世界中に約4000種類存在するお酢の魅力とは?酸っぱくてさっぱりした味わいで食卓には欠かせない存在。食べたり飲んだり、味わいも多様でおもしろいお酢について、今回タマノイ酢の上村さん、鷲田さんに詳しくお話を伺った。
上村 那央香さん
タマノイ酢 社長室 ドリームクエスト
鷲田 さゆりさん
タマノイ酢 営業部 東京支店
2023年に入社。採用とパッケージデザインを担当し、現在は営業活動に従事。飲食店とのコラボメニューや、お惣菜コーナーの原材料としての供給を担当する。また管理栄養士の資格を活かし、社内での栄養講習や社外に向けてメニュー提供を行っている。
本記事のリリース情報
ウェルビーイングに特化した「Wellulu」にて「お酢」に関するインタビューを受けました。
世界には約4000種類も?さっぱり・酸っぱいお酢について知る
──本日はどうぞよろしくお願いします。
上村さん:こちらこそよろしくお願いします。
──お酢を使ったドリンクまでご用意いただきまして、ありがとうございます!
上村さん:こちらは、弊社商品の「はちみつ黒酢ダイエット濃縮タイプ」と牛乳を混ぜたラッシー風のドリンクです。
──とても飲みやすくて、おいしいです。お酢が苦手な人にもよさそうですね。「はちみつ黒酢ダイエット」って、いろいろと活用できるものなのでしょうか?
上村さん:そうですね。ヨーグルトに混ぜるのもおすすめです。また、弊社のWebサイトでもいくつか紹介しているのですが、一口大に切ったリンゴに加えてレンジで4分ほど加熱すると「りんごのコンポート」、醤油、サラダ油と混ぜて「ヘルシー和風ドレッシング」などもできます。
フライドチキンに混ぜてフライパンで炒めた甘辛チキンもおすすめです。
──どれもさっぱりしておいしそうです。
お酢の原料って何?
──では、お酢の種類について教えていただけますか?
上村さん:お酢の種類は大きく分けると、「醸造酢(じょうぞうす)」、「調味酢(ちょうみす)」の2種類になります。
本日ご用意したお酢は左から、穀物酢、米酢、黒酢、りんご酢、すし酢です。すし酢のみ「調味酢」で、その他は「醸造酢」です。「醸造酢」とは、穀物や果物等の原料を発酵させて作ったお酢のことで、その中でも1Lあたり穀物を40g以上含む穀物酢や米酢、黒酢は「穀物酢」、1Lあたり果実の搾汁を300g以上含むりんご酢は「果実酢」に分類されます。「調味酢」とは、醸造酢に糖分や塩分を加えて味付けをしたお酢のことです。
──なるほど。深堀りしていくと、ものすごい種類がありそうですね。
上村さん:世界には約4000種類のお酢があると言われています。
──4000種類も!
上村さん:はい。各国でつくられるお酒に紐づいた穀物や果実がお酢にも使われています。日本であれば日本酒の原料であるお米、ビール醸造が盛んな国であれば麦が使われたお酢、イタリアで生まれたバルサミコ酢もぶどうの果汁から煮詰めてつくられています。
──お酢の違いで世界地図を作ると面白そうです!
上村さん:お酢の製法として、原料(穀物や果実)をアルコール発酵でお酒にしてから、酢酸発酵(さくさんはっこう)でお酢にするため、各国のお酒と紐づいたお酢が多く存在しています。
──またお酢の種類によっておすすめの使い分けはありますか?
鷲田さん:穀物酢や果実酢はさっぱり食べられるドレッシングやサワードリンクによく合います。米酢や黒酢はまろやかな味わいで、お寿司や中華、煮込み料理にピッタリです。
お酢の製法に欠かせない酢酸発酵とは?
──アルコール発酵はなんとなくわかるのですが、酢酸発酵について教えてください。
上村さん:酢酸発酵には「静置発酵(せいちはっこう)」と「通気発酵(つうきはっこう)」の2種類があります。
静置発酵は、そのまま置き酢酸菌の力のみで発酵させる伝統的な製法で、発酵は1ヶ月程度かかります。通気発酵は、空気を送り込んで混ぜる方法で、2-3日で発酵が完了します。弊社では商品によって両方の発酵方法を使い分けています。
──なるほど。味にも違いはあるのでしょうか?
鷲田さん:そうですね。「静置発酵」はまろやかな風味が特徴で。「通気発酵」はさっぱりとしたさわやかな風味が特徴です。商品のラベルには「静置発酵」と「通気発酵」といった記載はないのですが、風味として「深い味わい」などと記載されることがあります。
油っぽい食べ物のくどさを軽減するお酢のはたらき
──お酢といえば油っぽい食べ物との相性がよいイメージがあるのですが、何か理由があるのでしょうか?
鷲田さん:そうですね。油のこってり感(食べ続けているとしんどくなってくる感覚)を軽減させるという意味で「相性がよい」と捉えている方も多いかもしれませんね。油は分子が大きく舌に残りやすいため、油っぽい食べ物を食べるとくどさを感じてしまいます。ただ、油とお酢を組みわせることで、油の大きな分子が小さく均一になりさっぱりとした感覚になります。
──お酢が油の大きな分子を小さくすることで、油っぽさを和らげていたのですね。ちなみに、お酢を摂取するとむせてしまうイメージがあるのですが、これを防ぐ方法はありますか?
鷲田さん:お酢に含まれる酢酸は、揮発性が高く喉に刺激を与えるため、むせやすいです。これを防ぐ方法として、2つの方法があります。
1つ目は、お酢を加熱する方法です。加熱すると、調理中は匂いが広がりやすくなりますが、酢酸の揮発性が高まり、匂いや酸味が飛んでまろやかになります。2つ目は、お酢を冷やす方法です。冷やすことで酸味や香りが抑えられます。
異なる種類のお酢を使いこなしておいしく健康に
──お酢を飲むタイミングや1日の摂取量を教えていただけますか?
上村さん:1日あたりの摂取量は15mlが望ましいと言われています。料理に使う場合やそのまま飲む場合でも、この量を目安に摂取してみてください。
──取り過ぎによる問題はありますか?
鷲田さん:過剰摂取についてはとくに医学的には問題はないと考えられています。ただし、大量に飲むと胃や喉に負担がかかることがありますので、基本的には薄めて飲むか調味料として使うのがおすすめです。
──調理や料理においてお酢の効果的な使い方はありますか?
鷲田さん:お酢はタンパク質を分解する作用があり、お肉を柔らかくしてくれるので、下処理として使うのがおすすめです。その他にも、食品の色を鮮やかに保つ効果や魚の臭みを消す効果、減塩レシピとしてお酢を活用している方もいらっしゃいます。
──お酢の持つ効果を使ったライフハックはありますか?
鷲田さん:お酢は酸性なので防腐・抗菌効果があり、お惣菜やお弁当の保存に役立ちます。夏場のお弁当に少しお酢をかけるだけで防腐効果が高まります。ご飯にかけたり、霧吹きでお弁当全体に軽くスプレーする方法もあります。スーパーのお惣菜などにも同様の方法が使われているんですよ。
──ほかにもお酢の特性を活用した使用方法があれば教えてください。
鷲田さん:日本人は鉄分やカルシウムが不足しがちだといわれていますが、お酢と組み合わせることで吸収率が上がるといわれています。鉄分といえばレバーに多く含まれていますが、野菜にも含まれています。レバーはもともと吸収しやすい二価鉄の状態ですが、野菜の鉄分は三価鉄という形で吸収されにくい状態です。
お酢と野菜を組み合わせると、酸性の力で二価鉄に変わり吸収率がアップします。たとえば、鉄分が豊富に含まれている小松菜やほうれん草とお酢を組み合わせるのがおすすめです。
──野菜との相性もよいとは!ちなみに、他におすすめの食べ方などはありますか?
上村さん:弊社で展開している粉末のすし酢として「すしのこ」という商品があるのですが、最近「ポテトチップスにすしのこを大さじ1杯程度混ぜるとおいしい」とSNSで話題になりました。
──おもしろいですね!ポテトチップスにかけるのは思いつきませんでした!
鷲田さん:海外ではポテトチップスのフレーバーの1つにビネガー風味があったりと割と一般的なんですよ!元々は酢飯を簡単に作れる粉末状の調味料なのですが、最近では他の変わった使い方も話題になっています。是非色々なものと組み合わせてみてほしいです。
──最後に鷲田さん、上村さんのお酢の活用方法として、何かお気に入りの食べ方があれば教えてください!
鷲田さん:中華料理になんでも酢をかけて食べるのが好きです。油っこいお肉料理にはお酢をかけてさっぱりさせています。
上村さん:私は煮物や酢の物が好きです。定番ですが、お肉料理にもお酢を使って柔らかくするのがポイントです。たとえば、さっぱり煮には大さじ6杯程度のお酢を入れています。
Wellulu編集後記
お酢というとツンとした香りと酸っぱくてさっぱりな味わいのイメージでなんとなく健康にもよさそう、なんて思っていましたが、これほどに機能性が多様とは驚きでした。食べても飲んでもおいしい、これまでは1本あれば……と思っていたお酢ですが、今回のインタビューでほかの種類のお酢にも挑戦してみたいと思いました。
2023年に入社。社長室に所属。若手のうちから商品のパッケージデザインや広報活動、採用活動など幅広い業務に従事。パッケージデザインでは手に取りたくなる商品づくりを、広報ではブランドの魅力をより伝えられることを目指している。