
スーパーでもさまざまな種類が販売されており、日本の食卓でもなじみ深い食品のキムチ。発酵食品として健康効果が期待でき、、ダイエット中に積極的に取り入れる人も増えている。この記事では、キムチのダイエット効果、取り入れ方、注意点など解説。市販キムチの選び方や保存方法も紹介するので、参考にしてみよう。
この記事の監修者

荒井 名南さん
管理栄養士/健康食育ジュニアマスター/離乳食アドバイザー/フードスペシャリスト
キムチのダイエット効果
キムチには、どのような働きがあるのだろうか。ダイエットに嬉しいキムチのおもな効果として、以下の4つが挙げられる。
- 腸内環境を整える
- カプサイシンによる血行の促進
- 低カロリー・低糖質
腸内環境を整える
キムチには「乳酸菌」が含まれているため、腸内の善玉菌を増やし腸内フローラのバランスを整えることで、腸内環境をすこやかに保つことができる。また、乳酸菌を含む食品は、「体調維持」「食事のバランス」を整えるのに役立つ。食事に取り入れて、日々のダイエット・健康管理を意識した生活に役立てよう。

免疫機能(免疫細胞)の70%ほどは腸にあるため、腸内環境を整えることで、免疫力の向上にもつながります。
カプサイシンによる血行の促進
「カプサイシン」は唐辛子に含まれる辛味成分でキムチにも含まれている。カプサイシンは身体を温める働きがあり、「血流促進」や「疲労回復」などをサポートする。運動と組み合わせることで、さらに脂肪が燃焼しやすくなるので、無理なく継続的に取り入れるのがおすすめ。
低カロリー・低糖質
キムチ100gあたりのエネルギーは「約15~30kcal」で、糖質も「約2~3g」と少ないため、日常の食事に取り入れやすい。
普段の食事にうまく組み合わせることで、栄養バランスの取れた食生活を続ける手助けになる。とくに一般的な食事では食物繊維が不足しがちだが、キムチには食物繊維も含まれているので、不足分を補うのにもぴったり。

キムチは食物繊維も含むので、腸内環境を整えるのに役立ちます。低エネルギーでありながら栄養価が高いため、適量を食事に取り入れてみてください。
ダイエット中のキムチの取り入れ方
ダイエットにキムチを取り入れる際は、以下のポイントをおさえよう。
- できるだけ加熱しない
- 色々なアレンジをしてみる
- 適切量を守って食べる
できるだけ加熱しない
キムチのダイエット効果を最大限に活かすには、できるだけ加熱しないことがポイント。過度に加熱すると、キムチに含まれる「乳酸菌」や「酵素」の働きが落ちてしまう可能性がある。
ただし、軽く温める程度なら問題ない。また、キムチチゲなどの料理を作る場合は、最後に生のキムチを加えることで、大事な成分を落とさずに食べることができる。
色々なアレンジをしてみる
単調な食べ方では飽きてしまうため、ダイエット中にキムチを取り入れるには、さまざまなアレンジを試してみることがおすすめ。「キムチを使ったサラダ」「キムチ入りのスープ」など、低エネルギーでありながら満足感のある料理を作ってみよう。
とくに具だくさんのサラダやスープは、野菜の摂取量も自然と増えるのでおすすめ。キムチと相性のよい食材(豆腐、きゅうり、レタスなど)と合わせることで、栄養バランスも整いやすくなる。

簡単に試せるアレンジとして、キムチをドレッシングのように使うのがおすすめです。「春雨」「千切りきゅうり」「ハム」「カニカマ」などの食材に「刻んだキムチ」「ごま油」「ポン酢もしくはしょうゆ」で和えるとおいしいです。そのほか、冷奴にキムチをトッピングしたり、みそ汁に加えるのもおすすめです。
適切量を守って食べる
キムチは製造の過程で多量の食塩が使われている。そのため、キムチを過剰に摂取してしまうと塩分のとりすぎにつながる可能性があるため注意しよう。一般的に、1日の摂取量は「50g程度」が目安。
また、キムチは主食や主菜の代わりにするのではなく、「副菜の味付け」「ごはんのお供」として取り入れるのがおすすめ。主食・主菜・副菜のバランスを整えた食事の中で、キムチを効果的に活用することがポイント。

毎日食べることがよくないわけではないですが、塩分過剰な食生活にならないかが懸念点です。食品成分表によると「キムチ100gには食塩が2.9g」含まれていますが、食事摂取基準において塩分量の目標量は「成人男性で1日7.5g」「成人女性で1日6.5g」となります。
そのため、キムチ100gでは1日の塩分量の半分近くをキムチでとってしまうことになるので、小皿に取る程度(前述した50g程度)を目安に取り入れましょう。お漬物皿くらいの小皿に盛るようにすると、適量を守りやすいです。
キムチと相性のよい食べ物
キムチと相性のよい食材として、「豆腐」と「焼肉」があげられる。ここでは、組み合わせることによる効果と、おすすめの取り入れ方を紹介。
- 豆腐:低エネルギーでタンパク質が豊富
- 焼肉:タンパク質と野菜を同時にとれる

キムチには食塩が含まれているため、たくさん食べると塩分過多になる可能性があります。食塩(ナトリウム)を体外に排出するカリウムが含まれている「野菜」「芋」「海藻類」も、キムチと合わせる食材としておすすめです。とくに、「ほうれん草」「にんじん」「ひじき」などを意識してとるとよいと思います。韓国では、「焼き芋」と「キムチ」を一緒に食べることも多いそうです。
豆腐:低エネルギーでタンパク質が豊富
「キムチ」と「豆腐」は抜群の相性。豆腐にキムチをのせるだけで、キムチのピリ辛さがアクセントとなり満足感のある一品に。また、「絹ごし豆腐100gあたり約56kcal」とエネルギーは少なく、ダイエット中でも安心して食べられる。
さらに、豆腐と合わせることで、キムチには含まれていない良質なタンパク質を摂取することができる。
焼肉:タンパク質と野菜を同時にとれる
肉は良質なタンパク質源で、栄養バランスを整える上でもよい組み合わせ。また、焼肉の付け合わせの野菜に加えてキムチを食べると、食物繊維の摂取量を増やすことができる。健康的な食生活を意識しながら、満足感も得られる組み合わせ。
ダイエット中に焼肉を楽しむ際は、脂身の少ない部位を選び、肉だけに偏らないようご飯も適量食べて無理なく栄養バランスのよい食事を心がけよう。
市販のキムチ選びのポイントと保存方法
スーパーではさまざまな種類のキムチが販売されているが、どのように選べばよいだろうか。ここでは、市販のキムチを選ぶ際のポイントと、正しい保存方法を紹介。
- 発酵キムチを選ぶ
- 添加物・糖質の含有量が少ないものを選ぶ
- 発酵しすぎないよう空気に触れない涼しい場所で保管する
発酵キムチを選ぶ
キムチは発酵過程で「乳酸菌」「ビタミン類」が生成される食品。そのため、とくに「発酵キムチ」を選ぶことで、より高い栄養価で豊かな風味を楽しめる。
発酵キムチの特徴は、程よい酸味と複雑な風味。新鮮なキムチに比べて発酵が進むことで辛みが和らぎ栄養価も高まる。そのため、辛いものが苦手な人などさまざまな好みに対応できる。
発酵の度合いは、パッケージの製造日を参考にして、自分の好みに合ったものを選ぼう。

「熟成発酵タイプ」>「低温熟成タイプ」>「浅漬けタイプ」と、発酵によって乳酸菌の量が異なります。浅漬けタイプのキムチには乳酸菌が含まれないので、パッケージをよく見て選びましょう。
「オイキムチ(きゅうりのキムチ)」「白菜キムチ」「カクテキ(大根のキムチ)」など、種類はどれでも構わないですが、白菜キムチに比べ、オイキムチやカクテキの方が硬いので「よく噛んで食べる」という観点からおすすめです。
添加物・糖質の含有量が少ないものを選ぶ
添加物や糖質の摂取を抑えたい場合は、低糖質で添加物が少ないキムチを選ぶことで、よりダイエットや健康的な食生活をサポートできる。
キムチを購入する際は原材料表示を確認し、「天然由来の原料が主体のもの」を選ぶのがおすすめ。調味料として「人工甘味料」「砂糖」が使われている場合もあるので、合わせてチェックしてみよう。

「添加物」「甘味料」などを加えて酸味・辛みを抑えられているキムチは、浅漬けのような状態であり発酵食品としてカウントできません。また、原材料名の表示は使用した原材料に占める重量の割合の高いものから順に記載されるので、甘味料や砂糖がどの程度含まれているのか確認するための基準になります。できるだけ上部に甘味料などの記載がないものを選びましょう。
発酵しすぎないよう空気に触れない涼しい場所で保管する
最適な保存場所は、冷蔵庫の「野菜室」や「冷暗所」。温度が5℃前後に保たれる環境が理想的。高温や直射日光は発酵を加速させるため、避けるようにしよう。保存容器は空気が入りにくい密閉型を選び、酸素との接触を最小限に抑えることで、過度の発酵や雑菌の繁殖を抑えることができる。
適切に保存すれば、「1〜2週間程度」は酸味を感じすぎずおいしく食べられることが多い。ただし、保存状態によって異なるため、開封後はできるだけ早めに消費しよう。
ダイエット中にキムチを食べる際の注意点
ダイエット中の食事に積極的に取り入れたいキムチだが、食べ過ぎてしまうと塩分過多や胃腸に負担がかかってしまうことも。ダイエット中にキムチを食べる際は、以下の注意点を守るようにしよう。
- ほかの食事と一緒に摂取して胃腸への負担を軽減する
- 少量から食べて身体の反応を確認する
- 補助的に摂取してほかの食材で栄養バランスを整える
ほかの食事と一緒に摂取して胃腸への負担を軽減する
キムチには辛み成分「カプサイシン」が含まれる唐辛子が使われており、身体を温める働きがある。一方で、胃酸の分泌を促進するため胃腸に負担をかける可能性も。とくに胃腸が弱い人は、摂取量に注意することが大切。
胃腸への負担を軽減するためにもキムチは単体で食べるのではなく、ほかの食材と組み合わせて摂取するのがおすすめ。少量のごま油でさっと炒めることで、辛さを和らげられる。また、チーズなどの乳製品と一緒に食べることで、辛さが中和されて食べやすくなる。
少量から食べて身体の反応を確認する
キムチにはさまざまな原材料が使用されているため、アレルギー反応に注意が必要。とくに、エビやカニなどの「甲殻類」、「魚介類」「大豆」「小麦」などのアレルゲンが含まれている可能性がある。アレルギー体質の場合、初めは少量を食べて身体の反応を観察するようにしよう。
アレルギー症状が出た場合は、すぐにキムチの摂取を中止して医療機関を受診すること。 症状が軽度であったとしても、継続的な摂取は避けるべき。アレルギーが心配な場合は、原材料をしっかり確認して商品を選ぶか、自家製キムチを作ることでアレルゲンをコントロールできる。

市販のキムチにはまれに「青魚」などが含まれるものもあるため、アレルギーをお持ちの人は購入前に成分表示をしっかりと確認しましょう。
補助的に摂取してほかの食材で栄養バランスを整える
キムチは栄養価が高いが、過剰摂取は栄養バランスの崩れにつながる可能性がある。あくまでもバランスの取れた食事に補助的な役割で摂取することが望ましい。
前述した通り、1日のキムチ摂取量は「50g程度」を目安とし、キムチ以外の「野菜」「タンパク質源」「炭水化物」もバランスよく摂取することが大切。また、キムチと相性のよい食材(豆腐、卵、野菜など)を知ることで、自然と栄養バランスを整えられる。
ダイエットとキムチに関するQ&A
キムチの辛さは控えめなものでも効果はある?
A:効果は期待できるので、食べやすく続けやすいものを選ぼう。

発酵キムチの中にも辛みが少なく食べやすいものはあります。また、唐辛子が多い方がよいというわけでもないので、食べやすく続けやすいものを見つけるのがおすすめです。
ダイエット中にキムチを食べるデメリットはある?
A:カプサイシンの食欲増進作用に注意

空腹の状態で食べると胃壁を刺激しやすく、胃液が多く分泌されて食欲が増すことが考えられます。あくまでも「食事の中に」取り入れるようにしましょう。
保育園での給食運営・食育指導の経験がある管理栄養士。しっかり食べながら、1年半で10kgのダイエットに成功した経験を生かし、ダイエット指導を行うほか、子どもの食や健康に関する記事の執筆や監修を行っています。食品メーカーのサイトや雑誌に執筆記事多数掲載。「親子のしあわせごはん」をテーマに、「取り分け離乳食」や野菜を使った簡単レシピの開発、飲食店へのメニュー提供、商品開発なども行っています。千葉県出身、2児の母。