
肩の代表的な筋肉である三角筋。逆三角形のシルエットや広い肩幅など、鍛えることでボディラインにメリハリがつき、全体のシルエットを整えることができる。
この記事では、三角筋を鍛えることで期待できる効果や、おすすめの筋トレメニュー(自重・ダンベル・バーベル)を紹介する。自分の目的に合ったトレーニング方法を見つけよう。
この記事の監修者
関根 綾さん
パーソナルジムDecision 代表トレーナー
三角筋を鍛える3つのメリット
- 逆三角形のボディラインづくりに役立つ
- 肩こりなどの改善・日常動作が楽になる
- スポーツパフォーマンスが向上する
逆三角形のボディラインづくりに役立つ
肩幅が広くなり理想的な逆三角形のシルエットが手に入りやすくなる。また、上腕と肩のラインが引き締まることで、服を着た際のシルエットもよくなるため、Tシャツだけでもスタイリッシュな印象に。

三角筋のトレーニングと合わせて広背筋と僧帽筋も鍛えると、より逆三角形に近いボディラインづくりがしやすくなります。
日本トレーニング科学会大会で発表された研究によると、ショルダープレス(スミスマシンで検証)において、動作の可動域の違いで筋肥大や筋力向上の効果が変わることが示唆されている。
フル可動域(肘を完全に伸ばす動作)とハーフ可動域(肘を途中までしか伸ばさない動作)でのトレーニングを比較した結果、フル可動域でおこなった場合の方が、三角筋中部の筋活動がより高く、平均パワーも有意に向上することが明らかに。
ショルダープレスはしっかりとフルレンジで動作をおこなうのがポイント!
肩こりなどの改善・日常動作が楽になる
肩周りの筋力が向上することで、日常生活におけるあらゆる動作がスムーズになり、重い荷物の上げ下ろしといった作業も楽に。とくに肩こりや腕の疲労を感じやすい人は、身体的な負担の軽減につながる。
スポーツパフォーマンスが向上する
三角筋は野球やテニスのスイング、水泳のストローク、ゴルフのスイングといった、投げる・打つ・泳ぐなど肩まわりの動作に関わるため、鍛えることで腕を動かすあらゆるスポーツ動作の力強さや安定性が向上し、パフォーマンスの向上につながる。
三角筋をバランスよく鍛えるポイント
三角筋は前部・中部・後部の3つの部位に分かれる。各部位の動作を理解した上でトレーニングすることで、バランスよく三角筋を鍛えることができる。ここでは、それぞれの部位について紹介。
- 前部の動作
- 中部の動作
- 後部の動作
また、筋肉の出力量を計測できる筋電センサー「筋肉Phone」を活用したトレーニング比較もおこなった。

Wellulu編集部
フロントレイズ・サイドレイズ・リアレイズで検証
トレーニング初心者であるWellulu編集部スタッフが、各部位にアプローチできるチューブ種目3種を10回程度やってみました。各種目で前部・中部・後部にかかる負荷量はどれくらい違うのか?筋活動のデータとともに紹介します。
▼各部位に対する比較データと評価まとめ
各評価の指標(◎=とても高い、〇=高い、▲=低い)
前部のデータと評価 | 中部のデータと評価 | 後部のデータと評価 | |
---|---|---|---|
フロントレイズ | 362.4(◎) | 399.6(▲) | 226.9(▲) |
サイドレイズ | 264.5(▲) | 584.1(◎) | 518.9(〇) |
リアレイズ | 209.3(▲) | 540.8(〇) | 650.8(◎) |
前部の動作
三角筋前部は肩の前側に位置し、日常生活での物を取る動作や腕を前に上げる動作を担っている。部を発達させることで肩の厚みが増すとたくましく立体感のある上半身につながる。

Wellulu編集部
フロントレイズが圧倒的に高い効果が期待できる
実際にトレーニングをしてみて、フロントレイズが最も効果が高いことが筋電センサーのデータからもわかります。ただ、前部にアプローチする際は軽い負荷(2~3㎏)だと物足りない感じがあります。ビギナーでも片手で5~8㎏程度がおすすめです。
三角筋前部にかかる負荷量のデータ
中部の動作
三角筋中部は肩の外側部分を形成し、腕を横に上げる動作を担っている。肩幅を広く見せる効果があり、逆三角形のシルエットを作るためには欠かせない筋肉。

Wellulu編集部
サイドレイズ、もしくはリアレイズで高い効果が期待できる
フロントレイズではあまり負荷はかかりませんが、サイドレイズやリアレイズではしっかり負荷を感じられました。
三角筋中部にかかる負荷量のデータ
後部の動作
三角筋後部は肩の後ろ側に位置し、腕を後ろに引く(横に広げる)動作を担っている。小さな筋肉のため、動かすのが難しい筋肉ではあるが、バランスの取れた立体感のある肩づくりには欠かせない要素。

Wellulu編集部
リアレイズでの効果が期待できる
後部にピンポイントでアプローチするのであれば、リアレイズがとくにかくおすすめ!また、後部は筋肉が小さいため、軽い負荷(2~3㎏程度)×10~15回でも十分にトレーニング効果が発揮できます。
三角筋後部にかかる負荷量のデータ

Wellulu編集部
もちろん3種目取り入れるのが最も効果的ですが、時間のない方や他の部位も注力している人はフロントレイズとリアレイズの2種目からやってみてください。ポイントはフロントレイズは片手で5~8㎏程度、リアレイズは2~3㎏程度から始めるとよいと思います。
【ダンベル】三角筋の筋トレ4選
- フロントレイズ(三角筋前部)
- ショルダープレス(三角筋中部)
- サイドレイズ(三角筋中部)
- リアレイズ(三角筋後部)

バランスよく肩を鍛えるためには、三角筋の全部位を鍛えるのが重要です。とくに後部は前部・中部に比べてリアレイズ以外の種目は、難易度の高いフェイスプルなどの種目でのアプローチとなるため取り入れたい種目。
フロントレイズやリアレイズなどの前部・中部に効果的な種目とバランスよく組み合わせてメニューを考えるとよいでしょう。
フロントレイズ(三角筋前部)
「フロントレイズ」は腕を前方に持ち上げる動作により、三角筋の前部を効果的に鍛えられるトレーニング。腕を肩と平行になるまでゆっくりと上げ、その位置で一瞬停止して反動を使わず、肩の力だけで重りを上げるようにしよう。
- 足を肩幅に開いて立ち、ひざを少し曲げる
- 背中はまっすぐにして、胸を張る
- ダンベルを両手に持ち、太ももの前で両手を下ろす
- 息を吐きながら、ダンベルを肩の前までゆっくりと持ち上げる
- 肩の高さまで上げたら、ゆっくりと元の位置に戻す
- 同じ動作を繰り返す
ショルダープレス(三角筋中部)
「ショルダープレス」はダンベルやマシンを頭上に押し上げる動作により、とくに三角筋の前部と中部に負荷をかけられる。重りを押し上げる際は背筋を伸ばし、腹筋に力を入れ安定した姿勢を保つことを意識しながらおこなおう。
- 背中をしっかりシートにつけてインクラインベンチに座る
- ダンベルを肩の高さで持ち、ひじは90度に曲げる
- 息を吐きながら、ダンベルを真上に押し上げる
- 頭上まで上げたら、数秒キープする
- 息を吸いながら、ゆっくりと元の位置に戻す
- 同じ動作を繰り返す
サイドレイズ(三角筋中部)
両腕を横に開いて持ち上げる動作により、三角筋の中部をメインに鍛えることができ、肩幅を広げる効果が期待できる。腕を肩と平行になるまでゆっくりと上げ、その位置で1秒ほどキープすること、反動を使わずに肩の力だけで重りを持ち上げるようにしよう。
- 脚を肩幅に開いて立ち、ひざを少し曲げる
- 背中はまっすぐにして、やや前傾姿勢をとる
- ダンベルを両手に持ち、手のひらは身体の前方に向ける
- ひじを少し曲げたまま、ダンベルを真横に持ち上げる
- 肩の高さまで上げたら、ゆっくりと元の位置に戻す
- 同じ動作を繰り返す
リアレイズ(三角筋後部)
「リアレイズ」は上体を前に倒し、腕を後ろに持ち上げるトレーニング。普段は使いにくい三角筋の後部に重点的に刺激を与えられる。三角筋の後部を鍛えると肩の立体感を出すことができ、後ろから見た際の逆三角形のシルエットが作り出せる。
- 脚を肩幅に開いて立ち、ひざを少し曲げる
- 上体をやや前傾させ、背中をまっすぐ保つ
- ダンベルを両手に持ち、手のひらは身体の方に向ける
- ひじを少し曲げたまま、ダンベルを後ろに持ち上げる
- 上腕が床と平行になるまで上げたら、ゆっくりと元の位置に戻す
- 同じ動作を繰り返す
【バーベル・ケーブル】三角筋の筋トレ2選
- アップライトロウ(三角筋前部)
- フェイスプル(三角筋前部)
アップライトロウ(三角筋前部)
「アップライトロウ」はダンベルやバーベルを身体の前で持ち、ひじを高く上げながらあごの位置まで引き上げるトレーニング。三角筋の前部から中部にかけて刺激を与えられ、肩の厚みと広がりを同時に作るトレーニングとしてもおすすめ。背筋を伸ばし、胸を張った姿勢を保ちながら、上腕を大きく開くように意識しよう。
- 脚を肩幅に開いて立ち、ひざを少し曲げる
- バーベルを肩幅よりやや狭めに握り、手のひらは身体に向ける
- ひじを曲げながら、バーベルをあごに向かって持ち上げる
- ひじが肩の高さになるまで上げたら、ゆっくりと元の位置に戻す
- 同じ動作を繰り返す
フェイスプル(三角筋前部)
「フェイスプル」はケーブルを用いて、バーをあごの高さまで引き上げるトレーニング。三角筋の中部や後部に加え、僧帽筋など背中まわりの筋肉に刺激を与えられる。ひじを肩より高く保ち、上腕を外側に開きながら引き上げるのがポイント。
- 脚を肩幅に開いて立ち、ロープのアタッチメントを両手で握る
- 手のひらは下に向け、ひじは少し曲げる
- 息を吐きながら、ロープを顔に向かって引き寄せる
- 肩甲骨が最大限に寄ったところで数秒キープする
- 息を吸いながら、ゆっくりと元の位置に戻す
- 同じ動作を繰り返す
【自重】レベル別・パイクプッシュアップのやり方

自宅で三角筋を鍛える場合、「パイクプッシュアップ」で難易度を調整するとよいと思います。初心者の場合はあまり角度をつけずにおこなうトレーニングがおすすめです。
パイクプッシュアップ
お尻を高く上げて身体を逆V字の形にして肩に負荷をかける「プッシュアップ」。通常のものに比べて肩の前部と中部の三角筋に効果的にアプローチできる。肘を曲げる際は、肩に意識を集中させつつ、ゆっくりと負荷をコントロールしながらおこなおう。
- 床に両手を肩幅よりやや広めにつく
- つま先を立て、お尻を高く上げる
- 息を吸い込みながら、ひじを曲げて体を床に近づける
- 一番低い位置で1~2秒キープする
- 息を吐きながら、ゆっくりと元の位置に戻る
- 同じ動作を繰り返す
レベル別・パイクプッシュアップのやり方
自重でおこなう三角筋のトレーニングとして、おすすめなのは「パイクプッシュアップ」。筋力レベルや体の柔軟性に合わせて、脚の高さを調整して段階的に負荷を高めていこう。初級・中級・上級の3ステップで、Wellulu編集部がそれぞれの負荷量比較を調査したので参考にしてみて。

Wellulu編集部
普段あまりトレーニングをしていない30代男性が各レベルに挑戦してみました。各データは筋電図の内容をもとにしています。
【初級者】脚の高さを地面に
初級レベルはノーマルパイクプッシュ。地面の高さのまま、腰を浮かせて肩に負荷がかかるようにおこなう。

Wellulu編集部
初心者であれば、このノーマルパイクプッシュでも結構三角筋に負荷がかかります。ビギナーでも大体10~12回くらいは1セットでできそうです。
【中級者】脚の高さを膝あたりに
中級レベルは膝くらいの高さ(約40㎝)からのパイクプッシュ。地面の高さのデータと比較すると約1.5倍に負荷量が上昇している。

Wellulu編集部
膝くらいの高さなら、初心者の男性でもできそうです。ただフォームを維持しながら、しっかり限界まで追い込むとなると転倒などの危険があるかもしれません。
【上級者】脚の高さを股下あたりに
中級レベルは股下くらいの高さ(約70㎝)からのパイクプッシュ。地面の高さのデータと比較すると負荷量が上昇しているが、初心者が挑戦するとフォームの維持が難しく、中級レベルとの差分があまり見られない。

Wellulu編集部
トレーニング中は三角筋にアプローチできている感覚は高いのですが、逆V字の形をキープすることが困難でした。正直、このレベルのパイクプッシュも数回できますが、トレーニング効率を考えると、最初は初級~中級レベルでトレーニングした方がよいと考えられます。
筋トレ効率を高める!三角筋を鍛えるコツ
「筋トレの成果が出ない…」そう感じている方は、もしかすると“負荷のかけ方”に問題があるかも。今回は編集部が筋電センサー「筋肉Phone」を用いて、フロントレイズを異なる重量で実施してみた。
筋肉の活動量を可視化することで、筋トレ効率の差を検証。
適正重量(片手6㎏)でのトレーニング結果

ダンベルを持ち上げた際に筋電センサーのグラフも一気に上昇している。
筋活動の平均値は「486.3」、積算量(合計値)は「390,467」となっている。グラフの波形も安定していて、1回ごとの収縮がしっかりと出力されていることがわかる。
無理した重量(片手10㎏)でのトレーニング結果

続けて約1.5倍の重量でおこなったところ、平均値は「391.9」まで下がり、積算も「222,216」と約43%減に。
波形を見ても、安定した出力を発揮できていない。負荷設定のズレによって、三角筋だけでなく、僧帽筋や腕の筋肉に負荷が逃げていると推測できる。

Wellulu編集部
実際にトレーニング検証をおこなってみて、片手10㎏ではフォームが乱れて上半身全体で持ち上げていました。頑張っているのに効かないと感じている人は、重量設定を見直してみて!
- 初心者:体重×0.2 kg
- 中級者:体重×0.5 kg
- 上級者:体重×0.9 kg
三角筋の筋トレの回数・頻度(目安)
- 週に実施する頻度
- 回数・セット数
週に実施する頻度
筋肉の回復には48~72時間程度の休養が必要なため、週に2回多くても3回のトレーニングがおすすめ。初心者の場合は週2回から始め、徐々に頻度を増やすように。高強度のトレーニングをおこない、疲労感が残るようであればより長く休養を設けるようにしよう。
回数・セット数
1種目あたり8~12回を1セットとし、3~4セットおこなうのがおすすめ。セット間の休憩は60~90秒が目安。初心者の場合は正しいフォームを維持できる回数でおこなうことを意識し、徐々にセット数や回数を増やすようにしよう。
三角筋の筋トレに関するQ&A
三角筋の筋トレは毎日しても大丈夫?
A:毎日する必要はない

体育の準備運動のように片方の腕を反対側に伸ばす動作は、三角筋のストレッチとしておすすめです。
三角筋に違和感や痛みがあるときはしないほうがいい?
A:しっかり休ませたほうがよい

まず三角筋をしっかりと休ませることが重要です。また、どの動きで痛みを感じるかを確認するようにしましょう。肩は可動域が広いため、肩の腱や靭帯の損傷、脱臼などにつながることもあるので注意が必要です。
三角筋を鍛えればなで肩は改善する?
A:多少見栄えは改善することも

なで肩は鎖骨の長さなどの骨格からくる生まれ持った体格が関係しています。鍛えることで肩周りが広く見えたりと多少見た目をよくすることはできます。
三角筋を鍛えると肩幅は広くなる?
A:骨格による

鍛えることで肩幅が多少は広く見える効果も期待できますが、骨格による部分も大きいのも事実です。どうしても個人差がでてしまうことを覚えておきましょう。
筋電センサー“筋肉Phone”ご提供:マッスルブループリンツ株式会社
年間約1000セッションを指導。経営者や芸能関係者の指導経験も多く、ダイエット・ボディメイク・健康維持など、さまざまな悩みに幅広く対応している。2021年より大原学園大宮校スポーツトレーナー科講師としても活動。
【保有資格/実績など】全米エクササイズ&フィットネス協会認定トレーナー(NESTAーPFT)/IMBF公認ファスティングカウンセラー/関東オープンメンズフォジーク選手権入賞