草津温泉のウェルビーイング体験

Wellulu 編集部プロデューサー

堂上 研

ウェルビーイングな草津を訪れた。湯畑との出会い。

6月6日快晴、Welluluの取材で草津を訪れた。軽井沢駅から車で約1時間。
草津のイメージは、温泉くらい。ただオールシーズン観光客が訪れていると聞いていたし、リピーターが多いとも聞いていた。

先日、ウェルネスツーリズムの取材をさせていただいたけれども、地域にはその土地ならではの魅力がある。そこに訪れた人が、何をもってウェルビーイングに感じるのだろうか?

最初に車が到着したのは「湯畑」。草津の象徴的な場所だ。平日だけれども、たくさんの観光客がいる。中国や韓国などの海外からの観光客も多い感じだが、全体的に若い女性同士、老夫婦が比較的多い感じがした。

湯畑の先に、故岡本太郎氏の草津への想いが書かれたものに出会う。この湯畑の設計が岡本太郎さんのものだったとはじめて知った。

草津の未来をえがく

東京から至近距離にあるにもかかわらず、まだ荒らされていない雄大な自然。神秘的な白根山の頂き、スケールの大きな高原の変化に富んだ美しさ。快適な気候。そして、湧出量の豊富な温泉の町・・・・・。

健康のための保養地。また人間解放のレクリエーションの場として、疎外され乾いた現代人の心身をいきいきとよみがえらせる絶好の条件をそなえている。

岡本太郎

これはまさに、現代社会にウェルビーイングを感じることの必要性を問いているのでは、と感じるものである。 湯畑の湯気がモクモクと、青空に向かって立ち上っていく。

これは、何か自分の身体と向き合って、何か無心になっている状態と感じた。 夜になるとライティングと湯気が印象的だった。

湯もみによる草津温泉の価値

歴史ある「湯もみ」と踊りのショーを見させていただいた。
草津節という踊りからはじまり、5人の女性による「湯もみ」の実演。唄と掛け声がこの地域ならではの伝統を感じた。湯気がもくもくとあがっているところを見ると相当温度が高いことが分かる。

あとで聞くと、44度くらいとのこと。昔はもっと温度が高かったらしい。 この高温の温泉を薄めず、湯もみすることで熱い温泉につかる。

この地域の魅力はここに原点があるように感じた。 僕が草津に到着する前に、「時間湯」という伝統的な体験をやった同僚がいた。

彼らから話を聞いたことが面白かったので、ここに記す。

「時間湯(今は伝統湯)」は、現在では1日に実施する時間が決まっていて、その時間に行くと専用の浴室に入れてもらえる。以前は湯長がリードしてくれていたが、今はいなく(湯長は、街から選ばれるそうで、かつては女性の湯長がいたそうだ。)それぞれで行うようだ。

やり方はポスターに書かれているが、たまたま常連さんが同席され、やり方をご指導いただきながら体験した。 まずは、裸足になって、湯もみをする。常連さんが歌う草津節に合わせて、もみ板をまわす。 もみ板がお湯の抵抗で重く、なかなかうまくいかない。そこにも板を持ち直したりとコツがあるそうだ。

「ちょいな、ちょいな」と合いの手を入れるそうだが、どのタイミングで入れると良いかわからない。 湯もみが終わると全裸になり、まず身体にお湯をなじませる。ただし熱いので全身にいきなりお湯をかけられない。

まずは足に20回かける。まあまあ熱い。だんだん慣れてくる。 次に頭にかけるのだが、身体全体にかけてはいけないので、頭を湯舟に突き出して、四つん這いになる。頭に30回かける。これが長く感じられる。

いよいよ湯舟に入る。3分間入るそうだが、隣の砂時計を見ながら、常連の方が、あと何分かなど掛け声を出してくださる。その掛け声に合わせて、「揃って3分~」「オーッ!」という掛け声でかえす。

草津独自の伝統的入浴方法で、現在でも湯治に使われているそうだ。 お湯の深さは1mくらいなので、中腰ではいる。温泉の成分が水圧で入りやすくするために深くしているそうだ。

湯船からあがったら、汗やお湯をタオルで拭き取ってはいけない(拭くと身体が冷えてしまう、とのこと)。脱衣所でタオルで身体を包み蒸して熱を逃さないようにして休憩する。

急激な血圧の変化を防ぐために、頭部を下げ、全裸で体育座りをして休む。
全裸で四つん這いと、全裸で体育座りをしている男たちの絵をイメージしただけでなんか面白い。

この休憩が終わり、立ち上がると爽快感を感じる。今でいう「整う」に近い感覚だ。
草津温泉は高温で、酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉という非常に殺菌力の強い性質を持っているそう。

この温泉に安全に入るために編み出された伝統入浴法が時間湯であると聴いた。

僕自身は、ちょうどこの「時間湯」体験が終わったあとに草津についたので、この体験はできなかったが、こういう歴史から学べる文化も、その土地ならではのウェルビーイング体験につながる感じがする。上毛新聞によると、2021年に草津温泉の「時間湯」が「伝統湯」へと条例改定し、名称変更したそうだ。

伝統的な文化と歴史、そこに集う人たちで新たなその街の価値をつくる。これが故岡本太郎氏の言う、「人間解放のレクリエーションの場」と捉えていいのだろう。 この草津の魅力は、まわりの緑の木々や温泉、そして歴史的な文化と人とのつながりにあるのだと感じるものになった。

旅館の食事による過食

夜は、旅館の食事がコース料理で出た。これも良き時代の旅館が踏襲されている感じだ。おもてなしという世界に「あれも、これも。」という小鉢がたくさんあり、肉もあれば、寿司も出る。明らかに食べ過ぎてしまう。

朝ごはんも同様だ。美味しい温野菜は良いとして、ごはんに味噌汁、焼き立てのパン。

整食法を実践して約3週間、久しぶりに朝ごはんをちゃんと食べた。出張や会食によって、「この日だけは」とついつい甘えが出てしまう。

結果、今朝の体重は83.1㎏(またまた増えてしまった) 。

今から軽井沢に車で帰る。帰りの車でお土産で買った「おんせん饅頭」も美味しすぎた。 どんどん、誘惑に負ける。どんどん、胃袋が大きくなる。 命の叫びを聞けず、甘い自分は毎度反省する。 明日と明後日は、ちょっと食生活を考えなおそう。

草津のウェルビーイングな1泊は、不思議な体験との出会いだった。こういう旅先での新たな出会いや挑戦は、人をウェルビーイングにしてくれるものだと感じる十分な時間を過ごした。

Wellulu取材記事

堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

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