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今納豆の消費量が増えている!大豆の栄養素・発酵の力で注目される日本の伝統食品【タカノフーズ】

伝統的な日本食、納豆の歴史やその誕生秘話、製造工程や健康効果など。身近な存在だからこそなんとなく健康でおいしいという理由だけで手に取り続けている人が多いのでは?実は地域によってタレの味が違ったり、そのままでも、アレンジしてもおいしい納豆のあれこれについて、今回タカノフーズの山口さんに詳しくお話を伺った。

山口さん

大学卒業後タカノフーズに入社。営業をへて現在は納豆推進にて広報等を担当

本記事のリリース情報

Welulu」にて当社をご紹介いただきました

目次

かつては貴重なタンパク源だった?朝食のお供「納豆」の全貌

──本日はよろしくお願いします。早速ですが、山口さんは納豆がお好きですか?

山口さん:はい、納豆大好きです!実は、納豆が好きだからこそこの会社に入ったというのもあります。

──そうなんですね!やはり社内でも納豆好きの方が多いのでしょうか?

山口さん:そうですね、割と納豆好きな人が多いと思います。社内ではどの納豆が好きか、食べ方などについて話題になることもよくあって、たとえば、卵を先にご飯と混ぜてから納豆を入れるか、納豆と卵を一緒に混ぜて食べるか、どちら派か?なんて話もします。

──おもしろいですね。タカノフーズならではの社員の方がよくする食べ方などはありますか?

山口さん:さまざまな料理に納豆を入れて楽しんでいる人がいます。たとえば、クリームシチューに納豆を入れたり、麻婆豆腐に納豆を入れたり、あるいはキャベツなどと一緒にサラダにして食べるなどという話も聞きます。

正直、私が試したことのない食べ方もあるのですが、おいしく食べているそうです。とりあえずなんでも試してみよう!なんて人もいます。

──クリームシチューや麻婆豆腐は驚きです!ちなみに、関西出身の方には納豆が少し苦手な人も多いと聞きますが…、どうなのでしょう。

山口さん:納豆が苦手という人、少なくないですよね。納豆好きな人は、子どものころから親しんでいることが比較的多いと思います。最近になって西日本でも納豆を食べる習慣が増えていますが、そのような地域的な背景もあるのかもしれないですね。

──納豆があまり親しまれていない地域もあるのですね。それは、なぜなのでしょうか?

山口さん:かつては寒さが厳しい東日本では、タンパク源として納豆が重宝されてきましたが、西日本では魚などほかのタンパク源が豊富だったため、納豆があまり重要視されていなかったのではないかと考えられています。

──なるほど、魚が豊富に取れる西日本ではそれほどタンパク源に困ってはいなかった、というのはあるかもしれませんね!

なぜ水戸が有名なのか?納豆の歴史

──納豆の歴史についてお伺いしてもよろしいですか?

山口さん日本人が納豆を食べ始めた時期ははっきりしませんが、縄文時代の終わり頃には既に納豆のようなものが食べられていたとも言われており、かなり古い時代から親しまれてきた食品のようです。。当時、納豆は藁で包んで作られていました。納豆菌は枯草菌の一種で、藁や土の中などさまざまな場所に存在している菌なので、大豆を藁で保存しているうちに、偶然納豆ができたのではないかと考えられています。

また、納豆の語源にも諸説あるものの、お寺の台所である「納所(なっしょ)」で作られていたことから「納豆」と呼ばれるようになったとも言われています。

──偶然の産物だったのですね!御社は1932年創業、今年で92周年とのことですが、いつごろから納豆屋さんができたのでしょうか?

山口さん:そうですね、江戸時代のころには納豆屋さんが出現し、江戸初期に書かれた『本朝食艦』では、納豆の整腸作用や解毒作用について記録されていて、「納豆が健康に良い食べものである」と、当時から認識されていたことがわかります。

──西日本では消費量があまり多くないとのことでしたが、消費量がとくに多い地域はどこなのでしょうか?

山口さん:茨城県では納豆の消費が多く、名物でもありますよね。JR水戸駅ができた際に、駅前広場で納豆が売り出されたことがきっかけとして水戸のの名物となったという話もあります。また、茨城県では小粒の大豆が多く採れるのですが、これが納豆に適しているため、このような点も親しまれる背景なのではと思っています。

職人の技術が納豆の味を左右する!納豆の製造方法

──続いて、納豆の原料やその作り方を教えていただけますか?

山口さん:納豆の製造には大体3、4日かかります。まず、大豆の選別から始めます。日本国内やアメリカ、カナダで栽培された大豆を使用しており、大豆選別センターで割れ豆、不良大豆を取り除いて、丁寧にチェックします。厳しいチェックに合格した大豆だけがタカノフーズの商品になります。

そののち、工場に運ばれ、水に浸ける工程(浸漬)に移ります。この工程は約20時間かかり、これで大豆が2倍ほどに膨らみます。

次に、大豆を蒸煮釜で加熱し、蒸します。そのあと、納豆菌をムラなく吹きかけて容器に充填し、タレやからしを入れます。そして、発酵・熟成の工程に入ります。発酵は大体40度の温度で1日かけて行い、冷蔵庫に移して熟成させます。最後に包装・ダンボールに詰めて出荷され、みなさまのお手元に届くという流れです。

──思っていたよりも工程が多いのですね!

山口さん:そうなんです。納豆の製造は非常に繊細な作業が多く、納豆菌や大豆の品種によって温度や湿度の管理が変わります。これにより納豆の味が決まるので、すべての工程が重要で、とくに発酵の工程や温度管理が味に大きく影響します。弊社では常に一定の品質を担保できるように、日々細かな調整もしています。

──この工程は江戸時代のころから変わっていないのでしょうか?

山口さん:はい、基本的な工程は変わっていないと思います。ただ、現在では多くの工程が機械化されています。昔は手作業だった部分も、今では機械で行われています。

しかし、味の確認や品質管理などは今でも職人の技術が求められるところです。そのため、工場では味や品質の確認が毎日行われています。タレを入れずに納豆を食べ、理想的な味や粘りになっているかチェックしています。これも職人の技術の一部であり、品質を維持するための重要な工程です。

近年、納豆の消費量は増えている!新たな納豆商品も誕生

──国内での現在の納豆の消費量を教えてください。

山口さん:現在、納豆の市場規模は約2700億円で、コロナ禍では、急激な内食需要の増加があり20年に過去最高の市場規模を記録しました。コロナ明けは落ち着きましたが、23年度はコロナ後一番の伸びをみせています。

──コロナ禍や物価高といった背景があると思いますが、増加を続けている背景にはどのようなものがあるのでしょうか?

山口さん:いくつかの要因が考えられますが、健康意識の高まりや手軽さが大きいと思っています。納豆は健康に良く、手軽に取り入れられる食品として人気があるのはもちろん、お手頃でおいしい点も魅力です。野菜の価格が高騰すると代わりに納豆の消費量が上がるという傾向もあるんですよ。

──野菜の価格高騰の裏で納豆の消費量が上がっているのですね。納豆の消費量が多い地域・少ない地域はどこですか?

山口さん:実は、消費量は水戸市ではなく盛岡市が一番多いです。東北地方は納豆汁などの文化が根付いており、納豆の消費が高い地域です。水戸も消費量を増やそうとして活動をしているようですが、東北が上位になることが多いですね。

一方、消費量が少ないのは近畿や中国、四国地方です。

──納豆の消費量には季節による変動もあるのですね。

山口さん:はい、冬の2月や3月にかけて消費量が伸び、気温の高い夏場がやや落ちている傾向です。

──納豆の種類について教えてください。

山口さん:まず粒の大きさで分類すると、「大粒、中粒、小粒、極小粒、超極小粒、ひきわり」の6種類があります。また醤油やだしがベースのスタンダードな商品から、青じそといったフレーバー納豆、山わさびが添付されている商品など添付品によっても種類がいくつかございます。

最近では、S-903納豆菌を使った「すごい納豆」と呼ばれる製品もあります。これは選び抜かれた特別な納豆菌を用いたからで、納豆菌の名前を初めて商品名に採用しました。納豆菌と乳酸菌のWパワーで、健康や体調管理を意識する方に特に好評いただいています。

納豆を選ぶ際には大豆の大きさ、タレや薬味、粘りなど商品によって様々な違いがあるので自分のお好みをぜひ楽しんで探して頂けると嬉しいなと思います。

──粒の大きさも人それぞれ好みがありますよね。納豆菌にもさまざまな種類があるのでしょうか?

山口さん:はい、弊社では2200種以上の納豆菌をストックしています。納豆菌には匂いが少ないものや粘りが強いもの健康作用を引き出すものなど、さまざまな性質があります。しかし、商品として使われるのはその中でもごく一部です。すべての納豆菌がおいしい納豆になるわけではなく、おいしい納豆に仕上げるのは難しいんです。

──最近の納豆のトレンドや変化などあれば教えてください。

山口さん:最近では、山わさび納豆がヒットしています。従来はからしが添付されているのが一般的でしたが、山わさびを添付したところ非常に好評だったんです。

また、納豆の食べ方も変わりつつあり、朝食から夕食に食べる習慣が増えてきました。コロナ禍で昼食に納豆を食べる人も増えました。ほかにも、納豆だけで食べる人も増えており、必ずしもご飯と一緒に食べるものではなくなってきています。

──朝食のイメージだった納豆でしたが、食べるスタイルも多様になっているのですね!納豆の海外での人気はいかがですか?

山口さん:アジアでは納豆に似た発酵食品が多く、韓国や中国、タイ、台湾などで納豆が親しまれています。最近では健康によい食品として広がりつつあり、現地の方にも受け入れられています。ただし、EUでは匂いの問題でまだ受け入れが難しいようです。

大豆の栄養素+発酵の力!納豆のもつ栄養素

納豆独自の成分「ビタミンK2」

──納豆にはどのような栄養素が含まれているか教えていただけますか?

山口さん:納豆に含まれる栄養素には、おもにタンパク質、脂質、カルシウム、鉄などがあり、とくに注目したいのが納豆菌の働きで作られるビタミンK2です。納豆はビタミンK2を豊富に含む代表的な食品で、骨を強くすることで知られており、、とくに骨粗鬆症予防として注目されています。また、脂質の代謝に関わる成分として知られてるビタミンB2も含まれています。

──さらに納豆は「タンパク質」の量と「必須アミノ酸」がバランス良く含まれているんですよね。

山口さん:そうなんです、納豆のアミノ酸スコアは100近い、つまり体内で活用されやすい良質のタンパク質が含まれていることを示しています。

そのままでもアレンジしても!納豆をおいしく食べよう

──納豆を食べるなら1日1パックくらいが目安でしょうか?

山口さん:そうですね、好きな方から何パックでも食べていいですか?という質問もいただきますが、食べ過ぎると栄養が偏ってしまうので、ほかの食品とバランスよく摂ることが大事です。また継続して食べることが大切です。

──納豆のおいしい食べ方や苦手な人でもたのしめそうなおすすめレシピはありますか?

山口さん:納豆はチーズなど乳製品と一緒に食べると、臭いがまろやかになります。また、挽肉のカレーにひきわり納豆を使ったり、チャーハンに入れると、臭いも抑えられるのでおすすめです。

西日本ではだしが強めの納豆や九州では甘めの納豆など、地域に合わせた納豆もあるため、それらを試してみるのもよいかもしれません。

──地域ごとに味付けが違うのですね!

山口さん:そうなんです。東日本では醤油ベースのタレが主流ですが、たとえば、九州では甘めの醤油が使われていることから、タレも甘めのものになっており、西日本ではいりこを使用しただしが強めのタレが使われています。地域ごとに好みに合わせた納豆を提供しています。

──地域によって納豆の味が違うのはおもしろいですね。納豆を混ぜるときのコツってありますか?

山口さん:納豆は固まりやすいので、まず箸で十字に分割してほぐしてから混ぜるといいですよ。

よく「タレを入れてから混ぜるべきか、先に混ぜるべきか」とも聞かれることが多いのですが、納豆を混ぜ合わせる前にタレを入れるとより納豆とタレが一体となってマイルドな味に、後から入れるとタレの風味と味がよりストレートに感じやすくなります。正解はないのでお好みで楽しんでいただきたいと思っています。

──納豆をたくさん混ぜると美味しくなると聞きますが、なぜでしょうか?

山口さん:たくさん混ぜると舌触りが非常にまろやかになります。100回以上混ぜるとふわっとした食感になります。容器の角を使って空気を含ませるように混ぜるとふわふわになりますよ。

一方、あまり混ぜない場合は、大豆そのものの食感を楽しむことができます。これはお好みによりますが、納豆を混ぜる回数は納豆組合でも「ロマン」として語られるほどで、個人の好みに委ねられていますね。

──納豆のおすすめの食べ方やアレンジレシピはありますか?

山口さん:とくにひきわり納豆は麺に絡みやすく、そばやうどんと合わせるとおいしいです。変わったレシピでは、バニラアイスに納豆を入れてトルコ風アイスにする方法もあります。豆の甘みが感じられて意外とおいしいんですよ。

また、納豆を使ったドレッシングや、納豆をおつまみとして食べる方法もあります。ぜひ、いろいろな食べ方を試してみてください。

──ちなみに山口さんはどのように納豆を食べるのが一番好きですか?

山口さん:私は卵かけご飯に納豆を乗せるのが一番好きです。手軽にできて美味しく。栄養もたっぷりで、毎日食べたいなとおもう程最強の組み合わせだと思います。

──そのとき納豆はどのくらい混ぜますか?

山口さん:納豆はちゃちゃっと混ぜる程度ですね。卵のほうはしっかり混ぜます。ほかにも海苔と一緒に食べるのも好きで、弊社の副将軍納豆には海苔が添付されているように、海苔と納豆は相性が抜群なんですよ。

──納豆のネバネバが気になる方へのアドバイスはありますか?

山口さん:ネバネバが手につくのが嫌な方には、納豆を味噌汁などの汁物に入れるのが手軽に作れますし、おすすめです。

また、納豆をチャーハンにするのもおすすめです。お皿についた納豆の粘り気が気になる場合は、この粘りは水溶性のものなので、しばらく水に浸けておくと粘りが取れやすくなります。逆に水に浸けずに洗剤を使って洗うと粘り気が増してしまうので注意が必要です。

──納豆の保存方法を教えてください。

山口さん:基本的には冷蔵保存が一番です。冷凍も可能ですが、味が落ちることがあるのでおすすめしません。賞味期限内に冷蔵庫で保存し、早めに食べていただくのが一番美味しく食べる方法です。

また、とくに夏場は再発酵しやすいので、炎天下の車内などに長時間放置しないように注意が必要です。納豆菌が再活動し始めてしまい、食感や臭いが変わってしまいます。

Welulu編集後記:
素朴で朝食の定番のイメージの納豆。実はコロナ禍や物価高騰の裏でも消費が増加していたりと意外な事実でした。白ごはんと納豆だけでも十分な食事になり、手軽で健康的、伝統的な日本の食材で、現在は食べ方の多様性も広がったりとこれからも長く愛されるのだろうと感じました。

 

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