
「集中できない」「なんとなくイライラする…」そんな感覚が続いたとき、どうすれば気持ちを切り替えられるのか悩む人も多い。心や身体のもやもやをリセットし、集中力やモチベーションを回復させるためには「気分転換」が大切。この記事では、自宅や職場、外出先などシーン別に手軽に実践できる気分転換の方法を紹介する。
この記事の監修者

奥田 弘美さん
精神科医・産業医(労働衛生コンサルタント)
気分転換が必要なサイン
気分転換が必要なサインは、自分の中から湧き起こってくるもの。とくに長時間同じ作業を続ける、ひとつのことに集中し続けていると気分転換を求めたくなる。
客観的には、作業効率の低下・集中力の途切れ・ミスの増加などが顕著なサイン。たとえば文章や資料の作成が遅くなったり、エラーが増えたりする場合は、休憩や気分転換が必要なタイミングといえる。
主観では、モチベーションの低下や作業に対する飽きを感じた場合も気分転換のよい機会。イライラが増す、ネガティブな感情に支配されそうになったときも、意識的に気分転換をすることで状態の改善につながる。

仕事・家庭・友人関係など、現代人が煮詰まる場面は多岐にわたります。その都度、自分の内面に生じる「変化が欲しい」という声や反応を素直に受け止め、気分転換につながる行動をとってみてください。
自宅で出来る気分転換方法
デスクワークや家事・育児などで気分転換したくなったとき、まずは作業からいったん離れて「深呼吸」することから始めてみよう。
- ドリンクや軽食をとる
- ストレッチや散歩など軽い運動
- 別のコンテンツに触れる
ドリンクや軽食をとる
コーヒーやお茶を淹れて飲む、片手でつまめる菓子やスイーツなど軽食をとることは気分転換につながる。
とくに「ガム」を噛むことは効果的といわれ、リズミカルな咀嚼が脳をリフレッシュするというデータもある。
ストレッチや散歩など軽い運動
上半身や下半身のストレッチはその場で気軽におこなえる。
外の空気を吸いに散歩へ出るのもよいが、出かけるのが難しい場合でも、トイレに行く、顔を洗う、歯磨きをする、玄関やエレベーターホールまで行って戻るなど短い距離の移動でも気分転換になる。
別のコンテンツに触れる
好きな音楽を聞く・テレビをつける・ショート動画を見る・雑誌を眺めるなど、取り組んでいる作業から離れたコンテンツに触れることも有効。
いずれにせよ触れる時間を決め、頭を使わず気軽に楽しめるコンテンツにしたい。

気分転換で重要なのは「モードの切り替え」で、作業から離れることが効果的です。コーヒーを淹れる、窓を開けて換気するなど、一時的でも別の空間へ移動することで新鮮な気持ちになれるものです。
忙しい場合でも、階段を上り下りするなど簡単なエクササイズを取り入れると血流が改善され、気分転換につながります。嗜好品を楽しみながらソファでくつろぐなど、自分を「休息モード」にすることもよいでしょう。
外で出来る気分転換方法
空間を変えることが気分転換につながるなら、屋外へ出て気分をリセットするのが手っ取り早い。
とはいえ、また作業に戻るため長時間を費やすわけにいかない。そこで長くても60分以内でおこなえる気分転換の方法を紹介する。
- 気の向くまま散歩へ
- タスク消化の感覚で用を済ませる
気の向くまま散歩へ
好きなエリアを歩く、ウィンドウショッピングをする、といった気ままな散歩は手軽におこなえる息抜き方法として知られる。
緑の多い環境での散歩がとくによいとされ、公園や神社など自然に触れることは、雑踏の中を歩くより優れた気分転換になる。緑の多い場所は森林浴効果も得られるため、精神的なリフレッシュにつながる。
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動ける私の土台をつくる「アミノ酸」
なんだか最近、疲れが抜けにくい。日々が慌ただしく過ぎていく中で、自分の身体に向き合う時間を持つのは難しいもの。そんな毎日を支えてくれているのが「アミノ酸」。
アミノ酸は、筋肉や内臓、皮膚、髪など、私たちの身体を構成する「たんぱく質」の材料となる重要な成分。たんぱく質は一度つくられて終わりではなく、体内で日々分解と合成を繰り返し、必要に応じて新しく生まれ変わる。このサイクルを支えているのが20種類のアミノ酸で、私たちが生命を維持するうえで欠かせない役割を果たしている。アミノ酸は、身体の組織をつくるだけでなく、酵素やホルモン、免疫細胞などの材料にもなり、体内の機能を正常に保つためにも重要。なかには体内でつくることができない「必須アミノ酸」もあり、食事から摂ることが大切。
「動いたあとに疲れを感じる」「最近、身体を動かすことに抵抗がある」そんな感覚を持つことが増えてきたら、日々の食事を見直すきっかけかも。通勤や家事、ちょっとした散歩など、日常の中で身体を動かす場面がある日は、アミノ酸を取り入れてみて。
タスク消化の感覚で用を済ませる
目的意識のある外出も気分を変えるのに役立つ。夕食や日用品の買い物、子どもの送迎、図書館で資料を受け取る、提出物を郵送するなど、タスク消化の感覚で用を済ませれば達成感も得られる。

外出の気分転換でポイントになるのは「歩く」という行為。リズミカルな歩行にはセロトニンやドーパミンの分泌を促進する効果があり、やる気を高めたり、気持ちを落ち着かせたりする効果があります。また脳を含めた全身の血のめぐりがよくなるため、アイデアやひらめきが湧きやすくなるという効果も期待できます。
大切なのは、自分にとって負担にならない範囲で日常と異なる環境や活動に触れること。歩くという単純な行為こそ、脳と体の両方に働きかける効果的なリフレッシュ方法として有効なのです。
仕事中に出来る気分転換方法
他者の目が気になるオフィスでの気分転換には、どういった方法があるのだろう。
- コーヒーブレイクでカフェイン摂取
- オフィスの中を移動
- 深呼吸や瞑想
- コンビニで自分にご褒美
コーヒーブレイクでカフェイン摂取
社内にある自動販売機やカフェエリアなどに、ドリンクを「確保しに行く」という行為そのものが気分転換になる。同僚や上司・部下との雑談を楽しむのもよい。
ドリンクの種類にもよるが、コーヒーにはカフェインが含まれる。摂取することで作業に戻ったあとの眠気覚ましも期待できる。
オフィスの中を移動
オフィスの中を移動することも簡単に実践できる気分転換の方法。立ち上がって上司や同僚に相談を持ちかけに行く、トイレを済ませる、自席の整理整頓、階段の登り降りなどできることは意外と多い。
思考が煮詰まってきたときには「場所を変える」ことで新しい視点やアイディアが生まれやすくなるといわれる。固定席を持たず、自由に席を選んで働けるフリーアドレスのオフィスならより実践しやすいだろう。
深呼吸や瞑想
動きづらいときには、目を閉じて深呼吸する、腹式の深呼吸は副交感神経を活性化させるため、リラックス効果が期待できる。
また、目を閉じて腹式の深呼吸をしながら、息の出入りをじっくりと感じ取っていっていくと瞑想効果が得られるため、気持ちがさらに落ち着きやすくなる。
コンビニで自分にご褒美
コンビニでの買い物も息抜きになる。日ごろ親しんでいる嗜好品など自分に「ご褒美」を与える行為はメンタルにもよいとされ、移動や歩行と組み合わさることで効果的なリフレッシュにつながる。

いずれの方法も取り組んでいる作業から一時的に離れ、異なる刺激を受けることで脳と心をリセットする効果が期待できます。仕事内容や職場環境によって実践できる方法は異なりますが、自分に合った方法を見つけることが重要です。
自分に合った気分転換方法の見つけ方
自分に合った気分転換の方法を見つけるコツは、その時々に生じる欲求や心の声に素直に従うこと。固定観念に縛られず、自分が本当にやりたいことを選ぶのが理想といえる。
気分転換の選択肢をケース別に用意することも有効な戦略。
たとえば長時間かかる書類作成時には、好きなスイーツやガムを買っておく、パソコン作業が長引きそうなら、温感アイマスクを用意しておく。メイク直し、洗顔、歯磨きなどの清潔行動は、とくに気分がすっきりしやすいので、長時間の会議の前後などにもおすすめ。
継続するには、自分の好みに合わせたグッズや環境を整えておくことが効果的。職場に好きなドリンクやフード、洗顔用タオル、歯磨きグッズを常備しておくなど、思い立ったらすぐ気分転換できるようにしておきたい。

他人の基準や一般的な「べき論」にしばられることなく、試行錯誤しながら自分の好みや感覚にフィットする気分転換のレパートリーを探してみてください。
気分転換が逆効果になるケースとは?
気分転換の方法によっては、もとの作業に戻りづらくなるなど逆効果に転じてしまうこともあるので注意が必要。とくに嗜好品に過度に依存してはならない。
- アルコールの常用
- 健康に悪影響を及ぼすタバコ
- 疲労感につながる大量のジャンクフード
- 夕方以降のカフェイン摂取
アルコールの常用
アルコールは気分をリラックスさせるという即効性がある反面、依存性が高い。また多量に飲んでしまうと、気分をさらに悪化させてしまう。アルコール摂取は適量(ビールなら500ml以内、ワインならグラス2杯程度)にとどめ、必ず休肝日も設けたい。
気分を変える目的や睡眠目的でアルコールを常用&多飲するのは絶対にNG。実際、リモートワークが増えたコロナ禍においてアルコール依存症が増加したというデータもある。
健康に悪影響を及ぼすタバコ
気分転換の方法として、できるならタバコも避けたいところ。喫煙所でコミュニケーションが発生するなど一時的な気分転換になるが、健康への悪影響が明らか。がんのリスクも上昇させる。
疲労感につながる大量のジャンクフード
甘いものやスナック菓子といったジャンクフードの過剰摂取も注意が必要。大量に摂取すると血糖値の急上昇・急降下が起こり、かえって疲労感や頭痛・気分の落ち込みが生じることも。
夕方以降のカフェイン摂取
カフェインを含む飲料は適量を守ろう。コーヒーや紅茶は1日3~4杯程度にとどめ、高カフェインで糖分の多いエナジードリンクは控えめに。睡眠に影響するため、午後5時以降は避けることが望ましい。
ハーブティーなどリラックス効果が期待できるドリンクへの切り替えが有効。カモミールは落ち着きをもたらし、レモングラスなどの柑橘系は気分を上げる効果があるとされている。

大声で歌う・叫ぶといった自由な表現も効果的な気分転換になりますが、他人や周辺環境に迷惑をかける方法も避けてください。気分転換は健康的におこないましょう。
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毎日の食事に取り入れたい「アミノ酸」
家事に仕事に予定に追われ、自分の体調に目を向ける余裕もないまま1日が終わる。疲れが取れにくく感じるこんな時にこそ、暮らしの中で少し意識してみたいのが、「アミノ酸」。
アミノ酸は、筋肉や内臓、皮膚、髪など、私たちの身体を構成する「たんぱく質」の材料となる重要な成分。たんぱく質は一度つくられて終わりではなく、体内で日々分解と合成を繰り返し、必要に応じて新しく生まれ変わる。このサイクルを支えているのが20種類のアミノ酸で、私たちが生命を維持するうえで欠かせない役割を果たしている。アミノ酸は、身体の組織をつくるだけでなく、酵素やホルモン、免疫細胞などの材料にもなり、体内の機能を正常に保つためにも重要。なかには体内でつくることができない「必須アミノ酸」もあり、食事から摂ることが大切。
アミノ酸は、それぞれが連携してたんぱく質を構成しているため、どれかが不足すると、全体のはたらきに影響する。毎日の食事でさまざまな食品を組み合わせ、アミノ酸をバランスよく摂ることをこころがけよう。
気分転換が出来ない時に試したいこと
気分転換を試みて作業に戻っても集中できない場合、抱えているストレスや問題の大きさが影響していることが多い。たとえば重要な仕事が控えている、提出の締め切りが迫っている、深刻な悩みを抱えている……といったケースでは、短時間のリフレッシュが効果的に働かないことも。
そんなときは気分転換でなく「休憩」するのがおすすめ。
おいしい食事をとる、横になって15分程度昼寝する、銭湯やサウナで入浴するなど、一定の時間を確保して休憩すれば、確実にストレスから離れられ、副交感神経を活性化することでリラックスできる。良質な休憩をとったのちに作業に戻ると、効率が上がることも多い。
また、気分転換中の意識も重要といえる。「このあと戻って作業しなければ」という思考で脳内が満たされて、仕事のことが頭から離れない状態でいると息抜きになりにくい。
効果的なリフレッシュには、短時間でも目の前にある課題から離れ、自分にとって心地よいもの・ことに触れて集中することが理想的。作業の緊急性が低い場合、無理せず翌日の自分にバトンタッチすることで、結果的に効率やクオリティが上がることも多い。

気分転換がうまくいかないときは「少しでも休めてよかった」というポジティブな視点を持つことも大切です。完璧を求めず、小さな休息でも「ストレスから少しだけでも離れられたことに意味がある」と認識することで心理的な負担が軽減されるでしょう。
都内クリニックおよび約20社の産業医として、日々多数の老若男女のメンタルケアに従事している。心のケアに関する著作も多く、今年2月に出版した最新刊「それ、すべて過緊張です。」(フォレスト出版)は、3万部を超えるベストセラーとなっている。