
下半身の筋肉は大きな筋肉も多く、全身の約70%を占めている。意識的に鍛えることで、基礎代謝向上や腰痛の改善などの効果が期待できるが、何から始めればいいか迷ってしまう人も多いはず。
この記事では、「自重」「ダンベル・バーベル使用」「ジムのマシン使用」の3つに分けて、下半身のおすすめ筋トレメニューを紹介。下半身を鍛える効果や効果を高めるコツなども紹介しているので、参考にしてみよう。
この記事の監修者

井上 大輔さん
NSCA認定パーソナルトレーナー
下半身の筋トレで鍛えられるおもな筋肉
- お尻(大殿筋・中殿筋・小殿筋)
- 太もも(大腿四頭筋・ハムストリングス・内転筋群)
- ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)

下半身の大きな筋肉は、意識的に鍛えることで引き締めや脂肪燃焼の効果を得やすいです。とくにお尻の筋肉や太もも前面の大腿四頭筋は大きい筋肉のため、トレーニング効果が高い重要な部位です。
お尻(大殿筋・中殿筋・小殿筋)
お尻の筋肉は主に大殿筋(だいでんきん)、中殿筋(ちゅうでんきん)、小殿筋(しょうでんきん)の3つの筋肉群で構成されている。大殿筋は歩行や階段の上り下りなど、日常動作の基本となる股関節の動きをコントロールする際に必要。
一方、中殿筋と小殿筋は、脚を横に開く動作や骨盤の安定性を保つ役割がある。お尻の筋肉を効果的に鍛えることで、美しいヒップラインを維持できる。また、お尻の筋力が高まると腰やひざへの負担が軽減され、日常生活を楽に送りやすくなる。
太もも(大腿四頭筋・ハムストリングス・内転筋群)
太ももの筋肉は、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)(前側)、ハムストリングス(後ろ側)、内転筋群(ないてんきんぐん)(内側)という、おもに3つの筋肉で構成されている。大腿四頭筋は歩行や階段の上り下りに必要な筋肉で、ハムストリングスはひざの屈曲と股関節の動作に関わる筋肉。
また、内転筋群は脚を内側に寄せる動作を担当している。これら太ももの筋肉を鍛えると全体的な筋肉量と基礎代謝が高まりやすくなり、痩せやすい身体づくりに役立つ。
ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)
ふくらはぎの筋肉は、おもに腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋を中心とした下腿三頭筋(かたいさんとうきん)で構成されている。腓腹筋はひざを伸ばした状態での足首の動きを制御し、ジャンプや走る際に必要な筋肉。
ヒラメ筋はひざを曲げた状態での足首の動きに関わる筋肉で、立ち姿勢を保つのに欠かせない。
ふくらはぎの筋力を高めるとジャンプ力や走力が向上し、運動パフォーマンスのアップにつながる。また、心臓から遠い位置にあるふくらはぎの筋肉を鍛えると、血流が促進されやすくなり、むくみの予防や解消効果も期待できる。
下半身を鍛えるメリット
- 理想のスタイルに近づきやすくなる
- 基礎代謝が上がり痩せやすい身体になる
- 姿勢がよくなり腰痛予防・改善につながる
- ジャンプ力や走力が高まり、運動パフォーマンス向上に役立つ
- 疲れにくくなりQOLが高まる
- 血流がよくなりむくみの予防・解消できる

下半身のトレーニングによる効果は多岐にわたり、日常生活での疲れやすさの解消や体力向上などの効果があります。
理想のスタイルに近づきやすくなる
下半身の筋トレでは、脚や太ももの引き締めやヒップアップ効果がある。そのため、定期的にトレーニングをおこなうことで理想のスタイルに近づくことができる。
自身の理想を具体的にイメージし、必要な部位を集中的に鍛えるのが、効率的なスタイルアップの秘訣。体型の土台となる全身のバランスも整いやすくなる。
基礎代謝が上がり痩せやすい身体になる
下半身には大きな筋肉群が集中しているため、まんべんなく鍛えると基礎代謝が高まりやすい。基礎代謝が上がると日常生活の消費エネルギーも増加し、適切な体重を維持できる。
基礎代謝が高い状態を常にキープできれば、免疫機能の向上、冷え性やむくみの予防など、さまざまなメリットにもつながる。下半身で気になる部分がなかったとしても、痩せやすい体質への第一歩として取り組んでみるのがおすすめ。
姿勢がよくなり腰痛予防・改善につながる
お尻と太もも、ふくらはぎの筋力バランスが整うと、骨盤の安定性が向上して身体のバランスが整い、腰への負担軽減につながることも。とくに、腰回りやお尻回りの筋力を強化することで、長時間の立ち仕事も楽に。全身の運動性も高まり、日常生活の動作がスムーズになる。
ジャンプ力や走力が高まり、運動パフォーマンス向上に役立つ
とくに、大腿四頭筋とハムストリングスは反射神経や動作の正確性に深く関わっている。また、ふくらはぎの筋力アップにより、踏切りやダッシュ力も増加。運動が楽しいと感じられるようになり、ケガのリスクも低くできる可能性がある。
疲れにくくなりQOLが高まる
筋肉の持久力が高まると、立ち座りや階段の上り下りが楽になり、長時間歩いたり立ったりした際の疲労軽減につながる。
また、体重を支える筋力がアップすることでひざや足首への負担も軽減しやすくなり、転倒リスクも低減できる。下半身の筋トレを日常的におこなうことで、年齢を重ねても健康的な身体を維持しやすくなる。
血流がよくなりむくみの予防・解消できる
筋トレによって下半身の筋肉が動くと、静脈やリンパの流れが活発化。そのため、むくみの予防や解消、脚のだるさや重さの軽減効果もある。
とくに、ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、鍛えることで血行促進に高い効果が期待できる。冷え性の人、立ち仕事でむくみが辛い人などは、下半身を積極的に鍛えよう。

身体活動が多い人は血液やリンパ液の循環が促進され、結果的にむくみにくい傾向が見られます。反対に、普段から身体を動かす機会が少ない人は、血液やリンパ液の循環も滞りがちなため、むくみやすい傾向にあります。むくみ対策には日常的な身体活動量の確保が重要です。
【自宅でも】下半身の自重筋トレメニュー6選
筋トレ初心者から上級者まで幅広くおこなっている自重トレーニング。場所や時間に縛られず、負荷のコントロールがしやすい。
- 【お尻】ヒップアブダクション
- 【お尻】ヒップリフト
- 【太もも・お尻】スクワット
- 【太もも・お尻】サイドスクワット
- 【太もも・お尻】スプリットスクワット
- 【ふくらはぎ】カーフレイズ

とくにおすすめなトレーニングは「スプリットスクワット」です。体重を片脚に集中させることで、自宅でも高い負荷をかけることができます。フルスクワットで可動域を大きくとって負荷を上げたり、踏み台昇降のように有酸素運動の要素もある運動をしたり、自宅という環境でも筋肉にかける負荷を意識することが大切です。
【お尻】ヒップアブダクション
中殿筋と小殿筋を重点的に刺激し、横方向の安定性を高めるのに役立つ筋トレ。ヒップ周りを引き締めるほか、O脚矯正などの美容目的でもおこなわれる。骨盤が前後に傾かないよう注意しよう。
<やり方>
- 床に横向きに寝そべり、上半身を支えるようにひじを立てる
- 上側の脚は天井に向かってゆっくり高く持ち上げ、3秒間キープ
- 骨盤が前後に傾かないよう注意しながら、ゆっくり元の状態に戻す
【お尻】ヒップリフト
大殿筋を重点的に刺激する筋トレで、おもにヒップアップ効果が期待できる。また、普段運動習慣がない人や筋肉量が少ない人、女性でも手軽におこなえるのも、「ヒップリフト」の魅力。キュッと引き上がった美尻を目指している人、反り腰などの骨盤が前傾してしまっている姿勢を改善したい人にもおすすめ。
<やり方>
- 仰向けに寝てひざを立て、両手を身体の横に「ハの字」に置く
- お尻を持ち上げ、肩からひざまでを一直線になるように伸ばす
- お尻が床に触れる手前までゆっくり下ろす
【太もも・お尻】スクワット
下半身の代表的な筋トレで、大腿四頭筋と大殿筋を中心に鍛えられる。姿勢改善の効果も期待でき、負担も少ないため、初心者から経験者まで幅広くおすすめ。反動を使わずにゆっくりおこなうとより高い効果が期待できるため、正しいフォームを意識することが大事。
なお、「スクワット」には「ジャンプスクワット」や「ワイドスクワット」など、さまざまな種類がある。まずは基本形である「スクワット」をマスターして、慣れてきたら別の種類も取り入れてみよう。
<やり方>
- 脚を肩幅に開き、つま先をやや外側に向けて立つ
- 骨盤を前に倒して、お尻を後ろに引く
- ひざを曲げ、太ももが地面と平行になるまでゆっくり下ろす
- 下げた時間と同じくらいかけて、ゆっくり元に戻る
【太もも・お尻】サイドスクワット
大腿四頭筋、内転筋、お尻周りの筋肉を鍛えられるトレーニングで、ヒップアップや美脚効果が期待できる。簡単な動作ながら基礎代謝を高めたり、腰痛やひざ痛予防への効果も期待できるため、女性や初心者にもおすすめ。
なお、「スクワット」と違って片脚ずつ鍛えられるため、負荷を上げやすいのも特徴のひとつ。
<やり方>
- 脚を肩幅より広く開き、背筋を伸ばして立つ
- 両腕を前に伸ばし、腰を落としながら片方のひざを曲げる
- ひざがつま先より前に出ないよう注意しながら、左右交互におこなう
【太もも・お尻】スプリットスクワット
「スプリットスクワット」は下半身をバランスよく鍛えられる太ももとお尻の筋トレ。筋力の左右差を改善できるほか、バランス機能の向上などさまざまな効果が期待できる。
この種目はバーベルを使っておこなうものから自重でおこなうものまで複数の種類がある。そのため、目的に合わせて種類や負荷を調整するのがおすすめ。慣れてきたらダンベルやバーベルを持ち、少し難易度を上げて挑戦してみるのもおすすめ。
<やり方>
- 前後に脚を開き、背筋を伸ばして立つ
- 前に出した脚側の股関節を引き、重心を落としていく
- 背筋を伸ばしたまま最下部まで重心を落とし、体重を前に出した脚側にのせるようにする
- 前の脚で地面を踏みつけるようにして立ち、もとの体勢に戻る
【ふくらはぎ】カーフレイズ
腓腹筋とヒラメ筋を中心に、下腿三頭筋全体を効果的に鍛えられる筋トレ。両脚、片脚どちらでも実践可能だが、片脚のほうがより効率的に筋肉を鍛えられる。より高い効果を得るためにも、しっかり背筋を伸ばしておこなうことが大切。
<やり方>
- 壁や手すりに手を添え、肩幅程度に脚を広げて立つ
- ゆっくりかかとを上げ、上げきったらゆっくり元に戻す
【ダンベル・バーベル使用】下半身の筋トレメニュー5選
自分の体重以上の負荷をかけることで、効果的に筋肉を鍛えられるダンベルやバーベルのトレーニング。重さを変えれば自由に負荷を調整できるため、自分に合った強度を選べるのが大きなメリット。
- 【お尻】ヒップスラスト
- 【太もも・お尻】ダンベルスクワット
- 【太もも・お尻】ダンベルランジ
- 【ふくらはぎ】ダンベルカーフレイズ
- 【下半身全体】デッドリフト
【お尻】ヒップスラスト
バーベルを使った筋トレで、大殿筋を重点的に刺激できる。美尻や美脚、基礎代謝向上など女性に嬉しいメリットが多く、運動のパフォーマンス向上効果もある。
スミスマシンを使うとフォームが定まりやすいため、重量を上げた筋トレに挑戦したいときにおすすめ。上級者は片脚でもチャレンジしてみると、より高い効果が期待できる。
<やり方>
- バーベルをベンチより少し高い位置に設置する
- ベンチに肩甲骨あたりをつけ、バーベルを太ももの付け根に置く
- 息を吐きながらお尻をゆっくり上げ、肩・腰・ひざを一直線にする
- ゆっくり息を吐きながら元に戻す
【太もも・お尻】ダンベルスクワット
両手にダンベルを持つことで、通常の「スクワット」よりも強い負荷をかけられる筋トレ。
初心者でも実践しやすく、ダイエットや姿勢改善を目指す人に人気。姿勢を崩さないよう、体幹にも意識を向けながらおこなうのがポイント。慣れてきたら「ダンベルワイドスクワット」など、少し難易度が高い種類にも挑戦してみよう。
<やり方>
- 両手にダンベルを持ち、腕は身体の横に下ろす
- 脚を肩幅程度に開き、つま先を45度くらいまで外側に向ける
- ひざが開き過ぎないよう注意しながら、ゆっくりと腰を落とす
- 太ももが床と平行になったら元の位置まで上がる
【太もも・お尻】ダンベルランジ
前後の動きで下半身全体をバランスよく刺激できる筋トレ。左右交互に取り組むことで、バランスのよい筋力発達を目指せる。「ダンベルスクワット」よりも負荷が高いので、効率的に下半身を引き締めたい人や早めの姿勢改善が必要な人におすすめ。
<やり方>
- 両手にダンベルを持ち、片脚を大きく一歩前に踏み出す
- 前に出した方のひざを曲げ、後ろのひざが床に着く直前まで下げる
- 前に出した脚で床を押し返し、元の位置まで戻る
【ふくらはぎ】ダンベルカーフレイズ
ふくらはぎの腓腹筋やヒラメ筋を鍛える筋トレ。血流改善やむくみ解消、ふくらはぎの引き締め効果が期待できる。可動域が広がることで、筋肉の収縮時により大きな力を発揮できるようになり、トレーニングや運動時のパフォーマンス向上にも役立つ。
<やり方>
- 脚を肩幅に開き、できる人は段差などを利用してかかとが浮いた状態で立つ
- 両手にダンベルを持ち、太ももの外側につける
- かかとを上げてつま先立ちになり、限界まで上がったら数秒キープする
【下半身全体】デッドリフト
下半身全体と体幹の筋力を同時に鍛えられるトレーニング。とくに大殿筋やハムストリングスに効く筋トレだが、体幹の安定性向上など全身の筋肉を動員するのにも役立つ。ケガをしやすい種目のため、初心者は軽い重量から始めてフォームを安定させてから徐々に重量を増やすのがおすすめ。
<やり方>
- 脚を肩幅より少し狭めに開き、つま先を正面に向ける
- 胸を張り、背中にアーチを作るイメージで上体を前傾させる
- ひざを軽く曲げた状態でバーベルを持ち、まっすぐ持ち上げて下ろす
【マシン使用】下半身の筋トレメニュー5選
単一方向に重量を移動することで筋肉を鍛えられる、マシントレーニング。ジムにはさまざまなマシンが揃っていて、鍛えたい部位を集中的に鍛えられる。
- 【太もも・お尻】レッグプレス
- 【お尻・太もも】ヒップアブダクション
- 【太もも】レッグエクステンション
- 【太もも】レッグカール
- 【ふくらはぎ】レッグプレスカーフレイズ

とくにおすすめなトレーニングは片脚での「レッグプレス」です。アブダクションやアダクション専用マシンがない場合でも、片脚レッグプレスを活用することで中殿筋、内転筋、外転筋など、下半身の筋肉を総合的に鍛えることができます。
【太もも・お尻】レッグプレス
おもに太ももとお尻を鍛える筋トレで、代謝向上や下半身の引き締めなどが期待できる。
イスに座り、重りのついたプレートを押すことで下半身を鍛えるもので、初心者でも安全に取り組める筋トレのひとつ。姿勢が固定されているため、スクワットよりもフォームの安定性を保ちやすいのもメリット。
<やり方>
- マシンに深く腰掛け、プレートに足の裏を付ける
- ひざが90度になるようにイスの位置を調整し、グリップを握る
- 脚を肩幅に開き、つま先を少し外側に向ける
- プレートを足の裏全体で押して、ひざが伸び切らないくらいの位置で1秒停止する
- ゆっくり息を吸いながらひざを90度に戻す
【お尻・太もも】ヒップアブダクション
中殿筋と小殿筋を重点的に鍛えられる筋トレ。骨盤の安定性を高め、歩行や立ち姿勢時のふらつき軽減に役立つ。軽い負荷から始めて、徐々に調整すると安全で効果的な筋トレが可能。
<やり方>
- マシンに座り、しっかり胸を張る
- 足首の角度を90度にし、限界まで脚を閉じていく
- 閉じたら更にゆっくり開いていく
- 完全に閉じず、両ひざが付くギリギリの位置で止める
【太もも】レッグエクステンション
大腿四頭筋を集中的に鍛えられる筋トレ。ひざ関節の機能改善やバランス能力の向上が期待できるが、ひざ関節や半月板に負荷が集中するため、ひざに痛みがあるときは控えよう。いきなり高重量で使うのは避け、適切な重量で設定するのがおすすめ。
<やり方>
- マシンに身体が密着するよう、深く腰掛ける
- グリップを握って脚をロールにかけ、息を吐きながらゆっくり押し上げる
- ひざを伸ばしきったら1秒間キープし、ゆっくり元の位置まで戻す
【太もも】レッグカール
ハムストリングスを重点的に刺激できる筋トレ。歩行に必要な機能と可動域改善に効果があり、お尻周りがきれいにみえるメリットも。反動を使わないことを意識しておこなおう。
<やり方>
- マシンに座り、両方のグリップをつかむ
- 下のパッドに足首を乗せ、上のパッドにひざをあてる
- ひざ下の力だけで脚を下げ、元の位置に戻す
【ふくらはぎ】レッグプレスカーフレイズ
ふくらはぎを鍛えたいときにおすすめの筋トレ。レッグプレスマシンを使っておこなう「カーフレイズ」で、「カーフレイズ」のバリエーションの中でとくに集中して筋肉を鍛えられる点がメリット。難易度も比較的低く、筋トレ初心者から高齢の人まで幅広い層におすすめ。
<やり方>
- マシンに座り、フットプレートの下部につま先だけを乗せる
- 息を吐きながらふくらはぎに力を入れ、つま先立ちをするようにかかとを上げる
- 上げきったら1秒間キープし、息を吸いながらゆっくり戻す
下半身の筋トレの回数・セット数(目安)
セット数は「1セットあたり8~10回できる重量で3回おこなう」ことを基本にしよう。筋肥大やダイエットなど、目標を達成できるかどうかは食事の量や栄養バランスの要因も大きい。
基本の回数とセット数をこなしながら、筋肥大やボディメイクの場合は「タンパク質や栄養素はしっかりとれているか」、ダイエットの場合は「摂取エネルギー量が消費エネルギーを下回っているか」などを意識しよう。

基本の8~12回を1セットという設定も大切ですが、最も重要なのは適切な負荷の設定です。10回目で限界が来るような重さを選ぶことで、効果的なトレーニングが可能になります。また、筋肉の増減はトレーニング方法以上に、栄養摂取のバランスで大きく変化します。目的に合わせた食事をとるよう意識していくのがおすすめです。
下半身の筋トレを効率的におこなうコツ
下半身の筋肉を効率的に鍛えるには、どんなことに注意すればいいのか。コツを押さえてトレーニングをしたり、日常生活を意識したりすることで、筋肉のスムーズな回復や成長が期待できる。
- 鍛える順番を意識する
- トレーニング前後はストレッチで筋肉をほぐす
鍛える順番を意識する
下半身を鍛える順番は太もも、お尻、ふくらはぎの順がおすすめ。大腿四頭筋やハムストリングなどの大きな筋肉群から始め、その後にふくらはぎなどの小さな筋肉を鍛えると、トレーニング効果が高まりやすい。
トレーニング後半でも適切なフォームを維持できるよう、無理のないメニューを選ぶことが大切。体力が充実している序盤に大きな筋群を使って、筋肉により強い刺激を与えよう。

太もも・お尻の引き締めを目指すなら、その部位に特化した種目を選び、太くしたくない部位への刺激は最小限にしましょう。とくに基本動作では、正しいフォームの維持が理想的な効果を生むカギになります。
トレーニング前後はストレッチで筋肉をほぐす
トレーニング前のストレッチは筋肉や関節の可動域を広げ、怪我のリスクを軽減するのに役立つ。
また、トレーニング後の適切なストレッチは筋肉の回復を促進し、筋疲労や筋肉痛が起きにくい身体づくりにつながる。前後それぞれ10分程度を目安に、無理のない範囲でおこなう。

トレーニング前のストレッチは、静的ストレッチよりもダイナミックストレッチが効果的です。ラジオ体操のように、首を回す、肩を回す、脚を回すなどの動的な運動を取り入れることで、筋肉と関節のウォーミングアップが可能になります。
下半身の筋トレに関するQ&A
脚の筋トレで、太ももやふくらはぎが太くなることはある?
A:ある

太ももやふくらはぎを太くしないためには、過剰な食事摂取を避けることと正しいフォームの維持が大切です。例えば、お尻を鍛えるつもりでも、不適切なフォームでおこなうと太ももに負荷が集中します。その結果予期せぬ筋肥大を引き起こす可能性も生まれるため注意が必要です。
筋肉痛がある場合、筋トレは休んだ方がいい?
A:休んだ方がいい

筋肉痛がある状態でのトレーニングは、身体と心に余計なストレスをかけてしまう可能性があり、推奨できません。筋肉痛は2~3日程度で回復します。筋肉痛が収まってからトレーニングを再開することで、結果的に週3回という理想的なトレーニング頻度が確立できます。
筋トレ後に脚がだるいときの対処法は?
A:入浴して早めに就寝する

フォームローラーによるセルフマッサージなどの追加ケアも効果的ですが、何より重要なのは休息をとることです。入浴後すぐに休息をとり、十分な睡眠時間を確保しましょう。
下半身だけが痩せない・太い原因は何?
A:むくみによるもの・身体活動量が少ない

下半身太りの主な原因は、むくみによるものと身体運動量が少ないことです。とくにデスクワークなどの座りっぱなしの生活習慣は、下半身の血液やリンパ液の循環を妨げ、むくみや脂肪蓄積を促進します。改善には特別な運動よりも、一駅前で降りて歩くなど、日常的な活動量を増やすシンプルな取り組みが効果的です。
大学のバスケットボール部や社会人アメリカンフットボールチーム、ゴルフセンターでのトレーニング指導、RIZAP株式会社でのパーソナルトレーナーを経て、日本橋にてパーソナルジム「IGF」を開業。健康の維持・増進、改善などをベースにトレーニングの指導をおこなっている。
【所属】
NSCA Japan
日本外科代謝栄養学会
日本静脈経腸栄養学会
日本感染症学会 会員