「ウェルビーイング共創学」という学び
僕が事業開発をしている中で、「ウェルビーイング共創産業」をつくる、と決めたときから、ひとりひとりのよりよい生活をどう創っていくかということを常に考え続けてきた。そして、Welluluを通してたくさんのウェルビーイングな人や企業、そして街を取材させていただき、ぼんやりと僕の中でウェルビーイング共創産業のイメージが膨らんでいった。
僕自身、ウェルビーイング共創産業をつくるためには、自分自身がどんな生活がウェルビーイングか自分自身でも考えたし、どんな未来を創りたいかも考え続けた。みなさんは、どんな生活がウェルビーイングだと感じるだろうか? 今まででどんな生活が楽しかっただろうか? 心底熱中できるものに出会えただろうか??みなさんの「推し」はあるだろうか?
僕にとっては、「家族との時間」もそうだけれども、「仕事をしている時間」もウェルビーイングだ。仕事が趣味というとみんなに不思議がられるのだが、とても楽しいのだ。しかも新規事業ほど楽しいものはないと思っている。そんな中、新規事業を生むためにどういう行動規範を持つべきか考えぬいたら、ウェルビーイングな生き方の行動規範と重なったのだ。そして、これはファーストペンギンで終わるのではなく、求心力をもってたくさんの人たちを巻き込む「フォロワー」を抱えたときに、大きな「渦」が生まれることに気が付いた。
そんなウェルビーイングとビジネスを結び付けることにワクワクして行動していたら、iU(情報経営イノベーション専門職大学)の中村伊知哉学長とご挨拶をさせていただく機会があり、とんとん拍子に「プロジェクト型教授」という役職をいただき、「ウェルビーイング共創学」という勝手につくった学問を実践と交えながら学べるものをつくった。2025年の4月から15コマをもらって、学生といっしょに「共創学」を創っていくのだが、今からワクワクがとまらない。https://www.i-u.ac.jp/news/30170/
2050年、僕らの子どもたちが大人になって、僕はおじいちゃんになって、どんな生活をしているのか?どんな生活を送りたいのか、そんな未来を描きながら、バックキャストで事業をつくっていく。けれども、このウェルビーイングというのが曲者で、何者か分解しないとふわっとしたカタカナで終わってしまう。ここは根っこの部分で「自分が理想とする生き方:ライフモデル」を作成することからはじめたいと思う。
僕にとっての2050年に実現したいライフモデルは「失敗を恐れずに挑戦し続けることができる」社会形成だ。これには、寛容であり、利他であり、やり直せることができる環境だったり仕組みだったりが必要になってくる。子どもたちがリスクをおそれて行動しないのは、親だったり大人世代の影響が大きいと思う。どんどん挑戦する環境をつくっていきたい。これは新規事業開発にも関係してくる。
これから、いっしょにこの共創をつくっていく仲間になってくれる人をどんどん集めていきたい。その仲間が大きなコミュニティになっていくことが「ウェルビーイング共創学」における第一歩だと思う。
「生きる」を共創するということはどういうことだろうか? そもそも、ひとりひとりのウェルビーイングな生活は、ひとりひとり違って良いと思っている。自分の価値観の押し付けではなく、お互いがお互いをリスペクトし、利他の気持ちをもって、自分の想いを開放する。そんなコミュニティが生まれていけばと思う。そもそもビジネスとは、だれかを幸せにするために発明されてきたはず。Wellulu(ウェルル)で出会った人たちとのつながりをウェルビーイングへ。自分たちが、主体性と協調性と多様性の先に生まれる新たな可能性をいっしょに探していこうじゃないか。
「生きる」をビジネス共創する10の行動指針
① まずは、自分を好きになる
② 生活者にとってのウェルビーイングを探求する
③ 常に「問い」を立てることからはじめる
④ リベラルアーツ視点で、アンラーニングする
⑤ 失敗を恐れず、行動するスピードを求める
⑥ 構想で終わらない、常に新しいことをやってみる
⑦ 隠しごとはしない、すべてをオープンにする
⑧ 相手の立場に立って、リスペクトする
⑨ 時代を先読みして、未来の生活者を巻き込む
⑩ プレイフルネスに、生きるを楽しむ
ウェルビーイングをマップにしてみた。
僕は、Welluluで特集を組むためにも、一度「ウェルビーイング」を体系化してみた。もっと細かく分類ができるだろうが、企業と生活者で分類したほうが分かりやすいと思ったので、上が企業活動、下が生活者の行動ということで表現してみた。
企業活動で一番、分かりやすいのが「働くウェルビーイング」であり、これは「人的資本経営」というサステナブルに企業活動を行う上では一番大切にしないといけない経営の財産(人財)である。組織論でもあり経営論でもある。そして、生活者はパーソナライズドさせた「食」や「睡眠」などの日常のQAL向上もあるが、「子ども」「シニア」「ペット」など家族という小さなコミュニティのほうが分かりやすいウェルビーイングの探求ができる。自分と向き合いながら、他者と向き合い、自然と向き合う。そんな「生き方」において、つながりの中でウェルビーイングを見つけてほしい。
これからどんな未来が待っているのだろう。僕らは未来に向かって歩き出している。その大地を踏みしめる一歩一歩が「情熱」の大きさで、大きな一歩にもなると信じている。ぜひ、いっしょに「ウェルビーイング共創産業」の担い手となっていっしょに動き出したい。
堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー