
「眠りの質を高めるカギは“入眠角度”にある」。そんな新しい提案を行うのが、医療や介護の分野で長年培ってきたデータを持つパラマウントベッド。科学的根拠に基づいた「入眠角度」が、ここちよい眠りと目覚めに関係するとのことですが、実際のところはどうなのか?その真相を確かめるべく、「パラマウントベッド眠りギャラリー TOKYO」を訪れ体験してきました!「たかが10度、されど10度…」、ほんの少し背中の角度を起こすだけで入眠姿勢もすっと楽になった気がしました。

小柴 正樹さん
パラマウントベッド株式会社 経営企画本部 パブリックリレーショングループ 次長
本記事のリリース情報
ウェブメディア「Wellulu」に掲載されました
「パラマウントベッド眠りギャラリー TOKYO」へ
今回訪れたのは、京橋にあるパラマウントベッドのショールーム「パラマウントベッド眠りギャラリー TOKYO」。ギャラリーという名のとおり、眠りに関わるグッズや本、さまざまなベッドが展示されており、実際の動きや寝心地などを自分で体験できる。
──本日は、パラマウントベッド広報担当の小柴さんにお話を伺います。よろしくお願いします。素敵なお店ですね…!
小柴さん:ありがとうございます。よろしくお願いします。
──早速ですが、入眠角度にこだわったベッド、アクティブスリープの特徴を教えてください。
小柴さん:寝る姿勢を細かく調整できる特徴があります。普段みなさんが使うベッドは、フラットなものが多いですよね?アクティブスリープでは、背中を少し上げた「入眠角度」という姿勢を新しく提案しています。角度をつけることにより、身体の力が自然に抜けてリラックスしやすくなるんです。
背中を10度持ち上げる!「入眠角度」を実際に体験
──そもそも、「入眠角度」とはどういった角度なのでしょうか?
小柴さん:まずは、ぜひ実際に体験していただければと思います!最初はいつもどおりフラットな状態で寝てみてください。
まずはフラットな状態でベッドに寝てみる
小柴さん:ここから背中を上げた状態にするのですが、これが私たちが提案する「入眠角度」です。いま10度まで上げました。10度というと数字では小さい印象ですが、フラットに寝た姿勢からほんの少し上げるだけで、身体にかかる負担が軽減され、よりここちよい眠りにつながります。
初めて試された方は「少しの角度でこんなに楽になるんだ」と驚かれることが多いですが、いかがでしょうか?
背中を10度持ち上げた状態に
──10度でも、体感としてはしっかり上がっている感覚がありますね。
小柴さん:そうなんです。10度の角度は見た目にはわずかな変化に感じられますが、体感としては明らかに違いますよね。
入眠角度とは、自分に合った眠りやすい角度のこと。平らに眠るのではなく、角度をつけた姿勢のほうが、リラックスしたり、呼吸もしやすくなったりすることが、パラマウントベッド睡眠研究所のこれまでの研究から明らかになっています。入眠角度を取り入れることで、より快適でリラックスできる睡眠、そして「ここちよく眠れる」環境づくりを目指しています
では、ここで最初のフラットな状態に戻してみますね。
──いつも慣れている姿勢のはずが、10度を体験した後だとなんだか引っ張られているような感じがします…。
小柴さん:平らな状態は一見まっすぐで綺麗な姿勢に見えますが、実は身体が伸びていて、少し力が入ってしまうんです。10度でも背中を少し上げることで、上半身が緩み、より自然でリラックスした状態になるんですよ。
──「ベッド=平らなもの」という概念が覆されました!入眠角度には、そのほかにどんなメリットがありますか?
小柴さん:背中を少し上げることで、呼吸がしやすくなる効果もあります。フラットな状態で胸が圧迫されるわけではありませんが、背中を少し上げると呼吸がしやすくなるのを実感できます。この状態が、よりリラックスを促し、眠りへと導きます。とくに、寝つきが気になっている方には、一度試していただきたいです。
睡眠データを基に分析!睡眠サイクルに合わせた自分に合った姿勢とは
──寝返りに関する新しい技術もあるそうですが…?
小柴さん:寝返りは、睡眠に重要な身体の自然な動きです。ただ、背中が上がったままの状態だと、寝返りを打つ際に少し余分な力が必要になり、その結果眠りが浅くなってしまうことがあります。そこで私たちは、寝返りをサポートするためのセンサー技術を取り入れました。このように、マットレスの下に設置されたセンサーが、体の動きなどを検知し、眠っているかどうかを推測する仕組みです。
──センサーで眠りの状態を判断するのですか?
小柴さん:はい。センサーが胸や身体の動きなどの微細な変化を検知し、現在の睡眠状態を把握します。このセンサーのはたらきにより、入眠角度をつけて寝始めた場合でも寝返りがしやすいようにベッドが自然にフラットな状態に戻るように調整されるというわけです。
──すごい!眠りの邪魔をせず、ベッドが快適な睡眠環境を維持するように動くとは…。センサーは具体的にどのような仕組みになっているんでしょうか?
小柴さん:マットレスの下に設置した睡眠計測センサーが、寝ている方の身体の動き、呼吸、心拍などをリアルタイムで検知します。
そして、それらのデータをもとに、センサーが「今眠りについた」「眠りに入っている」と状態を推測。動きがゆっくりと安定し始めた場合は、眠りに入ったと推測し、ベッドがゆっくりと目を覚ましてしまわないようにデータを確認しながらフラットな姿勢に調整されます。
──ここちよい眠りには、フラットな姿勢も欠かせないポイントですね。
小柴さん:はい。フラットな姿勢は、睡眠中の自然な動きをサポートする重要な要素です。人は寝ている間に何度も寝返りを打ちます。フラットな状態だと、余計な力がかからず自然に寝返りができ、身体への負担を軽減できます。
パラマウントベッド睡眠研究所において長年研究する中で、寝つきの姿勢での寝心地、寝返りしやすさが睡眠の質に大きく影響することがわかってきています。
──寝返りのたびに目が覚めてしまうと、睡眠の質も低下してしまいますもんね。
寝返りは生理現象!マットレスの固さもポイント
小柴さん:寝返りの瞬間に目が覚めるのは、身体が無理な姿勢から抜け出そうとしている場合や、寝具が身体に合っていない場合によく起こります。寝返りは自然な生理現象であり、それを妨げない環境を整えることが、睡眠の質の向上につながります
──入眠時、睡眠中の深い眠りに続き、朝の目覚めをサポートする機能もあるんだとか…?
小柴さん:そうなんです。アクティブスリープベッドの目覚まし機能では、設定時間に応じ背中を上げることで、ここちよい目覚めを促します。たとえば、朝7時に起きる設定をした場合、デフォルトでは10度の角度にベッドが上がります。角度は約30度まで調整が可能なので、お好みで変更してください。もしもベッドが動き始めたタイミングで、「もう起きました」という場合には、動作をストップさせることもできますよ。
──目覚まし時計ならぬ、目覚ましベッドが起こしてくれるような感覚ですね。
マットレスの固さは、好みや寝方・ライフステージに合わせて
小柴さん:また、マットレスには6つの部位(頭、肩、腰、骨盤、脚、足)ごとに硬さを調整できる機能を搭載しています。「人それぞれ好みや寝方が異なる」という考えのもと、一人ひとりの異なるニーズに応えるため、部位ごとに硬さを調整できる仕組みを採用しました。
マットレスの硬さが身体に合わないと、ベッドに横たわったときの最初の感覚や、寝返りを打つときの力加減にも影響を及ぼします。とくに、硬さが合わないことで寝返りがスムーズにいかず、余計な力が必要になった場合、睡眠の質を損なうこともあります。
──マットレスの硬さも、質の良い睡眠のために重要な要素なんですね。硬さを変えることに着目されたのはどのような理由からでしょうか?
小柴さん:大きな理由としては、好みや寝方が人それぞれ異なることです。たとえば、仰向け寝の方と横向き寝の方では、重さがかかる部分が異なります。また、肩幅が広い方や腰が細い方などの違いによっても自分にあった硬さは変わってきます。
従来のマットレスでは全体が同じ硬さで作られることが多かったですが、それでは十分に個人の好みや寝方に対応しきれないという課題がありました。この背景から、硬さを部位ごとに変えるという発想に至りました。
──たしかに、私は横向きで寝ることが多いですが、肩に重みを感じることがあります。肩の部分だけ柔らかくできたらずっと寝心地が良さそうですね。
小柴さん:そうなんです。硬さが調整されることで、身体への負担が軽減されます。たとえば、肩が柔らかく支えられることで圧迫感が軽減され、ラクに感じたり、腰や骨盤はしっかりと支えられることで、姿勢が安定し寝返りが行いやすくなったります。このように、各部位に適切なサポートをすることで、快適な姿勢を保ちやすくなり、ここちよい眠りにつながるんです。
──個々のニーズに応じて、部位ごとに細かく硬さを調整できるのは魅力的ですね。
小柴さん:さらに、私たちは「一度決めた硬さがずっと自分にあっているとは限らない」という点にも注目しました。人の身体は日々変化し、疲労度や季節、気分によっても快適と感じる硬さは異なります。そのため、その日の状態に合わせて硬さを変えられることが、快適な睡眠環境のために重要だと考えます。
疲れが溜まっている日には「包み込まれるような柔らかさ」を求める一方、シャキッとした目覚めが欲しい日には「腰や背中をしっかり支える硬めの設定」を求めていたり。
寒い時期には柔らかさを増して身体を包み込むようにすると快適に感じられる一方、暑い時期には通気性を重視して少し硬めに調整したり。
その日の気分に合わせ、自由にマットレスの硬さを調整できることが、睡眠をより満足度の高い豊かなものにしてくれると思います。
──ちなみに、部位ごとの硬さはどのように調整しているのでしょうか?
小柴さん:マットレスは、頭、肩、腰、骨盤、脚、足の6つの部位に分かれており、それぞれの硬さを調整できます。エアセルの空気量を変えることで柔らかさを1~10の段階で設定でき、その組み合わせは理論上100万通り以上になります。これがその日の好みや気分に合わせた「自分だけの設定」を作り出せる仕組みです。
なお、すべての操作はスマートフォンの専用アプリでおこなえます。空気の出し入れがリアルタイムで反映されるので、自分の理想の寝心地をその場で試しながら調整できますよ。
──ライフステージによって自分にあった硬さも変わってきますか?
小柴さん:そうですね。たとえば、妊娠中の方は横向き寝が増えるため、肩や腰に負担がかからないよう柔らかめに設定したり、腰や背中に負担を感じやすい場合は、腰部分をしっかり支えながらも圧迫感が出ないよう調整したりすることができます。
ただ、実際には個人の好みによる違いが大きいです。最初はさまざまな設定を試しながら、自分が「これだ!」と思える硬さ、そして角度を見つけていただくのが理想的ですね。
──いろいろと試したうえで、角度も硬さも「自分ポジション」を見つけることが大切ですね!
小柴さん:多くの人に、ご自身にマッチした「自分ポジション」が見つかったら、私たちとしても嬉しいです。自分ポジション探しのポイントとして、スマートフォンの専用アプリには睡眠スコアを可視化する機能が搭載されています。「この設定で眠ったときのスコアが良かった」というデータを参考に、自分だけのポジションを調整していく楽しさもありますよ。
──睡眠改善プログラムなど、専用アプリには睡眠スコアを可視化できる機能が搭載されているとのことですが、どのように活用できるでしょうか?
小柴さん:睡眠中のいびきを録音し、データを記録することができます。いびきは、睡眠の質に影響を与えるだけでなく、場合によっては健康状態のセルフチェックの指標となることもあります。いびきの可能性が可視化されることで、自分では気づきにくい就寝時の状態を把握し、改善への取り組みへとつながります。
睡眠改善プログラムは、蓄積された睡眠データをもとに、パラマウントベッド睡眠研究所の知見を活用し、具体的な提案をおこなうものです。たとえば、「夕食後のカフェインを控えてみてください」「入眠角度を10度以上とし、自動運転停止角度を5度以上にしてみてください」など、個人のデータにもとづいたアドバイスを提示しますよ。
──マットレスについてだけでなく、生活習慣に関してのアドバイスもくれるんですね!
小柴さん:はい。日常生活全般へのアドバイスを含めることで、睡眠そのものだけでなく、1日の活動全体を通じて健康的なリズムをつくるサポートをします。
睡眠の可視化は、自分の睡眠を客観的に知る手助けになります。前夜の体動の状況やいびきの有無などを確認することで、自分の睡眠を振り返れますよね。そのデータをもとに、「今夜は角度を調整してみよう」、「寝る前の環境を見直してみよう」などの改善の指針にしていただけます。そして、翌朝また睡眠スコアが見えることで、「昨日よりスコアが上がった!」と小さな達成感を得ることができ、睡眠に前向きに向き合うモチベーションにつながると思います。
眠りを前向きに楽しんでほしい!小柴さんへインタビュー
──本日はありがとうございました!改めて、アクティブスリープにはどのような想いが込められているのかお伺いできますか?
小柴さん:「アクティブスリープ」という名前のとおり、眠りを単なる休息の時間ではなく、前向きでポジティブな活動の一部として捉えていただきたいという想いが込められています。ここちよい眠りを実現することで、朝の目覚めがスッキリし、1日をアクティブに過ごせるようサポートしたいですね。
また、自分専用にカスタマイズしたベッドで眠るという特別感が、睡眠そのものを楽しみな時間に変えてくれると思います。「今日もここちよく眠れる」と感じていただけるような製品を目指しています。
──初めて体験する「入眠角度」も新感覚でした。
小柴さん:もともと、パラマウントベッドは医療向けのベッドを取り扱っていることもあり、背中を少し上げた姿勢が呼吸を楽にし、患者さんの身体の負担を軽減するという研究が基礎になっています。この知見を一般的な睡眠環境にも応用できないかと研究を重ねた結果、今回の「入眠角度」という新提案につながりました。
──お客さんの声がきっかけになったエピソードがあれば教えてください。
小柴さん:製品開発で、お客様の声は重要な指針となっています。たとえば、初期のモデルでは平らな状態に戻る機能しかありませんでしたが、「完全に平らではなく、少し傾斜をつけたままにしてほしい」という声をいただき、アップデートを行いました。そのほか、部位ごとの硬さ調整機能なども、お客様とのコミュニケーションを通じて生まれたものです。
──この入眠角度の考え方が、どのように日常の睡眠習慣を変える可能性があると思いますか?
小柴さん:入眠角度は、睡眠の新しい可能性を開く1つの提案です。医療や介護の現場で培った知見を日常に取り入れることで、これまで当たり前とされてきた平らなベッドでの睡眠に新たな選択肢を提供します。
この考え方が広がることで、睡眠が「ただ休む時間」ではなく、翌日の活力を高めるための積極的な活動の一部として位置づけられるようになるとうれしいです。毎晩の眠りが楽しく、前向きな体験になることで、生活全体の質を向上させることが目標です。
──いきなりマットレス購入は難しい…という人でも、入眠角度を日常生活で試せるようなアイデアはありますか?
小柴さん:たとえば、背中に少し角度をつけるように枕を活用したり、マットレスの硬さを変えたりなど、小さなことから良い睡眠への工夫は始められます。入眠角度を取り入れる第一歩として、ぜひ取り入れてみてください。
なによりまずは、自分に合ったものを楽しみながら探してみる、という気持ちが大切です!私たちも、「それぞれの人に合う」ことを大切に、角度や硬さを提供することで多くの人の良い眠りに貢献できたらと考えています。みなさんの日々の眠りが変わることで、翌日がもっと元気で楽しい一日になることを心から願っています。
──小柴さん、本日はありがとうございました。
Wellulu編集後記:
初めての入眠角度体験。百聞は一見にしかずというように、一度寝てみることでマットレスの角度や硬さの違いを身をもって感じられました。また、お話しをする中で、「眠りを楽しんでほしい」と話す小柴さんの、睡眠を「楽しむ」という言葉が印象に残っています。眠りは毎日のこと。入浴剤を選ぶことで今夜のお風呂が楽しみになるように、マットレスの角度や硬さを選ぶことで今夜の睡眠が楽しみになるようになればいいなと思わずにはいられませんでした。自分に合った特別なベッドで眠れる満足感が、眠りと翌日のパフォーマンスの質を上げてくれるのだと感じました。
今回体験した場所 |