
午後に眠気が強まり、仕事や勉強に集中できなくなることは多くの人が経験するはず。そんなときに取り入れたいのが「仮眠」。短時間でも適切に仮眠を取ることで頭がスッキリし、午後のパフォーマンス向上が期待できる。
しかし仮眠の時間やタイミングを間違えると、夜の睡眠に悪影響を与えてしまうこともある。この記事では、睡眠の専門家に聞いた、仮眠の効果や適切な仮眠の取り方を詳しく解説する。
この記事の監修者

三橋 美穂さん
快眠セラピスト・睡眠環境プランナー
仮眠は何分が理想?時間別での効果
仮眠の長さによって、得られる効果や起床後の感覚には違いがある。自分の生活スタイルに合った時間を見つけることが、仮眠の効果を最大化する鍵になる。
- 15~20分の仮眠が効果的
- 5分以下の短時間仮眠では効果が限定的
- 30分以上寝ると夜の睡眠に悪影響を及ぼす可能性
15~20分の仮眠が効果的
複数の研究から、仮眠は短めに、深い睡眠に入る前に起きることがポイントとされている。とくに15〜20分の仮眠は、「眠気の軽減」や「集中力の向上」に効果的。
仮眠を取るタイミングは、昼食後に眠気が高まりやすい午後2時ごろがベスト。スケジュールの関係で難しい場合は、正午から午後3時の間に取るのが望ましい。
さらに仮眠の効果を高めたい人には、「コーヒーナップ」という方法もおすすめ。仮眠前にコーヒーや緑茶などでカフェインを摂取し、カフェインの効果があらわれ始める20〜30分後に目覚めることで、よりスッキリとした覚醒感が得られる。

仮眠の最適な長さは、年齢によっても異なります。一般的に、若年層には15〜20分、中高年には15〜25分、高齢者には30分程度が適しているとされています。また、起床後にテンポの速い音楽を聴くことで、眠気を引きずらずに気分を切り替える効果も期待できます。
5分以下の短時間仮眠では効果が限定的
5分未満のごく短い仮眠(マイクロナップ)は、一時的に眠気を和らげる効果はあるものの、その効果は限定的。世界中の研究を分析した結果、仮眠による明確なパフォーマンス改善や疲労回復には、ノンレム睡眠の第2段階に入ることが必要とされている。若年成人の場合、15〜20分の睡眠が必要とされており、5分以下では十分な効果が得られない可能性が高い。

マイクロナップで一瞬眠気が軽くなることはありますが、すぐに効果が切れてしまいます。
30分以上寝ると夜の睡眠に悪影響を及ぼす可能性
仮眠が30分を超えると、脳がより深いノンレム睡眠(ステージ3)に入りやすくなる。この状態で目覚めると、いわゆる「睡眠慣性」と呼ばれるぼんやり感が強く出て、起床後もしばらくだるさを感じたり、頭が働かない状態が続く。
また、午後遅い時間に長く仮眠を取ってしまうと夜の寝つきが悪くなり、結果的に夜間の睡眠リズムが乱れる原因にもなる。とくに午後4時以降の仮眠は、就寝時の眠気を妨げるリスクがあるため注意が必要。

午後の仮眠が長くなりすぎると、夜の寝つきが悪くなることがあります。どうしても眠い場合は、午前中に仮眠を取るのも1つの方法です。
仮眠がもたらす4つの効果
短時間の仮眠には、脳や身体のリフレッシュなど、さまざまな効果がある。脳疲労や眠気の軽減に加え、集中力・記憶力の回復、さらには発想力やストレスの軽減など、多方面によい影響を与えることがわかっている。ここでは、代表的な4つの効果を紹介する。
- 判断力が上がり仕事や勉強の生産性が上がる
- 疲労感が軽減し体力が回復する
- ストレス解消につながる
- 寝不足や眠気の解消
判断力が上がり仕事や勉強の生産性が上がる
脳の情報処理能力が一時的に高まり、判断力や理解力が向上することが知られている。午後になると眠気や疲労により集中力が落ちやすいため、生産性の低下を感じたときは、思い切って短時間の仮眠を取り入れてみよう。集中力の低下や判断ミスを防止でき、業務の質や効率の向上が期待できる。
また、仮眠は前頭前皮質(意思決定を司る脳部位)の機能回復にもつながるとされ、考える力を求められる場面でとくに効果を発揮する。短時間でも効果が期待できるため、集中力が落ちやすい午後に取り入れるといい。
疲労感が軽減し体力が回復する
仮眠中は筋肉の緊張がゆるみ、身体的な疲労がやわらぐ。仮眠によって自律神経のバランスが整い、身体的なリカバリーが進むこともある。
とくにデスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けていると、知らず知らずのうちに身体が緊張し、疲労感が増していくことも少なくない。眠れないときでも目を閉じて静かに過ごすだけで、一定のリラックス効果が期待できる。
ストレス解消につながる
仮眠を取ると副交感神経が優位になり、心身がリラックスした状態になりやすい。さらに、ストレスホルモン「コルチゾール」の分泌が抑えられ、精神的な緊張をやわらげる効果もある。
加えて、ストレスや疲労を軽減する効果が期待できる「セロトニン」の分泌を間接的に促す効果も期待できる。ストレスがたまりやすい日常の中でも、短時間の仮眠を取り入れることでメンタルケアにもつながる。
寝不足や眠気の解消
仮眠には、寝不足による眠気を一時的に軽減する効果がある。とくに、深い睡眠に入らない15~20分程度の仮眠は脳をリフレッシュさせるのに適しており、眠気の低減や日中のパフォーマンス回復に役立つ。
短時間の仮眠で補いきれない強い眠気や疲労感がある場合は、90分程度の長めの仮眠を取り入れることで、ある軽度の睡眠不足(睡眠負債)を補うことも可能。ただし長時間の仮眠を取る際は、時間帯やそのあとの予定を考慮することを忘れずに。
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効果的な仮眠の取り方
仮眠の効果を最大限に引き出すには、タイミングや環境づくりが重要。ここでは、より効果的に仮眠を取り入れるための具体的な方法を紹介する。
- 起きてから約8時間後に仮眠する
- ベッドより椅子で寝る
- 暗く静かで涼しい環境をつくる
- 仮眠前に軽いストレッチをする
- 明るい光を浴びて脳をスッキリさせる
- 仮眠する前にコーヒーを飲む
起きてから約8時間後に仮眠する
人間の体内時計は、起床から約8時間後に自然と眠気が高まるように設計されている。この時間帯は体内時計の関係で弱い眠気が起こるため、脳の覚醒を保つ神経の働きも一時的に低下するため、スムーズに仮眠に入ることができる。たとえば朝6時に起きたら、午後2時前後が理想的な仮眠タイム。
ベッドより椅子で寝る
短時間の仮眠では、深く眠りすぎないことが重要なポイント。ベッドで横になると深い眠りに入りやすく、仮眠時間をオーバーするリスクが高まる。
オフィスであれば、椅子の背もたれを少し倒すか、デスクに軽くうつ伏せになるのがおすすめ。自宅でも、ベッドよりはソファやリクライニングチェアなど、軽く身体を預けられる場所で仮眠を取るほうが、ちょうどよい眠りを得やすい。
暗く静かで涼しい環境をつくる
質のよい仮眠のためには、環境づくりも大切。部屋が明るいと脳が覚醒しやすくなるため、カーテンを半分閉めたりアイマスクを使うとよい。音が気になる場合は、リラックスできる音楽やホワイトノイズを流すのもおすすめ。
仮眠前に軽いストレッチをする
仮眠前に軽くストレッチをして血流を促すと、入眠しやすくなる。デスクワークなどで固まった首・胸・肩回りをほぐして柔軟性を高め、血流をよくしよう。
頭頂部に指を立てて軽く前後に動かし、後頭部を上下にやさしく押すとよい。手を頭の後ろで組み、左右に倒したりあごの下に親指を当てて前側を伸ばしたりするだけでも、首のストレッチになる。
あわせておこないたいのが呼吸法。鼻から3秒吸い、口から5秒吐く呼吸をゆっくり5セット繰り返すことで、交感神経から副交感神経への切り替えがスムーズになり、入眠しやすくなる。
明るい光を浴びて脳をスッキリさせる
朝起きたときと同じように、仮眠後に明るい光を浴びると脳に「活動の時間」と伝える信号になる。
屋外に出るのが難しい場合も、カーテンを開けて窓際に移動するだけでも効果がある。自然光が得られない環境では、照明を明るくしたりデバイスの画面光を代用したりするのも1つの手段。
仮眠する前にコーヒーを飲む
仮眠が終わるころに効き始めるよう、仮眠の直前にコーヒーなどのカフェインを含む飲料を摂取する「コーヒーナップ」も注目されている。
カフェインの効果があらわれるのは摂取から20〜30分後が一般的。そのため、コーヒーを飲んでから15〜20分程度の仮眠を取ると、目覚めたときにスムーズに活動を再開しやすくなる。

コーヒーナップをおこなうタイミングは、正午から午後3時の間がおすすめです。午後のパフォーマンス向上や、眠気対策としての効果が期待できます。
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「グリナ」は、おやすみ前にさっと飲むだけの手軽さも魅力。「今日は寝るのが遅くなりそう」「明日は大事な日だからしっかり眠りたい」そんなタイミングで取り入れることで、すっきりとした目覚めをサポートしてくれる。また、睡眠ケア&ストレスケアのラインナップも!気になる方は、生活習慣の見直しと合わせて「グリナ」を試してみては。
仮眠を取る際の注意点
仮眠は取り入れ方を間違えると、かえって疲労感が増したり夜の睡眠に悪影響を及ぼしたりすることがある。ここでは、仮眠を効果的に活用するために避けたい時間帯や姿勢の注意点を解説する。
- 15時を過ぎてからの仮眠はなるべく避ける
- 姿勢が悪いと身体に疲労が蓄積する
15時を過ぎてからの仮眠はなるべく避ける
仮眠を取るベストな時間帯は「正午から午後3時ごろ」までとされており、それ以降は夜の眠りに影響を与えるリスクが高くなる。とくに夕方以降に仮眠を取ると、夜の寝つきが悪くなったり睡眠の質が低下したりする可能性がある。
しかし、睡眠不足が続いている場合など、どうしても眠気が強いときは例外。たとえば、帰宅途中の電車内で15分ほど軽く目を閉じる程度なら、夜の睡眠に与える影響は比較的少ないとされている。

夕方以降に長めの仮眠を取ってしまった場合は、無理に寝ようとせず自然に眠くなるのを待ちましょう。寝つきが悪くなったときは、リラックスできる音楽や読書などで心身を落ち着かせる工夫をしてみてください。
姿勢が悪いと身体に疲労が蓄積する
仮眠中の姿勢が悪いと、せっかくの休息時間が逆効果になってしまうことがある。とくに、首や腰に負担がかかる姿勢は筋肉の緊張や血行不良を引き起こし、仮眠後に疲労感を残す原因になる。
仮眠を取る際は、首が無理に曲がらないようにする、頭の位置を少し高く保つなど、身体全体がリラックスできる姿勢を心がけよう。机に伏す場合は、クッションやタオルをうまく使って身体を支えるとよい。
仮眠に関するQ&A
仮眠は毎日取るべき?
A.可能であれば、仮眠は毎日取り入れるのがおすすめ。

仮眠には集中力の向上・疲労回復・ストレス軽減などさまざまな効果があり、午後のパフォーマンス維持に役立ちます。
また、毎日同じ時間帯に仮眠を取ることで体内時計が整いやすくなり、生活リズムの安定にもつながります。仮眠を取りやすい環境にある人は、無理のない範囲で日常に取り入れてみよう。
徹夜しないといけない。仮眠の最適なタイミングは?
A.どうしても徹夜を避けられない場合は、事前に「予防的仮眠」と呼ばれる事前の仮眠をとるのが効果的。

徹夜に入る前に90分程度のまとまった仮眠をしておくと、眠気が低減して、集中力や判断力の維持に繋がります。
また、徹夜中に強い眠気を感じた場合は、15〜20分程度の短時間仮眠を取り入れることで脳の疲労を一時的に回復できます。
仮眠は1日何回まで?
A.基本的には、1日1回の仮眠がもっとも効果的とされている。

原則1日1回ですが、夜勤のある人や慢性的な睡眠不足が続いている人は、例外的に補助的な仮眠を複数回とっても問題ないです。
寝具メーカーの研究開発部長を経て独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。著書に『『オトナ女子の不調と疲れに効く 眠りにいいこと100』(かんき出版)ほか多数。https://sleepeace.com/