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肌のアンチエイジングや動脈硬化リスクの低減へ!「カツオエラスチン」が各組織の弾力性・柔軟性を支える【林兼産業】

身体中の伸縮機能を支えるエラスチン。摂取することで、皮膚や血管の弾力を保つなど、健康への効果が期待されている。まだ認知度は低いが、健康効果だけではなく、美肌にも効果があることが研究からわかった。エラスチンの研究に取り組む林兼産業にエラスチンの健康効果やそのメカニズム、日常生活への取り込み方など、詳しくお話を伺った。

白土 絵理さん

エラスチン研究者 博士(工学)

(経歴)2004年 九州工業大学情報工学部生物科学システム工学科卒業/2006年 同大学院生命体工学研究科博士前期課程修了/2010年 同大学院生命体工学研究科博士後期課程修了,博士(工学)取得。同年 林兼産業株式会社入社

現在は、林兼産業株式会社機能食品部機能食品研究室の室長を務め、「エラスチンの機能性研究、機能性素材の開発・研究」をおこなっている。

本記事のリリース情報

カツオエラスチンの紹介記事がWEB掲載されました。

身体の伸縮を支える弾力のエラスチンとは?

── エラスチンについて教えていただけますか?

白土さん:エラスチンは私たちの体にとって非常に重要なタンパク質で、皮膚や血管、肺、関節の靭帯など多くの組織に存在し、それらの伸縮の機能を支えています。弾性(弾力)タンパク質で、強靭で柔軟性があり、身体の健康維持(生命維持)にも重要です。

エラスチンは主に若い時期、10代頃まで生成が活発で、成長とともに徐々に生成量は減少していきます。30代や40代になると生成量が減り、分解される量が増えるため、体内のエラスチン量は徐々に減少、これが、年齢とともに肌のたるみや体の弾力性・柔軟性の低下が生じる原因の一つとされています。

── エラスチンは加齢によってその量が減少し、それによって肌や血管の弾力性・柔軟性などが影響を受けるということなのですね。

白土さん:その通りです。皮膚の弾力性の低下だけでなく、血管の弾力性の低下にも影響を及ぼすため、血流の低下や血圧への影響も考えられます。また、関節や靭帯などの組織も同様に影響を受け、加齢に伴い、機能が低下することがあります。

エラスチンはカツオやマグロなどの魚類に含まれている

── エラスチンを多く含む食材にはどのようなものがあるのでしょうか。

白土さん:魚の動脈球(どうみゃくきゅう)という、心臓、心室を経て血管に移る部分に位置する動脈幹で、魚類に特有の部位にエラスチンが多く含まれています。他にも、たとえば牛の項靭帯や豚の大動脈のような伸び縮みの動きに必要な部分に多く含まれるのですが、どれも一般的ではないため、日常的なエラスチンの直接摂取はあまり現実的ではないのが事実です。

── 御社がエラスチンに着目した背景や取り組んだ研究開発について詳しく教えていただけますか?

白土さん:私たちがエラスチンに着目し始めたのは2000年代初頭のことでした。当時、美容産業ではコラーゲンやヒアルロン酸が一般的に利用されていて、エラスチンも化粧品素材として使用されていたものの、主に牛の項靭帯から抽出されたものがほとんどでした。しかし、安全性面から海洋性エラスチンに着目が高まったことから研究を始めました。

この頃はまだ海洋性由来のエラスチンに関して、学術的研究や情報がほとんどない状態でした。

研究を進めるうちに、とくに魚の動脈球にエラスチンが非常に豊富に含まれていることを発見しました。硬骨魚類(こうこつぎょるい)に分類されるマグロやカツオといった回遊魚では、血液を全身に送り出すため動脈球の弾力性がとても重要で、大きく発達しています。動脈球は、大動脈壁の一部が発達したもので、弾性線維(エラスチン)に富み、内部は海綿状構造になっているため、心臓からの血流によって常に拡張・収縮を繰り返しています。

そしてその弾力性により、心臓に近いエラ毛細血管にかかる血圧を調整し、且つ血流を維持する働きをします。この部位からエラスチンを抽出し、それを基に製品開発を行い、安全性と効果を確保した新たなエラスチン素材を市場に提供することが可能になりました。2002年の本格的な研究開始から、2005年に上市に至ったという流れです。

── 天然素材カツオからのエラスチン「カツオエラスチン」の抽出方法や活用方法について教えてください。

白土さん:エラスチンは、とくにカツオ由来のものが市場の大部分で、あとは豚の血管由来のエラスチンがあります。他の魚種や動物からのエラスチンも存在はしますが、それほど一般的ではありません。

抽出方法としては、まずカツオから動脈球(どうみゃくきゅう)を収集し、様々な過程を経て、エラスチンのたんぱく質を高度に精製しつつ、魚由来の匂いや味を低減してカツオエラスチン粉末を得ます。この乾燥粉末を化粧品や健康食品の原料として市場に供給しています。

エラスチンがアンチエイジングや肌のハリを向上!

白土さん:主に機能性表示食品、サプリメント、美容ドリンクなどに配合されていて、とくに美容と健康を意識した商品での利用が多いです。エラスチンの皮膚や血管の弾力を支える成分に着目され、アンチエイジングや肌のハリを向上させる製品に好まれて活用されています。

── アンチエイジングや肌のハリというとやはりコラーゲンのイメージが強いのですが、やはりまだエラスチンの認識は広がっていないということでしょうか。

白土さん:はい、エラスチンはコラーゲンやヒアルロン酸に比べて、まだ認知度が低いのが現状です。コラーゲンはその効果が広く認識されており、多くの消費者が日常的に摂取しています。一方でエラスチンは、特定の健康効果に特化しているため、美容や特定の健康機能に関心の高い消費者層への認知は進んでいて、とくに美容業界での注目が高まっており、期待をしているところです。

たるみ・しわ対策に!エラスチンが皮膚に弾力を与え,ハリを保つ

── エラスチンが肌に与える影響とその作用のメカニズムを教えてください。

白土さん:エラスチンが不足すると、肌のたるみやしわが目立つようになります。これは、エラスチンが肌の線維組織内で弾力性を支えるネットワークを形成しており、そのネットワークが損なわれることにより、肌の弾力性が低下し、たるみやしわが生じやすくなるというものです。

臨床試験においては、エラスチンの摂取が肌の弾力性、水分保持能力、そして血流の改善に寄与することが確認されています。1日75mgのエラスチンを毎日摂取した場合、4週間目から肌質の改善が見られました。

エラスチンを摂取すると、体内でより小さなペプチドへと分解され、そのペプチドが血流を通じて体の各部に運ばれます。私たちの研究では、エラスチンを摂取後約30分で、とくに「プロリルグリシン(Pro-Gly)」というエラスチン由来のジペプチドが血液中に移行していることが明らかになりました。このジペプチドは、皮膚や血管、関節などの組織でエラスチンの産生を促進する効果が細胞試験により認められています。

このプロセスは、エラスチンが直接的に組織に取り込まれるわけではなく、摂取されたエラスチンが体内で活性化されたペプチドに変換され、これがさまざまな組織の細胞に作用してエラスチンの産生や機能の促進をおこなうというものです。

── エラスチン単体ではなく、たとえばコラーゲンやヒアルロン酸を同時に使用した際、相乗効果はあるのでしょうか?

白土さん:まず、エラスチン、コラーゲン、ヒアルロン酸は、いずれも肌の健康に寄与する成分であり、それぞれ異なる役割を持ちます。コラーゲンは肌の主要な構造タンパク質であり、肌の強度を維持します。ヒアルロン酸は水分を保持する能力が非常に高く、肌の保湿とボリュームを提供します。これらの成分とエラスチンを組み合わせることにより、肌の柔軟性、弾力性、保湿力が相乗的に向上することが過去に実施した臨床試験により確認されました。肌の構造と機能を全方位からサポートし、より強力なアンチエイジング効果が期待できます。

── コラーゲンとエラスチンの違いをわかりやすく教えていただけますか?

白土さん:コラーゲンは「肌の強度」を保つための主要な構造タンパク質で、肌の土台・支柱のような役割を果たしています。一方、エラスチンは「肌の弾力性」を担うタンパク質のため、肌を押したり引っ張ったあとに元の状態に戻る能力、つまり「伸縮性」を支える役割を果たしています。このように、それぞれ肌における役割が異なります。

── エラスチンの不足が肌のたるみにつながるとのことですが、他にもよくない影響を与える可能性があるのでしょうか?

白土さん:エラスチン不足では、肌の弾力性が低下し、それが直接的にしわやたるみの原因になります。これは肌が外部の力に対して適切に伸縮できないことで、肌の老化現象として現れるものです。また、肌の回復力も低下するため、たるみ・小じわが深くなりやすくなります。

最低でも4週間以上の継続摂取がおすすめ

── エラスチンの効果を得るにはどのくらいの期間使用すればよいのでしょうか。

白土さん:エラスチンの効果を最大限に出すには継続的な摂取が重要です。臨床試験を踏まえても、少なくとも4週間の継続摂取が肌への明確な利益をもたらしてくれると考えています。継続してエラスチンを摂取することにより、活性を持つペプチドが継続的に各組織へ供給されます。この定期的な供給は、皮膚細胞の再生能力を高めると同時に、エラスチンの本来の機能を支える重要な要素となるのです。

── エラスチンを摂取する際の推奨量や方法について、具体的に教えてください。

白土さん:化粧品もあるのですが、私たちが推奨しているのは、サプリメントでの摂取です。摂取量については、臨床実験から1日あたり75mgの摂取が肌の弾力性や水分量の改善に効果的であることがわかっていますが、同時に、長期間にわたる安全性試験において、1日400mgを1年以上摂取しても健康上の問題はとくにありませんでした。そのため、安心して1日75㎎を継続摂取していただけると考えます

血管とエラスチンの関係。健康的で弾力のある血管に

── エラスチンを摂取することで血管に与える影響について教えてください。

白土さん:血管の弾力性や柔軟性が向上します。私たちの研究では、1日に75mgのエラスチンを摂取した場合、血管が広がりやすくなり、それによって血流がスムーズになることが確認されています。これは、血管が外部からの圧力に対して柔軟に対応できるようになったことで、血流の改善につながったこと、さらに、血管が必要に応じて広がる能力も向上し、全体的な血流の効率が良くなったことがあります。

つまり、エラスチンの摂取には、血管内皮細胞の機能を支え、老化による機能低下を防ぐ効果があります。この血管の柔軟性は、動脈硬化を含むさまざまな循環器疾患の予防にも寄与します。

── エラスチンが不足すると血管にどのような悪影響を及ぼしますか?

白土さん:血管の弾力性が失われ、血管が硬くなることにより、血流が悪化し、高血圧や動脈硬化などのリスクが高まる可能性があります。もともと、年齢と共に自然とエラスチンの産生が減少するため、加齢に伴い血管の柔軟性が低下するのは避けられないものではありますが、それによりさまざまな循環器系の問題が発生しやすくなります。

── エラスチンの減少やその機能の低下は主に加齢によるものが原因なのでしょうか?

白土さん:主に年齢とともに進行しますが、特定の生活習慣がその過程を加速させることがあります。たとえば、喫煙により、好中球エラスターゼ活性が高くなります。この酵素はエラスチンを分解し、結果的に肺や血管の構造を損傷し、その機能を低下させます。つまり喫煙は血管の老化を促してしまうのです。その他にも、運動不足や高ストレスな生活、過度のアルコール摂取も血管機能の低下につながる可能性があるとされています。

──健康的な血管を保つために、エラスチンと合わせて取るとよい成分はありますか?

白土さん:まず、血圧低下に作用があるような成分が挙げられます。高血圧は動脈硬化などのリスクを高めるので、このような成分を摂取することで予防につながります。

次に、血流を改善するような成分が挙げられます。血流の改善は全身の血管健康にもつながるため、エラスチンとの相乗効果でさらに血管が健康に保たれると考えられます。

──これらの成分は普段の食事で摂取可能でしょうか。

白土さん:普段の食事からも一定量は摂取可能です。しかし、とくにエラスチンは食品からの摂取量が限られるため、効果的な量を確保するにはサプリメントの利用がおすすめです。

なお、サプリメントを選ぶ際に疾病に罹患している場合は医師に、医薬品を服用している場合は、医師、薬剤師に相談すると良いと思います。

今後の研究について

──今後の研究について展望や目標はありますか?

白土さん:大学4年生から約20年間エラスチンの研究をしてきました。これまでは皮膚、血管、靭帯などのエラスチンの機能に着目してきましたが、エラスチンの肺への機能性についても興味があります。肺は呼吸のたびに伸び縮みを繰り返すもので、エラスチンの働きが非常に重要だと考えます。エラスチンは熱に強く、沸騰したお湯に浸しても壊れない、弾力性を維持する不思議なタンパク質です。エラスチンのもつ体内での重要な役割と併せて、その魅力的なタンパク質のことを多くの方に知っていただくとともに、より多くの皆様の美容や健康のお役に立てるのであればとても嬉しいです。

Wellulu編集後記
エラスチンは若い時点で多く生成され、その後加齢と共に減少し、肌の弾力性や血管の柔軟性の低下につながること、新たな美容成分として注目が集まっているとのこと、大変興味深い内容でした。コラーゲンやヒアルロン酸に比べるとまだ認知度は高くないのが現状ではあるものの、肌を全体から支えてくれ、アンチエイジング効果をもたらしてくれることなど、その働きや今後の研究への期待が高まります。

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