
近年、SNSやインターネットを通じて「シンデレラ体重」という言葉が広まりつつある。この言葉は主に一部の芸能人やモデルのスリムな体型に憧れる女性たちの間で注目されているが、具体的にはどのような状態を指すのか、またそのリスクが気になっている人も多いはず。
この記事では、シンデレラ体重とは何なのか、標準体重・美容体重との違いを解説。健康的に理想の体型を目指すためのポイントも紹介するので、自分に合った理想の体型を見つけたい人はぜひ参考にしてみよう。
この記事の監修者

古谷 彰子さん
博士(理学) 管理栄養士

つむら みおさん
パーソナルトレーナー
ハーティネス株式会社代表
フィットネス勤務から独立し、現在はダイエット迷子に正しい知識を伝えるためのオンライングループレッスン運営中。
コンプレックスを強みに変える!ボディメイク運動指導やリバウンドなしで、理想の体を手に入れる食事指導をおこなっている。
2チャンネル目となるYouTube「みおGYM」にて週2回エクササイズ配信中
著書4冊/各種雑誌、テレビ出演
JBBF 日本ボディビル・フィットネス連盟 2年連続優勝経験を持つ
シンデレラ体重が危険といわれる理由
「シンデレラ体重」とはBMIが18以下で「低体重(やせ)」に分類される体重のこと。モデルや芸能人では一般的と思われている体型ではあるが、もっとも健康で過ごせる可能性が高いと言われる普通体重と比べると10kg以上少ない体重になることも。そのため、将来の病気リスクを考えると「危険体重」と言われる。
ここでは、シンデレラ体重が危険と言われる理由を紹介する。
- 栄養不足になりやすい
- 疲労やストレスで精神的な負担が増える
- 生理不順や骨粗しょう症など健康面のリスクが高まる

とくに若い女性の痩せは、排卵障害や月経不順、不妊、低出生体重児の出産、早産など、ライフステージに関わる健康リスクが高いといわれています。そのほか、高血圧や慢性腎疾患、脳・心血管障害のリスク上昇に関する指摘もあることから、長期的な健康への悪影響が懸念されます。
栄養不足になりやすい
シンデレラ体重のような過度な痩せを目標にすると、十分量の栄養を摂取できないケースが多い。その結果、身体は生命維持に必要な栄養素を得られず、冷え・頭痛・貧血・生活習慣病などを引き起こす可能性がある。
さらに、食事量を減らして栄養を確保しようとすると、食事の質が偏ってしまうことも。栄養バランスが崩れることで、ニキビやかさつきといった肌のトラブルや髪のパサつきなど、美容面でも問題が生じやすくなる。
疲労やストレスで精神的な負担が増える
極端にスリムな体型を維持するために厳しい食事制限や運動を続けると、心身に大きな負担がかかる。とくに、血糖値の乱れや慢性的なエネルギー不足は、集中力の低下や気力の減退を引き起こす大きな要因となる。
また、空腹感との戦いによるストレスは、イライラや不眠、摂食障害など精神的な不調を引き起こし、生活の質の低下につながる。健康的な生活を維持するにも過度な減量は避けるべき。
生理不順や骨粗しょう症など健康面のリスクが高まる
女性の体脂肪量が大幅に減少すると、ホルモンバランスが崩れることがある。とくに、低体重や過度なダイエットは女性ホルモンに影響を与え、生理不順や無月経のリスクを高める要因になる。
さらに、体重が極端に減ると骨密度が低下し、将来的な骨粗しょう症のリスクも高まる。骨粗しょう症は骨折の危険性が高まるだけでなく、免疫力の低下によって風邪などの感染症にかかりやすくなるといわれている。
なお、健康的なダイエットであっても、骨粗しょう症へのリスクを配慮することは大切。カルシウムやビタミンDなど骨の健康に関わる栄養素を積極的に摂取して、健康的な食生活を心がけよう。
- カルシウム豊富な食材:乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)、小魚(煮干し、さくらえび)、大豆製品(豆腐、納豆)
- ビタミンD豊富な食材:魚類(鮭やイワシ)やキノコ類(シイタケやキクラゲ)、卵

ビタミンDは日光を浴びると生成されるため、適度に日光を浴びることも大切です。日焼けが気になるのであれば、手のひらを太陽に当てるだけでもビタミンDは生成されます。また、カルシウムの吸収を高めるには、脂質を含む食品やビタミンDを含む食品と一緒に摂取するのが効果的です。
脂質が多いチーズとビタミンDが豊富なきのこを組み合わせた料理などがおすすめですよ。また、お酢を使った調理でカルシウムの溶出を促すので、南蛮漬けなどもおすすめですね!なお、カルシウムは夜に効率的におこなわれるため、カルシウム豊富な食品は夕食に取り入れるとよいでしょう。
不妊や早産のリスクが高まる
栄養不足が続くと、貧血やホルモンの乱れなど、さまざまな体調不良を引き起こす。とくに、ホルモンの材料であるタンパク質や合成に必要な脂質が不足すると、ホルモンバランスが乱れがちになり、将来の妊娠に悪影響が出やすくなる。
また、栄養不足が続くと子宮内膜が薄くなり、受精卵が着床しにくくなったり、糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まったりといった問題点も。肌トラブルや髪のパサつきも、栄養不足のサイン。とくに朝食を抜くと栄養不足になりやすいため、品数を増やしてバランスのよい食事を心がけよう。

過度な痩せは体脂肪不足によるホルモンバランスの乱れや栄養不足を招き、将来の妊娠に悪影響を及ぼす可能性があります。また、栄養不足は胎児の成長を妨げ、早産のリスクも高めるため注意が必要です。健康的な妊娠のためには、日頃からバランスの取れた食事を心がけ、適正体重を維持することが大切です。
シンデレラ体重とは?標準体重・美容体重と見た目の目安
シンデレラ体重とは、細くて華奢な体型を示す体重のこと。雑誌やインターネット上では理想的な体重として取り上げられることもあるが、健康な身体を維持するには適正体重を守る必要がある。
なお、日本における若い女性の過度な痩せは深刻な課題とされている。たとえば20代女性の場合、痩せている人の割合は約20%と、ほかの主要先進国に比べてかなり高い。
体重に関する正しい知識をつけるためにも、まずは、体重評価の基準となるBMIの概要、各体重のBMI計算方法、その見た目の目安を知っておこう。
- BMIは肥満度を表す体格指数(%)
- シンデレラ体重(モデル体重)と見た目の目安
- 美容体重と見た目の目安
- 標準体重と見た目の目安
BMIは肥満度を表す体格指数(%)
BMI(体格指数)は体重と身長をもとに算出できる値で、健康リスクの指標として世界中で広く使用されている。計算方法は、体重(kg)を身長(m)の二乗で割る「体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))」というシンプルなもの。
BMIの値によって、18.5未満は低体重、18.5以上25未満が普通体重、25以上30未満が肥満(Ⅰ)、30以上35未満が肥満(Ⅱ)、35以上40未満が肥満(Ⅲ)、40以上が肥満(Ⅳ)に分類される。
なお、日本人の30~59歳を対象とした研究によるとBMIの理想値は22とされているが、これはすべての年齢層に当てはまるわけではない。たとえば高齢者の場合、太っている人は痩せている人より脂肪率が低いという結果が出ている。
大切なのは、自分の年齢や健康状態に応じたBMIを確認し、適切な体重を維持すること。痩せすぎや太りすぎに注意しつつ、健康的な体重と生活習慣を維持しよう。
シンデレラ体重(モデル体重)と見た目の目安
シンデレラ体重はモデルや芸能人のようなスリムで華奢な体型で、「身長(m) × 身長(m) × 18」で算出される。BMIは18未満と医学的には「痩せ」に分類されており、健康へのリスクが懸念されている。
シンデレラ体重の人の特徴は、骨格が際立つほどの細さ。BMIが18程度であれば、骨が見えるほどの極端な痩せ方は少ないが、鎖骨や肋骨が目立ちやすく、不健康に見えることもある。体脂肪が少ないため、身体のラインが極端に細くて骨ばった印象を与えやすい。
また、数値だけを追いすぎると、実は体重としては痩せていても、筋肉量が少なく体脂肪量が多くなってるケースも。なお、無理なダイエットでシンデレラ体重を目指すのは避けるべきだが、もともと痩せ型で健康診断上の問題がなければ、深刻に考えすぎる必要はない。

増量を目指す場合はナッツ類やアボカド、オリーブオイルなど良質な脂質を含む食品を積極的に取り入れつつ、1日の食事量を5~6回に分けてとると摂取エネルギーと栄養摂取量を無理なく増やせます。ジャンクフードなど栄養バランスが乱れやすい食事は避け、健康的な生活習慣を心がけましょう。
美容体重と見た目の目安
美容体重は身長(m)の二乗に20を掛けて算出される値で、BMIは20程度。
極端な食事制限をせず、適度な運動と食事の管理で達成可能な現実的な目標であり、理想の体型としてイメージされることも。ただし、健康を犠牲にして見た目を優先するのは避け、無理のない健康的なダイエットで目指したい。
また、美容体重は二の腕やウエストのラインがすっきりしていて、さまざまな洋服を美しく着こなせるといわれている。腕や脚は細めだが不自然な痩せ方はなく、健康的なシルエットが特徴。

美容体重であっても、見た目の美しさを重視しすぎると筋肉不足によるサルコペニアや貧血、極度の疲労などのリスクが高まります。また、BMIが低い場合は隠れ肥満の可能性があり、骨粗しょう症や糖尿病にも注意が必要です。日頃からバランスの取れた食事と運動を心がけ、BMIだけでなく、筋肉量や骨密度も意識しましょう。
変に体重の数値だけを気にするのではなく、手持ちの洋服が綺麗に着こなせるなどを目安にしてもいいかもしれないですね。
標準体重と見た目の目安
標準体重は健康的な体重の基本とされており、一般的にはBMI22が理想的な数値。計算式は「標準体重(kg)= 身長(m)× 身長(m)× 22」で、幅広い年齢の人が健康を維持するために適した体重といわれている。
標準体重は見た目にも安定感があり、健康的な印象を感じられやすい。ボディラインや体型のバランスがよく、腕や脚には適度な肉づきがある。
女性らしい丸みを帯びたシルエットのため、場合によってはぽっちゃりしていると感じられることも。ウエストのくびれは控えめだが、生活習慣や筋肉量によっては下腹や太ももが気になる場合もある。
標準体重の人がダイエットする場合、運動と食事両方を取り入れるのがおすすめ。同じ体重でも、筋肉がしっかりついている人の方が見た目が引き締まって見えるため、筋肉量を増やして体脂肪率を下げると、より理想の体型に近づきやすくなる。

体型を改善するには、個人の体組成に応じたアプローチが必要です。たとえば、標準体重で体脂肪率が高い人の場合、食事制限より筋肉量を増やすと、理想の体型を目指しやすくなります。
また、最近は痩せすぎによる健康リスクも指摘されています。筋肉量が少ないと糖を処理する能力が低下し、痩せ型でも糖尿病などリスクが高まるため注意が必要です。自身の体型を考える際は痩せすぎによるリスクをしっかり考慮しつつ、健康的な身体作りを心がけましょう。
【身長別】シンデレラ・美容・標準体重の一覧表
ここではシンデレラ体重(BMI18)、美容体重(BMI20)、標準体重(BMI22)の目安となる体重を身長ごとに紹介するので、参考にしてみよう。
- 140cm台
- 150cm台
- 160cm台
- 170cm台
140cm台
身長 | BMI18 | BMI20 | BMI22 |
---|---|---|---|
140cm | 35.3kg | 39.2kg | 43.1kg |
141cm | 35.8kg | 39.8kg | 43.7kg |
142cm | 36.3kg | 40.3kg | 44.4kg |
143cm | 36.8kg | 40.9kg | 45kg |
144cm | 37.3kg | 41.5kg | 45.6kg |
145cm | 37.8kg | 42.1kg | 46.3kg |
146cm | 38.4kg | 42.6kg | 46.9kg |
147cm | 38.9kg | 43.2kg | 47.5kg |
148cm | 39.4kg | 43.8kg | 48.2kg |
149cm | 40kg | 44.4kg | 48.8kg |
150cm台
身長 | BMI18 | BMI20 | BMI22 |
---|---|---|---|
150cm | 40.5kg | 45kg | 49.5kg |
151cm | 41kg | 45.6kg | 50.2kg |
152cm | 41.6kg | 46.2kg | 50.8kg |
153cm | 42.1kg | 46.8kg | 51.5kg |
154cm | 42.7kg | 47.4kg | 52.2kg |
155cm | 43.2kg | 48.1kg | 52.9kg |
156cm | 43.8kg | 48.7kg | 53.5kg |
157cm | 44.4kg | 49.3kg | 54.2kg |
158cm | 44.9kg | 49.9kg | 54.9kg |
159cm | 45.5kg | 50.6kg | 55.6kg |
160cm台
身長 | BMI18 | BMI20 | BMI22 |
---|---|---|---|
160cm | 46.1kg | 51.2kg | 56.3kg |
161cm | 46.7kg | 51.8kg | 57kg |
162cm | 47.2kg | 52.5kg | 57.7kg |
163cm | 47.8kg | 53.1kg | 58.5kg |
164cm | 48.4kg | 53.8kg | 59.2kg |
165cm | 49kg | 54.5kg | 59.9kg |
166cm | 49.6kg | 55.1kg | 60.6kg |
167cm | 50.2kg | 55.8kg | 61.4kg |
168cm | 50.8kg | 56.4kg | 62.1kg |
169cm | 51.4kg | 57.1kg | 62.8kg |
170cm台
身長 | BMI18 | BMI20 | BMI22 |
---|---|---|---|
170cm | 52kg | 57.8kg | 63.6kg |
171cm | 52.6kg | 58.5kg | 64.3kg |
172cm | 53.3kg | 59.2kg | 65.1kg |
173cm | 53.9kg | 59.9kg | 65.8kg |
174cm | 54.5kg | 60.6kg | 66.6kg |
175cm | 55.1kg | 61.3kg | 67.4kg |
176cm | 55.8kg | 62kg | 68.1kg |
177cm | 56.4kg | 62.7kg | 68.9kg |
178cm | 57kg | 63.4kg | 69.7kg |
179cm | 57.7kg | 64.1kg | 70.5kg |
危険だとわかっていてもシンデレラ体重を目指してしまう心理
- 痩せて承認欲求を満たしたい
- 実際の体型と自己認識がズレている
- 周囲と比較して劣等感を持っている
痩せて承認欲求を満たしたい
現代社会において、痩せた体型は「美しさ」や「理想的な身体」として高く評価される傾向がある。そのため、シンデレラ体重を目指すことで自分に価値を感じたり、周囲からの承認を得たりしようと、極端なダイエットをしてしまうケースがある。
また、他人の視線を過度に意識するあまり、過剰なダイエットに走ってしまうことも。ダイエットの目的が他人の評価を得ることだけに偏ると、健康的な体型を見失いやすい。
実際の体型と自己認識がズレている
自分の体型に対する見方が実際の状態と異なる人は多い。理想の体型にこだわりすぎると、自分を過小評価してしまい、「理想に比べてまだ太っている」「もっと痩せなければ」などの考えに陥りやすい。
自己認識がずれているとシンデレラ体重が現実的な目標としてしまい、無理なダイエットにつながる。とくに完璧主義の人や真面目な人は注意が必要。
周囲と比較して劣等感を持っている
自分へのコンプレックスが、極端なダイエットを引き起こすこともある。現代では、モデルや芸能人のようなスリムな体型が理想とされており、周囲と自分を比べて「自分はダメだ」と感じる人も少なくない。
過度な比較や劣等感は心や身体に負担をかけ、過剰なダイエットにつながってしまうことも。
「痩せたい」と思ったときに意識したいこと
美しくなりたいという気持ちを持つことは、悪いことではない。しかし、ただやみくもに痩せようとするのは心身の負担になるばかりか、健康リスクや幸福度の低下にもつながりかねない。
- まずは「自分はなぜ痩せたいのか」を考える
- 引き締めたい部位や目標の体型を具体的にイメージする
- 他人の目や意見に振り回されない
- 体型以外にも目を向けて、自分らしさを大切にする
まずは「自分はなぜ痩せたいのか」を考える
ダイエットを始める前に、まず自分がなぜ痩せたいのかを考えることが大切。シンデレラ体重やモデル体重に憧れる理由を再確認し、自分の本当の願いを探ってみよう。
なぜ痩せたいのか改めて考えてみると、本当に必要なのは体重を減らすことではなく、健康を維持したり、自信を持ったりすることだと気づけるかもしれない。心身の健康を保つためにも、無闇に痩せようとするのは避けることが大切。
引き締めたい部位や目標の体型を具体的にイメージする
理想の体型を手に入れるには、どの部位を引き締めたいのか、どんな身体になりたいのかをはっきりさせることが重要。漠然とした目標ではなく、具体的なイメージを持つことで進むべき方向が明確になる。
これは筋肉量や体脂肪率など、見た目に影響を与える要素を理解して健康的に目標を達成するために大切な工程。漠然とした食事制限や運動は結果が出ないばかりか、健康に悪影響を及ぼす可能性もあるため、しっかりと考えよう。
他人の目や意見に振り回されない
自分の体型を考えるときは、他人の意見や社会の基準に影響されやすいもの。しかし、心と身体の健康を保つには、他人の評価に振り回されず、自分自身の価値観を大切にすることが重要。
健康を維持しつつ美しい体型を目指すことが、長期的な満足感のカギ。シンデレラ体重のように過度な痩せを追い求めることのリスクを理解したうえで、他人の目や意見に左右されない心構えを持っておこう。
体型以外にも目を向けて、自分らしさを大切にする
体型や体重にとらわれず、内面的な成長や自分自身の個性を見つけるのも重要。外見だけでなく、性格や趣味、スキルなど自分の魅力を再確認すると自己肯定感を高めやすい。
人生を楽しむためには、他人と比較せず自分自身を大切に思うことが大切。もちろん、標準体重を超えている場合は食生活を見直したり、適度な運動を取り入れたりと努力も必要だが、そうでない場合はありのままの自分を受け入れると、気持ちがスッと楽になるはず。
BMIは低いのに太って見えるのはなぜ?見た目の印象に関わる要素
BMIは健康診断でよく使われる指標だが、単独で健康状態を判断するには限界がある。とくに女性の場合、BMIは標準範囲内でも体脂肪率が高く、筋肉量が少ないケースが多く見られる。
健康的な身体作りには、BMIだけでなく体脂肪率や筋肉量を含む総合的な体組成の確認が重要。ここでは、見た目の印象に大きな影響を与えるこれら3つの要素を解説する。
- 筋肉量
- 体脂肪率
- 骨格・体格

見た目は細身でも、体脂肪率が高く筋肉量が低い「隠れ肥満」の状態は、糖尿病をはじめ、将来のさまざまな健康リスクを高めると言われています。ダイエットをするときは単に食事制限をするのではなく、良質なタンパク質の摂取やバランスの取れた食事を心がけることが大切です。
また、姿勢の悪さなども見た目に関わってくる可能性が大きいとも言われています。BMIだけでなく、身体の内部の状態や所作にも目を向けて、理想的な見た目を維持しましょう。
筋肉量
筋肉が少ない身体は、引き締まった印象を与えにくい。たとえBMIが低くても美しいシルエットになりにくく、場合によっては太ってみえることもある。これは、同じ重量で比較すると筋肉の方が体積が小さくなるため。
筋トレや運動で筋肉量が増えると全身が引き締まり、スリムな印象を感じやすい。筋肉は加齢や運動不足、栄養不足によって日々減ってしまうため、日頃から身体を動かす習慣作りが大切。
体脂肪率
体脂肪は同量の筋肉よりも体積が大きいため、体重が同じでも体脂肪が少なく筋肉がしっかりついていると、見た目が引き締まりやすい。一方で、体脂肪率が高いと身体がたるんで見えることが多く、太っているように感じられることも。
BMIが低くても、体脂肪率が高いと理想的な体型は目指せない。加えて内臓脂肪は生活習慣病のリスクを高めるため、体脂肪率が高い状態は健康面でも避けるべき。ダイエットするときは体重だけでなく、体脂肪率の変化にも目を向けよう。
骨格・体格
骨格がしっかりしていると、実際よりも身体が大きく見えることがある。また、筋肉がつきやすい部位や脂肪がつく場所は骨格や体格によっても異なるため、ダイエットする際は自分の骨格を考慮した計画を立てることが重要。
脂肪がつきやすく落としにくい部分でも、筋肉をつければ引き締まっているように見せることは十分可能。全身を鍛えつつ、気になる部分を集中的にトレーニングして、効率的にボディメイクをしよう。
健康的な身体で見た目をきれいに!おすすめの運動&食事法
BMIが肥満傾向の場合をはじめ、客観的に見て生活習慣の見直しが必要だったり、身体のたるみが目立ったりする場合は、健康のためにダイエットが必要なことも。ただし、理想的な見た目を実現するためには、単に体重を減らすのではなく、正しい方法でおこなうことが重要。
- バランスのよい食事を意識する
- 適度な運動習慣をつける
- 減量の推移ばかり気にせず、体調や気分の変化にも目を向ける
バランスのよい食事を意識する
健康的に痩せるには、主食、主菜、副菜をバランスよく摂取し、必要な栄養素を確保することが大切。タンパク質は体重1kgあたり1.2~1.5gを目安に、野菜は1日350g以上を目指して摂取しよう。一食あたりだと120gを目標に。
なお、これまで極端な食事制限やファスティングを続けていた場合、胃が小さくなっている可能性があるため、急に通常の食事量に戻すのはおすすめできない。身体に負担がかからないよう、朝昼晩の3食に加えて軽い補食を取り入れると、無理なく食事量を増やすことができる。
また、PFCバランスの整った食事を摂ることで過不足なくエネルギーを摂取しやすくなる。PFCバランスとは、タンパク質(Protein)15%(13〜20%)、脂質(Fat)25%(20〜30%)、炭水化物(Carbohydrate)60%(50〜65%)の3つの栄養素を摂取する比率のこと。
ダイエットでは食事の管理が大切になる。「どの栄養素をどのくらい摂取するか」を把握して、賢くダイエットに取り組もう。

まずは自分の基礎代謝量と活動量を計算し、1日に必要な摂取カロリーを把握しましょう。そのうえで、タンパク質(P)、脂質(F)、炭水化物(C)のバランスを考慮して献立を組み立てることが大切です。
適度な運動習慣をつける
運動は体型を整えるだけでなく、心と身体の健康にもよい影響が期待できる。とくに筋力を強化する運動は代謝を高めるのに役立ち、効果的なダイエットをサポートしてくれる。
また、適度な運動習慣は、美しいボディラインの維持に欠かせない。無理をせず、楽しみながら続けられる運動を選ぶのが習慣化のコツ。週に2~3回、30分程度から始め、徐々に運動の強度や時間を増やしていこう。
なお、普段運動をしていない人は、1駅分歩いて帰る、意識的に階段を使う、家事や仕事をしながらできる「ながら運動」を取り入れるなど、できることから始めてみよう。

身体を引き締めるときは胸や背中、脚、お尻周りなど大きな筋肉を鍛える筋トレ、むくみや筋肉の張りをほぐすときはストレッチがおすすめです。お腹周りを引き締めたいときは「ドローイン」などで腹横筋を意識して鍛えると、姿勢や内臓の位置を正してすっきりとしたシルエットが目指せます。
日常的に使いやすく硬くなりやすい首や肩、脚も重点的にほぐすといいですね。また、ストレッチは身体が温まっていると伸ばしたい部位がよりゆるまりやすいので、入浴後におこなうと、より高い効果が期待できます。
減量の推移ばかり気にせず、体調や気分の変化にも目を向ける
ダイエットや体型ばかり気にしていると、余計なストレスが溜まってしまう。その結果、食欲や代謝に悪影響が出たり、体調不良を引き起こしたりすることも。
体重や見た目にこだわりすぎず、体調や気分の変化にも目を向けることが、健康的なダイエットの秘訣。質のよい睡眠をとって心と体を回復したり、趣味やリフレッシュの時間を持ったりと、ストレスを溜め込まない工夫をしよう。
毎日を快適に過ごすためには、シンデレラ体重や美容体重を追い求めることだけがすべてではない。自分自身の楽しみややりがいを見つけて、無理なく健康的なダイエットを心がけよう。
シンデレラ体重に関するQ&A
健康的にシンデレラ体重を目指すのは難しい?
A:体重の適正値は人によって異なるため一概にはいえないが、基本的には難しい場合が多い。

個人の体調や健康状態によって、体重の適正値は異なります。そのため、BMIが18程度であっても、体感や健康診断上は問題がないこともあり、「健康的にシンデレラ体重を目指すのは難しい」とは一概にいえません。何より大切なのは自分自身の健康状態のため、無理をせず、自分に合った理想的な体重・体型を見つけることです。
とはいえ、専門的なサポートを受けている場合でも、シンデレラ体重を健康的に維持することは難しいことが多いといわれています。極端な低体重は身体に与える負担が大きく、長期的な健康リスクも懸念されます。
自然なシンデレラ体重なら、あえて体重を増やす必要はない?
A:体調がよく、健康診断の結果も良好であれば増量にこだわらなくていいが、定期的な健康チェックは必要。

「食べても太らない体質」など、自然にシンデレラ体重に近い体型・体重を維持している人の場合、必ずしも体重を増やす必要はありません。高齢者ではやや高めのBMIの方が死亡率は下がるというデータも存在しますが、これはあくまで統計的な傾向であり、すべての人に当てはまるわけではありません。
ただし、自然な痩せ型であっても、健康状態を定期的にチェックし、必要に応じて適切に対応することは必要です。外見や体調からはわからなくても、血液検査などで健康上の問題が見つかるケースは少なくありません。「体調はいいから大丈夫」など自己判断だけで済ませずに、定期的な健康診断で自分の健康状態を客観的に把握しておくことが大切です。
博士(理学) 管理栄養士
愛国学園短期大学 家政科 准教授、早稲田大学 ナノライフ創新研究機構 招聘研究員、(株)アスリートフードマイスター 認定講師、発酵料理士協会特別講師としても勤務。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチすることを専門とする。科学的根拠を基にしたライフスタイルへのアドバイス、実体験を基にした食育活動や講演活動、料理教室も開催している。『食べる時間を変えるだけ! 知って得する時間栄養学』(宝島社/2022)、『10時間空腹リセットダイエット』(主婦の友社/2023)、他多数の書籍を執筆。
【所属】
愛国学園短期大学 家政科 准教授
早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 招聘研究員
あきはばら駅クリニック 非常勤管理栄養士
アスリートフードマイスター認定講師
発酵料理士協会特別講師