要なのは日中より夜の時間を見直すことから!

──早速ですが、加賀さんが考えている「睡眠と満足度」の関係について教えていただけますか?

加賀さん:私たちが考えているのは、睡眠改善が日中のパフォーマンスや満足度に直結するということです。睡眠不足が日中の集中力や気分を低下させ、仕事を含むライフスタイル全般に悪影響を与えます。そして、それがまた夜の睡眠の質を下げるという悪循環に陥るケースもあります。

その一方、しっかり睡眠時間を確保することで日中の気分や作業効率が上がり、ライフスタイルが充実し、最終的には睡眠の質も上がるという好循環が生まれるんです。

ここでポイントなのが、ライフスタイルの充実感を上げるためには、まず睡眠への不満を解消して欲しいということです。

──まずは夜の時間を改めることが大切なんですね。ただ仕事が忙しく睡眠時間や質に悪影響が出ている人も多い印象があります。現状についてどう感じていますか?

加賀さん:特に都市部で働く方などは朝早くから出社し、帰宅が遅くなるケースが多いです。その上、ストレスやプレッシャーも重なり、睡眠が後回しになっているケースをよく見ます。そうした環境の中でも、夜の過ごし方を意識して、心身を休める時間を確保することが、実は翌日の活力に大きくつながるのです。

実際に私も若い頃はそうでした。

──そうなんですね。具体的にどのような状況だったのですか?

加賀さん:大学を卒業して働き始めた頃は、まさに「睡眠軽視」の典型例でした。仕事が終わるのは夜10時過ぎ、金曜日には飲み会が入れば帰宅は11時や12時になることも。その結果、就寝は1時頃になり、睡眠時間は平均5〜6時間ほどでした。当時はそれが普通だと思い、特に疑問を持つことなく過ごしていました。

しかし今振り返ると、5〜6時間睡眠では足りなかったんです。

午前中の眠気や、ランチ後の疲労感を抱えながら仕事をしていましたが、それがパフォーマンスの低下に繋がっていたことに気づいていませんでした。

当時の私には睡眠の知識もなく、自己管理を怠っていたのです。

──その生活を何年くらい続けていたのですか?

加賀さん:約1年ほどその生活を続けていました。新卒の頃はエネルギーに溢れていると思い込んでいましたが、実際には疲労が蓄積し、知らず知らずのうちに身体を酷使していたんだと思います。脳の回復が不十分な状態だと、集中力や判断力が低下するという研究もあります。その頃の私は、仕事の効率や精度が落ちていたのだろうと今では理解しています。

─6時間睡眠って睡眠時間の「基準」だと思っていたのですが、足りていないこともあるんですね。

加賀さん:そうですね。研究によると、約90%以上の人が7時間半から8時間の睡眠が必要だと言われています。5〜6時間睡眠が続いて脳のパフォーマンスが衰えているにも関わらず、「慣れ」で誤魔化され悪影響に気づかなくなることが怖いんです。

さらに、睡眠環境も重要です。睡眠時間を確保するだけでなく、寝具や寝室の環境、就寝前の行動にも配慮が必要です。これらをおろそかにしていると、実質的な「質の良い睡眠時間」が4時間以下になってしまうこともあるんです。

─なるほど。加賀さんは睡眠時間を改善してから、どのような変化がありましたか?

加賀さん:一番大きな変化は、日中に眠気を感じることがなくなり、集中力が飛躍的に向上したことです。スッキリした頭で仕事ができるので、同じアウトプットを以前より短時間で出せるようになり、プライベートの時間も確保できるようになったんです。その余裕で運動を始めたり、人と会う時間を取れるようになりました。

また、睡眠をしっかり取ることで、メンタル面にも好影響があります。日中のプレッシャーやストレスに振り回されることが少なくなり、ポジティブな気持ちで過ごせるようになりました。

──日本では「睡眠負債」という言葉も話題になっていますが、まずはしっかり7~8時間寝るということがポイントになりそうですね。

疲労や記憶だけじゃない!睡眠が運動技能の定着にも影響

──睡眠の仕組みについてお伺いしたいのですが、なぜ人は眠るのでしょうか?

加賀さん人が眠る理由については、まだ完全に解明されているわけではなく、哲学的なテーマとも言われています。ただ、現時点で分かっている範囲で言うと、大きく二つの要素が関わっています。一つは体内時計の働きです。体内時計は昼夜のリズムを司り、夜になると眠気を促すように体を調整します。もう一つは、体の疲労です。日中の活動で疲労物質が蓄積し、それを回復するために睡眠が必要になります。

記憶の定着や運動技能の習得も睡眠中に行われる重要なプロセスです。これらの理由から、睡眠は単なる休息ではなく、脳と体のメンテナンスに不可欠な時間だと考えられています。

──記憶への影響だけでなく、運動技能が睡眠中に定着するというのは、非常に興味深いですね。

加賀さん例えばピアノを弾く際の指の動きや、スポーツでの体の使い方の「コツ」など、日中に練習したことが睡眠中に脳で整理され、翌日にスムーズに実行できるようになることもあります。このプロセスは特に睡眠の後半に活発化すると言われています。そのため、アスリートや演奏家が睡眠時間を特に大切にしているのは理にかなっています。

──「最初の3時間が重要」という話をよく聞きますが、後半の睡眠も大切なんですね?

加賀さんはい、睡眠の最初の3時間が深いノンレム睡眠を含み、脳の回復に重要な時間であることは確かです。ただ、それだけでは十分ではありません。後半では浅いノンレム睡眠やレム睡眠が現れ、それぞれ異なる役割を果たします。運動技能の定着や、感情や記憶の整理など、後半の睡眠も欠かせないプロセスを担っています。

──最近よく聞く「睡眠の質」という言葉についてはどうお考えですか?

加賀さんもともと「睡眠の質」という言葉は、適切な睡眠時間を確保した上で、その中でどれだけ効率よく眠れているかを指していました。しかし最近では、「環境やストレスで眠れない状態」を指すようにも使われ、やや広義に捉えられるようになっています。

ただし、最も重要なのはやはり睡眠時間です。質にこだわる前に、まずは十分な時間を確保することが基本です。

睡眠不足・睡眠障害・不眠症の違いをしっかり理解しよう!

──睡眠に関する問題にはいくつか種類があると聞きますが、「睡眠不足」「睡眠障害」「不眠症」の違いについて教えていただけますか?

加賀さんはい、この3つはよく混同されがちですが、全く異なるものです。それぞれ原因や対処法が違うので、正しく理解することが重要です。

1. 睡眠不足
これは最もシンプルな問題で、「眠る時間が足りていない」状態を指します。例えば、遊びや仕事で睡眠時間を削ってしまうケースです。私も以前、都会での多忙な生活の中で睡眠時間が足りず、これに該当していました。この場合、解決策は単純で、必要な睡眠時間を確保することです。個人差はありますが、7~8時間が目安です。「質を高めれば短時間でも大丈夫」という考え方は間違いで、睡眠時間を延ばす以外に根本的な解決はありません。

2. 睡眠障害
これは医学的な病気に分類される問題です。例えば、睡眠時無呼吸症候群が代表的です。いびきが酷く、睡眠中に気道が塞がって呼吸が止まることで、体が十分に休まらず、朝起きた時に熟睡感がない状態になります。この場合、何時間眠っても回復できないため、自力での改善は困難です。病院での診察が必要で、CPAP(シーパップ)と呼ばれる治療機器を使うなど、専門的な対応が求められます。

3. 不眠症
こちらは「眠りたいのに眠れない」という状態です。原因は多岐にわたり、精神的ストレス、体内リズムの乱れ、または薬理的な要因(例えばカフェインやアルコールの影響)などがあります。特に社会人に多いのが、仕事や明日の予定に対する不安からくるストレス性の不眠です。この場合、生活習慣やリラクゼーションの改善が鍵になります。ただし、症状が重い場合は、医師の診断を受けることが推奨されます。

──この3つは明確に区別する必要があるのですね。

加賀さんそうなんです。それぞれ根本的な原因が異なるので、対処法も変わります。例えば、「睡眠不足」は時間を確保することで改善しますが、「睡眠障害」は医療機関での治療が必須です。「不眠症」はストレス管理や生活リズムの調整が基本ですが、症状が長引く場合には専門家の助けが必要です。

──「睡眠不足」が特に若い世代で多いというのは意外でした。「不眠症」については、ストレスや生活習慣の改善がポイントでしょうか?

加賀さんそうですね。程度によりますが、軽度であれば、生活リズムを整えたり、寝る前のリラクゼーションを取り入れることで改善することもあります。しかし、あまりに眠れない日が続く場合は、睡眠不足と異なり、根深い問題である可能性もあるので、専門的なアプローチが必要です。

まずは5つの視点で睡眠状況のチェックを!

──睡眠改善の第一歩として、まずは何から取り組むとよさそうでしょうか?

加賀さんそうですね。まずは睡眠の指標として、入眠時間、深い睡眠の割合、途中覚醒の回数、総睡眠時間などがあります。これらを確認することで、自分の睡眠状態がどの程度満たされているのかをある程度は把握することができます。最近はスマートウォッチや専用アプリで簡単にデータを取れるようになっていますので、それらを活用するのもおすすめです。

1. 睡眠時間    :適切な長さ(人それぞれ)
2. 入眠時間    :10〜15分で眠れる
3. 睡眠の持続性  :夜中や早朝に目覚めない
4. 起床時の睡眠感 
:すっきり熟睡感がある
5. 日中の調子   
:眠気や疲れがない

こうしたデータを元に「あれ?調子が悪いな」と思ったら、自分が「睡眠不足」「不眠症」「睡眠障害」のどれに該当するのかを考えるきっかけになります。例えば、日中に集中力が続かない、疲れが取れないなどの症状があれば、いずれかの問題に当てはまる可能性が高いです。

──睡眠のデータを可視化するのはすぐできそうですね。ちなみに、普段の睡眠時に加賀さんが意識している・取り組んでいることはありますか?

加賀さんそうですね。最近は耳栓をして寝るようにしています。

耳栓を使い始めたことで、夜中に物音で目が覚めることがほとんどなくなりました。私の家では妻が私より遅く就寝するため、生活音で眠りが妨げられることもあったのですが、耳栓のおかげでそれが解消されました。以前は「そこまでしなくてもいいのでは」と思っていましたが、実際に使ってみると、睡眠の質が確実に向上しました。

騒音が睡眠に与える影響は都市部でも田舎でも変わりません。都市部では車や救急車の音、田舎ではカエルや鳥の鳴き声など、環境音が睡眠を妨げることもあります。一人暮らしだけでなく、家族と住んでいる場合も生活音が原因になることがあります。耳栓はそうした音を遮断する手軽な解決策です。

──耳栓を使いながら寝ても、朝は問題なく起きられるのでしょうか?アラームが聞こえない…、みたいな。

加賀さん私は光を利用して起床しているので、問題なく過ごせています。例えば、朝7時に起きたい場合、自動カーテンを使い自然光で目覚めるようにしています。光を浴びると、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が止まり「セロトニン」が活性化するため、目覚めがスムーズになります。

この方法だと音を使わないので、耳栓をしたままでも問題なく起きられます。むしろ光での目覚めは身体にも優しく、体内時計を整える効果もあるため、音のアラームよりおすすめです。

──音や光を意識するだけでも、睡眠改善につながりそうですね。

寝具の見直しは手軽に始めるのもおすすめ!

──まずは睡眠時間を確保する、そしてライフスタイルを見直す。本日お話をお伺いして、この2点が最も重要だと感じました。また、御社では睡眠改善をサポートする寝具も展開されていますが、特におすすめの商品や取り入れやすいアイテムはありますか?

加賀さん一番手軽で効果を感じやすいのは「敷きパッド」の見直しですかね。多くの方がマットレスにそのまま寝ていたり、素材をあまり気にしていないケースが多いですが、敷きパッドを変えるだけでも変化はあります。特に通気性や除湿機能の優れた敷きパッドを選ぶと、体温調整がしやすくなり、睡眠の質がぐっと向上します。

──敷きパッドだけでそんなに変わるものなんですね!

加賀さんはい。たとえば、シリカゲルを使用した敷きパッドはおすすめです。シリカゲルは乾燥剤に使われている素材を改良したもので、湿度が高いときには湿気を吸収し、乾燥しているときには放出するというサイクルを繰り返します。これにより、寝ている間の汗や湿気を吸収して快適な状態を保つだけでなく、日中には湿気を自然に放出してリセットしてくれます。また、匂い成分も除去してくれるので、常に清潔で爽やかな状態を保てるのも魅力です。

──なるほど。手軽に取り入れられるのも良いですね!

加賀さんそうなんです。マットレスを買い替えるのは大変ですが、敷きパッドなら手軽に導入でき、効果も感じやすい。敷き布団やマットレスの上に敷くだけでOKですし、価格も手頃なものが多いです。また、素材選びも重要で、綿やキャメルなどの天然素材が使われたものは特に湿度調整に優れています。ただし、価格が高めになることが多いので、手軽に始めたい方はシリカゲル素材などの敷きパッドがおすすめです。

──確かに冬場など、温かいモコモコ素材を使いがちですが、それも見直した方が良さそうですね。

加賀さんそうですね。モコモコ素材は暖かくて気持ち良いのですが、体温調整という点ではあまり適していません。暑くなりすぎる嫌いがあります。冬場でも除湿機能や通気性の良い素材を選ぶことで、寝つきの良さや寝起きの快適さが変わります。

Wellulu編集後記:
取材を通じて改めて感じたのは、「睡眠の質を上げることが生活全体を豊かにする鍵だ」という点です。加賀さんの言葉を借りれば、睡眠は「日中のパフォーマンスや気分に直結する」ということ。そのため、まずは十分な睡眠時間を確保し、寝具や睡眠環境を整えることが重要です。この記事が皆さんの睡眠を見直すきっかけとなり、より良い眠りと充実した日々を手に入れる助けになれば嬉しいです。

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