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自分の殻を破るために。「刺激」と「余裕」がカギとなる、ウェルビーイングな美容術

多様な価値観が生まれるなかで、依然として強い「美」への欲求。ウェルビーイングにおいても、美容は大きな影響力を持つ。「肌が荒れると気分が乗らない」など、心の在り方に直結する重要なテーマだ。

美容家・ヘアケアリストの余慶尚美さんは、肌や髪のケアにとどまらず、女性のライフスタイルまでサポートしている美のスペシャリスト。心地よく生きるためにすべき“ウェルビーイングな美容ケア”とは。Wellulu編集部の堂上研が話を伺った。

 

余慶 尚美さん

美容家・ヘアケアリスト(毛髪診断士)

広告代理店や外資系企業にて広告宣伝の仕事に従事した後、2007年、美容家に転身。様々なメディアに出演するなど多岐にわたって活躍。近年はヘアケアリストとしても注目されている。著書に、髪の総合的な知見に加え、巡り、漢方美容、薬膳といった観点を取りいれた美髪メソッド本『髪トレ』があり、髪と共に生きていく女性のライフスタイルまでケアする活動に力を入れている。また、韓国ドラマ好きが高じ、韓国の俳優、女優の広告キャスティングコーデとしても仕事の場を広げている。
https://yokeinaoko.manna-heart.jp/

堂上 研さん

Wellulu 編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連DXタスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

本記事のリリース情報

Well-being「Wellulu」(博報堂)インタビュー記事

1万2000人アンケートから見えた「美容」の重要性

堂上:今回、ぜひ余慶さんにお話を伺いたいと思ったのは、生活者1万2000人を対象に行った「主観的ウェルビーイング因子」のアンケートがきっかけでした。「あなたはどんなことをウェルビーイングと感じますか?」と問いかけたところ、20〜30代の女性から「外見を美しく整えること」という答えが多く寄せられたんです。僕の中にはない価値観だったのですが、とても重要視されているんだなと。これはもう美容のプロである余慶さんにインタビューしなくてはと考えた次第です。

余慶:ありがとうございます。簡単に自己紹介しますと、私は広告業に従事した後、2007年に美容の世界に入りました。現在はヘアケアを中心に、雑誌などで美に関する情報やテクニックをお伝えしています。

堂上:余慶さん自身が美容に目覚めた「原体験」は何だったのでしょうか?

余慶:幼少期はスポーツ一筋で美容とは無縁だったのですが、中高校生の時にDCブランドブームが起きました。コム・デ・ギャルソンなどが流行って、「おしゃれに見せたい」「痩せて服を着こなしたい」という気持ちが芽生えたんです。鹿児島の女子高に通っていたのですが、同級生は福岡や東京まで服を買いに行くような情報感度が高い子ばかりで、みんなとても可愛くて。その影響も大きかったと思います。

堂上:なるほど。周囲の美意識が高かったのは、やはり女子高だからでしょうか?

余慶:時代背景もあるでしょうね。80年代のおわりから90年代はじめで、バブル崩壊の直前。浅野温子さんがアイコンになっていたように、女性が女性らしく華やかに、表へとどんどん出ていく流れが起こっていました。ウエストが細いボディコンも人気で、クラスメイトにスリーサイズを聞いたら「83₋57₋84」なんて答えが返ってきたんですよ。今考えたら絶対嘘のサイズなんですが(笑)。その時は真に受けて「えっ、私はウエストが72㎝もあるのに!」と衝撃を受けて、それからダイエットを意識するようになりました。

ダイエット成功の秘訣は“刺激”にあり

堂上:ダイエットの話はぜひ伺いたい話のひとつなのですが、なかなかみんな続かないじゃないですか。継続させるポイントは何なのでしょう?

余慶:“刺激”でしょうね。周囲から褒められることが一番です。高校時代の同級生とは今もしょっちゅう集まるのですが、学生の頃に誰よりウエストが細くて可愛かった子がいたんです。大人になるにつれてふっくらしていったのですが、私やほかの子が体型を維持しているのを見て「何とかしなくちゃ」と一念発起したみたいで。ついでに私の影響で韓流ドラマにもハマって(笑)、そしたらダイエットに励んで、どんどんスリムになっていったんです。周りも「可愛い!」「洋服も素敵ね、似合ってる」と褒めていたら、ますます綺麗になっていきました。勤務先や本人の子どもたちにも気づいてもらえたらしく、つい先日も会いましたが、まったくリバウンドしていませんでしたよ。

堂上:みんなから褒められて刺激を受けることで、誘惑に負けず、ダイエットという「セルフコントロール」を成し遂げたわけですね。僕自身も、周りの刺激、Welluluで公表することによって痩せる体験をしたのでよく分かります。

余慶:その通りです。恋をするとか友達と定期的に会うとか、刺激は何でも構いません。例えばSNSでも韓流ファンの方が「あの俳優さんにファンミで会えるから、その日までに痩せなくちゃ」とよく投稿していますが、それも美意識を高めてくれる刺激のひとつですよね。

堂上:僕らの表現でいえば「外圧」ですね。外から刺激をもらうことで、三日坊主を阻止する。周りから見られて、触れ合い、褒め合うことで成長していく。女性に限らず言えることだと思います。

『美ST』『アラフォー』という言葉が起こした、女性たちの意識変革

余慶:SNSにダイエットやメイクの過程を投稿するのもそうですが、「褒められて自分を綺麗にする」ツールがずいぶん身近になりましたよね。若い世代だけでなく、40~50代の方でも積極的にSNSで自分を発信している方は本当に多いですし、もちろん、1970年生まれの私も活用しています(笑)。「褒められて綺麗になる」というのはどの世代でも同じです。でも、40~50代って2000年はじめまでは「中年」っていわれていた歳ですよね。私の大好きな本である、1999年刊行の曽野綾子さんの『中年以後』でも、曽野さんは、中年は30代半ば~50代と思うと書かれています。「中年」って文字面だけ見ても抵抗したくなる気持ちもあったりで……(笑)。

そこで、私たちの時代の最初の意識改革の表れが、2007年頃に作られた「アラフォー」という言葉、そして、そのもっともたるが、雑誌『美ST』が開催している「美魔女コンテスト」だったのではないかと私は思っています。
エントリーしている美魔女は30代後半~50代で、最初の数回あたりはバブルの匂いを纏っている方々も少なくはなかったように思われます。ちなみに2023年の今年は第14回を迎えますが、「美魔女」という言葉が誕生する前までは、コンテストは10、20代が中心で40、50代が対象のものってなかったですよね。

DCブランドブーム、そして、バブルを直接、間接的でも経験した世代は何となく注目されることにも慣れていて、そして、自己表現する場についても上手、下手は別にして、無意識のうちに求めている。その心を「美魔女」という形で、また、中年を「アラフォー」「アラフィフ」という言葉に置き換え、結果、「意識改革の定着」になったのでは? と思っているのですが。

堂上:なるほど。おっしゃる通り、そういった自分を発信するツールがより身近になっていますね。

余慶:SNSが当たり前になった今、あの頃のお立ち台と今のSNSは“承認欲求”という点で通じているように思います。実際、「痛い!」と思われる方もいらっしゃるようで賛否両論ですが、私は本人が楽しければいいのでは? とも思っています。「綺麗になることをなぜ恐れるの?」と、美への欲望を堂々と押し出している。『美ST』では美容整形に関する記事が特集で組まれるくらいですからね。昔は週刊誌のごく後ろに、ひっそりと掲載されていたのに。

最近は、「アラフィフ」に代わる「アネフォー」という言葉までも作られたり、飽和状態の域まで達していて、逆にナチュラルな本質追求型がいいという風潮も高まっていますが、いずれにせよやはり「美」への関心は高いというのがベースにはあります。

堂上:僕は昭和の人間なので、整形にはまだ抵抗があります。でも「やってもいいじゃん」が普通の価値観になってきているんですよね。

余慶:流石にまだ顎を削るとか本格的な整形については一般的ではありませんが、プチ整形レベルであれば許容範囲の方が多いのではないでしょうか。以前は「ボトックスやヒアルロン酸の注射を打つ」というだけで眉をひそめられましたけど、今は「糸リフトをするなら、どこのクリニックがおすすめ?」なんてトピックすら日常会話です。

堂上:糸リフトというと……?

余慶:医療用の糸でたるんだ皮膚を引き上げるんです。リフトアップ系はレーザーによる施術が主流ですけど、今では糸リフトをされている方も多いです。ちなみにレーザーは、皮膚の真皮層にダメージを与えて、回復を促すんです。私はまだ糸リフトはしていませんが、レーザーは年1回ほどもう7、8年しています。糸リフトも近い将来してみたいなと思っています。

堂上:レーザー施術は筋トレと同じですね。一度壊すことで、新しい細胞をつくる。

余慶:そうした美容医療が抵抗感のない時代になってきました。有名な皮膚科医の先生も、ご自身のYouTubeで「私も糸リフトやボトックス注射を打っています」と発信しています。『美ST』によって美魔女が流行語になり、その仕掛人である編集長の山本由樹さんもスターになった。女性たちが秘めていた「褒められたい」「自己アピールしたい」という欲求が大きく花開いたことで、新たな時代が切り拓かれたと思います。

堂上:文化や価値観が変わっていくことで、どんどん外見がアップデートされ、褒められ、自信を持って外に出て行けるようになっていく。良い流れですね。

余慶:そうして多くの人と交流を持てるようになると、世界も広がりますよね。新たな知識も吸収できますし、それがまた自分を磨くことにつながっていく。

堂上:外見の自信を得ることで、非常に良いサイクルが生まれるわけですね。

美の要は「一髪、二化粧、三衣装」

余慶:昔から、女性を美しく見せるには「一髪、二化粧、三衣装」といわれてきました。外見の中でも「髪」がもっとも重要で、見た目の9割を左右するともいいます。特に女性は更年期以降、女性ホルモンの影響が髪に如実に現れるんですよね。薄くなったり白髪が増えたり……私自身もとても悩みました。やっぱり外に出たくなくなるんですよ。

堂上:どういったケアから始めればいいのでしょうか?

余慶:例えのひとつとして、薄毛、ボリューム不足でヘアスタイルが決まらないという場合は、手っ取り早いのはウィッグですね。やはりニーズが高くて、業界としてもかなり伸びています。育毛剤も各メーカーがこぞって発売していますし、薄毛治療の専門医を訪ねる女性患者も増えてきている。お昼の時間帯にも女性用ウィッグのCMが流れているくらい、美容整形と同じで、髪の悩みはもはや「恥ずかしくない」ことなんですよね。

堂上:それも当たり前になってきている。すごいですね。

余慶:私も「50代以上の女性に向けた育毛剤を監修してほしい」とよくオファーをいただきます。50代中盤以降の髪の悩みの一番は、やっぱり髪のボリューム不足。今は若い子でも悩んでいる子が多いんですよ。ファッションが薄着だったりスマホをずっと同じ姿勢で見ていたりと、血流が悪くなっているせいです。そのため美容器具では、ヘッドスパ系や電気バリブラシのように「頭皮ケア」に特化した製品がとても人気を集めています。

堂上:薄毛をカバーするには美容院選びも重要だと思うのですが、相性はどう見極めればいいのでしょうか?

余慶:「安いから」と金額で決めずに、自分がなりたいテイストに近い雰囲気の「美容師さん」で選ぶといいですね。「こんな髪型になりたいです」と意思を積極的に伝えることも大切です。その時に「でも、あなたの髪質にはもっと合うものがあります。こういった方法はどうですか?」と、こちらの特性をしっかり見極めて、指摘と提案をしてくれる美容師さんは信頼できます。相性は千差万別ですから、自分が満足できるまで、とにかく色々な美容院に足を運んでいただきたいですね。置いてある雑誌の種類というのも自分がなりたいテイストかどうかの判断にもなると思います。

髪は口ほどに「生きざま」を語る

余慶:髪は「生きざま」を表すと思うんです。グレイヘアが味になっている人はまさにそう。島田順子さんは、ライフスタイルも着こなしもとっても素敵でカッコいい。だからこそみんなの憧れになっていますよね。でも、グレイヘアは難しくて一歩間違うと「ヘアケアをできていない人」と見なされてしまう場合も多いです。特に女性への目は厳しいと感じています。お化粧をしっかりしていたとしても、髪の毛が白くてパサついて広がっていて……となると「あら、詰めが甘いな」と思われてしまう。それなので、一時期は「グレイヘア」は話題になりましたが、女性の場合はやはり定着までには至らなかったワケです。

堂上:働き盛りの男性でいえば、茶髪に染めると「不良」「不誠実」といったレッテルを貼られることもあります。様々なスタイルが許容され、自分のキャラクターを演出できる社会になってほしいですが、「世間の目」があるためにその一歩を踏み出せない。このノットウェルビーイングな状態を抜け出すには、どうしたらいいでしょうか?

余慶:究極、“自分にしっくりくる”のであれば、白髪でも茶髪でも真っ赤な髪でもいいと思います。無理に周りに合わせたり背伸びをして似合わない髪にするよりも、「幸せ」と満足できるヘアスタイルにする。そうすれば、自然と“幸せな顔”になってくるんですよね。

堂上:なるほど、その人に馴染む髪であれば周囲からも褒められますしね。やっぱりヘアスタイルと生き方はイコールで、「似合っているね」と周りから認められるようになれば、さらになりたい自分へと踏み出せるようになっていく。コンプレックスではなく、自信に繋げていくのですね。

余慶:そうして、前へ前へと進んでいけばいいんです。もちろん「仕事上、お客さまに失礼にならないように」という視点も大事ですが、若い世代はコミュニティに所属するというより「個」の力で生きている傾向もあります。その新しい価値観を私たちも学ぶべきですよね。未知のものに向き合うと体力も精神力も使いますが、それでも自分を変えなくちゃいけない。世の中に溢れる情報から刺激を受けて、自分自身も行動を起こしていく。

堂上:成長したいと思っていれば、人は変われますよね。社会や他人のせいにしていると、いつまでもその場所から動けない。ウェルビーイングの最初のステップは「見た目をどう変えるか」について、自分と対話することなのかもしれませんね。そのためには「楽しんで取り組む」ことが必要不可欠だと思います。好きなものに熱中している姿は、それこそ“カッコいいライフスタイル”そのものですし。

“気づき・繋がり・褒める”のサイクル

余慶:ただ、育ち盛りのお子様がいらっしゃる方にヘアケアについて取材すると「そんな時間はありません」という答えが返ってくる。やっぱりできない人は多いわけですよ。

堂上:自身のケアを「そんな時間」とネガティブに捉えてしまうのは、雑務だと感じているからでしょうか。夫なり子どもなりに「皿洗いと洗濯物干し、一緒にやろうよ」と声をかけて、積極的に時間を作ってみるのはいかがですか?

中学生の頃に読んだ『トム・ソーヤの冒険』で、とても示唆的で忘れられない一編があるんです。トムはいたずらの罰として大嫌いなペンキ塗りを命じられるのですが、あえてものすごく楽しそうにやってみるんですね。すると友人たちが「僕にもやらせて!」と集まってくる。日々の生活を「どうやって楽しんでやろうかな」という視点で見つめ、企て、仕掛けていけば、カッコいいライフスタイルに近づいていくんじゃないかと。僕も「何でそんな楽しそうに仕事してるんだ」と聞かれるのですが、「自分で楽しい仕事を作っているんだ」と思っています。

余慶:とても共感できます。周りをポジティブに巻き込んでいくのは本当に大事。やっぱり孤独だと踏み出せないんですよね。ダイエットに成功した友人も、以前は「太っているから外に出たくない。」と思っていたそうです。そう思うのは人それぞれでしょうが、友人の場合は痩せ始めたことで「変わったね」と褒められて、「新しい人生を歩みたい」と生き方まで変化していったと話してくれました。

堂上:見た目を綺麗にしようと思うのは、自分の殻を破ろうとしているから。広告業から美容家に転身した余慶さんもそうですけど、常に新しい自分を発見するべく挑戦している人は、やっぱりカッコいいですよね。

余慶:何かに挑む時って、髪を切ったり髭をそったり洋服を新調したり、見た目を整えることからスタートしますしね。そうすると自然と気持ちも上がりますし、新しい髪型や口紅にするだけで、周囲に与える印象も変わります。「あれ、髪を染めた?」と気づいてもらえるのも本当に嬉しいんですよね。気づき・繋がり・褒める。そうすることで、殻をどんどん破っていける。

自分の殻を破るには「余裕」を持つこと

堂上:つい先日、誕生日に妻から水色のトレーナーをもらったんです。今まで挑戦したことがない水色で「どうかな……」と思ったんですけど、着てみると意外としっくりきて。さっそくWelluluのイベントにもそのトレーナーで出演したら、周りからすごく褒められて新たな気づきを得ました。

余慶:ウェルビーイングは“余裕”を持つことだと思うんですよね。余裕があれば人の意見を聞けますし、自分の殻に頑固に閉じこもることもなく、優しくなっていく。「おすすめされたこの口紅、なんだか顔色が明るく見えるわ」と外に出て人に会いたくなったりね。そして褒められて、新しい自分を発見できる。まさに堂上さんが体感されたことです。

堂上:ちなみにこの赤い靴下も妻からもらったんです。会社には黒い靴下しかはいてこなかったから、すごく新鮮(笑)。

余慶:とっても可愛い! 愛を感じますね。奥さまが堂上さんのことをしっかり見つめているのが伝わってきます。美容師さんの選び方にも言えることですが、相性がいいなと思える相手は、こちらに少なからず興味を持ってくれている。だから的確な意見をくれるんですよね。でも自分に余裕がないと、その言葉を邪魔なものに感じてしまう。

堂上:その点でも余裕が大切なんですね。

余慶:窮屈な状態だと、固定観念に縛られてしまいます。年齢を重ねるにつれてその傾向が強まりますから、積極的にアップデートしていかないと。外に出て流行をこの目で見て、友人と話して聞いて、あらゆる情報に触れていく。そうして世間とのずれを調整して、トレンドを取り入れながらおしゃれを楽しむ。するとまた褒められるわけです。余裕を持つためには、やっぱり褒めてもらって、喜びを感じることですよ。

堂上:すると良い循環が生まれるんですね。

余慶:本当にそう。私にとってのウェルビーイングは、言語化するなら「断捨離」。それこそ余裕をつくって、新しいものを取り入れることに喜びを感じます。

堂上:捨てるのはモノに限らず?

余慶:おっしゃる通りです。モノ、特に人間関係を整理するのはとても怖かったけれど、いざやってみたら気持ちがすごく楽になりました。やっぱり捨てたからこそ、新しい風が流れ込んできた。断捨離は「新しいものを求めている」証拠なんだなと思います。

積み重ねた「自信」が外見を輝かせる

堂上:モノも人も受け入れられるキャパシティに限りがあるから、余白が必要ということですね。断捨離は新しいことに向かう行為であると。違和感を感じたら新しいところへ向かえばいい。

余慶:断捨離とは、自分にとって「心地よくないモノ」を手放すこと。やっていると、何が大事かが見えてくるんです。私も長く断捨離に踏み切れなかったのですが、実践してからは新しいものがどんどん入ってきて、今、本当に楽しいです。

堂上:いいですね、余慶さんも輝いていますもん。

余慶:でしょう(笑)。我ながら、ノリにのっていると思います。今、韓流俳優のキャスティングや現地コーディネートも行っているんです。周りから冷めた目で見られるくらい韓流にハマって、でも貫いて貫いて、立派な仕事になっている。

堂上:素晴らしいですね。

余慶:それこそ昔はがむしゃらに働いていて、余裕がなかった時期もありました。ある時、スケジュールがパンパンで「ちょっと遅れます」と会社に電話をしたら、受けてくれた女の子が「気を付けて来てくださいね」と声をかけてくれたんです。今では一番の友人ですが、とてもポジティブな寛容さを持っていて本当に尊敬しています。私が目指すのは、彼女のような優しい言葉をかけられる女性。「ありがとう」や人が言われて気持ちいい言葉を発していこうと心がけています。

堂上:まさにウェルビーイングですね。「ありがとう」を言える人はいい顔をしている。感謝できるということは、人に優しくできるし、周囲を巻き込んでいける力がある。外見の美しさと心から発する「ありがとう」は深く繋がっているように思います。

余慶:本当にそうですね。感謝の気持ちを素直に表すことができるのは、謙虚さと余裕があるからこそ。心からの「ありがとう」は言われると100%嬉しいですし、口にした本人にもポジティブな気持ちをもたらしてくれますよね。

余慶:もうひとつ、言葉について変化したことがあって。美容家に転身したばかりの頃は、「演出が大事だから」と自分を大きく見せようとしていたんです。でも経験が伴っていないから、どうしても言葉が拙いんですよ。あれから15年の時を重ねて、私自身も様々なケアに取り組んで効果を実証したりと、経験をベースに話ができるようになりました。

そうすると、言葉に魂がこもるんですよね。だからこそ、皆さんが耳を傾けてくださる。経験による説得力、魂がこもった言葉は本当に大切。でも一方で「若い世代にはそれだけじゃ響かないのかもしれない」という視点も持っておかないといけない。

堂上:価値観の押し付けはしてはいけませんよね。お互いの生き方を認め合いながら、相手に対して堂々と話ができる環境をつくっていくべきではないでしょうか。

余慶:プレゼンテーションの場はどんな人にも必要です。自分の言葉を発信することで、最初は不安でも、どんどん自信がみなぎっていく。言葉が届くって本当に嬉しいこと。その喜びが美しさへと繋がっていくのだと思います。

堂上:「褒められる」「言葉が伝わる」喜びが、顔つきにも表れていく。やはり外見と心の美しさは深く関係しているのですね。“美容”というテーマは門外漢でしたが、性別を問わず通じる大きな学びをいただきました。貴重なお話をありがとうございました。

余慶尚美さんの著書はこちらから

「髪トレ」(主婦の友社:2020年)

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