
胸筋や腹筋、背中の筋肉など複数の筋肉が存在する「上半身」。主要部位を集中的に鍛えることで、身体の引き締めや肩こり改善、運動パフォーマンス向上が図れる。
この記事では、上半身のおすすめ筋トレメニューや、目的別の回数・セット回数、効果を高めるコツなどを紹介。効率的な筋トレ方法を知って、無理なく楽しみながら筋トレをおこなおう。
この記事の監修者

井上 大輔さん
NSCA認定パーソナルトレーナー
上半身の筋トレで鍛えられるおもな筋肉
上半身の筋トレでは、対象となる筋肉を理解し、目的に応じたトレーニングをおこなうことが重要。例えば、背中の筋肉は姿勢改善に効果的で、極端な筋肥大が起きにくい特徴がある。
また、女性の場合は背中を鍛えることでウエストとメリハリを作り出し、くびれのある体型を作ることができる。男性は大胸筋と肩周りの筋肉を重点的に強化することで、がっしりとした印象になる。
- 胸(大胸筋・小胸筋)
- お腹(腹直筋・腹斜筋・腹横筋)
- 背中(僧帽筋・広背筋)
- 肩(三角筋)
- 腕(上腕二頭筋・上腕三頭筋)

背中の筋肉は女性でも安心して鍛えることができ、くびれのある体型を作りやすくなります。男性は胸から上の部分を意識的に鍛えることで男性らしい印象を演出できます。また、若いうちから胸周りの筋肉に適度な厚みをつけておくと、年をとったときに肋骨まわりの肉が落ちた感じが抑えられて若々しい印象を維持できます。
胸(大胸筋・小胸筋)
胸の筋肉は、大胸筋と小胸筋で構成され、腕を内側や前に動かしたり、前に押し出したりするときに必要な筋肉。日常生活では姿勢の維持や呼吸、物を持ち上げるなどさまざまな動作に関わっている。
胸を鍛えるには「プッシュアップ」や「ベンチプレス」など、押す動作を中心におこなう筋トレが効果的。胸の筋肉を鍛えると上半身全体が引き締まり、美しいボディラインを維持しやすくなる。
お腹(腹直筋・腹斜筋・腹横筋)
お腹の筋肉は腹直筋(ふくちょくきん)や腹斜筋(ふくしゃきん)で構成されていて、体幹を支える重要な役割を担っている。腹直筋は腹部の中央に位置していて、シックスパックの基盤となる。
一方、腹斜筋は身体の側面にあり、身体をひねる動作でおもに使われる。腹筋を鍛えるには「プランク」や「サイドプランク」など、体幹を意識した筋トレがおすすめ。身体の安定感が高まると運動時のパフォーマンスが向上するほか、内臓を支える力が高まりぽっこりお腹や反り腰の予防もできる。
背中(僧帽筋・広背筋)
背中の筋肉は、僧帽筋(そうぼうきん)と広背筋(こうはいきん)を中心に構成されている。僧帽筋は肩甲骨周辺に位置していて、姿勢を維持する役割がある。広背筋は背中の下部にあり、全体的にバランスよく発達させていく必要がある。
また、背中の筋肉は姿勢の改善や肩こり予防、日常生活での動作の安定性にも関わる筋肉。「ラットプルダウン」や「懸垂」のように引く動作の筋トレで安定性を高めよう。
肩(三角筋)
肩の筋肉はおもに三角筋によって構成されており、前方、中部、後方にわかれている。肩は腕の上下左右の動きをコントロールする際に必要な筋肉であり、上半身の見た目の印象を左右することも。
肩を鍛えるときは、「サイドレイズ」や「フロントレイズ」など、さまざまな角度からのアプローチが効果的。上半身全体のトレーニング効果を高めることにもつながるため、意識して強化していこう。
腕(上腕二頭筋・上腕三頭筋)
腕の筋肉は、おもに上腕二頭筋と上腕三頭筋で構成されている。物を持ち上げたり、押したり引いたりする動作に関わっており、バランスよく発達させる必要がある。
腕を鍛える際は、「ダンベルカール」や「プッシュダウン」などの筋トレがおすすめ。なお、前腕が発達すると握力がアップしやすくなり、日常生活での作業も楽になる。
上半身を鍛えるメリット
筋トレは健康維持のために重要な要素。上半身を鍛えると日常生活でさまざまなメリットがあり、QOLの向上が期待できる。
- 基礎代謝が上がり痩せやすい体質になる
- 姿勢がよくなり肩こりの予防・改善につながる
- 見た目が引き締まってメリハリのある身体に
- 運動パフォーマンスが上がる

上半身のトレーニングによる効果はさまざまです。体幹の安定による腰痛改善や、筋力バランスの向上による首や肩の緊張緩和、血行がよくなると偏頭痛の症状改善まで期待できます。
基礎代謝が上がり痩せやすい体質になる
上半身の筋肉量増加により基礎代謝が向上し、安静時のエネルギー消費量が増加しやすくなる。大きな筋肉群を中心としたトレーニングの方が基礎代謝は上がりやすいので胸や背中などを中心に鍛えよう。
とくに、胸部のトレーニングでは上腕三頭筋、背中のトレーニングでは上腕二頭筋など、複数の筋肉を同時に刺激する。

上半身のトレーニングで基礎代謝を効果的に上げるには、部分的な筋トレではなく大きな筋肉群の強化が重要です。胸部や背中の筋トレをおこなうことで、二の腕などの小さな筋肉も自然と鍛えられます。時間効率の面からも、大きな筋肉群を意識したトレーニングを中心に組み立てることをおすすめします。
姿勢がよくなり肩こりの予防・改善につながる
肋骨まわりを支える肩などの筋肉を鍛えると正しい姿勢が維持しやすくなり、猫背改善を改善できる。
また、上半身の筋肉がつくと重い荷物を運んだり、座ったりといった日常動作が楽になる。デスクワークの多い現代人は、自然と姿勢が崩れていることもあるため、姿勢改善が肩こりや首こりの基本的な解消法になることも。

首こりの改善にとくにおすすめなのが、「ショルダープレス」。腕を肩よりも高い位置まで上げる動作で首周りの筋肉である僧帽筋が効果的に刺激され、首こりの改善につながります。自重でもよいのでまずは軽く動かしてみてください。
見た目が引き締まってメリハリのある身体に
男性の場合は三角筋を意識して強化すると、肩幅のあるがっしりしたシルエットを作れる。女性の場合は腹筋まわりを鍛えることでくびれを作れる。
ただし、体型にメリハリを出すには脂肪を落とす必要がある。大きな筋肉を鍛えて脂肪を燃焼しやすくしながら、引き締めたい部位や大きくしたい部位をバランスよく鍛えてみよう。
運動パフォーマンスが上がる
運動時の安定性が高まるのも上半身を鍛える大きなメリット。背筋や胸筋、肩の筋肉は、泳ぎや球技などさまざまな運動の動作で使われており、鍛えることでパフォーマンスアップができる。
また、胸の筋肉を発達させることで呼吸がしやすくなり、ランニングなど有酸素運動時の持久力アップにも役立つ。
【器具なし】上半身の自重筋トレメニュー5選
はじめて筋トレをする場合は、身体に負担がかかりにくい自重でおこなう方法がおすすめ。また、自分の好きな場所で気軽におこなえるのも魅力の1つ。
- 【胸】プッシュアップ
- 【腹】プランク
- 【背中】バードドッグ
- 【肩】パイクプレス
- 【腕】プランクアップダウン

初心者向けの上半身トレーニングでは、種目数を絞ることが重要です。「ベンチプレス」などの動きが複雑な種目は身体を痛めるリスクがあるため、動作が簡単な種目からのスタートをおすすめします。
【胸】プッシュアップ
大胸筋を中心に三角筋前部や上腕三頭筋も一緒に刺激できる筋トレ。
自重トレーニングの代表的なトレーニングで、手をつく位置で負荷をかけられる筋肉が異なり、腕を鍛えたい場合は手幅を狭める「ナロープッシュアップ」「ダイアモンドプッシュアップ」がおすすめ。初心者はひざをつけた状態からはじめて、徐々に強度を上げていくのがおすすめ。
<やり方>
- うつ伏せになり、両手を胸の脇につく
- 腕で身体を支え、頭の先からかかとまでまっすぐに伸ばした状態で身体を下ろす
- 姿勢は変えず、ひじを伸ばして息を吸いながら元の位置に戻る
【腹】プランク
体幹全体の筋肉をしっかり刺激し、効果的にインナーマッスルを鍛えられる筋トレ。お尻が上がりすぎたり下がりすぎたりしないよう、姿勢を意識することが大切。はじめは30秒程度の短時間から挑戦して、少しずつ時間をのばしていこう。
<やり方>
- 両ひじを床につけて、うつ伏せの状態になる
- 足はつま先だけを床につけ、身体をゆっくり浮かせる
- 頭からかかとまで一直線に伸ばした状態をキープする
【背中】バードドッグ
「バードドッグ」は背筋と体幹の安定性を鍛えられるバランス重視の筋トレで、上半身だけでなく股関節も鍛えられる。「プランク」の応用なので、「プランク」では物足りないときにチャレンジするのもOK。
<やり方>
- 四つんばいの姿勢から、片足をまっすぐ伸ばす
- かかとと腰の高さがそろったら反対側の腕を前方に水平に伸ばす
- 腕と足を同時に伸ばせたら、もとの位置に戻る
【肩】パイクプレス
三角筋の前部と中部を鍛えるのに効果的な上級者向けの筋トレ。おもに大きい肩を目指したい人や、腕を太く大きくしたい人におすすめ。
<やり方>
- 腰を高く上げた四つん這いの姿勢になり、への字の姿勢をつくる
- ひじを曲げながら身体を前に倒し、床ぎりぎりまで額をつけるように上体をおろす
- 地面を手で強く押し、元の位置に戻る
【腕】プランクアップダウン
上腕三頭筋と上腕二頭筋を交互に刺激できる筋トレで、腕全体をバランスよく鍛えるのに役立つ。体幹を安定させながら腕の力で姿勢を保つのがポイント。
<やり方>
- プランクの姿勢になり、頭からかかとまでを一直線にしたまま片ひじずつ順番に手をつく
- 両ひじを立てた状態に戻し、再び片ひじずつ順番に手をつく
【ダンベル・バーベル使用】上半身の筋トレメニュー7選
ダンベルやバーベルは持っておくと、さまざまなトレーニングに活用できるため便利。
- 【胸】ベンチプレス
- 【胸】インクラインダンベルプレス
- 【腹】ダンベルサイドベント
- 【背中】ダンベルローイング
- 【背中】ダンベルデッドリフト
- 【肩】ダンベルサイドレイズ
- 【肩】ダンベルショルダープレス
【胸】ベンチプレス
「ベンチプレス」は上半身の筋トレの中でも代表的な筋トレで、大胸筋はもちろん全身の筋肉を使える。胸板を厚くしたり、バストアップをしたい人にもおすすめ。初心者は重量設定を控えめにし、スミスマシンなどバーの軌道が固定されたものを使うなどバーベルの安定性を重視しよう。
<やり方>
- バーベルが目線の位置にくるよう、ベンチに仰向けになる
- 肩甲骨を寄せて胸を張り、ラックからバーベルを外す
- お腹に力を入れながら胸の位置までバーベルを下ろし、真上に押し上げる
【胸】インクラインダンベルプレス
「インクラインダンベルプレス」は大胸筋を効果的に鍛えられる筋トレ。立体的な胸板を作りたいときにおすすめ。女性の場合はバストアップ効果も期待できる。ケガにつながりやすい「ダンベルフライ」よりも安全に鍛えることができる。ただし、腰を反りすぎには要注意。
<やり方>
- ベンチの角度を30~45度程度に設定する
- ダンベルを両手に持ち、ベンチに仰向けになる
- 足はしっかりと床につけ、背中をアーチ状にそらしながら肩を下げて胸を張る
- ダンベルを肩の上あたりに持ち上げ、ひじを少し曲げた状態から胸のあたりまでゆっくり下ろす
- ひじは身体の側面に沿って動かすようにして、もとの位置にダンベルを戻し、同じ動作を繰り返す
【腹】ダンベルサイドベント
腹斜筋を中心に鍛えられる筋トレで、ウエストラインの引き締めにおすすめ。身体が前後に傾かないよう、真横の動きを維持することが大切。左右のバランスを意識しながら実施しよう。
<やり方>
- 片手にダンベルを持って立ち、反対の手は頭の後ろに置く
- ダンベルを持っていない方向に身体を傾ける
【背中】ダンベルローイング
広背筋と僧帽筋を中心に、背中全体を刺激できる筋トレ。肩甲骨をしっかり寄せることで、背中の筋肉をより強く刺激できる。背中の筋肉を意識しながら、ゆっくりとした動作でおこなおう。
<やり方>
- ベンチやイスに片手と片ひざをつく(手とひざは左右同じ)
- 上半身と骨盤を水平にしつつ、左手にダンベルを持つ
- ひじを曲げて上腕と背中が水平になるまで引き上げる
【背中】ダンベルデッドリフト
背中全体と体幹の筋肉を同時に鍛えられる筋トレ。姿勢改善と背中全体の引き締めが期待でき、代謝を高めるのにもおすすめ。背中を丸めず、背中の筋肉で動作をおこなうことを意識しよう。
<やり方>
- 足を肩幅に開き、両手でダンベルを持って上体を前に倒す
- ひざを軽く曲げた状態で、背筋を伸ばしながら上体を起こす
【肩】ダンベルサイドレイズ
三角筋の中部を重点的に鍛えられる筋トレで、肩幅を広げたいときにおすすめ。肩回りをがっしりさせたい、逆三角形の身体を作りたい人におすすめ。
<やり方>
- ダンベルを両手に持ち、肩幅に足を開いて立つ
- ダンベルを真横よりほんの少し前の方向に上げる
- 身体の横から肩の高さまでゆっくりと持ち上げて下ろす
【肩】ダンベルショルダープレス
三角筋を中心に肩まわりの筋肉を鍛えられる筋トレ。背中を丸めず、持ち上げるときに背筋を意識しておこなうことが重要。腰やひざに負担を掛けないよう、注意しておこなおう。
<やり方>
- イスに座り、ダンベルを両方の太ももの上に乗せる
- 太ももの力を使ってダンベルを頭の横まで持ち上げる
- はじめの位置からひじが伸び切らないところまでダンベルを押し上げる
- 肩より少し低い位置までひじを下ろす
【マシン使用】上半身の筋トレメニュー5選
マシンを使ったトレーニングはダンベルやバーベルより安定したフォームを維持しやすい。
- 【胸】チェストプレス
- 【背中】ラットプルダウン
- 【背中】シーテッドロー
- 【肩】ショルダープレス
- 【腕】ケーブルカール
【胸】チェストプレス
マシンの安定性を活かして、大胸筋を効果的に刺激できる初心者向けの筋トレ。「ベンチプレス」と同様、バストアップや胸板を厚くしたい人におすすめ。慣れてきたら「ベンチプレス」と併用することで、よりバランスよく胸の筋肉を鍛えることができる。
<やり方>
- 足の裏がすべて地面に着く高さに、マシンの高さを調整する
- 胸を張って背筋を伸ばし、ゆっくりとバーを押し出す
- そのまま少しキープして、ゆっくりとバーを引き戻す
【背中】ラットプルダウン
広背筋を中心に、背中の上部から中部を効果的に刺激できる筋トレ。背中の筋肉を鍛えることで、逆三角形の背中を作りやすくなり、巻き肩や反り腰の改善も期待できる。
<やり方>
- マシンに座って足の裏を床につけ、太ももとひざを固定する
- バーを肩幅より少し広めに持ち、胸を張って肩甲骨を下げる
- 広背筋を意識しながら、バーを鎖骨当たりまで引き下げる
【背中】シーテッドロー
とくに広背筋や僧帽筋を鍛えるのに向いている筋トレ。背中全体を引き締め、姿勢を改善するのに役立つ。正しい姿勢を維持し、ゆっくりと引くことが大切。
<やり方>
- マシンに座り、チェストパッドに胸をつける
- プレートに脚を置き、足をしっかり固定した状態でバーを引き寄せる
- 肩甲骨を引き寄せ、ひじを後方に引く動作でバーを引く
【肩】ショルダープレス
三角筋全体を刺激し、上腕三頭筋も同時に鍛えられる筋トレ。シルエットがはっきりしてかっこよく見えるようになるほか、肩こり改善効果も期待できる。反動を使わず、肩の力で押し上げることを意識しよう。
<やり方>
- マシンに深く座り、背もたれに背中をしっかりつける
- 脚を肩幅に広げて、手首を曲げずにグリップを持つ
- 息を吐きながら頭の上までしっかり押し上げて、元の位置に戻る
【腕】ケーブルカール
上腕二頭筋全体にバランスよく負荷をかけられる筋トレ。力こぶが大きくなり、たくましい腕を目指せる。女性の場合は美しい二の腕づくりにも役立ち、初心者でも気軽におこなえる。
<やり方>
- ケーブルマシンの前に立ち、脚を肩幅に広げる
- 手幅を肩幅程度に開き、ケーブルを逆手で握る
- ケーブルを腰の位置まで持ってきたら、脇を締めて上に持ち上げる
- ゆっくりケーブルを腰の位置まで戻す
【初心者や女性でも簡単】上半身の筋トレメニュー5選
ここでは、筋トレ初心者の人や筋肉が少ない女性でもできる、上半身の筋トレメニューをご紹介。負荷が少なく気軽におこなえるものなので、気になるものから取り組んでみよう。
- 【胸】ひざつきプッシュアップ
- 【腹】レッグレイズ
- 【腹】プランク
- 【腹】ヒップリフト
- 【背中】キックバック
【胸】ひざつきプッシュアップ
「ひざつきプッシュアップ」は、上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)と大胸筋に効果的な筋トレ。ひざをつくことで負荷を軽減し、正しいフォームでおこなえるため、通常のプッシュアップが難しい初心者や女性にもおすすめ。
腕を肩幅より少し広めに開き、お尻を下げすぎないことがポイント。筋力がついてきたら、ひざをつく位置を後ろに下げることで負荷を調整しよう。
<やり方>
- 床にひざをつき、両手を肩幅よりやや広めにして置く
- 足は揃え、つま先を立てる
- ひざから頭の先までが一直線になるようにする
- 息を吸いながらひじを曲げ、身体をゆっくりと床に近づけ、もとの位置に戻す動作を繰り返す
【腹】レッグレイズ
腹直筋下部を中心に、腹筋全体をバランスよく鍛えられる筋トレ。インナーマッスルの強化におすすめで、骨盤のゆがみや猫背、ぽっこりお腹の改善に効果が期待できる。腰が浮かないよう注意しつつ、腹筋の力で足を動かそう。
<やり方>
- 仰向けの状態で身体の横に手を置き、両ひざをそろえる
- ひざをそろえたまま、ゆっくりと両足を上げる
- 両足が床と垂直になるまで上がったら、ゆっくりと下ろしていく
【腹】プランク
「プランク」は、体幹全体を意識的に使えるトレーニング。
背中が丸まらないように一直線を意識しながら呼吸を止めずにおこなうのがポイント。30秒から始め、慣れてきたら片脚を上げるなどバリエーションを加えると負荷を高められる。
<やり方>
- 仰向けになり、両脚を伸ばして床につける
- 脚を床から垂直になる程度まで上げて数秒キープする
- 息を吸いながら、ゆっくりと脚を元の位置に戻して床につく前に再度上げる動作を繰り返す
【腹】ヒップリフト
「ヒップリフト」は、腹直筋下部と体幹の安定性を高めるトレーニング。
腰を持ち上げる際はお腹に力を入れ、背中が反らないように注意しよう。持ち上げた位置で3秒ほどキープすると、より刺激を与えやすくなる。
<やり方>
- 仰向けになり、両ひざを立てて足裏を床につける
- 両腕を身体の横に置き、手のひらは下に向けお尻をゆっくり持ち上げる
- お尻を上げた状態で1秒キープし、息を吸いながらゆっくりとお尻を床に戻す動作を繰り返す
【背中】キックバック
「キックバック」は、背筋と上腕三頭筋を同時に鍛えることができる効果的なトレーニング。
四つんばいの姿勢から腕を後ろに伸ばすことで、背中全体の筋肉を使える。ひじを固定したまま、上腕を後ろに伸ばすことがポイント。反動を使わずにゆっくりと動作をおこない、しっかりと負荷をかけよう。
<やり方>
- イスなどに片手をついて体を支え、もう片方の手はダンベル(またはペットボトルなど)を持つ
- 身体をまっすぐにし、ひじは90度に曲げてダンベルは身体の側面につける
- ひじを固定したままダンベルを持ち上げ、腕を後ろに伸ばす
- ひじから先を伸ばして1秒間キープし、ゆっくりと元の位置に戻す動作を繰り返す
上半身の筋トレの回数・セット数の目安
「身体を大きくしたい」「ボディラインを引き締めたい」「体重を落としたい」など、上半身の筋トレをおこなう目的は人によってさまざま。ただし、セット数は「1セットあたり8~10回できる重量で3回おこなう」ことを基本にしよう。
筋肥大やダイエットできるかどうかは食事の量や栄養バランスの要因も大きい。
基本の回数とセット数をこなしながら、筋肥大やボディメイクの場合は「タンパク質や栄養素はしっかりとれているか」「休息できているか」、ダイエットの場合は「摂取エネルギー量が消費エネルギーを下回っているか」などを意識しよう。

自宅での筋トレでは、基本的に1セットあたり8~10回という回数設定が最も効果的です。この基準はどの種目でも共通しています。とくに初心者の人は、この回数を意識しながら無理のない範囲でトレーニングを進めていくことが望ましいです。
上半身の筋トレ効果を高めるコツ
上半身を効率的に鍛えるなら、筋トレの頻度や順番、生活習慣にも目を向けたい。理想の身体をスムーズに手に入れるためにも、できる範囲で取り組もう。
- 週2~3日の間隔を空ける
- 大きな筋肉から先に鍛える
- 筋トレ前後にストレッチをする
- 栄養バランスの整った食事を心がける
- 正しいフォームと適切な負荷を意識する
週2~3日の間隔を空ける
週に2~3日の間隔を空けることで筋肉が十分に回復し、次のトレーニングに備えられる。
毎日同じ部位を鍛えるなど、過度なトレーニングは効果が思うように出ないばかりか、ケガや疲労の蓄積を招く原因に。軽いストレッチや有酸素運動を取り入れる休養日を設けて、筋肉の回復を促そう。
大きな筋肉から先に鍛える
筋トレの順序は、胸→背中→肩→腕→腹など、大きな筋肉群から先に鍛えるのがおすすめ。
大きな筋肉を鍛える筋トレはより多くのエネルギーが必要なので、はじめにおこなうことで効率的に筋力向上を狙える。大きな筋肉群のあとに小さな筋肉を鍛えて、トレーニングの総合的な効果を高めよう。
筋トレ前後にストレッチをする
筋トレ前にストレッチをしておくと、筋肉や関節の柔軟性が高まり、筋トレのパフォーマンスが高まりやすい。また、トレーニング後のストレッチは筋肉の緊張を和らげられ、筋肉痛の軽減にもおすすめ。ケガの予防にもつながるため、筋トレ前後のストレッチは習慣的におこなうこと。
なお、筋トレ前のストレッチは反動動作を使ったリズミカルな動的ストレッチがおすすめ。一方、筋トレ後は伸ばしたい筋肉や筋をじっくり伸ばす静的ストレッチが効果的。どちらも長時間は避け、1回あたり20~30秒程度で数回おこなう。
栄養バランスの整った食事を心がける
トレーニング効果を最大化するためには、栄養バランスの整った食事が欠かせない。筋肉の成長や修復にはタンパク質がとくに重要だが、炭水化物や脂質もバランスよく摂取したい。
体重1kgあたり1.6g程度のタンパク質摂取を目安に、さまざまな食材を摂取しよう。十分な水分補給も忘れずに、1日2Lを目安に摂取すること。
正しいフォームと適切な負荷を意識する
トレーニングは正しいフォームでおこなうことが大前提。フォームが崩れるような重すぎる重量でのトレーニングは避け、フォームチェックを習慣化しよう。
また、ダンベルトやバーベルなどを「下ろす」動作の速度調整がトレーニングの効果を左右する。きつい動作だからこそゆっくり丁寧におこなうことを意識してみて。

重力に反した動きをおこなうときに筋肉に負荷がかかります。下ろす動作は重力に任せて一気に下ろすのではなく、2~3秒かけてゆっくりと下ろすことで、より効果的な筋肉への負荷がかけられます。
上半身の筋トレに関するQ&A
上半身だけを鍛えると身体のバランスが悪くなる?
A:一般的なトレーニングであれば問題ない

若いうちは目的に応じた自由なトレーニングを楽しんでも大丈夫です。ただし、上半身ばかり大きく、下半身にしっかりとした土台がない場合は身体のバランスが取れなくなることも。年齢とともに下半身の筋力の重要性は増していく点に注意しましょう。
筋肉痛がないときは効果がない?
A:筋肉痛が必ず来るわけではない

筋肉痛がなくても適度な疲労感があれば、適切にトレーニングできている証拠です。逆に、翌日の疲労感がなければ適切に鍛えられていない可能性があるので注意が必要です。
大学のバスケットボール部や社会人アメリカンフットボールチーム、ゴルフセンターでのトレーニング指導、RIZAP株式会社でのパーソナルトレーナーを経て、日本橋にてパーソナルジム「IGF」を開業。健康の維持・増進、改善などをベースにトレーニングの指導をおこなっている。
【所属】
NSCA Japan
日本外科代謝栄養学会
日本静脈経腸栄養学会
日本感染症学会 会員