ハックスクワットは、専用マシンに背中をあずけた状態でおこなう下半身トレーニング。大腿四頭筋(前もも)に強い負荷を集中的にかけられるのが大きな特徴で、ひざや腰の負担を抑えながら足を鍛えたい人におすすめ。この記事では、ハックスクワットの正しいやり方・マシンの使い方を紹介。
また、足の位置による効果の違い・適正重量について、Wellulu編集部スタッフが検証しているので、効率的にハックスクワットで鍛えたい人は参考にしてみて。
この記事の監修者

三矢 紘駆さん
日本体育大学助教 日体大ボディビル部監督
この記事の検証者

吉田 健二さん
Wellulu編集部
学生時代は運動部に所属。過去にトレーニングの継続を二度挫折したが、6ヵ月前から再びジム通いをスタート。現在は「続けられる筋トレ習慣」をテーマに、週2〜3回の全身トレーニングを中心に実践している。
ハックスクワットとは?他種目との違い

ハックスクワットは、専用のマシンを使っておこなう下半身トレーニング。通常のスクワットと比較すると、大腿四頭筋に高い負荷をかけられるのが特徴。背中をシートに固定したまま動作するため筋肉への意識も集中しやすい。脚の強化を効果的におこないたい人におすすめ。
- ハックスクワットのメリット・デメリット
- ハックスクワットとレッグプレスの違い
- ハックスクワットとスクワット・Vスクワットの違い
ハックスクワットのメリット・デメリット

マシンを使ったハックスクワットの最大のメリットは、ひざや腰への負担を抑えつつ、大腿四頭筋(前もも)に負荷を集中できること。正しいフォームの再現性が高い一方で、自由度が低く体幹の安定性を養いにくいというデメリットも。
ハックスクワットのメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・大腿四頭筋に高い負荷でアプローできる ・フォームが安定しやすい ・ひざ・腰への余計なストレスを抑える |
・動作の自由度が低い ・体幹の安定性が養われにくい ・全身の連動性を活かせない |
ハックスクワットとレッグプレスの違い

ハックスクワットとレッグプレスは、いずれもマシンを使うが動作軌道が異なる。レッグプレスは座った姿勢でプレートを押し出し、ハックスクワットは体を斜めに支えた状態で上下の動きをするため大腿四頭筋への刺激が強い。フォームの安定性ではレッグプレスが優れるが、大腿四頭筋への集中的な刺激を求めるならハックスクワットがおすすめ。
ハックスクワットとレッグプレスの違い
| 種類 | 難易度 | 特徴 | おすすめの人 |
|---|---|---|---|
| ハックスクワット | 初心者〜中級者向け | ・体を斜めに支えた姿勢でおこなう ・大腿四頭筋への負荷が強い ・フォームが安定しやすい ・スクワットの動きに近い |
・大腿四頭筋を集中的に鍛えたい人 ・スクワットのフォームを安定させたい人 ・前ももの成長を優先したい人 |
| レッグプレス | 初心者向け | ・座った姿勢でプレートを押し出す ・負荷を扱いやすい ・脚全体にまんべんなく刺激が入る |
・安全に脚全体を鍛えたい人 ・フォームが安定しない初心者 ・高重量を扱いたい人 |

監修者:三矢
前ももを集中的に鍛えるならハックスクワット、安全に鍛えるならレッグプレス
ハックスクワットは足がプレートに固定された状態で、股関節やひざを同時に使うスクワットに近い動きとなるため、大腿四頭筋を中心に下半身全体の連動性を高めやすいのが特徴です。
一方、レッグプレスは関節のコントロールがしやすいため、初心者でも安全に高重量を扱いやすいメリットがあります。
▼レッグプレスの正しいやり方や効果
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レッグプレスの検証ポイント 【難易度】 トレーニングレベルに関わらず、正しいフォームを習得できるか? 何回目の練習で正しいフォームを習得できたか? どの部分が間.....
ハックスクワットとスクワット・Vスクワットの違い

スクワットは自分の身体だけで姿勢を保ちながら動作するため、全身のバランスや体幹の安定性が求められる。一方、ハックスクワットはマシンによって軌道と姿勢が固定されるため、フォームが安定しやすく、ケガのリスクを抑えながら下半身を鍛えられる。
ハックスクワットとVスクワットはいずれも下半身を鍛えるマシン種目だが、姿勢と負荷のかかり方が異なる。ハックスクワットは背中が固定され、ほぼ垂直方向の軌道で押し上げる。
| 種類 | 難易度 | 特徴 | おすすめの人 |
|---|---|---|---|
| ハックスクワット | 初心者〜中級者向け | ・フォームが安定しやすい ・大腿四頭筋に特化している ・腰・ひざへの負担を抑えやすい |
・前ももを集中的に鍛えたい人 |
| スクワット | 初級者〜上級者向け | ・体幹の安定性が必須 ・総合的な筋力アップに向く ・腰やひざに負担がかかりやすい |
・全身の連動性を鍛えたい人 |
| Vスクワット | 初心者〜中級者向け | ・自然なしゃがみ動作を再現できる ・まんべんなく下半身に負荷をかけられる |
・まんべんなく下半身に負荷をかけたい人 |

監修者:三矢
部位・連動性を踏まえて、ハックスクワット・バーベルスクワット・Vスクワットを選ぼう
ハックスクワットとVスクワットは、どちらもマシン種目ですが軌道と重心の位置が大きく異なります。ハックスクワットは大腿四頭筋に負荷が集中しやすく、Vスクワットは大殿筋やハムストリングも使いやすくなります。
▼スクワットの種類や正しいやり方
ハックスクワットはどこに効く?鍛えられる部位

ハックスクワットは、脚全体を効率よく鍛えられるマシントレーニング。主に太もも前面の大腿四頭筋を中心に、ハムストリング・大殿筋・内転筋まで幅広く刺激が入る。
| 部位 | 負荷の強度(※) |
|---|---|
| 大腿四頭筋 | ★★★★★ |
| 大殿筋 | ★☆☆☆☆ |
| ハムストリング | ★☆☆☆☆ |
※負荷の強度=各部位にアプローチできる負荷量の差
大腿四頭筋

大腿四頭筋は太ももの前側に位置する。しゃがむ動作で強く働き、ひざを伸ばす瞬間に負荷が集中する。
【目的別】大腿四頭筋を鍛えるメリット
| ボディメイク | 大腿四頭筋が発達すると下半身のシルエットが引き締まる。モデル体型にもマッチョ体型にも影響し、服のシルエットが崩れにくくなる。 |
| ダイエット | 下半身で最大級の筋肉で消費エネルギーが大きい。基礎代謝の底上げに直結し、脂肪燃焼効率が高まりやすい。他部位と比べ影響度は特に高い。 |
| 健康や体力 | 歩行・立位を支えて疲れにくさや全身の活動量向上に影響する。 |
| 身体能力 | ジャンプ・ダッシュなど下半身の瞬発動作を強く支える。競技全般でパワー発揮に効果的。 |
▼大腿四頭筋を鍛えられるおすすめの筋トレ
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大腿四頭筋を構成する筋肉 大腿四頭筋はひざ関節の伸展機能を担い、歩行やランニングなどの動きにも関与する身体の中でもっとも大きな筋肉。以下の4つの筋肉から構成され.....
大殿筋

大殿筋はお尻の大部分を占める筋肉。脚を後ろに引く動作に関わり、立ち上がる、階段を上るなどに関わる。
【目的別】大殿筋を鍛えるメリット
| ボディメイク | 大殿筋が引き締まるとヒップ位置が上がり、下半身のシルエットが立体的に整う。モデル体型にもマッチョ体型にも影響し、パンツのラインも崩れにくくなる。 |
| ダイエット | 下半身でも特に大きい筋肉で消費エネルギー量が高い。基礎代謝の向上や脂肪燃焼のしやすさに作用し、他部位と比べても影響度は高め。 |
| 健康や体力 | 骨盤や腰まわりの安定に関わり、歩行・階段動作の疲れにくさへつながりやすい。腰痛対策としても影響が期待されるが、肩こりへの直接効果は小さい。 |
| 身体能力 | ダッシュやジャンプの推進力を強め、下半身のパワー発揮に直結しやすい。スプリント系や跳躍系など多くの競技で動きを支えやすい。 |
▼大殿筋を鍛えられるおすすめの筋トレ
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ハムストリング

ハムストリングは太ももの裏側に位置する。ひざを曲げる動作に関わり、歩行や走行をスムーズにおこなうために必要。
【目的別】ハムストリングを鍛えるメリット
| ボディメイク | ハムストリングが引き締まると脚の裏ラインが整い、太もも全体がシャープに見えやすくなる。ヒップ位置も高く見える。 |
| ダイエット | 下半身でも大きい筋群で消費エネルギー量が高め。基礎代謝の底上げに影響し、脂肪燃焼効率の向上にも関係する。大腿四頭筋ほどではないが効果は期待しやすい。 |
| 健康や体力 | 骨盤を支えて腰の負担軽減に働きやすく、歩行時の安定にも影響。疲れにくい身体づくりにもつながりやすい。 |
| 身体能力 | ダッシュやジャンプでの推進力を高め、瞬発系の動きに影響しやすい。走力が求められる競技や下半身の切り返し動作が多い種目との相性が強い。 |
▼ハムストリングを鍛えられるおすすめの筋トレ
ハックスクワットの効果

全身の中でも大きい筋肉「大腿四頭筋」に負荷が集まるハックスクワットは、基礎代謝の向上・脂肪燃焼・脚の引き締め・ヒップアップなど多面的な効果をもたらす。美容面だけでなく、日常動作やスポーツパフォーマンスにも好影響を与える。
- 基礎代謝の向上
- パフォーマンス向上
基礎代謝の向上

ハックスクワットで大腿四頭筋や大殿筋などの大きな筋肉を鍛えることで、基礎代謝が上がりやすい。代謝が上がることで太りにくい体質につながる。下半身は全身の筋肉量の約70%を占めるため、この部位を強化することが効率的な代謝改善に影響する。
パフォーマンス向上

下半身の筋力を高めることで、ジャンプ力・瞬発力といった運動機能が向上する。ハックスクワットで脚の押し出し動作を強化することで、スポーツ動作・日常生活にも好影響を与える。筋肉を単に鍛えるだけでなく、機能を高めるためのトレーニングとしてもおすすめ。
ハックスクワットマシンの使い方

ハックスクワットはマシンの構造を理解し、正しく操作することが大切。まずは、重量プレート・ストッパーの扱いなど、基本的なマシンの使い方を理解しよう。
- 重量プレートをセットする
- ストッパーを外し動作を開始する
- 動作終了時に、ストッパーを止める

監修者:三矢
基本的な流れは共通ですが、ハックスクワットマシンは機種によってストッパーの位置や解除方法に多少の違いがあります。初めて使うマシンでは、動作前に可動域とストッパー操作を確認しておくと、安全にトレーニングできます。
重量プレートをセットする
最初に、マシン横にある重量プレートをセット。プレートは途中まで差し込むのではなく、奥までしっかり差し込んで固定する。左右にプレートをセットするタイプのマシンでは、左右同じ重さにセットすることが基本。
ストッパーを外し動作を開始する
プレートをセットしたら一度立ち上げり、ストッパーを下におろしてロックを外す。ストッパーを外したら、そのまま動作を開始する。
動作終了時に、ストッパーをかける
決めた回数(目安は10回)をおこなったら、立ち上がった状態でマシンを支えストッパーを上に持ち上げロックをかける。完全にストッパーがかかったのを確認してから、マシンから離れる。
ハックスクワットのやり方・フォーム
| 難易度 | ★★☆☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★☆☆ |
※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 足を肩幅程度に開き、少し前方におく
- ひざを伸ばし、ストッパーを外す
- シートに腰をつけたまま、ひざを曲げる
- 足裏全体で押し、ひざを伸ばす
| バリエーション | 約2種類 |
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | ジム |
| 器具・設備 | ハックスクワットマシン |
| 鍛えられる部位 | 大腿四頭筋、大殿筋、ハムストリング |
| 負荷の調整 | 可能 |
STEP1:足を肩幅に開き、少し前方におく


検証者:吉田
足の幅と位置を最初に調整することで、動作時の安定感が出やすかったです。しゃがみ込みから立ち上がりまでの動作がスムーズになり、狙った下半身の筋肉に意識を向けやすくなりました。

監修者:三矢
足幅に加えて、つま先をやや外側へ向けることも大切です。つま先が正面を向いたままだと股関節の動きが制限され、ひざが内側に入りやすくなります。軽く外へ向けることで股関節が使いやすくなり、ひざとつま先の向きをそろえた自然なしゃがみ動作を作りやすくなります。
STEP2:ひざを伸ばし、ストッパーを外す


検証者:吉田
ハックスクワットマシンを初めて使ったときは、足元が気になって無意識に目線が下がってしまいました。頭をしっかりシートにつける意識を持つと、自然と視線が安定し、姿勢も崩れにくくなりました。セットアップの段階で頭・背中・腰をシートにあずける感覚をつくることが、安心して動作を始めるポイントです。

監修者:三矢
ストッパーを外す瞬間に目線が下がると背中が丸まりやすく、フォームが崩れる原因に。斜め上に視線を向けるイメージを持ちながらストッパーを外すことで、安定しやすくなります。
STEP3:シートに腰をつけたまま、ひざを曲げる


検証者:吉田
背中と腰をつねにシートにつけたままにすることで、正しいフォームをキープしやすく下半身への負荷が強くなりました。また、しゃがんだ位置で少し動作を止めることで、筋肉への刺激がしっかり入る感覚がありました。

監修者:三矢
腰がシートから浮くと、負荷が腰椎に逃げやすくなります。動作中は「腰・背中・頭をシートに預ける」意識を持ち、ひざと股関節だけで上下することが大切です。深く下げる場合も、シートへの接地を保てる可動域までに留めることで、安全かつ効果的に下半身を鍛えられます。
STEP4:足裏全体で押し、ひざを伸ばす


検証者:吉田
しゃがみ切った位置から足裏全体でプレートを押し上げるだけでなく、反動を使わず一定のスピードで立ち上がることで、大腿四頭筋にじわっと力が入り続ける感覚があります。動作が速くなると力が抜けやすいため、滑らかに押し切る意識が重要だと感じました。

監修者:三矢
立ち上がる際は、ひざを一気に伸ばそうとせず「床を押す」イメージで動作することが大切です。足裏全体で力を伝えることで、ひざ関節への負担を抑えながら大腿四頭筋を中心に効率よく刺激できます。トップでひざを伸ばし切らず、筋肉の緊張を保ったまま次の動作に入るのもポイントです。
深さ・足の位置でハックスクワットの効果は変わる

ハックスクワットは単に動作を繰り返すだけでなく、フォームとテンポを意識することで効果が変わる。筋肉への刺激を持続させるためには、動作のスピードや足の位置を細かく調整し、集中して行うことがポイント。
- 深くしゃがみ刺激を増やす
- 足の位置で刺激を変える
深くしゃがみ刺激を増やす

可動域を大きく取り、深くしゃがむことで太もも全体により強い刺激を与えられる。できるだけお尻がパッドに近づく位置まで下ろす意識を持つと、筋肉がしっかり伸び縮みしやすくなる。しかし、無理に深くしゃがもうとすると背中や腰が浮きやすくなるため、背中と腰を反らさず丸めず、一直線を保てる範囲で行うことが大切。

検証者:吉田
しゃがみが浅いとトレーニング効率は半減
しゃがみが深い場合と浅い場合を比較すると、筋肉の張りが全く違いました。下ろす動作を深くゆっくりおこなうことで、軽めの重量でも大腿四頭筋の疲労感が大きく、セット後の効き方に明確な違いが出ました。
足の位置で刺激を変える

フットプレート上での足の位置を変えることで、刺激の入る筋肉が変化する。足をプレートの中央付近に置くと大腿四頭筋へ負荷が集中し、上側に置くと大殿筋やハムストリングも働く。
▼足をプレートの上側にしたハックスクワットを検証

検証者:吉田
ハックスクワットは大腿四頭筋を狙う種目として取り組む
足を上側に置くとお尻やハムストリングにも刺激が入る感覚はありましたが、深くしゃがもうとすると背中がシートから離れやすく、背中が丸まりやすい点が気になりました。ハックスクワットは大腿四頭筋狙いの種目として使い、大殿筋やハムストリングは別種目(ルーマニアンデッドリフトやヒップスラストなど)と併用する方が、安全性と効率の両面で取り組みやすいと感じました。
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ハックスクワットの注意点

ハックスクワットはフォームや姿勢を誤るとひざに負担がかかりやすい。筋肉をしっかり刺激するためにも、安定したフォームを保ちながらていねいに動作を行うことが大切。
- つま先を少し開く
- 適切な重量でおこなう
つま先を少し開く

動作中にひざが内側に入ると、ひざ関節への負担が大きくなる。プレート上でつま先を少し外に開くことで、そのリスクを軽減できる。また、無理な可動域を取らず、コントロールできる範囲で動作をおこなうことが、ケガを防ぐ方法のひとつ。

監修者:三矢
つま先をわずかに外へ向けることで、ひざがつま先と同じ方向へ動きやすくなります。その結果、ひざが内側に折れ込む動きを防ぎ、関節へのストレスを減らせます。
適切な重量でおこなう

まずはフォームを崩さず、安定した深さまで下げられる重量を基準に設定する。可動域を維持したまま徐々に負荷を高めていくことが大切。

監修者:三矢
ハックスクワットでは、無理に重量を上げるよりも、コントロールできる範囲でしっかり深くしゃがむことが大切です。重量が重すぎると可動域が浅くなり、狙った筋肉に十分な刺激が入らなくなります。
ハックスクワットの適正重量を検証

ハックスクワットの重量は、経験や筋力レベルによって大きく変わる。プレートの枚数を増やす前に、まずフォームを安定させ、安全に扱える範囲を見極めよう。

監修者:三矢
適正重量は、正しいフォームで10〜12回を安定して繰り返せるか
重量を上げる前に、まずは一定テンポで動けるか、しゃがむ深さが毎回そろっているかを確認しましょう。フォームが乱れない範囲で、2〜2.5kgずつ段階的に増やすと安全にレベルアップできます。

検証者:吉田
トレーニング歴6ヵ月の編集スタッフが検証!
体重65㎏のWellulu編集スタッフが10~40㎏の重量を体験してみました。普段のバーベルスクワットでは60~70㎏×10回でトレーニングをしていますが、ハックスクワットでは何㎏まで正しいフォームで挙上できるのか検証してみました。
▼合計10㎏プレートをつけてのトレーニング風景

検証者:吉田
運動経験の少ない男性は10㎏程度から、女性であれば重量なしでも負荷は高い
マシンの構造上、プレートなしでも一定の負荷がかかる印象でした。10㎏でも十分に大腿四頭筋へ刺激が入り、可動域を意識した動作がしやすい重量です。初心者の男性であれば、まずは10㎏×10回を目安に、深くしゃがむフォーム作りから始めるのがよさそうです。初心者の女性はプレートなしでも、前ももへの刺激は十分に感じられると思います。
▼合計20㎏プレートをつけてのトレーニング風景

検証者:吉田
高い負荷を求める初心者は、20㎏程度から始めよう
フォームを崩さず、最後まで安定して動作できる重量でした。しゃがみ込みを深く取ると、大腿四頭筋が徐々に張ってきて、後半は脚が細かく震える感覚があります。「効いている」と感じながらも、動作をコントロールできる適正重量という印象です。
▼合計30㎏プレートをつけてのトレーニング風景

検証者:吉田
初心者が30㎏で取り組むとケガのリスクが
可動域自体は問題なく確保できていますが、立ち上がりで無意識に反動を使いやすくなりました。その結果、ひざ周りへの負担が増えている感覚があります。フォームのていねいさを保つには、少し際どいラインだと感じました。
▼合計40㎏プレートをつけてのトレーニング風景

検証者:吉田
40㎏以上は中級者以降におすすめ
正直かなりきつく、1〜2回試した時点で限界重量を超えていると判断しました。10回を安定して行うのは現実的ではなく、可動域も浅くなりやすいため、トレーニング目的としては適切とは感じませんでした。初心者がフォーム重視でおこなうなら、この重量はオーバーだと思います。
【目的別】ハックスクワットの回数×セット数

ハックスクワットは、10回×3セットが基本。しかし、目的に合わせて、回数とセット数を調整するのもおすすめ。正しい回数設定を意識し、継続的に行うことで、下半身の発達と体の変化を引き出せる。
- 筋肥大を狙うなら8〜10回×3〜5セット
- 引き締めを狙うなら15〜20回×2〜4セット
- エネルギー消費を狙うなら20回×3セット
筋肥大を狙うなら8〜10回×3〜5セット
筋肥大を目指す場合は、1セット8〜12回を目安に、合計3〜5セットをおこなうのが効果的。動作中は筋肉への緊張を持続させ、反動を使わずにコントロールすることがポイント。高めの負荷を扱い、限界に近い回数で追い込むと筋繊維の刺激が最大化する。頻度は週2〜3回程度を目安に、休養日を挟みながら継続することで成長を促せる。
引き締めを狙うなら15〜20回×2〜4セット
脚の引き締めを目的とする場合は、軽〜中程度の負荷で15〜20回を2〜4セットおこなう。フォームを崩さず、テンポを一定に保ちながら可動域をしっかり使うことが重要。筋肉を大きくするよりも、筋の持久力を高めて引き締め効果を狙う設定。動作を通じて血流が促進され、代謝の維持やボディラインの整えにもつながる。
エネルギー消費を狙うなら20回×3セット
代謝アップを狙う場合は、軽めの負荷で20回を3セット程度おこなう。テンポを崩さず、休憩を短めに取ることで心拍数を上げ、脂肪燃焼効果を高めることができる。呼吸を止めずリズムを維持することで、全身の運動効率が高まる。
スミスマシンを使ったハックスクワットのやり方
| 難易度 | ★★★★★ |
| 続けやすさ(※1) | ★☆☆☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★☆☆ |
※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- セーフティーストッパーとバーベルの位置を調整する
- バーベルの軌道より前に立つ
- バーベルをかつぎ、フックを外す
- かかと重心で腰を落とす
- 太もも前側で押す意識で立ち上がる
- 10回を目安におこない、終わったらフックをかける
| ケガのリスク | 高い傾向 |
| セーフティーストッパーの目安位置 | ひざの位置 |
| 最初のバーベル目安位置 | 胸の位置 |
| 実施できる場所 | ジム |
| 器具・設備 | スミスマシン |
| 鍛えられる部位 | 大腿四頭筋 |
| 負荷の調整 | 可能 |
- バーベルの軌道より前に立つ
- お尻(腰)を後ろに引かない
バーベルの軌道より前に立つ

お尻(腰)を後ろに引かない


検証者:吉田
スミスマシンを使ったハックスクワットでは、バーベルの軌道より前に立つポジション取りが最も重要だと感じました。バーベルに軽く体を預けるようなイメージで、お尻を落とす動作を意識すると、大腿四頭筋がしっかり伸び縮みする感覚があり、狙った部位に刺激が入りやすくなりました。

監修者:三矢
スミスマシンハックスクワットでは、シューズのグリップ力にも注意が必要です。この種目は身体をバーベル側に預ける姿勢になるため、靴底が滑りやすいと足元が不安定になり、フォームの再現性が下がるだけでなくケガのリスクも高まります。
ハックスクワットに関するQ&A
ハックスクワットはひざに悪い?
A:正しいフォームでおこなえば問題ない

監修者:三矢
正しいフォームでおこなえば問題ありませんが、つま先よりひざを前に出しすぎたり、ひざを内側に内旋させるとケガのリスクにつながります。
ハックスクワットがきついときの対処法は?重量なしでも大丈夫?
A:重量なしでもOK

監修者:三矢
きついと感じる場合は、軽い負荷でフォームを確認するのが最善です。重量なしでも正しい姿勢でおこなえば、初心者なら十分な刺激を得られるため、焦って重くする必要はありません。








2024年日本体育大学大学院体育科学研究科博士課程修了。博士(体育科学)。日本体育大学体育研究所助教であり、同学のボディビル部にて監督およびボディビルクラブ代表を務める。2024年におこなわれた第38回東京クラス別ボディビル選手権大会では、ミスター75kg以下級にて優勝。
【資格】
NSCA-CSCS