
季節の変わり目になると、なんとなく体調が悪い…そんな不調を感じた経験のある女性は多いはず。頭痛やだるさ、胃腸の違和感などの体調不良は、自律神経の乱れやホルモンバランスの影響などが関係しているケースが多い。
この記事では、女性が季節の変わり目に不調を感じやすい理由と、体調不良の予防・対処法を詳しく紹介する。
この記事の監修者

久手堅 司さん
医学博士
体調不良は季節の影響?自律神経の影響?
季節の変わり目にやってくる「体調不良」。とくに、天気が変わりやすい日や、気圧の変化が大きいタイミングは、頭痛や倦怠感を感じる女性も少なくないはず。
どんなときに調子が崩れ、どのような症状が出やすいのか。
- これって「気象病」?
- 「体調不良」の原因を紐解く
これって「気象病」?
季節の変わり目に起こる体調不良の原因のひとつは、気象の変化によって起こる自律神経の乱れ。
自律神経には、身体を活動モードにする「交感神経」と、リラックスモードにする「副交感神経」があり、生活の中で自然とバランスをとりながら、身体の調子を整えてくれている。この自律神経は、背骨のまわりを通っていて、姿勢の影響を受けやすい。
スマホやパソコンを見る時間が長いと、下を向く姿勢が続きやすく、「ストレートネック」と呼ばれる状態になってしまう。こうした姿勢の崩れが、自律神経のバランスを崩すきっかけに。
スマホやパソコンが欠かせない今の暮らしでは、自律神経が乱れやすい。そこに、気温・湿度・気圧などの気象の変化が重なると、身体のさまざまな不調があらわれやすくなる。

「気象病」かどうかを見極めるポイントは、次の2つです。
①天気が悪い日に体調が悪くなる
②雨が降る前や、天気が崩れそうなときに、体調が悪くなる
このどちらかに当てはまる場合は「気象病」の可能性が考えられます。
「体調不良」の原因を紐解く
「体調不良」を改善するには、まず自分の症状を知ることからはじめよう。
いつ、どのタイミングで、どんな症状があらわれたのか、そのときの環境の変化、ストレスがあったかどうかなどを整理しておくと、不調のきっかけが見つけやすくなる。
そして、いきなり自律神経の専門外来に行くのではなく、まずは気になる症状に合わせて診療科を受診してみよう。たとえば、めまいがあるなら耳鼻科へ、頭痛なら脳神経外科で検査を受けるなど、自分の症状を手がかりに少しずつ原因をたどっていくことが大切。
いくつかの病院で検査をしても異常が見つからない場合は、自分の不調が「気象の変化」と関係していないかを振り返ってみる。天気が崩れる前や、雨の日に症状が出ているなら、それは「気象病」のサインかもしれない。
それでも原因がはっきりしないときは、自律神経のバランスが大きく崩れていることも考えられるため、自律神経外科の専門外来で相談してみるのもひとつの方法。
原因を1つひとつたどっていくことで、「体調不良」の本当の原因に、少しずつ近づいていける。

インターネットなどで情報を集めすぎると、かえって不安を感じやすくなることもあるため注意が必要です。症状が軽い場合にはセルフケアで改善することもありますが、日常生活に影響が出るほどの不調が続くようであれば、無理をせず早めに医療機関で相談することをおすすめします。
味の素株式会社 | アミノ酸
忙しい毎日に「アミノ酸」
仕事に家事に、気づけば1日があっという間。忙しく身体を動かした日や、栄養バランスが乱れがちな日が続くと、なんとなく寝つきが悪かったり、疲れが取れにくかったりすることも。そんなふうに自分のリズムを整えたくなるとき、生活の中で少し意識してみたくなる存在の1つが「アミノ酸」。
アミノ酸は、筋肉や内臓、皮膚、髪など、私たちの身体を構成する「たんぱく質」の材料となる重要な成分。たんぱく質は一度つくられて終わりではなく、体内で日々分解と合成を繰り返し、必要に応じて新しく生まれ変わる。このサイクルを支えているのが20種類のアミノ酸で、私たちが生命を維持するうえで欠かせない役割を果たしている。アミノ酸は、身体の組織をつくるだけでなく、酵素やホルモン、免疫細胞などの材料にもなり、体内の機能を正常に保つためにも重要。なかには体内でつくることができない「必須アミノ酸」もあり、食事から摂ることが大切。
身体を動かす日も、食生活が気になるときも、夜ゆっくり休みたいときも。アミノ酸は、そんな毎日を陰ながら支えている成分の1つ。毎日を自分らしく過ごすためのひとつの工夫として、生活の中に取り入れてみては。
女性が体調不良になりやすい原因
「なんとなく不調」や気象病に悩まされるのは、とくに女性に多いと言われている。
気象の変化による不調に加え、生理前後の身体の変化や、自律神経の乱れなど、いくつもの要因が重なりやすく、不調を感じやすい傾向にある。それぞれの原因を詳しく紹介。
- 月経周期によるホルモンバランスの変動
- デスクワークの仕事が多い、筋肉量が少ない
- 低血圧が不調を引き起こす
- 体調不良になりやすい女性がとくに気をつけるべきこと
月経周期によるホルモンバランスの変動
女性の不調に多く見られる原因のひとつが、月経周期によるホルモンバランスのゆらぎ。
生理にともなうホルモンの変化や出血は、身体にとって大きな負担になりやすく、男性に比べて体調を崩しやすい理由のひとつでもある。とくに、生理による貧血は、不調のきっかけになりやすい。
血液中のヘモグロビン値が正常でも、フェリチン値(鉄の貯蔵量)が低いと、身体の中でうまく酸素を運べなくなることがある。こうした状態は「隠れ貧血」と呼ばれ、さまざまな不調につながることも。

女性に多い栄養不足としては、鉄分や亜鉛の不足が代表的です。これらの栄養不足によって起こる不調も多いため、日ごろから意識して栄養を補うことを心がけましょう。
デスクワークの仕事が多い、筋肉量が少ない
女性は、デスクワークなど座りっぱなしの仕事に就いている人も多く、同じ姿勢のまま長時間すごすことも少なくない。そのため、気温や気圧の変化に身体がうまく対応できず、不調を感じやすくなることがある。
一方で、宅配ドライバーのように日常的に身体を動かしている仕事の人は、温度変化のある環境に身を置く機会が多く、自然と環境の変化に身体が慣れていきやすい。
また、女性は男性に比べて筋肉量が少ない傾向がある。筋肉が少ないと、体温の調節や血のめぐりがスムーズにいかず、気候の変化への対応力も落ちやすくなる。
低血圧が不調を引き起こす
「朝なかなか起きられない」「雨の日は身体が重い」などの不調は、低血圧が関係していることも。女性は、男性よりも血圧が低い人が多く、とくに気圧がぐっと下がる日は、さらに血のめぐりが悪くなり、体調を崩しやすくなる傾向がある。
上の血圧が80を下回るような状態になると、不調が強く出ることもあるため、普段から血圧が低めの人は、無理のない過ごし方を心がけよう。

現代の医療では、低血圧に対する治療法は限られていますが、日常生活での工夫によって、症状の改善が期待できます。たとえば、夜に着圧タイツやソックスを使用する、適度に塩分を摂る、水分をこまめに摂る、下半身の筋力をつけるなどが挙げられます。
体調不良になりやすい女性がとくに気をつけるべきこと
女性は、妊娠・出産・更年期など、ライフステージごとにホルモンバランスや生活環境の大きく変化が重なりやすいため、体調を崩すリスクも高い。
とくに、季節の変わり目や気温・気圧などの環境の変化に対して敏感になりやすく、こまめな体調管理がとても大切になる。
体調をととのえるために、まずは自分の不調がどこから来ているのかを、きちんと見極めることが大切。
「なんとなく自律神経かも」と自己判断するのではなく、気になる症状が続くようなら、早めに専門医に相談を。症状の原因を1つずつたどっていくことで、自分に合ったケアや治療につながりやすくなる。
季節の変わり目に体調不良になる理由
女性特有の理由以外にも、季節の変わり目に体調を崩しやすくなる理由はいくつかある。
その1つが、温度・湿度・気圧の変化。とくに春は、高気圧と低気圧が入れかわるようにやってきて、気圧の変化がとても激しい。この気圧の変化に自律神経がついていけず、身体に疲れがたまりやすくなり、不調が出やすくなる。
もう1つが、寒暖差の影響。これは気候だけでなく、夏場のエアコンの使用も大きく関係している。猛暑の外から冷えた室内に入ると、急な温度差が身体に負担をかけてしまう。さらに、エアコンの冷たい風や乾燥した空気も、身体を冷やして不調のもとに。
こうした温度・湿度・気圧の変化が自律神経に影響を与え、「寒暖差疲労」と呼ばれるような症状につながることも。
季節の変わり目に起こるおもな症状
季節の変わり目に起こる症状として、とくに多く見られるのが「頭痛」。そのほかにも、倦怠感・だめまい・肩こり・胃腸の不調など、人によってさまざまな症状があらわれる。
ここでは、季節の変わり目に起こりやすい代表的な症状を紹介する。
- 頭痛・めまい・肩こり
- 倦怠感・だるさ
- 胃腸の不調や食欲変化

最近では、若い世代でも季節の変わり目に体調不良を感じる人が増えてきています。20代で慢性的な不調を抱えている人の中には、10代のころから症状が出ていたケースも少なくありません。子どもの不調は、周りの大人が気づいてあげることが何より大切です。不調のサインを見逃さず、早めのケアにつなげていくことが重要となります。
頭痛・めまい・肩こり
「頭痛」は、季節の変わり目の不調でもっとも多い症状。
気圧の変化によって自律神経のバランスが崩れると、血管の拡張や収縮がうまくいかず、頭痛やめまいを引き起こす。

また最近では、パソコンやスマホだけでなく、タブレット学習の広がりによって、小学生でも肩こりを感じることが珍しくありません。子どもの頭痛も、実は「肩こり」が原因となっているケースが多くみられます。
倦怠感・だるさ
気象の変化による不調で「頭痛」に次いで多く見られるのが、「倦怠感」「だるさ」。
これは、季節の変わり目や急な寒暖差によって自律神経がうまく働かなくなり、身体も心も疲れやすくなる「寒暖差疲労」のサインの一つ。

気圧や気温の変化によって、自律神経のバランスを崩してしまうと、気分の落ち込みや不安感の高まりといったメンタル面の不調につながることもあります。このように気象の変化は、身体だけでなく心にも影響を与えることがあるのです。
胃腸の不調や食欲変化
気温差で身体が冷えると「胃腸の不調」が現れやすくなる。胃や腸の働きは、自律神経と深くつながっているため、冷えやストレスの影響を受けやすい。
その結果、胃もたれや下痢・便秘・食欲不振などの症状が出てしまうことも。さらに、腸の調子が崩れると、自律神経にも負担がかかりやすく、悪循環になってしまうこともある。
体調不良が起こりやすい時期は?
気象の影響を受けやすい体質の人は、季節の変わり目に体調を崩しやすい傾向がある。
年間を通してとくに注意するべきポイントをおさえて、早めのセルフケアを意識していこう。
- 体調不良が増えるピークは「5月から6月」
- 台風シーズンも体調不良が悪化しやすい
- 気温・湿度の変化が激しい春と秋
体調不良が増えるピークは「5月から6月」
ゴールデンウィークが終わったあとの5月〜6月にかけては、とくに体調を崩す人が増える時期。「五月病」と呼ばれることもあり、長い休みでゆるんでいた心と身体が、急に日常に戻ることで精神的なストレスを感じやすくなる。
学校や仕事が本格的にはじまったり、気温や気圧が不安定になったりと、心身への負担がいっきに大きくなるタイミング。
急にがんばりすぎず、意識的にペースを整えていくことが大切。
台風シーズンも体調不良が悪化しやすい
夏から秋にかけてやってくる台風の季節も、体調を崩しやすい時期。
台風が近づくと、気圧が大きく下がったり急に変わったりして、自律神経が乱れやすくなる。なかには、日本から遠く離れた場所で台風が発生しただけでも、頭痛やだるさを感じる人も。
症状としては頭痛が圧倒的に多く、なかでも片頭痛持ちの人は気圧の影響を受けやすく体調が悪化しやすい。
気温・湿度の変化が激しい春と秋
春のはじまり、3月ごろからは、寒暖差による不調を感じる人が増える時期。身体が気温についていけず、自律神経がゆらぎやすくなる。
また、夏の終わりから秋にかけては、エアコンによる冷えも負担になる。外は暑いのに室内は冷えているなど、屋外と室内の温度差によって「寒暖差疲労」と呼ばれる不調につながることも。
日々の気温や湿度の変化にあわせて、服装や過ごし方を調整し、身体への負担を和らげることを心がけよう。
季節の変わり目の体調不良の予防・対処法
季節の変わり目に感じやすい不調には、「予防」と「対処」の両方が大切。
方法はほとんど同じのため、分けて考える必要はなく、できることから少しずつ日常に取り入れていこう。
- 就寝前にスマホを使わない
- 寒暖差や冷え対策を実施する
- 睡眠時に身体を冷やさない
- 胃腸の健康を管理する
- 簡単な運動やストレッチを実施する
- 完璧を目指さず、継続を目指す
就寝前にスマホを使わない
スマホを使用する時間が長くなるほど、自律神経が乱れやすくなり、眠りの質にも影響が出てしまう。とくに就寝前に使用すると、スマホの画面から出る強い光が脳を活性化させてしまうため、眠る準備が整いにくくなる。
また、情報をたくさん見すぎることで、精神的に負担がかかったり、長時間下を向いた状態が続くと「ストレートネック」の原因になることも。就寝前はできるだけスマホを使わないように意識しよう。
寒暖差や冷え対策を実施する
季節の変わり目は、急な気温の変化に備えて、体温調整しやすい羽織りものを1枚持ち歩くだけでも安心。
オフィスや車の中など、冷えやすい場所にブランケットやカーディガンを置いておくのもおすすめ。完全に衣替えをする前に、気温差対策を意識しよう。
睡眠時に身体を冷やさない
身体が冷えたまま眠ると、体温の調整がうまくいかず、睡眠の質が下がってしまうことがある。暖かい服を着て寝る、就寝前に湯船に浸かって身体を温めるなど、身体を冷やさない対策が大切。
とくに、眠りはじめの最初の90分は、成長ホルモンがしっかり分泌される大切な時間。この時間にぐっすり眠れるかどうかで、心と身体の回復具合も大きく変わってくる。
胃腸の健康を管理する
胃腸の調子は、自律神経と深くつながっていて、身体だけでなく心の安定にも影響を与える。
腸内環境をととのえるには、善玉菌を育てることが大切。納豆、味噌、ヨーグルトなどの発酵食品を、積極的に摂るようにしよう。
また、カフェインやアルコールの摂りすぎや、冷たい飲みもので胃腸を冷やしすぎないように注意して。
味の素株式会社 | アミノ酸
毎日の食事に取り入れたい「アミノ酸」
家事に仕事に予定に追われ、自分の体調に目を向ける余裕もないまま1日が終わる。疲れが取れにくく感じるこんな時にこそ、暮らしの中で少し意識してみたいのが、「アミノ酸」。
アミノ酸は、筋肉や内臓、皮膚、髪など、私たちの身体を構成する「たんぱく質」の材料となる重要な成分。たんぱく質は一度つくられて終わりではなく、体内で日々分解と合成を繰り返し、必要に応じて新しく生まれ変わる。このサイクルを支えているのが20種類のアミノ酸で、私たちが生命を維持するうえで欠かせない役割を果たしている。アミノ酸は、身体の組織をつくるだけでなく、酵素やホルモン、免疫細胞などの材料にもなり、体内の機能を正常に保つためにも重要。なかには体内でつくることができない「必須アミノ酸」もあり、食事から摂ることが大切。
アミノ酸は、それぞれが連携してたんぱく質を構成しているため、どれかが不足すると、全体のはたらきに影響する。毎日の食事でさまざまな食品を組み合わせ、アミノ酸をバランスよく摂ることをこころがけよう。
簡単な運動やストレッチを実施する
気象の変化(とくに気圧の変化)は耳で感知されるため、耳マッサージも効果的。
耳を前後に回したり、引っ張ったりして、耳まわりをほぐすだけでも、不調が和らぐことがある。
そのほかにも、肩を前後にゆっくり回す、脇の下を伸ばす、目の疲れをほぐすマッサージなども、自律神経をととのえる手助けに。
家で手軽にできるストレッチとしておすすめなのが、タオルを使った首まわりのストレッチ。
①後頭部にタオルを引っかけ、顔の前の高さでタオルを引っ張る。
②タオルを斜め上に引っ張りながら、首の後をストレッチする。(約20秒)
③タオルを斜め下に引っ張りながら、首の後をストレッチする。(約20秒)
ほんのすこしの習慣でも、毎日続けることで、不調の予防やセルフケアになる。
完璧を目指さず、継続を目指す
不調の改善に取り組むときは、「100%完璧」を目指すのではなく、「60点くらい」を目標とすることが大切。
がんばりすぎると、交感神経がずっと優位な状態となり、かえって疲れやすくなってしまうことも。まずは、自分ができそうなことからゆるくスタートしてみよう。
小さな習慣を、無理のない範囲でコツコツ続けることが、大きな改善につながっていく。
2003年 東邦大学医学部卒業、東邦大学付属医療センター大森病院、済生会横浜市東部病院での臨床経験を経て、2013年8月に「せたがや内科・神経内科クリニック」開設。
医学博士
日本内科学会 総合内科専門医
日本神経学会 神経内科専門医
日本頭痛学会 頭痛専門医
日本脳卒中学会 脳卒中専門医
「頭痛外来」「自律神経失調症外来」など複数の特殊外来を立ち上げ、特に「気象病・天気病外来」「寒暖差疲労外来」はテレビ・新聞・雑誌・ウェブなど各種メディアで話題を呼んでいる。気圧予報・体調管理アプリ「頭痛ーる」監修医師。