運動やトレーニングを始めようと思っているけど「ジムに通うべきか迷っている」という人も多いのでは。今回はCALADA LAB.代表トレーナーの比嘉 一雄さんにジムに通うメリットやデメリット、タイプ別ジムの特徴について伺った。
ジムの種類ごとのメリット・デメリットも紹介しているので、どこのジムに通うか迷っている人も参考にしてみて。
比嘉 一雄さん
CALADA LAB.代表トレーナー
ジムに通うメリット
- 自宅では鍛えることが難しい部位も鍛えられる
- 天候に左右されることなく続けられる
- マシンの使い方やトレーニング方法を教えてもらえる
- 自分に合った負荷に調整できる
- トレーナーから食事の指導も受けられる
- プールやお風呂、サウナなどの施設も利用できる
- 人目があることでトレーニングをサボりにくくなる
- 一緒にトレーニングをする知り合いができることも
自宅では鍛えることが難しい部位も鍛えられる
自宅でマシンを使わないトレーニングをする場合、背中や広背筋を鍛えるのが難しい。
ジムに置いてあるマシンを使えば、背中や広背筋も鍛えられるだけでなく、一人ひとりにあった負荷も細かく設定できるのがメリット。
天候に左右されることなく続けられる
ランニングやウォーキングなど屋外での運動は天候の影響を受けるため、運動ができなかったり、モチベーションが下がったりする日もある。
とくに梅雨の時期や、熱中症が懸念される夏などは屋外での運動はハードルが高く感じることも…。
ジムの場合、天候や気温に左右させずにトレーニングをすることができる。ただし、ジムに行くまでにモチベーションが下がってしまうこともあるので、「家から近くて通いやすい」「運動が終ったらついでにサウナに入る」など、自分なりのジムに通いやすい工夫をしよう。
マシンの使い方やトレーニング方法を教えてもらえる
スポーツジムによっては、専門スタッフが初心者向けにマシンの使い方やトレーニング方法を教えてくれる。
無人のジムであっても、マシン自体にQRコードが貼られており、スマホで読み込んでマシンの使用方法を動画で確認できるといった工夫をしていることが多い。
また、パーソナルトレーニングを実施しているジムであればマンツーマンで指導を受けられる。自分に合ったメニューを組んでくれたり、食事指導などのアドバイスももらえたりできるのが魅力。
とくに、はじめのうちはトレーナーに教えてもらうのがおすすめ。目標や目的に合った回数やset数、負荷のかけ方など、どのようなトレーニングすればいいのかを理解できる。
自分に合った負荷に調整できる
ジムにあるバーベルやダンベルの重さや、ランニングマシンの負荷は自分に合わせて調整できる。トレーナーやジムのスタッフと相談して適切な負荷をかけてトレーニングをしよう。
一方、トレーナーやスタッフが常駐していない場合は、軽い重さから試してみる方法がおすすめ。
20回以上続けてもきつくならない場合は、負荷が軽いので徐々に重くしてみよう。10回~15回で限界を迎えるくらいが1つの目安。
限界の負荷をかけて追い込むには精神力も必要となるが、10回×3セットを目指そう。
また、トレーニングの内容をアプリで記録していくことで自身の変化がわかりやすくなり、継続するモチベーションにもつながる。
トレーナーから食事の指導も受けられる
ボディメイクには、筋トレと食事の両方がとても重要。1日に必要な栄養摂取量や食事内容などもトレーナーに相談もできる。
また、パーソナルトレーニングを受ければ、自分に合ったトレーニングに加えて食事の指導もしてくれる。
せっかくジムでがんばってトレーニングをしても、きちんとした食事が摂れていないと成果につながらない。モチベーション低下の原因にもなるので、食生活の見直しも意識してみよう。
プールやお風呂、サウナなどの施設も利用できる
総合型のフィットネスクラブでは、マシン以外にもプールやお風呂、サウナなどの設備があるところも多い。
プールは効率のいい有酸素運動であるとともに、リフレッシュにもなる。また、ジムで汗を流したあと、ゆっくりお風呂に浸かれば疲労回復できる。
筋トレ後に筋肉が冷えてしまうと筋肉が硬くなってしまうので、ストレッチをしたあとにお風呂やサウナで体を温める習慣をつけるのもおすすめ。
人目があることでトレーニングをサボりにくくなる
いつでも気軽にできる宅トレは、手軽にできる反面ついついサボってしまいがち。ジムの場合は、行ってしまえば筋トレをするしかなくなるので、自分を追い込むための方法としてもおすすめ。
また、ほかの利用者の姿に刺激を受けたり、人目を意識したりするので、トレーニングのモチベーションを上げられる。
「誰かと一緒の方が継続できる」という人はプログラムレッスンを受けるのもおすすめ。
一緒にトレーニングをする知り合いができることも
同じレッスンやプログラムを受ける人と仲良くなり、トレーニング仲間が増えたという声も多くある。
ボディメイクや健康維持など、同じ目的を持った人と知り合うことでお互いのモチベーションを上げたり、ジムトレーニングを継続したりすることにつながるメリットも。
これまでの成果や今後の目標をお互いに共有することで、誰かと一緒にがんばっているという気持ちになることができる。
ジムに通うデメリット
- 自己流の筋トレでは効果が得られにくい
- 無理をしすぎるとオーバートレーニング症候群を引き起こす恐れも
- 時間帯によっては混雑している
自己流の筋トレでは効果が得られにくい
ジムに通うデメリットではないが、せっかくジムに通っても、正しい方法を知らないままトレーニングをしていると、効果がでるのに時間がかかってしまう。
また、自己流の筋トレで正しいフォームを身につけるのは難しい。
せっかくトレーニングをしても効果を実感できないと、モチベーションも下がってしまい続かない原因に…。
そのため、ジムに初めて通う人やトレーニング初心者の人は、最初に正しいトレーニング方法を教えてもらうことからスタートしよう。
無理をしすぎるとオーバートレーニング症候群を引き起こす恐れも
必要以上の有酸素運動をすると「オーバートレーニング症候群」を引き起こす可能性がある。
「オーバートレーニング症候群」は、日常生活でも身体が重く感じ、息切れや食欲低下・手足のしびれ・体重の減少などの「身体的な症状」と、不眠や不安・集中力低下などの「精神的な症状」が現れる。
ストイックな人ほど無理をしてしまう傾向があるので、健康的に鍛えるためにも適切な休息をとろう。
なお、筋肉自体にオーバーワークはない。ただし、やりすぎると成長率が悪くなり効率が下がるため、がっつりと追い込む場合は週3回程度に抑えよう。筋肉を成長させるためには休息も大切。
時間帯によっては混雑している
曜日や時間帯によっては混んでおり、使いたいマシンに人が集中してなかなか使えないというケースも。
また、プログラムレッスンに参加したいけど常連のグループができており、輪に入りにくいといった状況も起こりえる。
入会してからのミスマッチを避けるためにも、入会したらジムを利用するであろう曜日や時間帯に見学や体験に行くようにしよう。
自分だけで運動を続けるのが難しい人はジムでのトレーニングがおすすめ
家だと運動する気にならない、誰かに見てもらわないと継続するのが難しい人はジムに通うのがおすすめ。
一方、運動を身近に取り入れたい、いつでも気軽に運動したい人は、自宅でのトレーニングでもOK。
自宅での自重トレーニングの場合でも、工夫次第では筋肉を大きく成長させることは可能。
回数、頻度、速度を調整すると自分の体重だけでもしっかり強度をかけられる。ただし、どのように工夫するか、トレーニング内容を決めるには経験や知識が必要になる。
フォームやトレーニングのやり方が合っているのかを自分で判断するのも難しい。運動初心者の人は、ジムで正しい方法を教えてもらうのがおすすめ。
また、同じトレーニングの繰り返しで身体が慣れると効果が薄くなってしまうため、3ヵ月を基準にトレーニングの負荷や回数などを見直しが大切。
【タイプ別】スポーツジムのメリット・デメリット
続いては、総合フィットネスクラブ、マシン中心のスポーツジム、パーソナルジム、完全無人のスポーツジムのタイプ別にメリット・デメリットをご紹介。検討しているジムの特徴をおさえよう。
総合フィットネスクラブ
マシントレーニング以外にもプログラムレッスンが受けられる、お風呂やプールなどの設備があるなどといったメリットがある。
メリット
- プログラムレッスンが受けられる
- 常にスタッフやトレーナーがいる
- お風呂、プール・サウナなどの設備がある
- どんなトレーニングをおこなうか選べる
一方で、食事の指導など詳しく教えてもらうのが難しかったり、いろいろな施設が使えたりする分、マシン中心のジムよりも会費は高めといったデメリットがある。
デメリット
- 食事などの専門的な指導をしてもらうのは難しい
- マシン中心のジムよりも会費は高め
- 混雑時はマシンが空くのを待つ必要がある
パーソナルトレーニングや、食事のサポートプログラムを実施しているフィットネスクラブもあるので、自分が受けたいサポートがあるかも確認しておこう。
また、ジムの公式サイトやアプリで混雑状況を確認できるサービスを提供しているケースもある。
プログラムレッスンを受けたり、プールやサウナなどの施設を利用したりと、自分に合った通い方ができるのが総合フィットネスクラブの魅力。
マシン中心のスポーツジム
マシンの種類が豊富で24時間いつでも利用できる施設が多かったり、他店舗の相互利用ができたりといったメリットがある。
メリット
- マシンの種類が豊富
- 料金が比較的安い
- 24時間営業の施設が多い
- 他店舗利用可能なことが多い
一方で、スタッフやトレーナーが不在の時間帯があるため、マシンの使い方をしっかり教えてもらうのが難しい場合があるといった点がデメリット。
デメリット
- スタッフやトレーナーがいない時間帯がある
- プログラムレッスンがない
- 使い方がわからない、初心者の人には難しい
スタッフが常駐している時間帯にマシンの使い方サポートやパーソナルトレーニングを実施しているスポーツジムもあるので、ホームページや見学時にチェックしてみて。
また、フリーのパーソナルトレーナーに指導を受けたい場合は、トレーナーの入室が可能かどうかを確認しておこう。
24時間好きなタイミングでトレーニングできるのが、マシン中心のスポーツジムの魅力。
パーソナルジム
マンツーマンで自分に合ったメニューを組んでもらえたり、食事管理のアドバイスがもらえたりする。基本的には予約制なので、マシンが空くまでの待ち時間が発生しないことも魅力の1つ。
メリット
- トレーナーのサポートを受けながらトレーニングできる
- 自分に合ったメニューを組んでくれる
- 食事管理のアドバイスがもらえる
- 予約制なので待ち時間が発生しない
しっかりとした指導が受けられる反面、料金は比較的高めに設定されていることが多い。また、基本的には予約制で早朝や深夜は営業していないこともあるので、行きたいと思ったタイミングですぐに行けないことも。
デメリット
- 24時間営業していない
- 料金が比較的高め
- 人気トレーナーは予約がとりにくい
- トレーナーとの相性が重要
「目標が明確に決まっている」「最初にしっかりと学びたい」など、目的を持ってしっかりと結果を出していきたい人はパーソナルジムがおすすめ。
トレーナーとの相性による結果やモチベーションの変化も大きいので、何名かの指導を受けてみて、「教え方がわかりやすい」「目標に向かって丁寧にサポートしてくれる」などモチベーションを高めてくれるトレーナーを見つけてみて。
完全無人のスポーツジム
月額料金が3,000〜5,000円ほどのジムも多く、ほかの形態のジムより比較的安いのが特徴。基本的には24時間営業で土足のまま気軽に利用できるなどといったメリットがある。
メリット
- 24時間使えることが多い
- 料金が比較的安い
- 土足のまま利用できる
一方で、トレーナーやスタッフがいないため、マシンの使い方を教えてもらったり、何かあったときにすぐに相談しづらかったりする。
また、お風呂やシャワー・サウナなどの設備がないといったデメリットがある。
デメリット
- トレーナーやスタッフがいないので相談できない
- ウェアやタオルなどのレンタルがない
- お風呂やシャワーの設備がないことが多い
「トレーナーがいなくて1人でトレーニングができる」「健康目的のために手軽に運動を取り入れたい」という人の選択肢としておすすめ。
また、「週に1回はパーソナルトレーニングを受ける」「週に2回は自分でトレーニングする」といったふうにパーソナルジムと併用するのも1つの方法。
トレーニングする時間帯によるメリット・デメリット
どの時間帯が筋トレの効果に優れているのかは研究でまだ明らかになっていない。
朝に筋トレをすることで、仕事のパフォーマンスが上がる人もいれば、疲れてしまって仕事に集中できなくなるという人もいる。
逆に夜に身体を動かすことでぐっすり眠れる人もいれば、交感神経が優位になって眠れなくなる人もいる。
株式会社ヒガトレック CEO
1983年、福岡県生まれ。早稲田大学スポーツ科学部卒業後、東京大学大学院(石井直方研究室)にて、筋肉、ダイエットについて研究。
書籍40冊以上、累計100万部を超える。
「初心者がひとりで安全に効率的なトレーニングを行える」AIフィットネスマシン・ヒガトレックを研究開発。