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カステラは行動食として最適?スポーツの前後や登山時におすすめ【文明堂東京】

安土桃山時代に日本に伝わり、その歴史は400年以上に及ぶ「カステラ」。ふんわりとした食感と優しい甘さで、多くの人々に愛され続けている。今回は文明堂東京の磯貝さんに、カステラの起源や特徴、そして職人技が光る製法について詳しくお話を伺った。さらに、エネルギー補給に最適なカステラや新たな楽しみ方についてもお伺いした。

磯貝 歩美さん

株式会社 文明堂東京 マーケティング部 企画課

2018年入社。売店での販売員を経て、現在PR担当。

本記事のリリース情報

ウェルビーイングに特化した「Welulu」にて、「カステラの歴史」・「V!カステラ」に関するインタビューを受けました。

目次

その歴史は400年以上!ふわふわ食感のカステラの魅力

海を超えて伝わった「カステラ」の歴史

── まず、カステラの特徴や起源についてお伺いしたいと思います。カステラの原材料や、文明堂さんのカステラの風味、食感の特徴について教えていただけますか?

磯貝さん:弊社で作っているカステラの主な材料は、小麦、卵、砂糖、水飴です。これに蜂蜜を加えた「ハニーカステラ」などもあります。柔らかくしっとりとした食感で、とくに「特撰五三カステラ」は小麦粉の量を限界まで減らして、卵の黄身の割合を増やしているため、非常にコクがあり、口どけの良いふんわりとした食感が特徴です。

── お話を聞いているだけでおいしさが伝わってきます。カステラは消化にもよいと聞きますが、それはどういった理由からなのでしょうか?

磯貝さん:油脂が少ない点が大きいですね。脂質分が多いと消化に時間がかかりますが、カステラは、材料もとてもシンプルで、ほかの洋菓子やケーキに比べて油脂が少ないため、消化がいいとされているんです。

── カステラはどこの国のお菓子で、どのように日本に伝わったのでしょうか?

磯貝さん:カステラはスペインやポルトガルが起源とされていて、フランシスコ・ザビエルがキリスト教布教のために長崎にやって来たのと同じ頃に、南蛮菓子として日本に持ち込まれたと伝えられています。

カステラの原型とされているお菓子はスペインの「ビスコチョ」やポルトガルの「パン・デ・ロー」ですが、今の日本のカステラとは異なり、丸い形やしっかりした食感が特徴です。日本に伝わったのは、1571〜1591年の間とされています。

── 非常に長い歴史があるのですね。カステラはお祝い事などのギフトとしても親しまれている印象がありますが、いつごろからなのでしょうか?

磯貝さん:日本に伝わった当初の使われ方は明確ではありませんが、スペインやポルトガルでは修道院で地域のお祝いごとの際に、シスターによって作られていました。特別な食べ物だったのですね。このように、国を超えてもお菓子に込める想いが変わらないことが感慨深いです。

── そんな背景があったのですか。日本では、庶民もカステラを楽しんでいたのでしょうか?

磯貝さん:カステラが日本で作られるようになったのは江戸時代とされていますが、当時は卵や砂糖が高価で手に入りにくく、庶民には手が届かなかったようです。明治時代に入ってから、これらの原材料の価格が落ち着いて、庶民も少しずつ楽しめるようになったと考えられます。

食感だけじゃない!カステラのザラメ糖の役割

── 個人的には、カステラのザラメ部分もおいしさのポイントかと思っているのですが、あれはどういう目的で入れているのですか?

磯貝さん:ザラメ糖をいれる目的は、いくつかあります。カステラは、まず木枠の底にザラメ糖を敷いてから生地を流し込んで焼きます。

このザラメ糖が日を追うごとに溶けていくことで、カステラのしっとり感を保つ役割を果たしているんです。さらに、砂糖の食感も楽しめます。

ザラメ糖を敷くことで、シャリシャリとした食感が加わるだけでなく、砂糖の持つ保水性によってカステラがしっとりした美味しい状態を保つことができるんです。
※ザラメ糖を使用していないカステラもあります。

── 早く食べても少し日を置いてもおいしく食べられる秘密がザラメ糖にあったんですね。

磯貝さん:はい、とくに夏場などはザラメ糖が溶けやすいので、底にザラメ糖が溶けた四角い痕跡が残ることがあります。一見ザラメ糖がないように感じますが、その溶ける過程がカステラのしっとり感を維持するために必要なことなんです。

── ザラメ糖を使う目的は、カステラ屋さんによっても違うのでしょうか?

磯貝さん:そうですね。文明堂の場合は、しっとり感を保つためにザラメ糖を使っていますが、食感を楽しむためにザラメ糖を敷いているカステラ屋さんも多くあると思います。各店それぞれの工夫があります。

過酷な環境下でのエネルギー補給にも!カステラの高い栄養価

消化の良さからスポーツの補食にも最適

── 続いては、カステラの栄養価についてお伺いできますか?

磯貝さん:カステラは砂糖を多く使っているため糖質が豊富で、即効性のあるエネルギー源となります。また、卵を使っているため、タンパク質も摂取できますね。弊社の「文明堂のカステラ」の場合は、1切れあたり約110kcalですので間食にも適切なエネルギー量です。

── おやつにぴったりですね!

磯貝さん:そうですね。幅広い年代の方におやつとして親しんでいただいていて、ハニーカステラ2切れをパッケージングした「おやつカステラ」は、食べきりサイズで手軽にお楽しみいただけます。

── 文明堂さんの商品の中で、今回初めて目にした「V!カステラ」も気になりました。

磯貝さん:「V!カステラ」は、バータイプ・個包装で持ち運びに優れた商品です。カステラは、消化が良く短時間でエネルギーを摂取できるという点から、アスリートの方々や登山時の食事として支持をいただいている食品なんです。そこで、より食べやすいようスポーツの補食用として新たに開発したのが、「V!カステラ」です。

── バータイプであれば、外でも食べやすいですね。原材料は「おやつカステラ」と同じでしょうか?

磯貝さん:「V!カステラ」も基本の4つの材料、卵、小麦粉、砂糖、水飴に加えて蜂蜜も使っています。添加物は一切使用しておらず、「おやつカステラ」と同じ原材料です。

ただし、製法は異なり、独自の製法でカステラがぎゅっと圧縮されて密度が上がります。通常のカステラのふんわりとした食感とは違って、よりしっとり感が強い食感になっています。栄養成分はそのままに、片手で手軽に食べやすいカステラとして開発しました。

── 単に栄養を補給するだけでなく、おいしく楽しめるのは嬉しいですね。

北極圏での試験でも「行動食」として高評価

── 「V!カステラ」を開発されるにあたり、どんな研究を進められたのですか?

磯貝さん:北極圏徒歩遠征にカステラを携行する研究などをおこないました。

「V!カステラ」の開発をするにあたり、実際にアスリートの方に試食をしてもらい、その効果を検証できたらと思い、筑波大学の皆様と開発を一緒に進めていたんです。

その中で、カステラの栄養価やエネルギー食としての有用性を検証するために、カステラを北極圏への遠征に持って行ってはどうかと提案いただきました。そこで、実際にV!カステラの原型となる製品を北極圏徒歩遠征に持っていき、行動食としてのカステラの評価と情報収集をする試験が実現しました。

── カステラを持って北極圏に!興味深い研究ですね。 そもそも「行動食」というのはどのようなものなのでしょうか?

磯貝さん:行動食とは、登山などのアウトドア活動の際に手軽にエネルギー補給ができる食品のことを指します。一般的にはカステラやどら焼き、サラミ、カルパス、そしてバランス栄養食などがよく選ばれます。片手で食べられて、すぐにエネルギーを摂取できるものが人気ですね。

── 北極圏での試験では、どのようなメリットが確認できましたか?

磯貝さん:北極圏の過酷な環境でも、カステラは手軽に食べることができ、タンパク質とエネルギーをおいしく摂取できる点が評価されました。

とくに、カステラの保水性と糖度の高さがそのままのおいしさをキープし、寒冷地でも凍らずカチコチにならないという特性が大きなメリットでした。ほかの食品、たとえばお肉などは凍ってしまうことがありましたが、カステラはしっとり感を保っていました。また、同じようなスティックタイプの菓子である羊羹は、糖質は取れてもタンパク質が不足してしまうのに対し、カステラはその両方をバランスよく補給できる点でも優れていたんです。

試験の結果、タンパク質の補給ができる行動食がほとんどない、極地では運べる食糧の量や質が限られるといったこれまでの制約下において、「極寒の北極圏という特殊な環境下でも凍結することなく手軽に、タンパク質、エネルギーをおいしく摂取できる有効な行動食」として評価されました。

── カステラのしっとり感、高い栄養価などの特徴が寒冷地でも活かされたのですね!すばらしい結果ですね。

そのままでもアレンジしても!カステラの楽しみ方

カステラの食感を保つため、保存は冷蔵庫ではなく常温で

── カステラは、栄養価が高くスポーツ時の栄養補給にも向いているとのことですが、体調が悪いときのエネルギー補給にも重宝できそうですね。

磯貝さん:そうですね。「昔は体調を崩したときや病気の際にカステラを贈る習慣があったんだよ」というお客様も中にはいますね。

エネルギー補給に向いていますが、カステラは嗜好品ですので、食べ過ぎには注意が必要です。一般的には1回のデザートの目安として80〜100kcalが推奨されているので、カステラなら1切れ程度が適量だと思います。

食べ過ぎるとカロリー過多になってしまいますが、脂質が少ないため胃もたれの心配はあまりありません。ただ、糖質が多いため、食べ過ぎには注意してくださいね。

── 1切れずつが目安ですね。カステラを大きいサイズで購入すると、一度に食べきれない場合もあると思いますが、どのように保存したらいいでしょうか?

磯貝さん:一度に食べきれない場合は、空気が入らないようにラップで包み、それをタッパーやジップロックに入れて常温で保存するのがおすすめです。冷蔵庫に入れると、でんぷん質が硬くなってふんわりとした食感が失われてしまいます。

── ついつい冷蔵庫に入れたくなりますが、常温保存のほうがいいのですね。

磯貝さん:はい、冷蔵庫に入れると硬くなったり、ほかの食品の臭いが移ったりすることがあります。常温で保存することで、ふんわりとした食感を保つことができますよ。

── カステラの日持ちはどのくらいですか?

磯貝さん:種類によりますが、たとえば今日お話に上がった「おやつカステラ」や「文明堂のカステラ」は製造から未開封の状態で1ヶ月間日持ちします。お手元に届いてからは大体2〜3週間程度です。「V!カステラ」は製造から2ヶ月間日持ちし、お手元に届いてからも1ヶ月〜1ヶ月半ほど保存できます。

── ちなみに、カステラの底の紙を上手に剥がすコツはありますか?

磯貝さん:あれは難しいですよね。カステラの糖分が高いため、粘度が高くなり、どうしてもくっついてしまいます。製造工程上、紙をなくすことも難しいんです……。ただ、「V!カステラ」のように、独自の製法で紙をなくすことができたものなど、食べやすい商品もございますよ。

── カステラの底の紙は何のために敷いているのですか?

磯貝さん:カステラは大きな木の枠に生地を流し込み、そのまま釜で焼くのですが、生地が焼き付かないように紙を敷いているんです。そのまま紙を付けた状態でカットして、お客さまに提供しています。木の枠で焼くことで、カステラ全体にゆっくりと均一に火が通り、ふんわりとした食感を保つことができるんですよ。

── 木の枠で焼かれているんですね!知りませんでした。

磯貝さん:もちろん機械化できる部分もありますが、その日の気温や湿度に合わせて調整し、より良い仕上がりを目指すため、焼く工程では職人が1つ1つ生地の状態を見ながら焼き上げているんです。これによって、きめ細かく、口どけの良いカステラができあがります。

── 改良を加えながらも、昔ながらの製法を守り続けているんですね。

磯貝さん:そうですね。弊社が創業した明治時代から根幹は変わっていませんが、少しずつ改良を加えています。カステラが日本に伝わった当時のレシピで作るとパサパサしていることもあるので、現代の人々の好みに合わせて進化しています。

和菓子としても洋菓子としてもアレンジ可能

── そのままでもおいしいですが、カステラと相性の良い食べ物やおいしく食べられるアレンジレシピがあれば教えてください。

磯貝さん:カステラは和菓子でもあり、洋菓子でもあるところが魅力です。

たとえば、洋菓子として楽しむならコーヒーと一緒に、和菓子として楽しむなら緑茶と一緒にいただくと相性が良いです。また、アレンジレシピとしては、アイスクリームを乗せて一緒に食べたり、卵液に浸してフレンチトースト風にしたり…。ブラックコーヒーに浸してティラミス風にするのもおいしいですよ。

弊社のカフェでも、フレンチトースト風やティラミス風のカステラをメニューとして展開しています。

── その日の気分に合わせて和でも洋でも楽しめるのはいいですね。磯貝さんのお気に入りの食べ方はありますか?

磯貝さん:どの食べ方もおいしく選ぶのが難しいですが、とくにあんこと一緒に食べるのが、和の味わいが楽しめて好きですね。カフェメニューではフレンチトースト風のカステラがお気に入りです。

── さまざまなアレンジを聞いて、自分でも試したくなりました!

磯貝さん:カステラはギフト用のイメージが強いかもしれませんが、文明堂では「V!カステラ」や「おやつカステラ」など、自分用のおやつとして楽しむ提案もしています。ぜひ、若い世代の方にももっとカステラを楽しんでいただけると嬉しいです。

──現在、お客さんの層はどのようになっているのでしょうか?

磯貝さん:おもな購入層は60代以上の方が多いですが、若い世代にもカステラの魅力を伝えたいと考えています。

カステラはギフトのイメージが強いかもしれませんが、最近は自家需要も増えているんです。自分へのご褒美として楽しむ方も多く、「V!カステラ」はスポーツをする方への差し入れとしてはもちろん、会社で働く方々が午後の集中力を高めるためのおやつとしてもいいですし、受験勉強の合間にもおすすめです。自分用にも購入していただくことを意識しています。

── さまざまな年代の方に楽しんでいただけますね。

磯貝さん:そうですね。世代を問わず、楽しんでいただけますと幸いです。また、季節限定の味も展開しており、たとえば夏限定の「文明堂のカステラ 香る白桃」は凍らせても美味しく、常温ではふんわり、凍らせるとしっとりとした食感が楽しめます。限定商品なども取り入れながら、日常的にカステラを楽しんでいただけると嬉しいです。

Wellulu編集後記:
カステラの取材を通じて、その豊かな歴史と製法の奥深さに驚かされました。シンプルな材料で作られながらも、職人の技と科学的な知見が融合した一品です。特に、しっとりとした食感を保つためにザラメ糖が使われるなど、細部にまでこだわりが詰まっています。また、消化が良く、エネルギー補給にも優れているため、スポーツやアウトドアの場面でも大活躍。これからも、カステラの新たな楽しみ方を見つけていきたいと思います。

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