老いを再定義する。

株式会社ECOTONE代表取締役社長 Wellulu編集長

堂上 研

【Age-Well】東大名誉教授 秋山弘子先生に学ぶ「老いの再定義」

「人生100年時代」という言葉が、もはや当たり前のように語られるようになった。昔、僕は博報堂の先輩の安藤クリエイティブディレクターから、人生100年を半分に分けてみたら、51歳は1歳なので、また新しいことに挑戦できる、というお話を聞いて、ワクワクしたのを覚えている。僕はもうすぐ50歳。そう、新しい「いのち」を授かる折り返し地点だと思う。けれども、明らかに昔できていたことができなくなっている。昔はすぐに覚えることができたことが、覚えられなくなっている。僕らは確実に、年を重ねているのである。

ウェルビーイング共創社会として活動してきた僕は、最初につくった言葉が、「Well-Dying」(終活)だ。老いと同時に、どう生きるかは、どう死ぬかを考えることでもある。そして、生きている間にどんなことをやりたいか、どんな夢を持って行動するか、そのためにどんな健康なカラダを維持するかが大切になってくる。

今回、Welluluにも出ていただき、素敵なサービスを展開されている株式会社AgeWellJapan 代表取締役の赤木さんにお誘いをいただき、Age-Well Conference2025におうかがいした。そこには、大学生から100歳近くまでの人たちの「生きる」がたくさんあった。そして、そこにはたくさんの「笑顔」があった。素敵な時間をありがとう。たくさんの素敵な事業も生まれていた。ウェルビーイング共創社会は一歩ずつ形になっていると感じた。

テーマは、「老いを再定義する」

東京大学名誉教授の秋山弘子先生の貴重講演を拝聴した。長寿社会における課題と可能性を3つの切り口でお話いただき、とてもワクワクした。そして、次の50年が楽しみになる内容だった。

「個人」: 人生100年を自ら設計、舵取りして生きる→多様な人生設計が可能。
「社会」: 長寿社会に対応した社会インフラ(ハード&ソフト)のつくり直し。
「産業」: 長寿社会の課題解決と新たな可能性を追求する産業の創生。

ここで、株式会社AgeWellJapanも提唱する「共創」がテーマにもなってくる。また我々株式会社ECOTONEが提唱する「コミュニティ」が重要な位置づけになってくることが分かった。

個人の課題: 
長寿時代を生きる個々人は、これまでの画一的な人生コースに沿うのではなく、100年の人生を自ら設計し、舵取りをしながら生きる新しい生き方に切り替えることが重要である。定年後は、今までは余生という考えだったのが、セカンドライフと捉えていた。まさに、安藤さんのおっしゃっている人生を2つに分けてみる、という視点だ。セカンドライフにおいて、今までやったことのないことに挑戦したり、生涯現役でいられるような働き方を模索したりすることの重要性も語ってくださり、僕らが目指すウェルビーイングの世界と重なり共感の連続だった。

先生は、働く、休む、食べる、遊ぶ。この4つをバランスよく楽しむことを設計して、個々人の人生のMAPを創っていくことを推奨しており、先生自身も、農業をはじめた、とのこと。はじめてをはじめる人は、ウェルビーイング度が高い。まさに、先生はウェルビーイングライフモデルの実践者である。

社会の課題
人生100年時代のニーズに対応した社会の仕組みを見直すことが社会全体の課題であるとしている。具体的には、住宅、交通機関、教育、雇用、医療、介護など、人生50年・60年時代に作られたソフトとハードのインフラを、長寿社会のニーズに合うように整えることが求められている。また、高齢者の就労率が高い地域は医療費が低いというデータを示し、無理のない範囲で働き続けることが心身の健康につながり、社会全体にとっても医療費抑制になる可能性を提供くださった。移動手段の課題解決には、自動運転やグリーンスローモビリティの開発だけでなく、情報システムの活用も重要であり、高齢者のITリテラシー向上のための「互いに教え合う」仕組みの必要性も語っていた。そこに必要なのは、コミュニティとのことだ。

「We live Longer &Work Longer」地域にどんな資源があるかにもよるが、セカンドライフにおいて、どのような働き口をつくるか、が大事になっている。シニアの社会への参入においては、農業は人気が高い、また、保育へのニーズがあり、就労セミナーとかも増やし、地域で活躍するシニアを増やしていきたい。就労意欲は、日本の宝である。

産業界の課題
人生100年時代の生き方や社会に合わせたモノやサービスをつくることが産業界の課題がある。けれども、課題があるからこそ、イノベーションが生まれる。個人や行政が新しい生き方やまちづくりを考えても、それらを実現するためのモノやサービス、システムがなければ実現できない。日本が他の国に先駆けて長寿社会の課題に直面していることを逆手にとり、長寿社会に対応する新しい産業を日本の基幹産業の一つに育て上げていくべき。DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI、ロボットの活用により、高齢者や障がい者を含め誰もが安全かつ生産性高く働ける環境が実現できる可能性も示唆してくださった。

長寿社会のまちづくりをコミュニティで実証実験した「ITOKI」の話は面白かった。在宅ワークを可能にする机を、街の人たちといっしょに開発していくお話だ。リビングラボの可能性を感じさせるものになった。住民たちが参加して、みんなが商品開発に入って喜んでくれる。そんな「参加型コミュニティ」は共創社会の入り口である。

個々でやれることは限られている。そんな中で、僕らはどんな行動をつくっていくか?ファーストペンギンとフォロワーを巻き込んで、たくさんのイノベーションが生まれる「あわい」になりたい。僕らECOTONEは、そんな担い手になることで、長寿社会の新たな「老い」を「自分との対話・他者との対話・自然との対話」の時間でより充実したものに変換できると信じている。僕は、次の50年「新たな挑戦」で、「老い」は「新たな出逢い」の可能性を拡げてくれる場だと実感できた。

赤木さん、お誘いありがとう。いっしょにウェルビーイング共創社会つくっていきましょう。

堂上 研 株式会社ECOTONE代表取締役社長 Wellulu編集長

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

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