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スミスマシンデッドリフトの正しいやり方!鍛えられる部位・やりにくいときの対処法

スミスマシンデッドリフトは、バーの軌道が固定されたスミスマシンを使っておこなうデッドリフト種目。フリーウェイトのようにバランスを取る必要が少なく、フォーム習得に集中できるため、初心者や女性でも取り組みやすい。この記事では、スミスマシンデッドリフトの正しいやり方・鍛えられる部位・やりにくいときの対処法までを紹介。初心者がつまずきやすいポイントを監修者のアドバイスとWellulu編集部の検証をもとに詳しくひも解いていく。

この記事の監修者

三矢 紘駆さん

日本体育大学助教 日体大ボディビル部監督

2024年日本体育大学大学院体育科学研究科博士課程修了。博士(体育科学)。日本体育大学体育研究所助教であり、同学のボディビル部にて監督およびボディビルクラブ代表を務める。2024年におこなわれた第38回東京クラス別ボディビル選手権大会では、ミスター75kg以下級にて優勝。

【資格】
NSCA-CSCS

この記事の検証者

吉田 健二さん

Wellulu編集部

学生時代は運動部に所属。過去にトレーニングの継続を二度挫折したが、6ヵ月前から再びジム通いをスタート。現在は「続けられる筋トレ習慣」をテーマに、週2〜3回の全身トレーニングを中心に実践している。

目次

スミスマシンデッドリフトは初心者・女性におすすめ!

スミスマシンデッドリフトは、レールで軌道が固定されたスミスマシンを使うデッドリフト種目。バーベルのバランスを取りやすく、フォーム習得を優先したい初心者・女性におすすめ。

  • スミスマシンデッドリフトとフリーウェイトデッドリフトの違い
  • スミスマシンデッドリフトの正しい向き

スミスマシンデッドリフトとフリーウェイトデッドリフトの違い

フリーウェイトのデッドリフトはバーベル軌道を自分でコントロールするため、バランス能力や体幹の安定性も大切。一方、スミスマシンデッドリフトはバーの軌道が一定に保たれ、狙いたい筋肉へ負荷を集めやすい。

スミスマシンデッドリフトとフリーウェイトデッドリフトの比較一覧

比較項目 スミスマシンデッドリフト フリーウェイトデッドリフト
初心者への難易度 比較的簡単に始められる。フォーム習得に集中できる フォームに慣れるまで時間がかかる
バランスの取りやすさ バーの軌道が固定されており、安定していおこないやすい バーベルを自分でコントロールする必要があり、安定性が求められる
安全性 正しい立ち位置でおこなえば、怪我のリスクが低い フォームが崩れると怪我のリスクが高い。特に重量が増すときは注意が必要
筋力アップの効果 特定の筋肉にピンポイントで負荷をかけやすい 体幹や他の筋肉群を使って全身の筋力を鍛えやすい

監修者:三矢

初心者はスミスマシンとフリーウェイトの両方をやってみる!

デッドリフトはスミスマシンとフリーウェイトのどちらが優れているかではなく、「どちらが自分に合うか」を確かめることが大切です。スミスマシンは軌道が固定されているため、フォーム習得に集中しやすいのがメリット。一方でフリーウェイトは身体の動きに合わせて軌道を細かく調整できるため、自然な動作になりやすい特徴があります。

「どちらがやりやすいか」は人によって異なるため、まずは両方のデッドリフトを試してしっくりくる方を選ぶのが理想です。

検証者:吉田

動作の安定性はスミスマシン、全身を鍛えるならフリーウェイトがおすすめ

実際に両方のデッドリフトを試してみると、最初の立ち位置さえ正しくセットできれば、スミスマシンの方が動作を安定させやすいと感じました。バーの軌道が決まっているため、フォームがブレにくく、狙った部位にも意識を向けやすいです。ただ、フリーウェイトの方が「全身を使っている感覚」は強く、体幹の関与度は大きかったです。

▼フリーウェイトデッドリフトの詳しいやり方を見る

「デッドリフト」のやり方・効果は?フォーム習得のコツや効く部位・重量を解説

「デッドリフト」の検証ポイント 【難易度】 トレーニングレベルに関わらず、正しいフォームを習得できるか? 何回目の練習で正しいフォームを習得できたか? どの部分.....

スミスマシンデッドリフトの正しい向き

スミスマシンデッドリフトをおこなう場合は、フックを外す方向に合わせて立つ向きを決めるのがおすすめ。

監修者:三矢

鏡の向きではなく、自分の身体側へフックを外す向きで立つ

デッドリフトは疲れてくると手首が外側(身体の反対方向)に開きやすく、フックが固定ピンに引っかかってしまうケースがあります。高重量になるほど、この引っかかりがフォームの乱れにつながります。鏡に向かっておこなう方がやりやすい人もいますが、安全性を優先するならフックの向きを基準に決めるのがおすすめです。

軌道が固定される!スミスマシンデッドリフトのメリット

スミスマシンデッドリフトは、軌道が固定されたバーを使うためフォームを安定させやすい。ケガを避けながら、狙った部位にアプローチしやすいのが主なメリット。

  • 特定の筋肉にアプローチしやすい
  • 安全に高重量を扱いやすい

特定の筋肉にアプローチしやすい

レールで軌道が決まっているスミスマシンを使うと動きのブレが減り、背中や下半身など狙いたい筋肉に負荷を集中させやすくなる。バランス調整がしやすく、フリーウェイトに比べてフォーム作りに集中しやすいのも特徴。お尻を中心に鍛えたい、脊柱起立筋を重点的に強化したいなど目的に合わせて足幅や上体の角度を微調整することで、アプローチしたい部位を明確にしやすい。

監修者:三矢

アプローチしたい部位に合わせて種類を使い分けよう

スミスマシンデッドリフトは鍛えたい部位によって最適な種類が変わるため、目的に合わせて使い分けることが大事です。以下を参考に、「どのデッドリフトを選べば、どこに効くのか」を理解しておくとより効果的にトレーニングができます

・背中:ノーマルデッドリフト
・ハムストリング:スティフレッグデッドリフト
・お尻:ルーマニアンデッドリフト
・内転筋:スモウデッドリフト

安全に高重量を扱いやすい

スミスマシンデッドリフトはバーが前後に倒れにくいため、高重量でもフォームが大きく崩れにくい。フリーウェイトより重心が安定しやすく、筋肉に対して素直に負荷を乗せやすい。

監修者:三矢

高重量を扱うと、ケガのリスクも高まるので注意しよう

デッドリフトは扱える重量が大きいぶん、フォームが崩れた瞬間に腰へ強い負担がかかりやすい種目です。さらに、スミスマシンの場合はバーの位置に体が合っていないとケガにつながりやすくなります。「重さよりもフォームの再現性」を優先し、少しずつ重量を伸ばしていくことが安全に成長する近道です。

スミスマシンデッドリフトのデメリット・やりにくときの対処法

スミスマシンデッドリフトは下半身と背中の筋肉を鍛えやすい一方で、軌道が固定されるゆえのデメリットもある。

  • 関節にストレスがかかる
  • 可動域が狭くなる
  • 鍛えられる部位が少なくなる

関節にストレスがかかる

骨盤や股関節の自然な軌道と合わない場合、スミスマシンの軌道ではひざや腰の関節に余計な負担が乗るリスクが高まる。バーの位置と足の位置がずれると関節で支えるフォームになり、下半身全体に違和感が出るケースも。

監修者:三矢

立ち位置の調整はていねいにおこなう

スミスマシンのデッドリフトは、立ち位置のズレがそのまま関節へのストレスにつながりやすくなります。とくにバーが足から離れると重心が前に流れてしまい、腰・ひざの負担が一気に増えてしまいます。

可動域が狭くなる

バーのスタート位置が高過ぎたり低過ぎたりすると、背中や下半身の筋肉を大きく伸ばして使う感覚が得にくく、トレーニング効果が薄くなるパターンもある。

監修者:三矢

ステップ台に乗り、可動域を広げるのがおすすめ

スミスマシンにはセーフティーストッパーがあるため、動ける可動域が狭くなりやすいのがデメリットです。可動域が狭いままだと、背筋に負荷が乗りにくくなります。そのため、ステップ台などに乗りバーを深く降ろせるやり方がおすすめです。

鍛えられる部位が少なくなる

軌道が安定し過ぎる環境では、バランスを取るための細かな筋肉や体幹の働きが小さくなる。フリーウェイトのデッドリフトに比べると、全身連動のトレーニングとしての刺激はやや物足りなく感じる場面も出やすい。

監修者:三矢

フォームが安定したら、フリーウェイトでもトレーニングを!

スミスマシンでのトレーニングは、本来のデッドリフトで鍛えられる「体幹の安定筋」や「全身の連動性」は刺激しにくいという側面があります。フォームが安定してきたらフリーウェイトにもチャレンジしましょう。まずはフリーウェイトで全身の連動性を養い、スミスマシンで狙いたい部位を集中的に刺激するという流れで取り組むと効果を最大限に引き出すことができます。

スミスマシンデッドリフトで鍛えられる部位

スミスマシンデッドリフトは、背中と下半身の筋肉をまとめて鍛えられる。なかでも脊柱起立筋、僧帽筋、広背筋、大殿筋、ハムストリングの動員が大きい。

部位 負荷の強度(※)
脊柱起立筋 ★★★☆☆
僧帽筋 ★★★☆☆
広背筋 ★☆☆☆☆
大殿筋 ★★★☆☆
ハムストリング ★★★☆☆

※負荷の強度=各部位にアプローチできる負荷量の差

脊柱起立筋

脊柱起立筋は背骨沿いに走る背筋群で、首から腰にかけて広がっている。姿勢を保つ、背骨を安定させる、体を反らすなどの働きに関与する。

【目的別】脊柱起立筋を鍛えるメリット

ボディメイク 背中の引き締めの効果は期待できる。しかし、背筋の奥に位置しているためシルエットへの影響は限定的。
ダイエット 脊柱起立筋は大きな筋肉群ではあるが、基礎代謝への影響は下半身や胸筋よりも低いため、脂肪燃焼効率は他の筋肉群に比べてあまり高くない。
健康や体力 姿勢改善や腰の安定性向上に影響があり、腰痛の予防や疲れにくい身体づくりには効果的。
身体能力 瞬発力やパワー発揮には直接的な効果は少ないが、持久力や体幹の安定性向上には影響する。特に安定した動作が求められるスポーツで有利に働く。

監修者:三矢

脊柱起立筋をしっかり使うためには、「背中で引く」意識を持つことが大切です。動作が疲れてくると腕で引こうとしがちですが、それでは脊柱起立筋に力が入りにくくなります。腕ではなく背面で重りを持ち上げる感覚をつかめると、脊柱起立筋にしっかり負荷が乗りやすくなります。

検証者:吉田

背中で引く意識を強めようとすると、腹圧が抜けて脊柱に負担がかかりやすいと感じました。脊柱起立筋をしっかり使おうと意識しすぎるあまり、フォームが崩れて腰が丸まるケースも出やすいです。

特に初心者の場合、いきなりデッドリフトで脊柱起立筋を鍛えようとするとフォームが安定しにくいため、まずはバックエクステンションなどで鍛えた方が安全だと感じました。

▼脊柱起立筋を鍛えられるおすすめの筋トレ

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脊柱起立筋の作用と構成する筋肉 首から腰にかけて、背骨に沿って背中の両面についている脊柱起立筋。体幹の深層筋で、背中をまっすぐに保つために欠かせない筋肉群。これ.....

僧帽筋

首の後ろから肩、背中にかけて位置する。菱形状に広がり、上部・中部・下部の3つに分かれている。肩をすくめる・首を動かす・腕を引くなどの動作をサポートする。

【目的別】僧帽筋を鍛えるメリット

ボディメイク 背中全体のバランスが整い、自然で立体的なシルエットを作りやすくなる。特に中部・下部がしっかりと発達することで、上半身の厚みが増し、全体的な体型が安定する。
ダイエット 上半身の大きな筋肉群であり、エネルギー消費量が高い。脂肪燃焼をサポートし、基礎代謝の向上に影響するが、大腿四頭筋や胸筋の方が影響度は高い。
健康や体力 肩や首の筋肉を強化することで、デスクワークや長時間の立ち仕事による肩こりを予防・軽減し、全体的な体調の向上が期待できる。
身体能力 肩周りの安定性が増し、上半身を使った動作の力強さや持久力が向上。特に引き上げ動作や押し出し動作での安定性向上がスポーツパフォーマンスに好影響。

監修者:三矢

僧帽筋にしっかり刺激を入れるためには、背中のラインをまっすぐに保つことが大切です。背中が丸くなったり、腰が反りすぎたりすると、負担が他の部位に逃げてしまいます。

検証者:吉田

動作の最後に胸を軽く張り、肩甲骨を寄せる意識を持つと、僧帽筋の中部〜下部にしっかり刺激が入る感覚がありました。背中をまっすぐ保ったうえで仕上げのポジションをつくることで背面全体を使っている感覚が強まりました。

▼僧帽筋を鍛えられるおすすめの筋トレ

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広背筋

広背筋は、背中の中央から脇の下、上腕骨にかけて広がる身体の中でも大きな筋肉。腕を引く・後ろに動かす・内側にねじる動作などをサポートする。

【目的別】広背筋を鍛えるメリット

ボディメイク 広背筋を強化すると、背中全体が広がり、V字シルエットが強調される。上半身の引き締まり感が増し、スタイルアップに影響する。
ダイエット 広背筋は背中で最も大きな筋肉群で、筋肉量の増加によりエネルギー消費が大きくなる。基礎代謝を向上させ、脂肪燃焼効率が高まる。
健康や体力 背中を支える広背筋を強化することで、姿勢改善に影響する。特に猫背の改善や腰痛予防に効果があり、日常的な体調をサポート。
身体能力 広背筋は引き上げ動作や引っ張る動作で重要な役割を果たす。ラットプルダウンや懸垂などと組み合わせることで持久力や力強さが向上。

監修者:三矢

広背筋に正しく刺激を入れるにはコツが必要です。特に初心者の方は広背筋に効きにくいと感じるケースがとても多いです。まずは、ラットプルダウン・ワンハンドロウ・ベントオーバーロウなどの種目で、しっかり広背筋を鍛えるのがおすすめです。

検証者:吉田

トレーニング歴6ヵ月ほどですが、広背筋にしっかり効かせる感覚はまだ掴みづらいと感じています。検証者の場合は肩甲骨まわりが硬く、動きが制限されやすいタイプなので、腕ばかりで引いてしまいがちです。デスクワーク中心だと肩甲骨が固まりやすくなるため、広背筋に刺激が入りにくいケースが多いかもしれません。

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広背筋の役割と効果 広背筋は背中の外側から脇の下にかけて広がる、羽のような形をした大きな筋肉。日常生活では引き出しを開ける、姿勢の維持、荷物を持ち上げるなどに関.....

大殿筋

大殿筋はお尻の大部分を占める筋肉。脚を後ろに引く動作に関わり、立ち上がる、階段を上るなどに関わる。

【目的別】大殿筋を鍛えるメリット

ボディメイク 大殿筋が引き締まるとヒップ位置が上がり、下半身のシルエットが立体的に整う。モデル体型にもマッチョ体型にも影響し、パンツのラインも崩れにくくなる。
ダイエット 下半身でも特に大きい筋肉で消費エネルギー量が高い。基礎代謝の向上や脂肪燃焼のしやすさに作用し、他部位と比べても影響度は高め。
健康や体力 骨盤や腰まわりの安定に関わり、歩行・階段動作の疲れにくさへつながりやすい。腰痛対策としても影響が期待されるが、肩こりへの直接効果は小さい。
身体能力 ダッシュやジャンプの推進力を強め、下半身のパワー発揮に直結しやすい。スプリント系・跳躍系など多くの競技で動きを支えやすい。

監修者:三矢

大殿筋をしっかり使うためには、股関節を支点にお尻を後ろへ引く「ヒンジ動作」が何より大切です。ヒンジができないまま動作すると、大殿筋にうまく刺激が入りません。しゃがむのではなく股関節から折りたたむイメージを持つことで、ヒンジの動きが安定します。

検証者:吉田

大殿筋にしっかり効かせるためにはただしゃがむのではなく、お尻を後ろに引く意識(ヒンジの動き)を持つことで、負荷が大殿筋に乗りやすくなります。

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ハムストリング

ハムストリングは太ももの裏側に位置する。ひざを曲げる動作に関わり、歩行や走行をスムーズにおこなうために必要。

【目的別】ハムストリングを鍛えるメリット

ボディメイク ハムストリングが引き締まると脚の裏ラインが整い、太もも全体がシャープに見えやすくなる。ヒップ位置も高く見える。
ダイエット 下半身でも大きい筋群で消費エネルギー量が高め。基礎代謝の底上げに影響し、脂肪燃焼効率の向上にも関係する。大腿四頭筋ほどではないが効果は期待しやすい。
健康や体力 骨盤を支えて腰の負担軽減に働きやすく、歩行時の安定にも影響。疲れにくい身体づくりにつながりやすい。
身体能力 ダッシュやジャンプでの推進力を高め、瞬発系の動きに影響しやすい。走力が求められる競技や下半身の切り返し動作が多い種目との相性が強い。

監修者:三矢

ハムストリングにしっかり負荷を入れるためには、「ストレッチをかけた状態をつくる」意識が重要です。ひざを軽く曲げつつ、背中を真っすぐにした状態でバーを落とすことでストレッチ感を保ちながら動作できます。

検証者:吉田

前屈すると太ももの裏がしっかり伸びる感覚がありますが、そのストレッチ感を意識することでハムストリングにも効かせやすくなりました。特にスティフレッグデッドリフト・ルーマニアンデッドリフトでは、この伸びている感覚が抜けると負荷がハムストリングから離れてしまうため、動作中ずっとキープできるかどうかで効果が変わる印象です。

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ハムストリングとは? 主な役割 ひざの屈曲などに関わり、走る跳ぶ・しゃがむなどの動作に影響する 位置 太ももの裏側 構成筋肉 大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋 監.....

スミスマシンデッドリフトのやり方・フォーム

難易度 ★★★★★
続けやすさ(※1) ★★☆☆☆
トレーニング効率(※2) ★★★★★

※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか

【やり方】
  1. すねの位置にバーベルの高さを設定する
  2. 足の中央にバーベルが来るように立つ
  3. 背中を真っすぐにした状態でバーベルを持ち上げる
  4. 10回を目途にバーベルの上げ・下げを繰り返す
バリエーション 約5種類
ケガのリスク 高い傾向
実施できる場所 ジム
器具・設備 スミスマシン
鍛えられる部位 脊柱起立筋、僧帽筋、広背筋、大殿筋、ハムストリング
負荷の調整 可能

STEP1:すねの位置にバーベルの高さを設定する

セーフティーストッパーの目安位置

一番下の位置にする

※外せる場合は、取り外す

最初のバーベル目安位置 すねの位置
【ワンポイントアドバイス】
  • ステップ台にのり、可動域を広げる

OK:ステップ台などを使い、可動域を広げる
NG:可動域狭い状態でトレーニングする

監修者:三矢

ノーマルデッドリフトは、バーベルが足首からすねの高さにくる位置が理想的なスタートポジションです。スミスマシンの場合はセーフティーストッパーの構造上、バーベルの最下段がどうしてもひざの位置まで上がってしまう機種が多く可動域が狭くなりがちです。

そのため、ステップ台の上に立ってバーの位置を下げる工夫が効果的です。

検証者:吉田

ステップ台に乗って高さを調整してみたところ、バーをすね付近まで下げられるようになり、動き出しのストレッチ感が大きく改善しました。可動域が狭いと感じる人は、ステップ台の導入で動作の質が大きく変わると思います。バランスを崩すと転倒する可能性もあるため、ステップ台の中央に乗ることがポイントです。

STEP2:足の中央にバーベルが来るように立つ

【ワンポイントアドバイス】
  • 足幅は骨盤程度に広げる

OK:足幅が骨盤程度
NG:足幅が広い

監修者:三矢

足幅が広すぎると、ハムストリングにしっかり負荷がかかりにくくなります。基本は骨盤の幅を目安に立ち、バーが足の中央にくる位置にそろえることで下半身や背筋に力を入れやすくなります。

検証者:吉田

足の中央付近にバーがくる位置で取り組んだ方が、バーの軌道が身体の近くを通りやすく、無駄な力を使わずにバーベルを持ち上げられる印象がありました。フォームのブレを感じる人は、この立ち位置の微調整だけでも動作がかなり安定すると思います。

STEP3:背中を真っすぐにした状態でバーベルを持ち上げる

【ワンポイントアドバイス】
  • お尻を後ろに引く感覚で腰を落とす

OK:お尻はあまり下げず、後ろに引くイメージ

監修者:三矢

脊柱起立筋へ強い負荷をかけたい場合、上体をわずかに丸める感覚もありますが、腰が折れると腰椎に過度なストレスがかかりケガの原因になります。基本は背中を伸ばしたまま、お尻を後ろに引いて股関節で曲げる動作(ヒンジ)を徹底することです。

検証者:吉田

お腹への意識を高めることで、自然と背中も丸くなりにくくなりました。また、上半身ではなく股関節主導で動作する意識を持つことでフォームも安定しやすかったです。

STEP4:10回を目途にバーベルの上げ・下げを繰り返す

【ワンポイントアドバイス】
  • 最後まで背中を丸めない

NG:お腹の力を抜き背中が丸くなる

監修者:三矢

最後のレップは疲労で腹圧が抜けやすく、背中が丸まりやすいタイミングです。ここでフォームが崩れると腰への負担が一気に高まりケガにつながるリスクが大きくなります。バーベルをボトムポジションまで下ろす際も、背中を丸めずに腹圧を保つことを徹底しましょう。

検証者:吉田

以前、ラストのリフトアップ後に腹圧が抜けて腰のケガをしたことがあります。安全に動作を終えるためには、バーベルを下ろす瞬間まで「背中を丸めない・腹圧を抜かない」意識を徹底することが重要です。とくに初心者は疲労でフォームが崩れやすいため、トレーニングベルトを巻いて腹圧を固めるのも有効だと感じました。総合ジムには常備されていることが多いので、必要に応じて活用すると安心して負荷をかけやすくなります。

【検証】可動域が広いフォームと狭いフォームで比較

▼可動域が広いフォーム

可動域が狭いフォーム

スミスマシンデッドリフトの可動域が広いフォーム(ステップ台に乗っている)と狭いフォーム(ステップ台を使わない)を比較した結果、主に以下のような違いが感じられた。

  安全性 トレーニング効率 脊柱起立筋への負荷 僧帽筋への負荷 広背筋への負荷 大殿筋への負荷 ハムストリングへの負荷
可動域が広い 中程度 中程度 低い 高い 高い
可動域が狭い × 低い 低い 低い 低い 低い

検証者:吉田

ステップ台に乗って可動域を広げたフォームでは、バーを下ろしたときにハムストリングのストレッチが強くかかるのを感じました。また、ヒンジの動作が入りやすく、大殿筋もしっかり使えている実感がありました。

一方、ステップ台なしのフォームだと下ろし切る前に動作が終わってしまい、筋肉の伸び縮みを十分に使い切れない感じがありました。動作自体は楽ですが、刺激の入り方が物足りなかったです。

スミスマシンデッドリフトの種類

種類 難易度 鍛えられる部位(負荷の大きい順) おすすめの人
スミスマシンスティフレッグデッドリフト 初級~中級者 ・ハムストリング
・脊柱起立筋
・高負荷で背中やハムストリングに強い刺激を求める人
スミスマシンルーマニアンデッドリフト 中級~上級者 ・ハムストリング
・大殿筋
・脊柱起立筋
・下半身の引き締めやヒップアップを目指す人
スミスマシンスモウデッドリフト 初級~中級者 ・内転筋
・大殿筋
・ハムストリング
・下半身全体を鍛えたい人

スミスマシンスティフレッグデッドリフト

難易度 ★★★☆☆
続けやすさ(※1) ★★★☆☆
トレーニング効率(※2) ★★★☆☆

※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか

【やり方】
  1. セーフティーバーとバーベルの位置を設定する
  2. 足を骨盤程度に開き、少しひざを曲げる
  3. フックを外す
  4. 背中を真っすぐにした状態で、バーベルをひざの下まで落とす
  5. 10回を目途にバーベルの下げ・上げを繰り返しフックをかける
ケガのリスク 低い傾向
セーフティーストッパーの目安位置 すねの高さ
最初のバーベル目安位置 腰の高さ
実施できる場所 ジム
器具・設備 スミスマシン
鍛えられる部位 ハムストリング、脊柱起立筋
負荷の調整 可能
【注意点】
  • 背中を丸めない
  • ひざをまげ過ぎない

背中を丸めない

ひざをまげ過ぎない

監修者:三矢

ひざを曲げすぎると、ターゲットであるハムストリングへのストレッチが弱くなるため注意が必要です。ひざは軽く緩める程度をキープすることで、狙いたい筋肉にしっかり負荷を乗せられます。

検証者:吉田

スティフレッグデッドリフトは、ルーマニアンデッドリフトよりもハムストリングへの負荷がはっきり出る種目でした。また、フリーウェイトよりスミスマシンの方が軌道が安定するため、フォーム作りに集中できます

スミスマシンルーマニアンデッドリフト

難易度 ★★★★☆
続けやすさ(※1) ★★★☆☆
トレーニング効率(※2) ★★★★☆

※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか

【やり方】
  1. セーフティーバーとバーベルの位置を設定する
  2. 足を骨盤程度に開き、少しひざを曲げる
  3. フックを外し、背中を真っすぐにする
  4. バーベルをすねの位置まで落とす
  5. 10回を目途にバーベルの下げ・上げを繰り返しフックをかける
ケガのリスク 高い傾向
セーフティーストッパーの目安位置 足首の高さ
最初のバーベル目安位置 腰の高さ
実施できる場所 ジム
器具・設備 スミスマシン
鍛えられる部位 ハムストリング、大殿筋、脊柱起立筋
負荷の調整 可能
【注意点】
  • 背中を丸めない
  • ひざ下からヒンジの動作でバーベルを落とす

背中を丸めない

ひざ下からヒンジの動作でバーベルを落とす

検証者:三矢

ハムストリングに負荷をかけ、途中でヒンジの動作を加えることで大殿筋に刺激を入れることができます。この2つの動作を意識することで、ハムストリングと大殿筋にしっかり負荷を乗せながら、効率的にトレーニングできます。

監修者:吉田

ルーマニアンデッドリフトでは、股関節を折りたたむヒップヒンジの動きも入るため、太もも裏の伸張感とお尻の収縮を意識できる点が特徴でした。動作の精度が問われる種目ですが、スミスマシンを使うことで軌道が安定しフォームが整えやすい印象です。フリーウェイトのデッドリフトが難しい人でも、股関節主導の動きを習得するステップとして活用しやすい種目だと思いました。

スミスマシンスモウデッドリフト

難易度 ★★☆☆☆
続けやすさ(※1) ★★★☆☆
トレーニング効率(※2) ★★★☆☆

※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか

【やり方】
  1. セーフティーバーとバーベルの位置を設定する
  2. 足を肩幅より広げ、つま先を外に向ける
  3. 背中を真っすぐにした状態でバーベルを持ち上げる
  4. 10回を目途にバーベルの上げ・下げを繰り返す
ケガのリスク 低い傾向
セーフティーストッパーの目安位置 一番下の位置にする
※外せる場合は、取り外す
最初のバーベル目安位置 フックを外し、一番下の位置にする
実施できる場所 ジム
器具・設備 スミスマシン
鍛えられる部位 内転筋、大殿筋、ハムストリング
負荷の調整 可能
【注意点】
  • つま先を外に開く

つま先を外に開く

検証者:三矢

足幅を広く取り、つま先を外に開くことで内転筋に刺激が入ります。つま先が正面を向いたままだと、股関節がうまく外旋できず、ひざの軌道も不自然になってしまい関節にストレスがかかります。動作時はひざが内側に倒れないようにすることで、股関節を使った押し上げ動作がしやすくなります。

監修者:吉田

スモウデッドリフトはワイドスタンスで構えるため、内転筋やお尻を使う感覚が強く感じられました。スミスマシンを使う場合は軌道が安定しているため、足幅やつま先の向きといった下半身のセットアップに集中できました。

スミスマシンデッドリフトの効果を高めるコツ

スミスマシンデッドリフトの効果を高めるには、肩甲骨・目線・呼吸など基本的に抑えよう。

  • 肩甲骨をしっかり寄せる
  • 目線を正面にする
  • 呼吸を意識する

肩甲骨をしっかり寄せる

バーを握る前から肩甲骨を軽く下げて後ろへ寄せると、背中全体で重量を受け止めるフォームになりやすい。腕だけで引こうとせず、背中でバーを運ぶ感覚をつかむことが筋トレの質を一段引き上げるポイント。

目線は正面か少し下げる

目線が下に落ちると背中が丸まりやすく、腰へ負担が集中しやすい。常に正面かやや遠くの斜め下を見る位置に視線を固定すると、胸が自然に開き、フォーム全体が安定しやすくなる。

呼吸を意識する

呼吸を意識せずに動作をくり返すと、フォームも安定しにくい。バーを下ろすときに息を吸い込み、トップ付近でふっと息を抜くリズムでトレーニングするのがおすすめ。

腰痛を予防する!スミスマシンデッドリフトの注意点

スミスマシンデッドリフトは背中と下半身を強化しやすい一方で、フォームや重量設定を誤ると腰への負担が一気に高まる種目。注意点を整理しておくことで、背筋を守りながら安全に負荷を高めやすくなる。

  • 腹圧を抜かない
  • 重量があっていない

腹圧を抜かない

腰痛予防の土台になるのが腹圧のコントロール。息を吸ってお腹を膨らませることで、背骨のまわりをコルセットのように支える状態をつくりやすくなる。腹圧が抜けたまま動作をくり返すと、腰一点に負担が集中しやすい流れになりがち。

監修者:三矢

背中を伸ばし、息を吸いながらお腹の土台をつくると腹圧を高めやすくなります。しかし、正しく腹圧を入れる感覚は掴みにくいため、トレーニングベルトを使うのもおすすめです。

重量があっていない

現在の筋力やフォーム精度に対して重量が重すぎると、関節で支える動作が加わりやすく腰痛リスクが一気に高まる。最初は余裕を持って10回こなせる重さから始め、フォームを崩さずに動作できるかを基準に少しずつ負荷を上げる流れが安全。

監修者:三矢

重量が過剰になると本来負荷を受けるべき背中や下半身ではなく、「関節」で支える動作が加わりやすくなります。フォームが崩れた状態でトレーニングすると腰痛リスクが一気に高まります。フォームが安定したら段階的に重量を上げるのが安全で確実な伸ばし方です。

【レベル・男女別】スミスマシンデッドリフトの重量平均

スミスマシンデッドリフトの適切な重量は、基本的にはフリーウェイトデッドリフトと変わらない。以下を目安にしながら、性別・体重・トレーニング歴に合わせた適正重量でトレーニングしよう。

▼デッドリフトの重量に関する詳細

デッドリフトの平均重量とは?RM換算を活用した目的別の重量設定を解説

何キロからすごい?デッドリフトの平均重量 上級者は体重の約2.5倍!体重からみる男性の平均重量 上級者は体重の約2倍!体重からみる女性の平均重量 最初は男性40.....

男性のレベル別重量目安

体重   ビギナー
(始めたばかり)
※フォームの習得が優先          
初心者
(~約3か月)        
中級
(約3~6ヶ月)        
上級者
(約6~24ヶ月)        
エリート
(約24か月以上)        
50キロ40〜50㎏65㎏93㎏125㎏160㎏
55キロ40〜50㎏74㎏103㎏137㎏174㎏
60キロ40〜50㎏83㎏114㎏149㎏187㎏
65キロ40〜50㎏92㎏124㎏160㎏200㎏
70キロ40〜50㎏100㎏133㎏171㎏212㎏
75キロ40〜50㎏108㎏142㎏182㎏224㎏
80キロ40〜50㎏116㎏151㎏192㎏235㎏

女性のレベル別重量目安

体重   ビギナー
(始めたばかり)
※フォームの習得が優先          
初心者
(~約3か月)          
中級
(約3~6ヶ月)          
上級者
(約6~24ヶ月)          
エリート
(約24か月以上)          
40キロ20〜30㎏40㎏62㎏89㎏118㎏
45キロ20〜30㎏45㎏68㎏95㎏126㎏
50キロ20〜30㎏49㎏73㎏102㎏133㎏
55キロ20〜30㎏53㎏78㎏107㎏140㎏
60キロ20〜30㎏57㎏83㎏113㎏146㎏
65キロ20〜30㎏61㎏87㎏118㎏152㎏
70キロ20〜30㎏64㎏91㎏123㎏157㎏

検証者:吉田

この重量目安表は世界基準で重量目安を示している「Strength Level」による重量一覧です。検証者(トレーニング歴6ヵ月程度)の場合ですが、92~124㎏が目安になるのですが、そこまで高重量はまだ扱えない状態です。普段は大体80㎏程度で、フォームを優先して取り組んでいます。

スミスマシンデッドリフトに関するQ&A

スミスマシンデッドリフトがうまくできないときの対処方法は?

A: 重量を下げて、正しいフォームで取り組めるようにする

監修者:三矢

うまくできないと感じるときは、多くの場合フォームと重量設定に課題があるケースが多いです。まずは10回を安定してこなせる軽めの負荷に下げてみましょう。また、ほかの種目で疲労が残った状態ではなく、集中しやすいタイミングを選ぶことでデッドリフトのパフォーマンスをあげる近道。

スミスマシンデッドリフトをやる前におすすめのストレッチは?

A: 股関節を動かす動的ストレッチがおすすめ

監修者:三矢

ハムストリング・大殿筋・股関節まわりを動かすウォームアップがおすすめです。立位でのダイナミックな前後脚スイングなど、股関節を動かすエクササイズを取り入れるとフォームに入りやすくなります。

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