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理念共感で就職先を選ぶ社長就活とは? 『誰と働くか』を追求した先にあるもの

現在、約368万(※)もの日本企業が存在する中で、自分に合った会社で働けている人はどれだけいるのだろう。
※出典:総務省統計局HPより(2021年6月調査)

今回『Wellulu』に登場していただくのは、社長と学生が価値観でマッチングする新卒採用サービス「WinC」を展開する株式会社プレシャスパートナーズの北野由佳理さんと衣川菜緒さんだ。『誰と働くか』が何よりも大切だと語る二人は、新卒入社以降、情熱を持って仕事に向き合い続けている。彼女たちを突き動かすものとは一体?

Wellulu編集長の堂上研が、昨今の新卒採用の動向や、実践しているウェルビーイングな社内活動について話を伺った。

 

北野 由佳理さん

株式会社プレシャスパートナーズ 執行役員CMO・経営戦略室室長

大学卒業後、2013年に新卒で株式会社プレシャスパートナーズに入社。大手企業を中心にアルバイト・パート領域の採用コンサルティング営業を経験し、2017年4月に広報部の立ち上げに伴い異動。経営戦略室室長を経て、2020年4月に執行役員に就任。現在は経営戦略・広報部門の責任者を務めている。

衣川 菜緒さん

就職支援営業部 部長

2016年に新卒で入社し、新卒採用領域で採用コンサルティングを行う。 その後、理念に共感した人財を採用できる『社長就活』を主軸に、企業の新卒採用支援に携わり、2022年に同事業部の部長に就任。 これまでに数百社以上の採用を支援し、定着、活躍人財の採用支援を行っている。

堂上 研

株式会社ECOTONE 代表取締役社長/Wellulu 編集長

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集長に就任。2024年10月、株式会社ECOTONEを立ち上げる。
https://ecotone.co.jp/

目次

社長の想いが投影された理念は最大の個性

堂上:ウェルビーイングな組織や働き方について、お話を伺えるのを楽しみにしてきました。本日はどうぞよろしくお願いします!

北野衣川こちらこそ、よろしくお願いします。

堂上:まず始めに、お二人が勤める株式会社プレシャスパートナーズ(以下プレシャスパートナーズ)の事業について教えてください。

北野:プレシャスパートナーズは、採用コンサルティング事業と、社長就活事業を行っている会社です。

堂上:社長就活事業とは?

北野:社長が自らが企業理念やビジョンを発信し、新卒採用を行う新卒採用サービスです。「WinC(ウインク)」というブランドでサービスを展開しています。具体的には、①社長自らビジョンや企業理念を発信する採用サイト「WinC Career(ウインクキャリア)」、②社長と学生が価値観マッチングする就活イベント「WinC Audition(ウインクオーディション)」、③新卒人財紹介の「WinC Agent(ウインクエージェント)」の3つのサービスを通じて、社長・経営者と学生の新卒採用マッチングを創出しています。

新卒採用において、『誰と働くか』が重要だと考えており、「どの社長の考えの基で働きたいか」ということに繋がります。企業理念やビジョンに共感した人財を採用することで、長く活躍する人財の採用を目指しています。

堂上:なるほど。近年、ウェルビーイングな働き方を見直す時期が来ているなと感じています。以前学生に働く目的をヒアリングしたところ、給与面や企業のネームバリューだけではなく、社会貢献や人を大切にしているかを重視する人が増えていることに驚きました。「何をするか」よりも、「企業を通じて誰がどのような内的動機で社会にアウトプットしているか」に注目している印象です。

北野:社長就活事業をスタートした2019年に比べると、学生側も企業側も「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」「企業理念」に関心を持つ人が増えました。これらに共感した人財の採用を「理念共感型採用」と言っているのですが、学生側、企業側のイベントへの関心や参加率、採用基準に変化を感じます。

衣川:特にコロナ禍前後の2018年〜2022年頃の採用活動では、「誰にどのようなメッセージを届けるか」を意識し始め、ペルソナ像から見直す企業が増えました。弊社では「資質(人柄や性格など)」と「思考性(文化や価値観への共感)」の2つを掛け合わせて、その企業に合った採用ターゲットを策定。その人財を採用するための採用フローや基準設計を行う、新卒採用のコンサルティングも行っています。

堂上:具体的にどのように伴走されるのでしょうか?

衣川:まずは社長と直接対話しながら、企業理念とMVVを言語化していきます。言語化したものは、ホームページやSNSを通じて社内外に自社の価値を可視化し、最後に価値を体現する制度や取り組みを作り、浸透させていくという流れです。

堂上:現在、支援企業数はどのくらいになりますか?

北野:採用支援企業は2024年現在で2万社を超えました。また就職イベント「WinC Audition」では、500社以上の社長・経営者の方にご登壇いただいています。

堂上:「WinC Audition」は、学生と直接接点が少ないBtoB会社にとって、特に良いチャンスになりそうですね。

衣川:膨大に存在する企業の中から、1社に絞り込むことは容易い作業ではありません。これまでは、職種や従業員規模といった軸での絞り込みが一般的でしたが、私たちは企業理念や価値観を軸に企業を選んでいく必要があると考えています。

堂上:近年の教育業界も近いものがあります。東京都では、学校と新入生のカルチャーマッチングを推進している区があるんですよ。各学校の校長先生のスピーチを聞いてから、小学校を選べるそうです。

北野:面白いですね!

堂上:さまざまな企業を拝見していると、特に近い領域だとビジョンが似通ってくる気がするのですが、どのように企業のユニーク性を発掘するのでしょうか?

衣川:採用コンセプトや価値観が、「企業」に向いていると似通ってしまう傾向があります。そこで、「社長の想い」や「ターゲット」の解像度を上げていくと、クレドや行動指針といった“会社のDNA”がより明確になるんです。

堂上:つまり、それは“社長の生き様”そのものが浮かび上がってくるということですね。確かにそう考えると、企業によって描く未来は全く異なりそうです。

北野:はい。一連の流れを通じて社長・経営者の方の思考が整理されるので、より伝わるメッセージを言語化していただけるようになります。「学生から選ばれ、“良い学生とマッチング”しました!」という喜びの声を多くいただいています。

堂上:ウェルビーイングな経営者が増えると、ウェルビーイングな社員が増えるそうです。プレシャスパートナーズが推進する「理念共感型採用」は、世の中にウェルビーイングな組織を増やす活動でもあるんですね。

チームを超えた繋がりを生むコミュニティの役割

堂上:お二人は、プレシャスパートナーズには新卒で入社されたんですか?

北野:はい。私は2013年に新卒で入社し、4年間営業職として従事したのち、2017年に広報を立ち上げるタイミングで広報にジョブチェンジしました。

衣川:私は2016年に新卒で入社し、現在は「WinC」を中心に新卒採用サービスを提案する就職支援営業部で営業をしています。大学時代は栄養学を勉強していたので、就職先は食品会社を中心に探していたのですが、弊社の『誰と働くか』というキャッチコピーに一目惚れして、「ここに入社したい!」と強く感じたのがきっかけです。

北野:衣川は、2015年に『誰と働くか』というキャッチコピーを掲げたタイミングで入社を決めてくれました。『誰と働くか』という理念に強く共感してくれて、とても嬉しかったです。

堂上:入社後にギャップはありませんでしたか?

衣川:社内にも『誰と働くか』の理念がきちんと浸透していると感じました。何が自社の正義かを共通認識を持って理解できているので、とても働きやすいです。

堂上:私も博報堂に入社した理由の一つが「人」でした。働いている人が魅力的だと、格段に仕事が楽しくなりますよね。

堂上:会社のメンバーがウェルビーイングな状態にいられるように、取り組んでいることはありますか?

北野:社内イベントが多く、メンバーとよくコミュニケーションをとっていますね。たとえば、月1回の社内飲み会(オンライン)や、健康を目的とした合計歩数をチームで競い合う「ウォーキングイベント」を、5月と10月の年2回開催しています。スプレッドシートで歩数を管理したり、声を掛けあったりと毎回白熱しています!

堂上:チームビルディングにもつながりそうですね。チームの人数はどれくらいですか?

衣川:私のチームは20人弱です。

堂上:いいですね。ウェルビーイングの観点では、20人は相手と向き合う上で適切な人数とされています。それぞれ価値観が違うので、20人を超えるとキャパオーバーしてしまうそうです。

北野:他には、部活動も盛んです。仲間を5名集めて申請すれば、誰でも部活を立ち上げることができる仕組みになっています。

堂上:具体的に、どのような部活動がありますか?

北野:サッカー部、グルメ部、釣り部、漫画・アニメ部、恋愛リアリティショーを語る部など、現在30を超える部活動があります。共通の趣味で集まって楽しむ活動もあれば、将来の参考にするためにママ・パパ部に入る若手社員もいるようです。部活動に参加すると、所属チームを超えた繋がりができるので、社内コミュニケーションを加速する機会になっていますね。

堂上:まさに、コミュニティですね!

衣川:仕事は人生の多くの時間を占めるもの。弊社のバリューである「Work Together,Life Together〜共に働く・共に生きる〜」の通り、仕事を通じて、自分の生きがい形成や一緒に働く仲間の喜びを見つけていける組織を目指していきたいです。

『誰と働くか』を誰よりも体現できる人に

堂上:お二人は何をしている時に幸せを感じますか?

衣川:今一番熱中しているのは仕事です! 売上を追うことも好きですが、社長が「売上は後からついてくるので、まずは人を大事にしなさい」と声をかけてくれたことがありました。私自身が会社から大切にされているなと感じることができる環境のおかげで、安心して心から仕事を楽しめるんだと思います。

北野:私も寝る間も惜しんで仕事をし続けたいと思ってしまうほど、仕事が好きですね。喜びを感じるのは、弊社が大切にしている価値観や「理念共感型採用」が世の中に浸透していくのを目の当たりにした瞬間。広報は、人や企業の意識や態度が変わっていく姿を実感できる仕事なので、とてもやりがいを感じます。

あとは、常に自分がワクワクする状態を保つようにしていますね。新しいトレンドや価値観を知ると、心が踊ります。

堂上:人との出会いも有効ですよね! 他者と対話していると、自分にはないフレッシュな思考に出会えるので楽しいです。

北野:はい。新しく知ったアイデアや情報を、どうやったら社会や会社に応用できるだろうと考えるのが好きですね!

堂上:職場や家庭で「自分らしく生きる」感覚を持つことができる人は、たとえば時間に追われている人たちに比べて、ウェルビーイングが高い傾向にあるそうです。世の中には、重要度と緊急度を見極めた取捨選択ができないために膨大なタスクに追われ続けて、仕事をする意味すら見失ってしまう人も少なくありません。

他者を通じて自分の内面に気づくことはとても重要だと思うのですが、お二人は仕事で悩みがある時は誰に相談しますか?

衣川:私は社長に相談することが多いです。

堂上:相談できるほど、社長とフラットな関係なんですね! 素敵です!

衣川:落ち込んでるタイミングで、声をかけてくれることが多いんですよ。

北野:社長はすごく社内を巡回していますね。2024年現在、170名規模の会社ですが、従業員一人ひとりの変化をよく見ている印象です。

堂上:ウェルビーイングな組織の社長って、社長室に篭らずにオフィスを歩いている人が多いらしいですよ。

衣川:そうなんですね。弊社の社長は、理念の『誰と働くか』を体現している方だと心から思います。尊敬する社長の考えを社内にもっと浸透させていけるように、私も積極的に貢献したいと思い、部下に伝え続けています。

その時に大事にしているのは、私の価値観をそのまま押し付けるのではなく、その子自身が大事にしている価値観を見つけること。それを仕事に反映させることで、本人のやりがいにつながるといいなと思っています。

ギャルマインドは仕事を楽しむ最強の武器!?

堂上:仕事が大好きなお二人から、働くことがつまらないと悩んでいる方へアドバイスをいただけますか?

衣川:学生・内定者との面談で仕事を楽しむコツを聞かれたら、信念や覚悟を持つことの重要性を伝えることが多いです。何か出来事が起きたから好きになるのではなく、「好きになると決めて好きになるポイントを探しにいく」「楽しむと決めてから、出来事を楽しむ」のが大事だと考えています。一度決めたら、ブレずに信じ抜いて欲しいですね。

入社して間もない後輩には、「行きたいと思った会社に入社でき、相手からも選ばれている時点で、あなたは特別な存在。自分に自信を持って信じなさい」と背中を押すこともしばしば。ですので、皆さんもまずは「働くことを楽しむぞ!」と決めて、働くことを思いっきり楽しんで欲しいです!

堂上:素敵ですね! 北野さんはいかがでしょうか。

北野:私は、ギャルマインドを持つことをおすすめします!

堂上:ギャルマインドですか……?

北野:ギャルたちがよく使う「ヤバい」「超ウケる」は、魔法の言葉だと思っていまして。退屈に思えることでもギャルマインドを持って仕事をしたら、きっと何でも楽しめると思います。

堂上:ギャルマインドを持つ大切さ、理解できる気がします。以前、ギャルが時代を作り、世の中を明るくするのはギャルだという論文を読んだことがあります。

北野:最近では、令和ギャルが株主総会の実況中継に挑戦されてたりしていますね。IR資料をギャルならではの感性とギャル語で表現しているそうで、ギャルの可能性は偉大です!

堂上:いやぁ、興味深いですね……!

北野:あとは、思考を整理することもおすすめです。働くことを楽しめない理由やギャップを書き出してみると、見えてくるものがあるのではないでしょうか。自分がつまずいている理由が分かると、対策を打ち出しやすくなります。たとえば成果がでないことが悩みなのか、人間関係で悩んでいるのか……。人によって悩みの根源は異なります。悩みを可視化して改善策を考えてみることで、働くことが楽しくなるヒントがあるかもしれません。

堂上:ロジカルに考えることも必要ですね。家庭においても同じことが言えるかもしれません。たとえば子どもが学校に行きたがらないことも、きっとそれぞれ異なる理由があります。テストが嫌だったり、友達とうまくいっていなかったり……。子どもとの対話を通じて、頭の中を一緒に整理していくことが求められている気がします。

対話した結果、対処法が見つかるのもいいですし、本当に嫌で仕方がないなら無理をしてまで今すぐ好きになる必要はないと。自分らしい生き方を通じて、居心地の良い場所を見つけていくことが、その子にとってウェルビーイングな状態だと思います。

北野:おっしゃる通りですね。

堂上:では、最後に未来の話を伺います。お二人は5年後、どういう自分になりたいですか?

衣川:私はどういう状況であっても、「今よりも楽しい」と思える状態でいたいですね! 仕事では、今よりももっと社長との距離感が近くなる働き方をしていたいです。何のフィルターも挟まずに、社長と直接コミュニケーションができる関係性になることで、誰よりも理念を体現していきたいと思っています。そして、現在任せていただいている仕事をさらに拡大していきます! 人生でこれだけ熱中するものに出会ったのは、初めてなんです。

北野:私は、「理念共感型採用」「社長就活」というサービスや価値観が新卒採用・就職活動のスタンダードになるようにこの世界観を広げていきたいと思っています!

堂上:対談を通じて、お二人は仕事や会社が本当に好きなんだという熱い気持ちがひしひしと伝わってきました! 私自身、改めてウェルビーイングな働き方や、仕事に対する姿勢を見直す機会にもなりました。本日はありがとうございました!

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