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「未病」を自分ごとに変える。商業施設から広がる新しい健康習慣

「未病」という言葉をご存じだろうか? 未病とは、病気ではないが健康とも言い切れない曖昧な状態を指す。多くの人が気づかないまま通り過ぎてしまうこともあるこの未病の段階にこそ、日々の生活習慣を見直し、心身の状態を整える重要なヒントが隠れている。

2025年11月8日、小田急小田原線 経堂駅下車すぐの商業施設「経堂コルティ」で開催された「からだラボ体験フェス ー健康と未来をつなぐ1日ー」は、まさに“未病改善の推進”をテーマに行なわれた体験型健康イベントだった。

「自分の体と向き合う場」の機会を創出する目的で開催された同イベント企画に携わった株式会社小田急SCディベロップメント 企画開発部 課長代理・加藤啓太さん、株式会社HIL 代表取締役・小熊美嘉さん、株式会社WELL BE INDUSTRY 代表取締役 CEO・花高凌さんの3名に、未病に向き合う背景と健康文化を“共に創る”という挑戦について、「Wellulu」副編集長の左達也が話を伺った。

 

加藤 啓太さん

株式会社小田急SCディベロップメント 課長代理/SC経営士

2017年に小田急電鉄株式会社に中途入社。2020年4月、小田急SCディベロップメントの設立と共に出向する。2021年より、神奈川県のベンチャー支援プログラムに参画し、地域・県央発の起業家を生み出す拠点「AGORA Hon-atsugi」による県の企業支援プログラム事業受託に貢献する。2024年より現職として、新規事業・オープンイノベーションを担当している。

https://www.odakyu-scd.co.jp/

小熊 美嘉さん

株式会社HIL お腹ソムリエ研究所 代表取締役/看護師/健康経営エキスパートアドバイザー

2007年より総合病院(急性期病棟、外来、化学療法室)に勤務。2019年、訪問看護ステーション勤務を経験し、「今、手に入る健康を守る」ことの重要性を実感する。健康寿命を延ばし、より多くの人がやりたいことをやり遂げられる社会の実現を目指し、超音波を使った生活習慣の見える化サービス「お腹ソムリエ®」をスタートする。2024年より株式会社HIL お腹ソムリエ研究所の代表取締役に就任し、現職。

https://bodyscale.co.jp/

花高 凌さん

株式会社WELL BE INDUSTRY 代表取締役CEO

1992年京都生まれ。高校時代に京都大学iPS細胞研究所所長・山中伸弥氏の講演に感銘を受け、生物学に興味を持つ。その後、奈良先端科学技術大学院大学に進学し、大学院では微生物の遺伝子工学の研究を行う。大学卒業後、東京のベンチャー企業で健康食品の新規ブランドの立ち上げに関する業務に携わる。2018年6月に株式会社HQC TOKYOの設立、健康と美容を仕事にしていくオンラインサロン「Team Mibyo Labo」の立ち上げを経て、2021年に株式会社WELL BE INDUSTRYを設立する。

https://www.wellbe-industry.com/

左 達也

株式会社ECOTONE/Wellulu 副編集長

福岡市生まれ。九州大学経済学部卒業後、博報堂に入社。デジタル・データ専門ユニットで、全社のデジタル・データシフトを推進後、博報堂生活総合研究所では生活者発想を広く社会に役立てる教育プログラム開発に従事。ミライの事業室では、スタートアップと協業・連携を推進するHakuhodo Alliance OneやWell-beingテーマでのビジネスを推進。「Wellulu」立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。毎朝の筋トレとランニングで体脂肪率8〜10%の維持が自身のウェルビーイングの素。

https://ecotone.co.jp/

目次

意識を行動に変えるために。3名の発起人の情熱が結実した「からだラボ体験フェス」誕生秘話

左:今回は、株式会社小田急SCディベロップメントの加藤さん、株式会社HILの小熊さん、株式会社WELL BE INDUSTRYの花高さんにお話を伺います。よろしくお願いいたします。

まず、2025年11月8日に東京で開催された「からだラボ体験フェス ー健康と未来をつなぐ1日ー」とは、どのようなイベントだったのか教えてください。

加藤:小田急SCディベロップメントでは、地域共生ステートメント「エキチカは、マチチカ、ヒトチカへ」を掲げ、地域社会とともに歩む商業施設運営を行っています。

その一環として、2025年10月に株式会社HILさん、株式会社WELL BE INDUSTRYさんと業務提携し、第一弾となる“未病改善の推進”をテーマにした体験型イベント「からだラボ体験フェス」を開催しました。2社を含む全8社がブースを出展し、訪れた地域の方が健康意識を高めるきっかけにしていただける内容として構成しました。

左:未病改善を軸にしたイベントだったんですね。商業施設という日常の導線上で、自分の健康状態と向き合える機会はとても貴重だと思います。加藤さんは普段、どのような業務を担当されているのでしょうか。

加藤:私は企画開発部で、新規事業開発やオープンイノベーションを担当しています。今の業務を担当するきっかけは、コロナ禍にありました。

小田急小田原線 本厚木駅直結の駅ビル「本厚木ミロード」で勤務している際に、特に飲食店はコロナの影響で営業に大きな制限を受けていました。その状況を目の当たりにしたとき、今までの飲食店で構成を引き継ぐのではなく、新しい視点で地域経済を活性化し、“おもしろいヒト”を創出するため、神奈川県が取り組む「起業支援」を厚木エリアで推進できないかと県の担当者と議論を重ねたんです。

その結果、「令和4年度イノベーション人材交流拠点事業」を受託し、2022年に本厚木ミロード内にインキュベーション・コワーキングスペース「AGORA Hon-atsugi」をオープンしました。

左:駅ビルに起業家創出の拠点ができたというのは、新しい文化が根づく兆しを感じます。

加藤:小田急沿線に“おもしろいヒト”が生まれ、沿線を盛り上げてほしいという思いが強くありました。そうした経験が現在の部署につながり、スタートアップと関わる機会が増えたことが、今回の「からだラボ体験フェス」にも直結しています。

左:では続いて、小熊さんのご経歴をお聞かせください。どのような経緯で起業に至ったのでしょうか。

小熊:私は2007年から10年以上、看護師として働いてきました。その中で痛感したのが、日々の健康意識と予防医療の重要性です。

健康診断の数値や記号を見ても、多くの方が「自分事」として捉えにくい。E判定になってはじめて危機感を抱くという現状に、ずっともどかしさを感じていました。

病院で患者さんを待つ側ではなく、社会の中に予防医療を実装したい。そのためには健康状態を直感的に理解できる可視化が必要だと考え、超音波を使った生活習慣の見える化サービス「お腹ソムリエ®」をスタートしました。

左:確かに、数字の羅列だけでは実感が湧きにくいですよね。行動変容につなげるための「見せ方」を変えた、という視点がとても面白いです。

続いて花高さんのご経歴を教えてください。

花高:私は京都出身で、高校時代にiPS細胞研究で知られる京都大学・山中伸弥教授の講演を聞いたことが大きな転機でした。

受験に悩んでいた時期だったのですが、「技術が人の命を救うんだ」と感銘を受け、私も人の命を救うような社会貢献できる仕事がしたいと強く思うようになりました。

その思いから、山中教授がiPS細胞の開発を成功させた奈良先端科学技術大学院大学に進学し、大腸菌の遺伝子工学を専門にバイオサイエンスを学びました。

しかしその頃、母が乳がんを患い、長い闘病の末に亡くなったことが、自分の考え方を根本から変えるきっかけになりました。

花高:私はその経験から、「健康は、平等ではない」と痛感しました。情報や経済背景によって健康格差が生まれてしまう。医療従事者は病気のプロですが、健康のプロではないという現実も知りました。

「マインド・栄養・運動・睡眠・ストレス」という健康の5本柱を包括的に見られる仕組みが日本にはほとんどありません。そこで未病のビッグデータを集めるために、LINEで健康状態を数値化できる「WELL BE CHECK®」というサービスを開発しました。

左:皆さんそれぞれの実体験が、未病対策を考える「からだラボ体験フェス」というプロジェクトにつながっていったのがよくわかりました。

“見える化”が行動を変える。「お腹ソムリエ®」と「WELL BE CHECK®」の可視化プラットフォーム

左:ここからは「お腹ソムリエ®」と「WELL BE CHECK®」について、さらに詳しく伺っていきます。

どちらのサービスも健康状態を“見える化”を軸にしながら、生活者が自分の体と向き合うきっかけをつくっている点が共通しています。「お腹ソムリエ®」では、どのように健康状態を可視化しているのでしょうか。

小熊:「お腹ソムリエ®」は、健康診断でも使われている超音波(エコー)を用いて、お腹の脂肪や筋肉の状態をその場で映し出す体験型サービスです。可視化した情報をもとに、生活習慣分析レポートとして質や量を点数化し、わかりやすく評価しています。

左:数値化されると理解しやすいですね。「気をつけよう」という意識が自然と湧いてきます。

小熊:一般的な健康診断のようなHIGH/LOW表示ではなく、「あなたの生活習慣は100点満点中○点です」と定量的に示すことで、今の状態を直感的に把握できます。これは、行動変容につながる大きなポイントなんです。

左:その点数は、エコーで見える脂肪と筋肉から算出されているのですか?

小熊:はい。脂肪と筋肉の質・量を組み合わせ、特許を取得した独自アルゴリズムで評価します。たとえば、「筋肉量はあるのに、内臓脂肪が極端に多い」といった状態も、一目で分かるようになります。

短時間で結果がわかるため、その場で個別アドバイスをお伝えできることも、体験価値として非常に大きいんです。

「お腹ソムリエ」レポートのサンプル画像

左:その場ですぐにアドバイスを受けられるのは、大きなモチベーションになりますね。

小熊:たとえば、コレステロール値が上がる前には、内臓脂肪の増加や筋肉の衰えなど、必ず“最初の段階”があります。

看護師として働いていた頃、「もっと早く気をつければよかった」と後悔される患者さんを何度も目にしてきました。生活習慣病は、生活を変えることで防げるケースも多い病気です。だからこそ、その兆候を早くキャッチし、本人にとって腑に落ちる形で見える化することが、予防医療には不可欠だと思っています。

左:ありがとうございます。続いて「WELL BE CHECK®」についても教えてください。

花高:「WELL BE CHECK®」は、LINEを使って“だれでも無料で”健康状態をチェックできるサービスです。

多くの人にとって健康は後回しになりがちです。お金や手間がかかると、さらに向き合うハードルが高くなる。そこで、日常的に使用するコミュニケーションアプリのLINEで、未病の状態を数値化できる仕組みをつくりました。

左:LINEで無料なら、確かに気軽に触れられますね。

花高:質問は50問で、内容はとてもシンプルです。「手足がつりやすい?」などの自覚症状について「はい・いいえ」で答えるだけ。所要時間は5分ほどです。

自覚症状の裏には、必ず原因があります。たとえば「手足がつる」はマグネシウム不足の可能性がある。こうした体と心の状態をスコア化し、健康を考える“入口”をつくるのが「WELL BE CHECK®」の役割です。

「WELL BE CHECK®」のサンプル画像

左:「お腹ソムリエ®」と同じく、気づきの早さが行動変容を後押ししているわけですね。生活者が「ちょっと試してみようかな」と感じられるくらいの距離感であることが、継続や行動につながる大事なポイントだと思います。

花高:多くの方が「自分は大丈夫」と思い込んでしまうのですが、実際にはそうでないケースも多いんです。病気になる前の未病の段階で自分の状態に気づけること。ここが予防の要になります。

さらに「WELL BE CHECK®」は、回答することでポイントが貯まり、Amazonギフトカードや、楽天ポイントなどと交換できる仕組みも用意しています。健康づくりが「ちょっと嬉しい体験」につながることも、継続を後押しする重要な設計なんです。

左:健康づくりとインセンティブがつながるのは、素晴らしい視点ですね。2つのサービスが、ウェルビーイングな生活を始めるための大きな一歩になると感じました。

多様な人が集まる商業施設だからこそ。家族で楽しめる健康体験イベント

左:加藤さんが「からだラボ体験フェス」を企画されたのは、どのような経緯だったのでしょうか。「商業施設」と「健康イベント」という掛け合わせは、一見すると少し意外にも思えます。

加藤:商業施設には、平日・休日を問わず本当に幅広いお客さまにご利用いただいております。経堂コルティは、地元世田谷の方々に長く愛されている身近な施設で、親子連れや高齢の方、学生まで、生活に密着した場です。こういった生活密着型施設を多く運営している当社の特性を活かし、「日常的に健康を取り入れられる場をつくりたい」と考えたことが出発点でした。

「健康」はすべての土台です。商業施設にとっても、「遊びに行く」「食事を楽しむ」「旅行に備えて買い物をする」など、どんな行動にも“お客さまご自身の健康”がベースにあります。健康の重要性を認識しながらも行動に移せない、ご自身に合う健康づくりを探すきっかけを提供したいと考え、今回のイベントテーマに据えました。

さらに東京都民のQOL向上サービスを推進する「Be Smart Tokyo」のプロジェクトにおいて、ウェルビーイング領域で共創相手の募集を行い、2社と出会うことができたんです。

左:商業施設は街のハブとして、さまざまな人が行き交う場所ですよね。生活者の今の状態に寄り添いながら、自然と健康の入口に触れられる点で、今回の企画はとても良い導線だと感じます。

イベント当日はどのような方が来場されたのでしょうか。

小熊:当日は、本当に幅広い方が来てくださいました。お子さんやお孫さんと一緒に3世代でショッピングを楽しまれる方も多く、「商業施設という場所だからこそ」生まれる出会いがありました。

花高:私たちの「WELL BE CHECK®」のブースにも、「ポイントが貯まるならやってみようかな」と気軽に立ち寄ってくださる方が多くて。健康意識を広げる第一歩として、とても大きな手応えを感じました。

左:それは嬉しいですね。健康は意識の高さだけでは継続が難しい領域ですが、商業施設のような日常的な空間で、遊びや買い物のついでに触れることができると、ぐっと身近になりますよね。

小熊:医療機関に行くとなると緊張する方もいますが、今回のような場なら、占い感覚で「お腹ソムリエ®」を受けて、興味を持っていただける。その空気感がとても良かったです。

加藤:ご家族で一緒に楽しみながら健康を考えてもらえるのは、商業施設という“生活の延長線の場所”だからこそだと思います。

左:占いのように楽しめるのは面白いですね。健康を「特別なもの」から「日常にあるもの」へ変えていく。数字やスコアをきっかけに、家族同士が笑い合いながら話す。その空気こそ、健康が文化として育っていく土壌になるのではないでしょうか。

小熊:「お腹ソムリエ®」のブースでは、ご夫婦で一緒に受けて「あれ、あなたの数値低いね…今日から夕飯はサラダね」といった微笑ましい会話も始まっていました(笑)。

左:病院で同じ結果を聞いても、そのようには盛り上がらないかもしれません。“生活の場”だからこそ生まれる気づきと会話がありますね。

小熊:あるお父さんが内臓脂肪が多いという結果だったとき、小さな娘さんが「パパ、長生きしてもらわないと困るんだから気をつけてね」と声をかけていたのが本当に印象的でした。家族で健康を共有し、励まし合えることの大切さを改めて感じました。

左:健康はひとりでつくるものではなく、家族や周囲とのつながりから育まれるものであることを実感しますね。

未病改善が未来へとつながる。共創から生まれる健康習慣の次世代モデル

左:小田急SCディベロップメントとして、今後ヘルスケア分野でどのような取り組みを進めていきたいか、お考えをお聞かせください。

加藤:取り組みを始めてから、まだ間もないのですが、未病は、ひとつの企業だけで完遂できるテーマではないと強く感じています。食生活・運動・睡眠など複数の要素が複雑に絡んでいる領域です。だからこそ、自治体・企業・地域の方々と連携しながら進めていく「共創」の姿勢が不可欠だと思っています。

左:私たちも、ウェルビーイングの実現には、人と人、企業同士の関係が重なり合うことが重要だと考えています。立場の異なる人が視点を持ち寄ることで、生活者にとっての“選択肢”が豊かになり、行動の入口が広がっていく。今回の取り組みは、その好例だと感じています。

小熊さんは、どのような社会をつくっていきたいと考えていますか。

小熊:私たちが提供しているのは、いわば生活の“答え合わせ”ができるツールです。日々の行動や習慣が自分の体にどんな影響を与えているのかを理解することで、誰もが自分の健康ときちんと向き合える社会をつくりたいと思っています。

私たちが特に懸念しているのは、体重を減らすことばかりに意識が向いてしまう方が多いことです。エコーで体の状態を見てみると、脂肪は少なくても筋肉量が極端に不足しているケースが少なくありません。見た目の数字だけでは健康とは言えず、そのままでは将来のリスクにつながってしまいます。

若い頃は健康診断で問題が出なくても、40代・50代になると筋力不足や運動不足が原因で、体調不良や歩行のしづらさといった不調が一気に表面化することがあります。「美しくなりたい」という思いに対しても、ただ痩せるのではなく、正しい方向性を示すことがとても重要だと感じています。

小熊:そのために、加藤さんと花高さんのお話にもあったように、企業や自治体が連携し、「健康を包括的にチェックできるエコシステム」を構築したいと思っています。

左:ありがとうございます。では花高さんが描く未来についてもお聞かせください。

花高:私たちとしては、未病のビッグデータを集めることが未来の医療と健康づくりをつなぐ鍵になると考えています。健康診断は病気を早期発見するための医療データですが、私たちが見たいのは、そのもっと手前、日常に潜む小さな変化です。

医療費の増加や高齢化が進む日本では、病気にならない社会づくりの視点がますます重要になると感じています。

左:未病のデータが未来の社会インフラになり得るということですね。未病・予防の領域は、多くの企業とともにつくることでより力を発揮するとも感じます。ヘルスケアの領域で、連携を進めたい企業はありますか?

花高:私は保険会社との連携に大きな可能性を感じています。加入者が健康になれば、保険会社にとってもメリットがあり、企業と利用者の双方にとって良い循環を生み出せるはずです。

左:健康の好循環が、企業だけでなく社会全体の利益になる。とても興味深いです。小熊さんはどのような連携を広げていきたいと考えていますか?

小熊:自治体の健康診断や産業保健、健康保険組合との連携を深めたいですね。実際に、保健師さんと連携して、「健康診断前にお腹ソムリエ®で自分の内臓脂肪を見てもらう」という取り組みを行ったところ、とても好評でした。

自分の内臓脂肪を見てから指導を受けると、「運動しよう」「食事を見直そう」と自然にスイッチが入るんです。

左:行動変容の最初の火種は、案外こうした「ちょっとした気づき」だったりしますよね。加藤さんはどのように考えていますか?

加藤:自治体の健康増進課とも、今後さらに連携できると考えています。地域にはすでにコミュニティがあり、イベントやSNSを通じた発信力もあります。商業施設・自治体・企業が手を取りながら、生活者の健康を支える仕組みを広げていきたいです。

左:最後に、皆さんがウェルビーイングを感じる瞬間について教えてください。

加藤:起業支援の仕事に携わる中で、「社会課題を解決したい」と本気で挑む方々と一緒に歩めることに大きなやりがいを感じています。

夢や志を持つ方から「ありがとうございます」と感謝の言葉をいただけると、自分の仕事が誰かの挑戦や地域の未来につながったのだと実感できる。その瞬間に、とてもウェルビーイングを感じます。

小熊:私には2人の娘がいるのですが、体重が増えたときなどに「エコーでお腹を見たい!」と言ってくるんです(笑)。そんなふうに、健康を日常の会話として受け取ってくれるようになると、健康への意識は大きく変わり、未来も確実に変わっていくと感じます。

子どもたちが健やかに、そして自分の体を大切にできる未来を思い描けるとき、私はウェルビーイングを強く実感します。

花高:私は「FEEL HEALTH」という言葉を大切にしています。音楽に心を震わされたり、映画のワンシーンに胸を打たれたりしたとき、ふと家族や友人の顔が浮かんで「あの人、元気にしているかな」と思うことがあります。“誰かの健康を思い浮かべ、誰かの幸せを願う”。その静かな感情の動きが、私にとってのウェルビーイングです。

左:それぞれの健康への想いがにじむ言葉ですね。「FEEL HEALTH」、とても素敵な概念だと感じました。今日のお話を伺い、未病という領域は「個人の努力」ではなく、商業施設・医療・データテクノロジー・地域コミュニティが重なり合うことでより価値を発揮する「共創」のテーマであると再確認しました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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