
ストレスを溜めないための正しい知識と考え方を、医師監修のもと徹底解説。タイプ別対処法やNG習慣、リラックス法など、実践できるヒントを紹介する。
この記事の監修者

益子 雅笛さん
こころとからだのケアクリニック人形町 院長
「ストレスが溜まる」とはどういうこと?
ストレスはゼロにできないが、うまく整えたり、やり過ごしたりすることはできる。気づかないうちに溜まってしまう疲れや感情のクセと向き合い、自分に合ったストレスマネジメントを見つけよう。
- ストレスにはさまざまな要因が存在する
- 整理できないストレスにより疲れを加速させる
- 疲れすぎるとストレスに対処できない
- 感情を引きずるとストレスはふくらむ
- 上手に「やり過ごす」ことも大切
ストレスにはさまざまな要因が存在する
本来ストレスとは「状態」のことで、さまざまな要因(=ストレッサー)に対して、心と身体が反応していることを指す。
【ストレッサーのおもな要因】
- 暑さや寒さなどの外気温
- 睡眠不足などの身体の不調
- 子育て中のプレッシャー
- 仕事やプライベートでの人間関係における悩みや不安
- 薬物や化学物質の摂取
- 細菌やウィルス、カビなどによる感染
ストレッサーについて自分はどう感じているか、困っているか、ダメージを受けているか。それによりどれくらい疲れが溜まっているか、という心身の状態が「ストレス」。自分自身の状態を正しく知れば、対処の方向もおのずと見えてくる。
整理できないストレスにより疲れを加速させる
自分のストレス状態を理解し、要因を整理できていないでいると、体力も気力もどんどん奪われる。対応すべきストレッサーの優先順位がわからず、常に身構えた状態が続き、心身が休まらない。
「今、自分は何に1番エネルギーを使っているのか?」を棚卸ししてみよう。気持ちが軽くなり、疲れを溜め込まずに済む。
疲れすぎるとストレスに対処できない
体力が弱まると、ストレスを受け止める力もなくなる。スマホのバッテリーが減れば機能が落ちるように、人も心の充電が切れると、小さなストレッサーにも過剰に反応してしまう。
育児中の夜泣きや家族の介護など、自分のペースで休めない時期はとくに注意が必要。疲れを解消してストレス耐性を上げるために、「まずは休む」を最優先にしよう。無理を続けるより、一度立ち止まるほうが回復は早い。
感情を引きずるとストレスはふくらむ
イラッとした・悲しかったなどの感情は自然な反応。ただし、それを心の中で考え続けると、やがて大きなストレスに変わってしまう。感情を上手に流せる人は、ストレスに強くなれる。自分なりの感情の「洗い流し方」を持っておこう。たとえば以下のような手法がおすすめ。
- 気持ちを書き出す
- 声に出す
- 軽く身体を動かす
上手に「やり過ごす」ことも大切
ストレスへの対処法は「向き合う」だけではない。逃げる・避ける・すり抜けるのも立派な選択肢。自分の力ではどうにもならないことに無理に立ち向かうと、心身の負担がかえって増える。育児や仕事でのストレスも、すべてに完璧に対応しなくていい。いまの自分にできる対処法を見極めることが大事。

ストレスはゼロにはできません。生きている限り、何らかのストレスは存在しています。だからこそ、自分が今どんなストレス状態にあるのかを一歩引いて俯瞰し、「何が原因か=ストレッサーなのか」を丁寧に仕分けることが大切です。人間関係・仕事・気候・食べ物など、何が影響しているのかを正しく認識し、ストレスに適切に対処しましょう。
ストレスを感じやすい人の特徴
ストレスの感じやすさには個人差がある。ストレッサーに影響を受けやすい傾向にあるタイプについて解説。
- ネガティブ思考タイプ
- HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)タイプ
- こだわり・執着タイプ
- 疲れやすく体力がないタイプ
- 自己犠牲タイプ
ネガティブ思考タイプ
不安や心配が先行して、悪い想像ばかりしてしまうタイプ。つい「最悪の展開」を考えてしまう癖があると、ストレッサーに対して過敏に反応しやすくなる。小さな出来事にも振り回されて、疲れを溜めやすくなるのが特徴。視野が狭くなり、自分を追い込んでしまうことも少なくない。
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)タイプ
まわりの人の表情や声のトーン、音やにおいなどに敏感に反応するHSPタイプは、五感からの刺激がストレッサーになりやすい。まわりに気を遣いすぎて、自分の感情や疲れに気づきにくく、気づいたときにはストレス状態が進行していることも。
刺激の少ない環境や1人の時間が心身の調整に役立つ。
こだわり・執着タイプ
「こうあるべき」「自分はこうでなければ」という強いこだわりや完璧主義は、現実が思い通りに進まないときにストレスとして現れやすい。納得できない状況に我慢し続けることで、疲労感や苛立ちが蓄積する。
柔軟に物事を捉えられる人ほど、切り替えが早く、ストレスにも強くなれる。
疲れやすく体力がないタイプ
もともとの体質や加齢、睡眠不足などによって体力が低下している人は、ちょっとしたストレッサーにも耐えられず、すぐにストレスを感じやすくなる。エネルギーが不足していると、思考力や感情のコントロール力も落ちやすい。
まずは体力をつけて元気になることが、ストレス耐性を高める鍵となる。
自己犠牲タイプ
自分のことを後回しにして、他人を優先しすぎる自己犠牲タイプもストレスに悩まされやすい。育児や介護、仕事などで「自分さえ我慢すれば」と無理を続けていると、気づかないうちに心と身体が悲鳴を上げてしまう。
自分を労わる時間や意識を持つことが、ストレスから自分を守る土台になる。

ストレスを感じやすいのは、性格や体質だけのせいではありません。体力が落ちていたり、頑張りすぎて自分を後回しにしていたりすると、誰でもストレスに弱くなってしまいます。
まずは「自分ってどういうタイプかな?」と知ることから始めて、対処のヒントを見つけていってください。
味の素株式会社 | アミノ酸【PR】
忙しい毎日に「アミノ酸」
仕事に家事に、気づけば1日があっという間。忙しく身体を動かした日や、栄養バランスが乱れがちな日が続くと、なんとなく寝つきが悪かったり、疲れが取れにくかったりすることも。そんなふうに自分のリズムを整えたくなるとき、生活の中で少し意識してみたくなる存在の1つが「アミノ酸」。
アミノ酸は、筋肉や内臓、皮膚、髪など、私たちの身体を構成する「たんぱく質」の材料となる重要な成分。たんぱく質は一度つくられて終わりではなく、体内で日々分解と合成を繰り返し、必要に応じて新しく生まれ変わる。このサイクルを支えているのが20種類のアミノ酸で、私たちが生命を維持するうえで欠かせない役割を果たしている。アミノ酸は、身体の組織をつくるだけでなく、酵素やホルモン、免疫細胞などの材料にもなり、体内の機能を正常に保つためにも重要。なかには体内でつくることができない「必須アミノ酸」もあり、食事から摂ることが大切。
身体を動かす日も、食生活が気になるときも、夜ゆっくり休みたいときも。アミノ酸は、そんな毎日を陰ながら支えている成分の1つ。毎日を自分らしく過ごすためのひとつの工夫として、生活の中に取り入れてみては。
ストレスが溜まることによる悪影響
ストレスが溜まると、自律神経のバランスが乱れ、パフォーマンスが下がり、周囲との関係にもひずみが生まれやすくなる。そうなる前に、体調の変化の兆しに気づくことが大切。
- 自律神経の乱れ
- 集中力や判断力の低下
- 人間関係のトラブル
自律神経の乱れ
強いストレスは心身を緊張させるため、交感神経が優位な状態となって疲れが取れにくくなる。身体をリラックスさせる副交感神経へ切り替えるにもエネルギーが必要だが、疲れが溜まりすぎると切り替えスイッチもうまく入らなくなり、どんどん交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまう。
このように自律神経が乱れたままだと、疲れが抜けない・眠れない・頭痛や胃腸の不調など、身体にサインが出始める。
集中力や自己肯定感の低下
身体や脳が疲れきっていると、思考力や集中力が鈍る。いつもなら簡単にこなせていた作業に時間がかかるようになり、ミスが増える。業務のパフォーマンスも下がり、仕事が滞ることがさらなるストレスになることも。
ミスが増え、パフォーマンスが落ちると「なぜ前のようにできないのか」と自分を責めてしまう。できなかった事実よりも、それによって生じる無力感に苛まれることになる。自己否定が続くと、ストレスのループから抜け出せなくなる。
人間関係のトラブル
ストレスで余裕がなくなると、表情や態度にも影響が出る。小さなミスやすれ違いが、職場や家庭での関係悪化につながる。自分の不調が原因で信頼を損ねるリスクもある。
ストレスを溜めずに発散する方法
ストレスは溜めないように意識するよりも、ストレスにより疲れた心と身体をこまめにリセットすることが大切。自分に合った方法で、ストレスを抱え込まない工夫をしよう。
- おいしいものを食べる
- 思いきり泣いて、笑う
- 無理に元気を装わなくてもいい
おいしいものを食べる
ストレスが続いているときこそ、身体に必要な栄養を届けることが大切。おいしいと感じる食事は、心の栄養にもなる。さらに、「いただきます」と感謝の気持ちで向き合えば、命のエネルギーも受け取ることができる。
また、アミノ酸やビタミンなど、身体を回復させる栄養素を意識して摂ることも大切。
思いきり泣いて、笑う
涙は副交感神経が優位なときに出る。つまり、泣くことそのものがリラックスへ導いてくれる。笑うことも、泣くことも「息を吐く」行為。息を吐くことで「副交感神経」が優位になるので(息を吸うと交感神経が優位になる)、身体の緊張がゆるむ。お腹の底から笑えば、心も軽くなる。
お気に入りの映画やドラマ、マンガで泣けるものや笑えるものをリストアップしておき、ここぞというときに手に取ってみるのも有効。涙や笑い声とともに溜まった感情やストレス物質を外に出しきろう。

涙は副交感神経が優位なときにしか出ないので、涙が出るということは身体がリラックスしようとしているサインなんです。だから泣きたいときは我慢せず、流してあげてくださいね。
無理に元気を装わなくてもいい
ストレスが限界を超えているときは、食欲がなくなり、眠れなくなることもある。そんなときは無理に元気にふるまおうとせず、自分が今できる小さなことを選ぶ。サプリメントで栄養を補う、10分だけ横になるといった方法も有効。完璧を目指さず、「今の自分を大事にすること」が何よりのストレスケアになる。
やってはいけないストレス解消方法
ストレスを解消しようとして、かえって心身をすり減らしてしまうケースも少なくない。「やってはいけないストレス解消法」について理由とともに解説。
- 無理な気分転換
- ショック療法的な強制リセット
無理な気分転換
疲労が強いときにアクティブな気分転換を試みるのは逆効果。外出やイベント参加などは疲れを増幅させることがあり、ストレスを解消するどころか、さらに心身を消耗させてしまう。疲れているときは、まずしっかりと休息を取ることが優先。その上で、自分の状態に合ったリラックスできる過ごし方を選ぶことが回復への近道。
ショック療法的な強制リセット
強い刺激で気分を変えようとするのは、効果よりもリスクが大きい。一時的に気が紛れても、その後の自己嫌悪や体調不良を引き起こすことがある。たとえば、以下のような行為はできれば避けたい。
- ギャンブル
- 過度な飲食やアルコール摂取
- 衝動的な買い物
スリルや高揚感に頼る行動はストレス解消につながらないばかりか、依存に陥ってしまうリスクがある。自分を労わる行動こそが、本質的なリセットにつながる。

ストレス解消法は、自分の「今の状態」に合っているかが何より大切です。疲れているときに無理をして刺激を求めるよりも、「頑張ってきたんだな」と自分を認めてあげることから始めましょう。
ストレスを溜めないための考え方
ストレスを完全になくすことはできない。大切なのは、「ストレスをどう受け止め、どう向き合うか」。ストレスを悪者と決めつけず、自分らしく付き合っていく視点を身につけよう。
- 疲れた自分を否定しない
- ストレスはあって当然だと考える
- 「〜すべき」や「他人と比べる」を手放す
疲れた自分を否定しない
どんなに前向きな人でも、心身が疲れるときはある。疲れてやる気が出ないときは、「よく頑張った」と自分を認めてあげよう。そして、落ち込んだ自分を責めるのではなく、回復のための休息として自分を甘やかしてあげよう。自己否定はさらなるストレスの連鎖を生む。立ち止まる時間は、次へ進む準備期間だと捉えよう。
ストレスはあって当然だと考える
ストレスがたまるとイライラする・気落ちする・体調を崩すことは誰にでも起こる。ストレスがかかっている状態を異常なものだと思い込み、ストレスはなくすべきものだと考えると、余計な負荷がかかる。大切なのは、ストレスがあることを前提に、自分にできる対処を見つけていくこと。うまく付き合うことが、自分を守る手段となる。
「〜すべき」や「他人と比べる」を手放す
「こうあるべき」や「周りはもっと頑張っている」といった思考は、自分を縛りつける原因になる。完璧を求めるほど、心に余裕がなくなる。人と比べるのではなく、「今の自分にできること」に目を向けよう。柔らかい視点が、ストレスに強い心を育てていく。

ストレスを完全になくすことはできないからこそ、「ストレスとうまく付き合っていく視点」を持つことが大切。自分が疲れているときは、「よく頑張った」と認めてあげてください。完璧を目指さず、他人と比べず、「今の自分にできること」に目を向けること。それが、心を豊かに穏やかに保つコツです。
味の素株式会社 | アミノ酸【PR】
動ける私の土台をつくる「アミノ酸」
なんだか最近、疲れが抜けにくい。日々が慌ただしく過ぎていく中で、自分の身体に向き合う時間を持つのは難しいもの。そんな毎日を支えてくれているのが「アミノ酸」。
アミノ酸は、筋肉や内臓、皮膚、髪など、私たちの身体を構成する「たんぱく質」の材料となる重要な成分。たんぱく質は一度つくられて終わりではなく、体内で日々分解と合成を繰り返し、必要に応じて新しく生まれ変わる。このサイクルを支えているのが20種類のアミノ酸で、私たちが生命を維持するうえで欠かせない役割を果たしている。アミノ酸は、身体の組織をつくるだけでなく、酵素やホルモン、免疫細胞などの材料にもなり、体内の機能を正常に保つためにも重要。なかには体内でつくることができない「必須アミノ酸」もあり、食事から摂ることが大切。
「動いたあとに疲れを感じる」「最近、身体を動かすことに抵抗がある」そんな感覚を持つことが増えてきたら、日々の食事を見直すきっかけかも。通勤や家事、ちょっとした散歩など、日常の中で身体を動かす場面がある日は、アミノ酸を取り入れてみて。
精神保健指定医、心療内科・精神科専門医、内科医・産業医として幅広く活躍。心身の両面からアプローチする診療を大切にし、患者一人ひとりに寄り添うていねいな医療を実践。内科医や産業医としての経験も活かし、セルフケアの普及にも力を注いでいる。