腹横筋は、体幹の安定性を支えるインナーマッスルで、姿勢の改善や内臓の位置に影響を与えることも。この腹横筋を鍛えることで、腰痛予防や反り腰の改善、運動パフォーマンスの向上などの効果がある。
この記事では、女性や初心者でも取り組みやすい腹横筋の筋トレメニューやストレッチ、効果的に鍛えるコツなどを紹介。
この記事の監修者

おぜき としあきさん
パーソナルトレーナー
この記事の検証者

山田 しおりさん
Wellulu編集部
フィットネスクラブで身体を動かす習慣はあったものの、きちんと身体に合った方法で運動できているか不安になり、2023年からパーソナルトレーニングに定期的に通い始める。 仕事が忙しい時期はとくに運動不足気味のため、歩いて移動できる場所は電車やバスは使わないように心がけている。
腹横筋を鍛える前に知りたい6つのこと
腹横筋はボディメイクの「隠し味」のような筋肉

腹横筋は体型の見た目に大きく影響を与える筋肉で、お腹の立体感やウエストの引き締め感を左右している。腹横筋はインナーマッスルとして体の内側から支える役割を担っており、内側からしっかり支えられていることで見た目がスリムに見えたり、メリハリのある体型につながる。
目立たない筋肉だが、体型のメリハリに関わるため、ボディメイクの「隠し味」のような筋肉といえる。
腹横筋が弱いと日常生活で疲れを感じやすい

腹横筋は身体の奥にあるインナーマッスルで、ほかの筋肉とのつながりを担う重要な部位。そのため、腹横筋が弱いとほかの筋肉とのつながりも少なくなり、普段よりも少ない筋肉で動作を補わなければならず、身体全体の動きがぎこちなくなる。
また、腹横筋が弱まると身体の安定性が損なわれ、日常動作に支障がでる。仕事や家事などにおいても疲れやすくなってしまい、結果として一部の筋肉に負担がかかりやすくなる。
片脚で動くと腹横筋が使われる!

日常生活で腹横筋を効果的に使う簡単な方法は、片脚で動作をおこなうこと。片脚立ちや片脚での立ち座りなどをおこなうことで、身体がバランスを取ろうとし腹横筋が自然に働く。
歩くときも、たとえば通常のまっすぐな歩き方ではなく、やや足をクロスさせるような歩き方をすることで、片脚立ちに近い状況を作り出し、腹横筋の活性化が期待できる。
【おすすめの人】
- 立ち仕事やすわり仕事の人
- 同じ姿勢でいることが多い人
座ってやるトレーニングが腹横筋に効果的

不安定な状態でのトレーニングは、バランスを取ろうとすることで自然と腹横筋が使われるため、腹横筋に効果的。
また、座った状態で片方のひざをのばす運動は、腹横筋を効果的に鍛えられる。以下の時にトレーニングを取り入れるのがおすすめ。
【おすすめのタイミング】
・デスクワーク中におこなう
オフィスや自宅でのデスクワーク中におこなう
・テレビを見ながらおこなう
ソファに座ってテレビを見ている時など、リラックスした状態でおこなう
参考論文:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/37/7/37_KJ00006813985/_article/-char/ja/
トレーニング中は息を止めないようにしよう

トレーニング中は自然な呼吸を心がけるのがポイント。呼吸法にこだわりすぎると「いつ吸っていつ吐くのか」混乱する場合も。
一般的な筋トレでは無理に呼吸を調整する必要はないため、自然に吸いたいときに吸い、吐きたいときに吐こう。しかし、きつくなったときに息を止めがちなので、息を止めないように意識するのがコツ。
ぽっこりお腹を改善したい人は「上体そらしストレッチ」がおすすめ

ぽっこりお腹を改善したい人はうつ伏せでの上体反らしストレッチがおすすめ。うつ伏せになってひじをつき、顎を引いた状態で上体を反らすことで、お腹の上の方を効果的に伸ばせる。
人間の身体は横隔膜を境に上下で動きがわかれやすく、とくに上部は日常的に伸ばされることが少ないため、意識的にストレッチすることが大切。
ヨガの猫のポーズと似ているが、顎を上げるのではなく引くことで、より効果的にお腹を伸ばせる。
腹筋群のインナーマッスル「腹横筋」を鍛えるメリット
| メリット | ポイント |
| スポーツパフォーマンスの向上 | 急な方向転換や予期せぬ衝撃への対応力がつき、ケガのリスクが軽減 |
| 姿勢の改善 | 背筋が伸びた美しい姿勢を保てるようになり、腰痛や反り腰を予防 |
| ぽっこりお腹の改善 | 腹部全体も引き締まり、ウエストラインがスッキリとした印象に |
【座ってできる】腹横筋の筋トレメニュー3選
- 座ってドローイン
- 座ってツイスト
- 座ってレッグレイズ
座ってドローイン
| 難易度 | ★★☆☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★★★ |
| トレーニング効率(※2) | ★☆☆☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 身体の力を抜き、リラックスした状態になる
- 鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹を膨らませる
- 口からゆっくりと息を吐きながら、お腹をへこませる
- お腹をへこませた状態を10秒キープする
| バリエーション | 約4種類 |
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | イス |
| 鍛えられる部位 | 腹横筋 |
| 負荷の調整 | 可能 |
- 背中をまっすぐにする
- 肩に力を入れない
背中をまっすぐにする

肩に力を入れない

ドローインの種類
| 仰向けドローイン |
|
| 立位ドローイン |
|
| 四つん這いドローイン |
|

検証者:山田
ただ息を吐いて吸うだけでは腹筋を使用している感じがしなかったので、腹筋が動いているかを意識しておこないました。
座ってツイスト
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★☆☆☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- イスに座り、脚を肩幅に開いてしっかりと地面につける
- 腰をまっすぐに保ちながら、腕を曲げて脇につける
- 上半身を右にひねり、戻してから左にひねる
| バリエーション | 約2種類 |
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | イス |
| 鍛えられる部位 | 腹直筋・腹横筋・腸腰筋 |
| 負荷の調整 | 可能 |
- 上半身がぶれないようにする
上半身がぶれないようにする

ツイストの種類
| 足を浮かせたツイスト |
|

検証者:山田
身体を後ろにひねる際に、背中を丸めず常に胸を張るように意識することでしっかり腹筋に効いているように感じました。
座ってレッグレイズ
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★★★ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- イスに座り、背筋を伸ばして両手はイスの座面に軽く置く
- 片脚を床から少し浮かせ、ひざを伸ばしたままゆっくりと脚を上げる
- 脚を上げた状態で数秒間キープし、ゆっくりと元の位置に戻す
| バリエーション | 約5種類 |
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | イス |
| 鍛えられる部位 | 腹直筋・腹横筋・腸腰筋 |
| 負荷の調整 | 可能 |
- ひざを曲げない
- 背中をまっすぐにする
ひざを曲げない

背中をまっすぐにする

レッグレイズの種類
| 仰向けレッグレイズ |
|
| マシンレッグレイズ |
|
| ハンギングレッグレイズ |
|
| ツイストレッグレイズ |
|

検証者:山田
勢いよく脚を動かすと腰を痛めてしまいそうになったので、ゆっくり動かすことを意識しておこないたいです。
【自宅でできる】腹横筋の筋トレメニュー5選
- キャット&カウストレッチ
- レッグレイズ
- マウンテンクライマー
- プランク
- リバースクランチ
キャット&カウストレッチ
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
| トレーニング効率(※2) |
★★★☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 四つん這いになり、肩の真下に手、股関節の真下にひざがくるようにする
- 息を吐きながら、背中を丸めておへそを覗き込むようにする
- 息を吸いながら、お腹を床に近づけるように背中を反らせる
| バリエーション | 約3種類 |
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | 床マット |
| 鍛えられる部位 | 腹直筋・腸腰筋 |
| 負荷の調整 | 可能 |
- ひじを曲げない
ひじを曲げない

キャット&カウストレッチの種類
| シーテッドキャット&カウ |
|
| スタンディングキャット&カウ |
|

検証者:山田
最初は背中の動作に意識が集中しすぎて、ひじが無意識に曲がっていました。ひじが曲がると、背骨の動きが小さくなって、ストレッチ感も感じられませんでした。
初心者の人は、ゆっくりとした動作でおこなった方がよさそうです。
レッグレイズ
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★★★ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 床に仰向けになり、ひざを伸ばして脚を揃える
- 腕は身体の横で軽く開いて伸ばし、手のひらを床に向ける
- 息を吐きながら、両脚をゆっくりと床から離し、垂直になるまで上げる
- 上げた状態を数秒キープする
- 息を吸いながら、ゆっくりと脚を床に戻す
| バリエーション | 約5種類 |
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | 床マット |
| 鍛えられる部位 | 腹直筋・腸腰筋 |
| 負荷の調整 | 可能 |
- ひざを曲げない
ひざを曲げない

レッグレイズの種類
| ベンチレッグレイズ |
|
| マシンレッグレイズ |
|
| ハンギングレッグレイズ |
|
| ツイストレッグレイズ |
|

検証者:山田
勢いよく脚を動かすと腰を痛めてしまいそうになったので、ゆっくり動かすことを意識しておこないたいです。
マウンテンクライマー
| 難易度 | ★★★★☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★★★ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 腕立て伏せの体勢になり、両ひじを伸ばす
- 右足のひざを胸に近付けるようにひきつける
- 右足を戻して、今度は左足をひきつける
- 2~3の動作を繰り返す
| バリエーション | 約2種類 |
| ケガのリスク | 高い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | 床マット |
| 鍛えられる部位 | 腹直筋・腸腰筋・腹斜筋 |
| 負荷の調整 | 可能 |
- 腰を上げすぎたり下げすぎたりしない
- 肩の真下に手を置く
腰を上げすぎたり下げすぎたりしない

肩の真下に手を置く

マウンテンクライマーの種類
| クロスオーバーマウンテンクライマー |
|

検証者:山田
脚の動きを早くおこなおうとすると体幹がぶれてしまったので難しいと感じました。
プランク
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★★★ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- うつぶせになり、ひじを肩幅に開く
- つま先を立て、身体を持ち上げる
- 頭から足先まで一直線になるように、お腹に力を入れて姿勢をキープする
| バリエーション | 約7種類 |
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | 床マット |
| 鍛えられる部位 | 腹直筋・腹斜筋・脊柱起立筋 |
| 負荷の調整 | 可能 |
- 頭から足先までを一直線に保つ
- 目線は床の1m先に向ける
頭から足先までを一直線に保つ

目線は床の1m先に向ける

プランクの種類
| ひざつきプランク |
|
| プランクツイスト |
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| サイドプランク |
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| シングルレッグプランク |
|
| ニーインプランク |
|
| バランスボールプランク |
|

検証者:山田
ノーマルプランクに少し動きや負荷を加えるだけで、他の筋肉を使っている感じがしました。とくにバランスボールプランクは体勢を保つのが難しかったです。
リバースクランチ
| 難易度 | ★★★★☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★☆☆☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★★★ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 仰向けに寝て、ひざを90度に曲げて脚を床から浮かせる
- 両手を床につけて、腹筋を使ってひざを胸に引き寄せる
- 脚をゆっくりと元の位置に戻す
| バリエーション | 約2種類 |
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | 床マット |
| 鍛えられる部位 | 腹直筋・腸腰筋・腹横筋 |
| 負荷の調整 | 可能 |
- 腰をそらさない
腰をそらさない

リバースクランチの種類
| レッグダウンリバースクランチ |
|

検証者:山田
脚を下ろす時も重力に任せずゆっくりと動かすと、下腹部にずっと負荷を感じられました。
腹横筋に関するQ&A
筋肉痛の場合はトレーニングを休んでも大丈夫?
A:休んでも大丈夫。

監修者:おぜき
筋肉痛があるときは、トレーニングを休んでも問題ありません。過度な負荷をかけず、適度に休養を取ることが望ましいです。
腹筋だけでもおなかはへこむ?
A:腹筋運動だけで脂肪が減り、お腹が凹むことはない。

監修者:おぜき
腹筋運動をおこなったことで内臓の位置が整い、筋肉や脂肪の位置が変わることで、一時的にお腹が凹んで見える可能性はあります。
ですが、腹筋運動だけでは脂肪を減らすことはできません。脂肪を減らしてお腹を凹ませるためには、筋トレだけでなく、有酸素運動や食事管理に取り組むことが重要です。
下腹痩せをするためのポイントは?
A:全体的に脂肪を落とすことと、骨盤などの骨格の位置の調整。

監修者:おぜき
部分的に脂肪を落とすことは難しいため、まずは全体的に脂肪を落とすアプローチが大切です。また、骨盤が後傾していると、脂肪が少なくても下腹部が前に出て見える傾向があります。骨盤が適切な位置にあり、前傾や後傾の動きがスムーズにできる状態が理想です。
骨盤は左右上下に動きますが、運動不足や、立ったまま、座ったままなど同じ姿勢をとり続けることで固まってしまいます。「アニマルウォーク」など左右非対称な動きを含むトレーニングを取り入れることで、骨盤の可動性を回復させることができます。


































青山学院大学在学中の1988年から指導をスタート。指導歴30年で女優、役者、アイドル、女子アナ、ミスワールド日本代表モデル、プロサーファー、新体操選手などのスポーツ選手なども含め20000人超の指導を経験。2003年OZEKIパーソナルトレーナー養成スクール(現Shapesアカデミー)開設。2005年Shapes(現ShapesGirl)を東京渋谷に開設。メディア出演のほか、「腹凹は太もも運動でつくれる 1日3分週3日でOK!」(SBクリエイティブ)「5秒姿勢矯正ダイエット」(マガジンハウス)など多数の著書を執筆。