
自宅の限られたスペースでも、効率的な筋トレが期待できる腹筋ローラー(アブローラー)。シンプルながらもダイエットやお腹、インナーマッスルなど気になる部分に効果的なため、注目している人も多いはず。
この記事では、腹筋ローラー(アブローラー)を使用したトレーニングで期待できる効果や鍛えられる部位、難易度別のトレーニングメニューなどを紹介する。自分の目的に合ったトレーニング方法を見つけよう。
この記事の監修者

つむら みおさん
パーソナルトレーナー
腹筋ローラー(アブローラー)はどこに効く?鍛えられる部位
とくに上半身への効果が期待できる腹筋ローラー(アブローラー)。お腹周り以外にもどういった部位にアプローチするのか解説していく。
- お腹周り(腹直筋・腹斜筋・腸腰筋)
- 背中全体(脊柱起立筋・広背筋)
- 肩周り(三角筋・大胸筋)
- 腕周り(上腕三頭筋・前腕筋)
お腹周り(腹直筋・腹斜筋・腸腰筋)
腹筋ローラー(アブローラー)のトレーニングでもっとも効果を実感できるのが、お腹まわりの筋肉。ローラーを転がす動作により、腹直筋だけでなく腹斜筋にも効果的に負荷がかかるため、腹部全体のシェイプアップが期待できる。
初心者でもお腹まわりの変化を実感しやすく、継続のモチベーションにつながる。
背中全体(脊柱起立筋・広背筋)
脊柱起立筋はローラーを転がす際の姿勢保持、広背筋は腕の動きで刺激を与えられる。背中の筋肉が強化されることで、姿勢の改善や肩こり予防が期待できる。
肩周り(三角筋・大胸筋)
三角筋の前部から後部までまんべんなく刺激を与えられるため、肩の美しいラインづくりに効果的。また、大胸筋が強化されることで胸まわりの引き締めも期待できる。
腕周り(上腕三頭筋・前腕筋)
上腕三頭筋はローラーを支える際におもに使用され、前腕筋はグリップを握る動作で負荷がかかることで、腕全体をバランスよく鍛えられる。腕まわりの筋肉が強化されることで、日常生活において物を持ち上げるなどスムーズな腕の動作が可能になり、引き締まった腕になる。
腹筋ローラー(アブローラー)で得られる効果
- 一番重要な効果は「インナーマッスルが鍛えられ姿勢が改善すること」
- 基礎代謝が上がって痩せやすい身体になる
- 体幹が強化されてスポーツのパフォーマンスが向上
- 広範囲の筋肉が鍛えられ効率的なボディメイクに
- 骨密度が増加してケガをしにくい身体に
一番重要な効果は「インナーマッスルが鍛えられ姿勢が改善すること」
腹筋ローラーは様々な筋肉に効果があるが、一番鍛えられる主動筋は腹直筋と腹横筋。普段のトレーニングでは刺激が入りにくい腹横筋などの身体の深層部の筋肉の強化されることで、背骨を支える力が向上する。そのため、自然と美しい姿勢を保てるようになるだけでなく、猫背や肩こりの改善も期待できる。
基礎代謝が上がって痩せやすい身体になる
通常の腹筋運動に比べて全身の筋肉を使いやすいのが腹筋ローラーの特徴。とくに体幹部の筋肉量が増加することにより、安静時のエネルギー消費量アップが期待できる。
体幹が強化されてスポーツのパフォーマンスが向上
腹直筋や腹斜筋、背筋群といった体幹に関わる筋肉に刺激を与えるため、筋力向上が期待できる。体幹が強化されることにより、スポーツでは瞬発力や方向転換などが必要な場面で安定性とパワーを手に入れられる。
広範囲の筋肉が鍛えられ効率的なボディメイクに
肩周りの三角筋や大胸筋、背中の広背筋まで含めた上半身の多くの筋肉を同時に刺激するため、短時間で効率的なトレーニングができる。全身運動に近い効果があり、効率的にボディメイクができる。
骨密度が増加してケガをしにくい身体に
腹筋ローラーをおこなう際は全身の筋肉を使って姿勢を維持する必要があり、体重による負荷もかかる。体重による負荷と全身の筋肉を動かす動作は、骨量を増やす上でも大切な刺激になる。また、骨量が増えることで日常生活での不意な動きによるケガのリスク軽減にもつながる。

通常の腹筋トレーニングでは骨密度向上への効果は限定的ですが、腹筋ローラーは体幹部から上半身、下半身まで広範囲の筋肉を使用する点で大きく異なり、体重による負荷と全身の筋肉活動により、骨密度向上への効果が期待できます。
トレーニング前にチェック!けが防止のための注意点
腹筋ローラーをおこなう前に、けが防止のポイントをチェックしよう。ここでは二つ紹介する。
- 床に必ずマットを敷く
- ストレッチで身体を温めてからおこなう
床に必ずマットを敷く
硬い床面でトレーニングをおこなうと、ひざや手首に必要以上の負担がかかり、関節を痛める要因になるため、必ずヨガマットや運動用マットを敷いておこなうことが大切。
マットの厚さは10mm以上で、クッション性が十分にあるものを選ぶのがおすすめ。また、滑りにくい素材のマットを使用することで、安定した動作が可能になる。
ストレッチで身体を温めてからおこなう
関節には筋肉がくっついて動いているため、関節が動かないと筋肉も十分に動かない。そのため、トレーニング前はとくに関節をチェックすることを意識しよう。例えば、簡単な肩まわしなどで「今日は肩が回りにくい」「腕が上がりづらい」といった違和感をチェックするだけでも効果的。
他にも、床に座ってひざを左右に倒す動きや、立った状態で壁などに手をついて股関節を回す動きなどで自分の身体の状態を確認し、いつもと違う感覚があれば、その部分を重点的にストレッチするのがおすすめ。トレーニング前の違和感や痛みを感じたら無理せず、その日の体調に合わせてトレーニングを調整しよう。
2つのポイントがチェックできたら、次の正しいやり方を参考にしながら腹筋ローラーに取り組もう。
腹筋レベルを「ひざつき腹筋ローラー」でチェック!
腹筋ローラーは、一見シンプルな動きだが高負荷なトレーニングであり、安全かつ効果的に始めるために、「ひざつき腹筋ローラー」は最初のステップ。今回、編集部でひざつき腹筋ローラーを体験し、自分の腹筋レベルをチェックしてみた。
- 腹筋ローラーのやり方・ポイント
- 編集部が実際に体験してみた!
腹筋ローラーのやり方・ポイント
<やり方>
- 床にマットを敷き、ひざを肩幅に開いて姿勢を安定させる
- グリップは肩幅よりやや広めに持ち、背筋を伸ばした状態をキープする
- 腹筋に力を入れてゆっくりとローラーを前に転がす
腹筋ローラーをおこなう際のポイントは4つ。それぞれ参考にしながら、意識しておこなおう。
編集部が実際に体験してみた!
今回、編集部の男性が腹筋ローラーに挑戦してみた。

30代半ばの男性Yさん
学生時代は運動部に所属。普段は在宅ワークで仕事をおこなっており、最近は運動不足気味。
まずはひざをつくところから、体制を整えておこなってみる。
結果:綺麗にフォームを保った状態で3回できた。
立った状態からおこなう腹筋ローラーにも挑戦してみたが、体制を保てず床についてしまった。

ひざをついた状態でも結構腹筋にきて、僕はなんとか3回できるくらいのレベルでした。しかし、しっかり伸ばしきれなくても翌日筋肉痛になっていました。意外と負荷がかかっていたので、できる範囲の動きで続けるだけでも効果が期待できそうだなと思いました。
腹筋ローラーができない人向けの腹筋トレーニング
ひざつき腹筋ローラーが厳しい人は、基本的な腹筋トレーニングに挑戦しよう。ここでは腹筋の力が十分でない場合でも取り組みやすい腹筋トレーニングを2つ紹介する。
- ニーアップ
- マウンテンクライマー
ニーアップ
「ニーアップ」はその場で脚のひざを胸の高さまで大きく引き上げるトレーニング。腹直筋・腸腰筋・大腿四頭筋を主に使い、腹筋を意識して巻き込むようにおこなうと、腹筋ローラーに近い動きができるのでおすすめ。ここでは椅子に座ってできる「ニーアップ」を紹介する。
マウンテンクライマー
- うつ伏せになり、両手を肩幅に開いて床につく
- 腕立て伏せの姿勢になる
- 片方のひざを胸に引き付けるように曲げる
- もう片方の足を伸ばしたまま、後ろに引く
- 左右の足を交互に、テンポよく入れ替える
「マウンテンクライマー」は腕立て伏せの姿勢から、ひざを交互に素早く胸に引き寄せる全身トレーニング。ひざを交互に上げることで、自然と腹筋が縮んだり伸びたりする動きを作れる。

この2つのトレーニングに慣れてきたら、脚を動かすタイプのトレーニングから、腹筋だけを使う「クランチ」や「ひざつきプランク」など、じっと耐える動きに移行していくとよいでしょう。段階的にレベルアップしていくことで、いずれは腹筋ローラーも使えるようになります。
腹筋ローラー(アブローラー)の効果的な回数・頻度
腹筋ローラー(アブローラー)を使用したトレーニング頻度の目安や目的に合わせた回数を紹介。自身の状態や目標に合わせて調整しよう。
- 週3~4回程度がおすすめ!
- ダイエット目的:10~15回を3セット
- 引き締め目的:15~20回を3セット
- 筋肥大目的:限界回数を3セット
週3~4回程度がおすすめ!
腹筋ローラーのトレーニング頻度は週3~4回程度がおすすめ。初心者の場合は、週2回から始め、徐々に回数を増やしていこう。過度な頻度でおこなうのは逆効果になるため、トレーニング日の間に1日以上の休養日を設け、筋肉の回復・成長を促そう。
ダイエット目的:10~15回を3セット
ダイエット目的なら10~15回を3セットを目安におこなうのがおすすめ。初心者の場合は、8回程度から始め、無理のない範囲で徐々に回数を増やしていこう。セット間の休憩は30秒程度に抑えることで脂肪燃焼効果を促そう。

腹筋ローラーでは、動作を維持できるかどうかが重要であるため、少ない回数から始めるのが効果的です。実施可能な回数の範囲内で継続するようにしましょう。
引き締め目的:15~20回を3セット
引き締め効果を高めるには15~20回を3セットを目安におこなうのがおすすめ。セット間の休憩は1分程度に設定しよう。回数をこなすことで筋持久力が向上し、引き締まった身体づくりをサポートしてくれる。
筋肥大目的:限界回数を3セット
筋肥大の効果を高めるためには、高負荷・低回数でのトレーニングが効果的。耐えられる回数で3セットを目安におこなうのがおすすめ。セット間の休憩時間は1分程度に設定し、しっかりと筋肉を追い込んで筋肥大を目指そう。

筋肥大目的の場合は、正しいフォームで質のよい運動ができているかが重要なので、回数を指定するのではなく、できる回数で3セットをおこなうのがおすすめです。
腹筋ローラー(アブローラー)の選び方のポイント
腹筋ローラー(アブローラー)には、タイヤの幅や数、グリップの素材や形など、さまざまな種類が展開されている。ここでは自分に合った腹筋ローラー(アブローラー)の選び方を紹介。
- 安定性を重視するならタイヤの幅や数を確認する
- 手首への負担が気になるならグリップの素材や形にこだわる
- 静音性や耐久性もチェック
安定性を重視するならタイヤの幅や数を確認する
幅広のタイヤのものは初心者でも安定した動作が可能で、タイヤが2つ以上ついているものは、左右のブレを防ぎやすく正しいフォームの習得をサポートしてくれる。一方、より高い体幹の安定性が求められる細いタイヤのものは上級者向けのアイテム。
手首への負担が気になるならグリップの素材や形にこだわる
グリップの素材や形状によって、手首や手のひらにかかる負担は大きく変わるため、長期間のトレーニングを見据えて自分に合ったグリップ選びが大切。
汗を吸収しやすい素材や滑り止め加工されたグリップなら、手のひらの疲労も軽減される。また、人間工学に基づいた設計のグリップを選ぶことで、自然な手首の角度を保持しながらトレーニングが可能。

静音性や耐久性もチェック
集合住宅での使用や早朝のトレーニングを考えているなら、静音性が十分かどうかも確認するようにしよう。タイヤの材質や構造によって、床との接触音が異なり、ゴム製のタイヤや特殊な静音設計を採用した製品は、気兼ねなくトレーニングがおこないやすい。
また、一般的な製品は100kg前後の耐荷重量を備えているものが多いため、素材の品質や組み立ての精度なども確認するのが大切。

腹筋に自信がない人は、アシスト機能付きの製品もチェックしてみましょう。アシスト機能は初心者でも転がりすぎず安全なトレーニングがおこなえるようサポートしてくれます。また、負荷調整が可能な製品は、体力に応じたトレーニングができるので、こだわりたい人は機能面もチェックしてみましょう。
腹筋ローラー(アブローラー)に関するQ&A
毎日使っても大丈夫?
A:頻度は体調やコンディションを考慮して

毎日使っても大丈夫ですが、筋肉痛がある場合は休養を取り入れるなど、体調やコンディションに合わせた調整をするようにしましょう。継続して取り組むためには1日おきにおこなうことがおすすめです。
どのくらいで身体に変化が見られるようになる?
A:早くて約1週間で腹筋に力が入り、1ヶ月で筋肉量に変化が現れ始める

約1週間で腹筋に力が入る感覚がわかるようになることもあります。1ヶ月経過すれば筋肉量の変化を感じられるようになります。
腹筋ローラー(アブローラー)のみで腹筋は割れる?
A:可能だが体脂肪率による

たとえば女性の場合、体脂肪率が25%以下であるといったように、体脂肪率が適切な範囲内であれば、腹筋ローラーだけでも腹筋を割る効果はあります。視覚的な効果を実現するためには腹筋ローラーでのトレーニングと合わせて、体脂肪率の管理をおすすめします。
腰痛持ちでも使って大丈夫?
A:身体を丸めた状態での動作を意識できれば使ってもよい

腰痛持ちの場合は身体を丸めた状態からスタートし、限定的な可動域でおこなうようにすると腰への負担を最小限に抑えることができます。
女性が使うときの注意点はある?
A:無理のないトレーニング、力が抜けにくいフォームで

女性の場合は筋力が少ないため、最初から無理なトレーニングはしないようにしましょう。手首や握力も男性と比べると弱い傾向にあるので、力が抜けにくいフォームを見つけるようにしましょう。
ハーティネス株式会社代表
フィットネス勤務から独立し、現在はダイエット迷子に正しい知識を伝えるためのオンライングループレッスン運営中。
コンプレックスを強みに変える!ボディメイク運動指導やリバウンドなしで、理想の体を手に入れる食事指導をおこなっている。
2チャンネル目となるYouTube「みおGYM」にて週2回エクササイズ配信中
著書4冊/各種雑誌、テレビ出演
JBBF 日本ボディビル・フィットネス連盟 2年連続優勝経験を持つ