
ダイエット中の間食としても重宝されている「高カカオチョコレート」。適切にチョコレートを取り入れることで、基礎代謝の向上や食べ過ぎ防止など、ダイエットに嬉しい効果が期待できる。この記事では、チョコレートのダイエット効果、ダイエットに最適なチョコレートの選び方・取り入れ方、食べる際の注意点などを解説。
この記事の監修者

神原 李奈さん
管理栄養士・食育栄養インストラクター
チョコレートのダイエット効果
チョコレートを食べることでどのようなダイエット効果が期待できるのか。ここでは、おもな効果を詳しく紹介。
- 基礎代謝アップで痩せやすい身体に
- 満腹感が持続し食べ過ぎを防止
- 食物繊維が便通を改善
- ストレス軽減効果
基礎代謝アップで痩せやすい身体に
カカオには「テオブロミン」という物質が豊富に含まれている。テオブロミンはカフェインに似た作用を持つ物質で、血管を拡張し、血流を改善することで、代謝の向上を助ける。
また、チョコレートに含まれる「マグネシウム」には酵素の働きを助けることで正常な代謝をサポートする効果がある。さらに、チョコレートに含まれる「鉄分」も代謝を支える役割を果たす。
ただし、基礎代謝を向上させるには筋肉量を増やすことが大切。運動をすることで日常生活でのエネルギー消費量が増えれば、より痩せやすくなる。
満腹感が持続し食べ過ぎを防止
チョコレートに含まれる「脂肪」は消化に時間がかかり胃内に長くとどまるため、満腹感が持続して食後時間が経っても空腹を感じにくい。また、ゆっくり味わって食べることで、心理的な満足感が得られる。この満足感が過食を防ぎ、結果的にエネルギー摂取量の抑制につながる。
ただし、チョコレートは高エネルギーな食品であるため、適量を守ること。1日の摂取量は「20〜30g程度」を目安とし、ほかの食事とのバランスを考慮しながら取り入れることが大切。

チョコレートは食後や間食に食べることで次の食事までの空腹感を緩和することにつながります。ただし、夕食後は体脂肪の蓄積を避けるためにも、チョコレートなどの脂質量の多い食品の摂取は控えるようにしましょう。
食物繊維が便通を改善
チョコレートには「食物繊維」が含まれており、カカオ含有量が高くなるにつれ食物繊維の量も多くなる。チョコレートに含まれる食物繊維は、おもに「不溶性食物繊維」。とくにチョコレートの原料であるカカオに含まれる不溶性食物繊維は「リグニン」というもの。
不溶性食物繊維には腸内で水分を吸収して膨張し、便のかさを増やす効果がある。これにより、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が活発になり、便秘の改善が期待できる。
ただし、ミルクチョコレートの場合、「25gあたりの食物繊維量は約1g」。チョコレートだけで十分な食物繊維を摂取することは難しいため、野菜や果物などほかの食物繊維を豊富に含む食品と組み合わせることが大切。
厚生労働省の食事摂取基準2025によると、理想的な食物繊維の1日の摂取目標量は、成人の場合「1日25g」とされている。
ストレス軽減効果
チョコレートに含まれる「トリプトファン」は、セロトニンの原料となる。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分を安定させる働きがある。チョコレートを食べて適度にリラックスすることで、ストレス性の過食を防ぐことにもつながる。
ただし、ストレス解消のためにチョコレートを過剰摂取すると、エネルギーオーバーになる。1日の適量を守り、ほかのストレス解消法と組み合わせよう。

市販のもので「GABA」が含まれているチョコレートがあります。GABAはストレス軽減効果が期待でき、とくに就寝前の摂取がおすすめです。一方で、就寝前にチョコレートを食べることは、体脂肪の蓄積につながるリスクも考えられるので、ダイエット中は注意してください。
ダイエットに最適なチョコレートの選び方
チョコレートにもさまざまな種類があるが、ダイエットに適しているのはどのようなチョコレートなのだろうか。ここでは、ダイエット中のチョコレートの選び方について解説。
- 高カカオチョコレートがおすすめ(カカオ含有量70%以上)
- チョコレート菓子は避ける
高カカオチョコレートがおすすめ(カカオ含有量70%以上)
カカオの含有量が高いほど、ダイエットに有効な成分が豊富に含まれている。そのため、ダイエット中は「カカオ含有量70%以上」の高カカオチョコレートを選ぶのがおすすめ。
高カカオチョコレートは、「ポリフェノール」「フラバノール」などの抗酸化物質が豊富。
「カカオフラバノール」は善玉コレステロールを増やす働きも期待でき、「テオブロミン」はカフェインに似た作用を持つ物質で、血管を拡張し血流を改善することで、代謝の向上をサポートする。
また、高カカオチョコレートは砂糖の含有量が少ないため、エネルギーの摂取量を抑えやすい。ただし、ミルクチョコレートより糖質量は少ないものの、脂質量は多いため注意しよう。

高カカオチョコレートの苦みが苦手な場合は、カレーなどの料理に入れてみるのがおすすめです。苦味が緩和され、食べやすくなります。
チョコレート菓子は避ける
多くのチョコレート菓子には「砂糖」「脂肪分」が多く含まれており、過剰摂取するとエネルギーオーバーになりやすい。
とくに、砂糖の過剰摂取は血糖値の急上昇を引き起こし、インスリンの分泌を促す。インスリンは血糖値を下げる働きをするホルモンで、余った糖がインスリンの働きにより脂肪として蓄積されてしまうことも。
また、チョコレート菓子には食品添加物が含まれていることが多い。もし食べる際は添加物の過剰摂取を避けるためにも、できるだけ添加物の少ない商品を選ぼう。

ダイエット中にどうしてもチョコレート菓子を食べたい場合は、カカオ含有量が多く、添加物や砂糖などの少ないものを選ぶのがおすすめです。
ダイエット中のチョコレートの取り入れ方
チョコレートはダイエット効果が期待できるものの、高エネルギーであるため取り入れ方には注意が必要。以下のポイントを意識しよう。
- 1日の摂取量は20〜30gを目安に
- 「バランスのよい食事」「適度な運動」と組み合わせる
1日の摂取量は20〜30gを目安に
チョコレートの1日の摂取量は「20〜30g」が目安。この程度の量であれば、エネルギーオーバーを避けつつ、チョコレートが持つダイエット効果を得られる。
ただし、「個人の体格」「活動量」「選んだチョコレートの種類」によって、適切な摂取量は変わる可能性がある。たとえば、高カカオチョコレートであれば、ほかのチョコレートの種類に比べ、より少ない量で効果が期待できる。
また、チョコレートは高エネルギーな食品であることを忘れずに。1日の総エネルギー摂取量の中で、チョコレートの占める割合を考慮することが大切。摂取量の目安を守りつつ、ほかの食事の栄養バランスを整えて効果的なダイエットを実現しよう。

間食の1日の摂取エネルギーの目安は「200kcal」とされています。摂取エネルギーはもちろん、「糖質」「脂質」の摂取量もほかの食事とのバランスを考慮して調整することが大切です。
「バランスのよい食事」「適度な運動」と組み合わせる
ダイエットをおこなう際は、チョコレートだけでなく、「バランスのよい食事」と「適度な運動」を組み合わせることが重要。「タンパク質」「炭水化物」「脂質」「ビタミン」「ミネラル」などを適切な割合で摂取するのが、栄養バランスのよい食事。
チョコレートとともに、「野菜」「果物」「全粒穀物」「良質なタンパク質源」を積極的に取り入れるようにしよう。これにより、チョコレートだけでは補えない栄養素を補完でき、総合的な健康維持とダイエット効果の向上につながる。
また、筋肉量を増やすと「基礎代謝量の維持・増加」につながるため、適度な運動をおこなうのも大切。
とくに筋肉量を増やしやすいのは「スクワット」などの筋トレ。ただし、運動が苦手な人は「階段を上がる」だけでも脚の筋肉は少しずつ鍛えられるので、日常的に階段を上る段数や歩数を増やす意識を持つところから始めよう。

ダイエット中は「バランスのよい食事」「適度な運動」「質のよい睡眠」「ストレス発散」を心がけましょう。
下記の記事では、「ダイエット中におすすめの運動・筋トレメニュー」や「ダイエット中の食事の基礎知識・メニュー」を紹介しているので、ダイエットに取り組む際は参考にしよう。
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ダイエット中にチョコレートを食べる最適なタイミング
チョコレートを食べるタイミングを気にしすぎる必要はないが、一般的に「食後」や「間食時」にチョコレートを食べるのがおすすめ。ここでは、ダイエット中にチョコレートを食べる最適なタイミングとその理由を紹介。
- 食後
- 間食
食後
食後にチョコレートを食べると、次の食事までの空腹感を緩和することにつながる。ただし、「夕食後」は時間的にエネルギー消費量が減り、体脂肪が増えやすいため食べるのは控えよう。食べるなら「朝食後」「昼食後」が望ましい。
また、砂糖の少ないチョコレート場合、食前に摂取することで血糖値の急上昇を防ぐ効果も期待できる。

チョコレートの種類によっては、朝食前の空腹時に食べると血糖値が急上昇することがあるため注意しましょう。
間食
間食時にチョコレートを食べるのもおすすめ。次の食事までの空腹感を緩和し、ほかの間食による必要以上のエネルギー摂取を防ぐことができる。
ただし、就寝前のチョコレート摂取はなるべく避けるよう。夜遅くの高エネルギー食品の摂取は、エネルギーを消費できずに脂肪として身体に蓄積されてしまう可能性がある。
ダイエット中にチョコレートを食べる際の注意点
ここでは、チョコレートをダイエットに取り入れる際の注意点を紹介。
- 食べ過ぎ厳禁!エネルギーオーバーに注意
- 脂質のとりすぎに注意
- カフェインやテオブロミンによる副作用に注意
- 就寝前4時間以内は食べない
- 金属アレルギーの人は摂取を避ける
食べ過ぎ厳禁!エネルギーオーバーに注意
ダイエットを成功させるためには、食べ過ぎによるエネルギーオーバーに要注意。
チョコレートの「健康効果」「美容効果」が注目を集めているが、一方でエネルギー量は多い。たとえば、「高カカオチョコレート100gあたり約540kcal」ものエネルギーがあり、これは「お茶碗約2杯分強のご飯」に相当。
チョコレートの食べ過ぎは、簡単にエネルギーオーバーを引き起こすため、1日の適切な摂取量を必ず守ろう。

チョコレートをダイエット中に取り入れる際は、とくに「ホワイトチョコレートなど糖質の多いチョコレートは避けること」「ゆっくり味わって楽しむこと」「過剰摂取を避けること(200kcal以内)」が大切です。また、チョコレートを食べた日は食事の「糖質」「脂質」の量を減らすなどの調整をするとよいです。
脂質のとりすぎに注意
チョコレートには不足しがちな不飽和脂肪酸が含まれているが、同時に「飽和脂肪酸」も含まれている。
とくにカカオバターに含まれる飽和脂肪酸は、過剰摂取すると「体重増加」「コレステロール値の上昇」につながる可能性がある。1日の飽和脂肪酸摂取量は総エネルギー摂取量の「7%以下」に抑えることが推奨されている。
また、ミルクチョコレートの場合、「20〜30gあたり約7〜10gの脂質」が含まれており、そのうち「約4〜6g」が飽和脂肪酸。チョコレートの摂取量を管理し、ほかの食品からの摂取する脂質量のバランスを考慮しよう。
ほか、チョコレートと一緒に脂質量の多い食品(ナッツやクリームなど)を組み合わせる場合は、脂質の過剰摂取を避けるためにほかの「甘いもの」「脂っこいもの」は食べないなど、食事内容を調整しよう。
カフェインやテオブロミンによる副作用に注意
とくに高カカオチョコレートは、ほかのチョコレートに比べて「カフェイン」「テオブロミン」の成分量が多くなりがち。
カフェインは中枢神経を刺激し、覚醒効果があるため、過剰摂取は「不眠」「心拍数の上昇」「不安感」などの症状を引き起こすことも。テオブロミンはカフェインよりも作用がおだやかなものの、同様の作用があり多量の摂取は避けたい。
「カフェインに敏感な人」「カフェイン摂取を控えている人」「妊娠中や授乳中の人」は、十分な注意が必要となる。
ただし、チョコレートからの「カフェイン」「テオブロミン」の摂取量は少量であるため、過度に心配する必要はない。ただし、カフェインが体質的に合わない人は「カフェインの含有量の少ないミルクチョコレート」を選ぶなどの工夫をしよう。
就寝前4時間以内は食べない
チョコレートに含まれる「カフェイン」「テオブロミン」は覚醒作用があり、睡眠の質を低下させる可能性がある。良質な睡眠はホルモンバランスを整え、ダイエットをサポートしてくれる。睡眠不足になると食欲を増進させたり、代謝を低下させることも。
また、夜間は活動量が減りエネルギーを消費しにくくなるため、摂取したエネルギーを消費しきれず、体脂肪として蓄積されてしまう。
さらに、就寝前のチョコレート摂取を続けていると「逆流性食道炎」などの消化器系の問題を引き起こすことも。チョコレートを「就寝前4時間以内」に食べることは控えて、日中に食べるようにしよう。
金属アレルギーの人は摂取を避ける
ダークチョコレートには微量の「ニッケル」が含まれていることがあり、金属アレルギーの症状を引き起こすことも。
ニッケルはチョコレートの原料であるカカオ豆に自然に含まれる金属で、カカオ含有量が高いほどニッケルの含有量も高くなる。金属アレルギーの人がニッケルを含むチョコレートを摂取すると、「皮膚炎」「消化器系の不快感」などのアレルギー症状が現れる可能性がある。
なお、チョコレート以外のカカオ製品(ココアパウダーなど)も同様にニッケルを含むことがあるため要注意。
ダイエット中のチョコレートに関するQ&A
ダークチョコレートでも高カカオチョコレートと同じような効果はある?
A:カカオ含有量が高ければ可能性はある

ダークチョコレートでもカカオ含有量が高ければ、高カカオチョコレートと同様の効果が期待できる可能性があります。
高カカオチョコレートに血糖値上昇を防ぐ効果があるのは本当?
A:食後血糖値の上昇をゆるやかにする可能性がある

高カカオチョコレートは一般的なチョコレートよりも糖質量が少なく、脂質が多く含まれるため、食後血糖値の上昇をゆるやかにする可能性があります。
日系航空会社のCAとして働く中で不規則な食生活から健康と食の強い結びつきを実感、食の世界に興味を持つ。退職後、大手料理教室のパン講師の経験や自宅パン教室の開校を経て、専門学校に入学。その後、管理栄養士免許取得。現在外資系航空会社でCAをしながら、管理栄養士として健康や美容・食に関する情報発信をしている。