吸水ショーツの先駆けブランドの一つである「Hogara」。開発のきっかけは、女性社員が残業中に交わした雑談だったという。
今回は、「Hogara」の立ち上げを牽引した大川さんにインタビューを実施。「Hogara」の開発の裏にあった試行錯誤とは。「Hogara」立ち上げまでの歴史とハッピーを広げるための大川さんの仕事術に迫る。
この記事の監修者

大川 侑穂さん
学生時代に見えたやりたいことの輪郭

── まず、豊島株式会社への入社のきっかけから教えてください。
大川さん:きっかけは大学生時代に、アパレル会社でアルバイトをしており、そのときに東南アジアをバックパックで回ったことでした。
そのお店では海外から買い付けた洋服を扱っていたので、海外に興味を持ち、アルバイトで貯めたお金で旅をしていました。
また、自分の接客でお客さまに喜んでもらえた経験や、海外で自分が可愛いなと思うものを見つけたときの喜びなどを通して、「人と、そして服に関わる仕事をしたい」と思うようになったんです。
── 大学生活を通して、やりたいことの輪郭がつかめたんですね。
大川さん:そうですね。そのときに読んだのが、「商社」という書籍でした。さまざまな商社について書いてあるなかで、「なんだこれは」と気になったのが、豊島株式会社だったんです。
ゼロから何かを積み上げる楽しさを実感した旅

── バックパッカーで、東南アジアを回られていたとのことですが、印象に残っていることはありますか?
大川さん:まだ若かったというのもあるんですが、まったく知らない土地に行ったときの、ワクワク感がたまらなかったですね。「ここには、私がまだ知らないものがたくさんある」と高揚したのを覚えています。
── 知らない土地って、ワクワクしますよね!
大川さん:現地で出会った人と一緒に「今度はここに行ってみよう」と新しい人間関係を築いていくのが楽しくて。
そのときに、ゼロから何かを積み重ねていく感覚を得られたんです。今思うと、その実体験が今の私の核になっているのかなと思います。
── もともと、知らないことや新しいことに対して、ワクワクする性格なのでしょうか?
大川さん:そうかもしれません。知らないことへの探究心が強くて、勉強や研究も含めて、知れば知るほど「なんで、こうなってるんだろう」って気になってしまうんです。
また、さまざまな情報に触れたうえで、「自分はどう感じているか」という気持ちも大切にしてきました。「これならうまくいきそう」という感覚や「これは絶対に必要だ」という直感は、私の中での重要な判断軸の一つかもしれません。
── 「これは絶対に必要だ」という直感が、「Hogara」にもつながったのでしょうか?
大川さん:そうですね。「Hogara」は、オーガニックコットンを使用した吸水ショーツですが、実際に同僚との雑談の中で「これは必要だ」となって、生まれたものなんです!
雑談から、ブランドは生まれた

── 「Hogara」は、雑談から生まれたとのことですが、どのように生まれたのか詳しく教えてください!
大川さん:はじまりは違う部署の女性に「今、こういうものをつくりたいと思っているんですよね」と吸水ショーツのアイデアを共有してもらったことでした。でも、それまでに紆余曲折ありまして……。
── すぐに思いついた企画ではないということですか?
大川さん:はい、何度も新規企画を出したうえで、「Hogara」は生まれました。私はもともと企業向けの制服を担当する部署にいたんです。
既存事業をしつつも、挑戦を推進する社風もあり、1、2年目くらいの右も左もわからないときから、当時の上司に「とにかく新しいことを考えよう」「新規のプレゼンをしよう」と言われていたんです。
── そんなに早くから新規事業の企画を……。大変そうですね。
大川さん:新入社員で何がわからないかもわからない状態だったので、正直本当に大変でした。それでも、たくさんの指摘やフィードバックをもらいながら、いろんな企画を提案していました。
「Hogara」の開発には、その経験がすごく生きていて。今まで形にならなかった企画の壁打ちやアウトプットの経験が、とても役立ったんです。
── 当時は苦しかった経験が、あとになって効いてきたんですね。
大川さん:実は、「Hogara」を立ち上げる前にも、お客さまと一緒に新しいブランドを立ち上げようとしたことがあったんです。
お客さまがすごく信頼してくれて、コンセプトから一緒に考えたんですが、全然売れなくて本当に悔しかった。でも、その経験があったから、「Hogara」立ち上げのときに、次はこうしよう、ああしようと考えることができました。
全部を1からつくったというよりは、営業時代の企画出しや、過去のブランド立ち上げで思うようにいかなかった経験があったからこそ「Hogara」につながったんです。
楽しかった開発にブレーキをかけた言葉

── これまでの経験が生かされたとのことですが、開発はどうでしたか?
大川さん:会社としてもはじめての試みだったので、受け入れられるのだろうかという不安はありましたね。既存業務と並行しながら自分たちのやりたいことを形にしたものなので。
── 実際の反応は、いかがでしたか?
大川さん:当時の上司に「こういうことを考えていて、こうしたいです」と言ったとき、「めっちゃおもしろいじゃん、やれば」って、応援してくれて。
最初のローンチが、クラウドファンディングだったんですが、「面白そうだね、俺も買うね」「妻に勧めたよ」「娘に買ったよ」など、会社のメンバーからはすごくポジティブな声をいただきました。
── それはうれしいですね!
大川さん:本当にありがたかったですね。想いが伝われば人はついてきてくれるということを実感できましたが、反省点もありました。
── 反省点ですか?
大川さん:はい。朝早く来て、夜遅くまで残って、土日もやってと突っ走るように取り組んでいたんですね。そんなときに、先輩から「大川の働き方が朗らかじゃない」と言われて。
── なるほど。たしかに忙しすぎる状況ですよね……。
大川さん:本当にはっとさせられて。世の中に朗らかさを届けようとやっているのに、開発をしている自分たちが全然朗らかじゃないという、本質的なところを見抜かれてしまったんです。
ブランド名に込めた朗らかに生きることへの願い

── そもそもブランド名の「Hogara」には、どんな想いが込められているのでしょうか?
大川さん:「朗らか」って、「光り輝いて広く晴れ渡る」という意味なんです。そんな毎日をみなさまに送ってほしい、そして自分たちもそういう毎日を送れたらいいな、という願いを込めてつけました。
ただ、先輩の言葉からプロダクトだけでは、朗らかになれないということに気付かされたんです。
そこから、自分たちが朗らかでいるために何ができるかを考えて、「TUMUGU×HogaLife Support」という福利厚生サービスを立ち上げました。
── プロダクトから、福利厚生のサービスへと発想が広がっていったんですね。
大川さん:はじめは女性向けに立ち上げたブランドですが、「ほがらかなあしたを、つくろう。」というコンセプトを踏まえると、一人ひとりの悩みに1対1で応えるプロダクトをつくるのは、やっぱり限界があって。
生理に悩む人もいれば、更年期に悩む人もいる。でも結局それは、女性だけの問題ではなくて、男性も女性も一緒に考えていかなきゃいけない問題なんですよね。
その発想から、まずは働く女性のライフステージに合わせたサポートができるサービスを考えてみようと思ったんです。
自分の周りにいる人をハッピーにするためのコミュニケーション

── 困難を糧にしながら「Hogara」を形にしてきた印象があります。そんな大川さんがお仕事をするうえで、大切にされているマイルールはありますか?
大川さん:自分の周りにいる人がみんなハッピーでいられるように意識しています。私たちのお仕事って自分でプロダクトを持っていないので、お客さまがいて、工場や仕入先の方がいて、初めて成り立つんですね。
その中で、私の半径数メートルにいる人たちがハッピーになり、そしてその輪がどんどん大きくなっていくといいなと思っています。
── 素敵な考え方ですね。そのために、意識的にされていることはありますか?
大川さん:ビジネスでは、言ったことがちゃんと相手に伝わっているかがすごく大切なので、密にコミュニケーションを取るようにしています。
たとえば、会議で話した内容は必ず議事録で明文化し、ゴールと目標を決めたらそこまでに何をするかをしっかり言語化する。細かなコミュニケーションで互いの理解にブレが生まれないように徹底しています。
── 語り口から意思の強さを感じます。
大川さん:巻き込んだからには、関わってくれた人に最大限還元できればと思っているので、自分にできることは全部やるというスタンスなんです。
大変なことはありますが、目先の大変さばかりに目線が行かないように原点やゴールに立ち返って、なんのためにやっているのかをチームでしっかりと見つめるようにしています。
自分たちが本当に欲しいかで決める

── 最後に、「Hogara」の知られざる魅力を伺えればと思います。
大川さん:「Hogara」は素材にとことんこだわっており、オーガニックコットンを使用しつつ、「Repur®」という加工をして、消臭・抗菌機能を付与しています。
また、素材のよさを数値化したらおもしろいかなと思って、個人的に「肌触りのよさ」に関するさまざまなデータを取ったこともあるんです。
── 大川さんの探究心が出ているエピソードですね。
大川さん:吸水ショーツを生理用ナプキンと同じように、医薬部外品として効果をうたえるようにしたいので、いろいろチャレンジしています。かなりハードルが高いのですが、これからも諦めずに取り組んでいきます。
── それほどこだわり抜くのはどうしてですか?
大川さん:私たちが大事にしているのは、手に取ってくれた人が最大限満足してくれることです。そのために、自分たちが本当に欲しいものがつくれないなら、商品として出さない。
逆に、これなら絶対に朗らかな人をつくるためのお手伝いができると思ったものは、無理をしてでも開発を進めます。消費者の目線とつくり手の目線を、兼ね備えていることが「Hogara」の魅力なんです。
── 売れるかより先に、自分たちが欲しいかがあるんですね。
大川さん:自分たちの原体験から生まれているので、想いが強いんですよね。それが商品という目に見えるものになって、誰かの手に届くのが、すごくうれしいです。
── そんなこだわりが詰まった「Hogara」というブランドをどのように育てていきたいですか?
大川さん:「Hogara」を立ち上げたとき、ブランドのミッションを「ほがらかなあしたを、つくろう。」に決めたので、これからも男性、女性関係なく、朗らかな毎日を送れるようなプロダクトやサービスをつくっていきたいです。
「Hogara」を立ち上げたときの強い想いがあるからこそ、ブレずにやっていけると信じています。
Wellulu編集後記
会社としても大きな挑戦だった「Hogara」の開発。その裏には、大川さんの新しいことを楽しむ心と突き詰めて考え抜く探究心がありました。
大変なことであっても、ゴールを見据えてみんなで楽しむ。そのために何ができるのかを考える。
ブランド開発を通じて、みんながハッピーになるように。ブランドを遠くまで届けるために、自分と仲間の気持ちを大切にすることの重要性を感じたインタビューでした。
ブランド開発とは、お客さまや会社の仲間など、人と向き合う仕事でもあるのだと感じました。
2015年入社。違う部署の女性との何気ない会話から、「私たちが今欲しいものをつくろう」と、「ほがらかなあした」をつくるライフスタイル提案ブランド「Hogara」を立ち上げ。「国際⼥性デー表彰式|HAPPY WOMAN AWARD 2022 for SDGs」の女性応援ブランド賞、「Femtech Japan Award 2023」で銅賞を受賞するなど、受賞歴も多数。