腕立て伏せができないのは、筋力が足りないからだと考えがちだが、実際にはフォームの乱れや体幹の弱さ、体重や姿勢のくせ、手首や肩の痛みなど、さまざまな理由が重なっていることが多い。
この記事では、腕立て伏せができないおもな原因をわかりやすく整理し、必要な筋肉や正しいフォーム、よくある間違い、フォームを安定させるコツを紹介する。
この記事の監修者

古谷 有騎さん
スポーツモチベーション所属トップトレーナー|PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー
この記事の検証者

山下さん
筋トレ歴9年
学生時代から週3~トレーニングや運動を続けており、社会人になってからも週4~トレーニングを継続。コンテスト出場歴もあり。 正しいフォームを皆さんに伝えられるように日々奮闘。
腕立て伏せの4つの効果

- 胸まわりの筋肉が鍛えられて姿勢が整いやすい
- 二の腕が引き締まりやすくなる
- 体幹が安定しやすくなる
- 全身のエネルギー消費が高まりやすい
胸まわりの筋肉が鍛えられる

腕立て伏せでは大胸筋が主働筋として強く働き、胸全体のボリュームアップやハリ感の向上につながる。肩関節の位置が整うことで、胸郭まわりが自然に持ち上がりやすくなり、立位姿勢でのシルエットが立体的に見えやすくなる。
手幅や上体の角度を変えることで、胸の上部・中部・下部への刺激を調整できるため、厚い胸板づくりやバストラインの形成におすすめのトレーニング。
胸の筋肉の負荷を集めるには、身体を一直線に保ち、胸を張る姿勢がポイント。肩甲骨を軽く寄せて胸骨を引き上げた姿勢を維持すると、胸の伸展と収縮で筋肉が刺激される。
しかし、腰が落ちたり肩がすくんだりすると、負荷が腕に逃げてしまい、胸のボリュームアップにつながりにくいので注意。

監修者:古谷
とくにデスクワークで前かがみの姿勢が続くと、胸の筋肉が縮こまり、背中の筋肉は弱くなることで、姿勢が乱れやすいです。
腕立て伏せを取り入れることで、上半身の筋肉が全体的に鍛えられ、背筋が伸びやすい状態が作られます。
二の腕が引き締まりやすくなる

腕立て伏せでは腕を伸ばす動きが繰り返されるため、上腕三頭筋に集中的な負荷がかかりやすい。二の腕の裏側は日常生活で使われにくくたるみやすい部位のひとつだが、押し出す動作により筋肉が働き、二の腕のたるみ対策につながる。
とくに腕だけに力を入れるのではなく、肩・ひじ・手首をひとつの流れで動かすことがポイント。余計な力みが減り、動きが安定し、二の腕のシェイプアップにつながる。
体幹が安定しやすくなる

腕立て伏せの姿勢を維持する際、腹部・背部・下肢が連動して働き、体幹全体の安定性が高まりやすくなる。頭からかかとまでを一直線に保つ意識を持つと、腹圧が高まり、日常動作やスポーツ動作での重心のブレが抑えられる。
体幹が強くなると、腰が反りにくくなり、疲れにくい身体づくりにも役立つ。スポーツの動きが安定しやすくなり、腰痛予防や日常生活での転倒リスクの軽減にもつながる。
全身のエネルギー消費が高まりやすい

腕立て伏せは、大きな筋肉を複数同時に使う全身運動。そのため、一部の筋肉だけを鍛えるトレーニングに比べてエネルギー消費が高く、トレーニング中はもちろん運動後も代謝が上がりやすい。
また、腕立て伏せを継続することで筋肉量が増えれば、基礎代謝が向上し日常生活でも消費されるエネルギー量が増加する。
太りにくい身体づくりにもつながり、ダイエット目的や身体を引き締めたい人にとって非常に取り入れやすいトレーニング。
腕立て伏せができないおもな原因

- 腕の筋力が足りない
- 体幹が弱くて身体が安定しない
- フォームが間違っている
- 体重が重くて負荷が高い
- 手首や肩に痛みがある
- 姿勢(巻き肩・反り腰)が崩れている
腕の筋力が足りない

腕立て伏せができない理由として代表的なのが、押し上げ動作に必要な腕の筋力不足。とくに上腕三頭筋が弱い場合、身体を支える力や押し上げる動きが不安定になり、フォームが崩れたり途中で力が尽きてしまうことが多い。
腕の筋力が十分でないと、胸や体幹の力をうまく連動させられず、腕だけに負担が集中してしまう点にも注意が必要。
上腕三頭筋を中心に腕まわりを鍛えることで、腕立て伏せの可動域が安定し、必要な力の伝達がスムーズにおこなえるようになり、結果として腕立て伏せ全体のパフォーマンス向上につながる。

監修者:古谷
女性の場合で一番多い原因は「腕の筋力不足」なので、腕立て伏せ以外にもトレーニングを組み合わせるのがおすすめです。
とくにイスを使用したナロープッシュアップや、ダンベルキックバック、フレンチプレスは上腕三頭筋を鍛えるのにおすすめのトレーニングです。
体幹が弱くて身体が安定しない

腕立て伏せは腕だけで身体を支える運動ではなく、頭からかかとまでを一直線に保つために強い体幹の安定性が必要。
腹筋や背中の筋肉が十分に働いていないと、腰が落ちたりお尻が上がったりとフォームが崩れやすくなり、必要な筋肉に適切な刺激が入らないだけでなく、肩やひじに負担が偏ってしまう。
体幹が弱い状態で腕立て伏せを続けることは、動作が安定しないうえにケガのリスクを高めるため、体幹を鍛えて腕立て伏せの動作を安定させよう。

監修者:古谷
腕立て伏せ中に体幹を安定させるためには腹圧をしっかりとかけることが最も大切です。お腹をへこませつつ肛門を締めて下腹部を固定することで身体を一直線に保ちやすくなります。
これらができていないと体幹が緩んで腰が落ちたり、お尻が上がったりしてフォームが崩れる原因となるので注意しましょう。
フォームが間違っている

腕立て伏せはシンプルな動作である反面、フォームが少し崩れるだけで本来刺激したい筋肉に負荷が伝わらず、十分な効果が得られないことが多い。
基本の姿勢を正しく保つだけで、同じ回数でも筋肉に効率よく刺激が入り、上達のスピードが大きく変わる。
また、誤ったフォームのまま練習を続けることは、肩・ひじ・腰などの関節を痛める原因にもつながる。
とくに腕立て伏せは繰り返し負荷がかかる動作であるため、負担が蓄積しやすい。安全に効果を高めるために、まず正しい手幅・体幹の位置・動作の軌道といった基本を確認し、自分の姿勢を客観的にチェックしながら取り組もう。
【よくあるフォームの間違い】
- 頭が上がる
- お尻が上がる
- 腰が反れる
体重が重くて負荷が高い

腕立て伏せは自分の体重がそのまま負荷となるトレーニングのため、体重が重いほど押し上げ動作の難易度が一気に高まる。
結果として、身体が思うように持ち上がらず途中で動きが止まってしまうことも。無理におこなわず、負荷の軽いバリエーションから始めて少しずつ筋力をつけていくのがおすすめ。
また、トレーニングと並行して適正な体重を目指すことで腕立て伏せ自体の負荷が自然と下がり、安定したフォームで動作をおこなえる。
【負荷を抑えたトレーニング】
- 膝つき腕立て伏せ
- 壁腕立て
- インクライン腕立て
手首や肩に痛みがある

手首や肩に痛みがある場合、腕立て伏せに必要な力を十分に発揮できず、フォームの乱れや動作不良につながりやすい。手首の柔軟性が不足していると、腕立て伏せ時に手首が強く反らされることで負担に耐えられず痛みが出ることも。
肩の可動域が狭い場合も、正しい押し上げの軌道を描けず、肩まわりに負担が集中して痛みを生じやすい。
痛みがあるときは、手首の角度を変えておこなう・ダンベルやプッシュアップバーを使用するなど、負荷を分散する工夫が必要。
また、痛みを無視して続けることはケガにつながるため、まずは原因の改善を優先することが安全にトレーニングをおこなう際のポイント。

監修者:古谷
手首やひじ、肩、腰などに傷害歴がある場合、腕立て伏せができない場合があります。腕立て伏せの強度を上げられない場合、他の種目と組み合わせてトレーニングをおこなうことも可能なので、無理をしないように注意しましょう。
姿勢(巻き肩・反り腰)が崩れている

日常生活で身についてしまった姿勢のクセは、そのまま腕立て伏せのフォームにも影響を及ぼす。巻き肩の人は胸まわりが閉じてしまい、胸をしっかり張る動作が難しくなるため押し上げ動作が安定しにくい。
一方で反り腰の人は体幹が抜け、腰が反ったまま動作してしまうことで腰に過度な負担がかかりやすい。
姿勢が崩れた状態では上体が安定せず、腕立て伏せ全体のフォームも乱れやすく、結果として筋肉に適切な刺激が伝わらない。
より効果的に腕立て伏せをおこなうためには、まず肩甲骨の位置や骨盤の傾きを整え、体幹を意識したニュートラルポジションを作ることが不可欠。
腕立て伏せの正しいやり方
| 難易度 | ★★★★★ |
| 続けやすさ(※1) | ★★☆☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★★★ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 肩幅よりもやや広めに手幅を広げ、みぞおちあたりにセットする
- 身体が直線になるように脚を伸ばし身体をおろす
- 身体をもち上げる
- ひじを曲げてギリギリまで降ろす
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | 床マット |
| 鍛えられる部位 | 大胸筋・上腕三頭筋・三角筋・背筋群 |
| 負荷の調整 | 可能 |
STEP1:肩幅よりもやや広めに手幅を広げ、みぞおちあたりにセットする

【注意点】
- 手をみぞおちあたりの位置に置く


検証者:山下
手幅を広げてセットする際、左右のバランスが取りづらく、肩に余計な力が入ってしまいました。みぞおちの位置に手を置くのも意外と難しく、少しずれるだけで身体が安定しづらいと感じました。

監修者:古谷
手幅を広げた際に肩が緊張しやすいのはよくあることで、肩甲骨を軽く寄せて胸を張る意識を持つと安定しやすくなります。
また、みぞおちのラインに手を置くときは、身体を真上から見た位置をイメージしながらセットすると左右差が出にくくなります。
STEP2:身体が直線になるように脚を伸ばし身体をおろす

【注意点】
- 身体が直線になるように足を伸ばす
- 顔が下を向かない

顔が下を向かない


検証者:山下
身体を一直線に保ったまま下ろすのが思った以上に難しく、お腹が抜けて腰が反りやすくなりました。体幹の弱さが出やすいステップだと感じました。

監修者:古谷
腰が反ってしまうのは体幹が伸びたまま緩むことが原因のひとつです。下ろす際は、軽くお腹に力を入れて腹圧を高め、みぞおちから骨盤までを板のように固定するイメージを持つと直線を維持しやすくなります。
動作中は、お尻を締めて体幹を補助することも効果的です。
STEP3:身体をもち上げる


検証者:山下
持ち上げる動作で腕だけに頼ってしまいがちで、胸の力は意識しないと使いにくいと感じました。
また、押し上げる瞬間に肩がすくみやすく、フォームを維持するのが難しかったです。

監修者:古谷
腕だけで押そうとすると胸の筋肉が働きにくくなるため、胸を張ったまま肘で床を押す意識を持つと胸の筋肉が使われやすくなります。
肩がすくむ場合は、肩甲骨を下げて脇を軽くしめる意識を持つと安定しやすく、胸への効きを感じやすくなります。
STEP4:ひじを曲げてギリギリまで降ろす

- 鼻がつくギリギリまで降ろす


検証者:山下
ギリギリまで下ろそうとすると肩の前側に詰まるような感覚があり、下げる位置の判断が難しかったです。深く下ろしたい気持ちと、安全に動作したい気持ちのバランスが必要だと感じました。

監修者:古谷
深く降ろした際に肩が詰まるのは、ひじの角度や胸の張りが不足している可能性があります。ひじを軽く外側に開き、胸をしっかり張った状態でおろすことで、肩に負担をかけずに可動域を確保できます。
また、無理に「深く降ろす」ことを優先せず、痛みのない範囲でゆっくりコントロールすることが安全で効果的です。
腕立て伏せができるようになるための4つのコツ

- 手の幅・手の向き変える
- 脇の角度が45度程度
- お腹を軽く凹ませるように意識する
- 正しい呼吸で動作を安定させる

監修者:古谷
正しいフォームでおこなうことはどのトレーニングにおいても大切なポイントですが、腕立て伏せの場合はとくに、「腹圧・上半身の力・上がるタイミング」の3つの力を入れるタイミングを合わせることが大切です。
手の幅・手の向きを変える

手の幅は、肩幅より少し広め(拳1〜2個分外側)が目安。広すぎると肩への負担が大きくなり、狭すぎると二の腕ばかりに負荷がかかってバランスが崩れやすい。
指先はほんの少し外側(10〜20度)を向けると、手首への負担が軽くなる。手を置く位置は肩の真下が安定しやすく、体重のかかり方も自然。腕立て伏せの軌道が整い、動作がスムーズになる。

監修者:古谷
腕立て伏せをできるようになるうえで大切なことは自分にとって胸に力が入りやすい手の向き・角度を見つけることです。
上記を目安に、自分に合った角度を見つけましょう。
脇の角度が45度程度

ひじを曲げたときの脇の角度は、45度程度が理想的。開きすぎると肩に負担がのりやすく、閉じすぎると二の腕ばかりが疲れてしまう。
肩がすくむと首や肩周りの筋肉が緊張し、正しい動きができなくなる。肩を軽く下げ、耳から遠ざけるイメージを持つと、胸が開いて動きが安定する。首や肩の緊張も抜け、呼吸もしやすくなる。
お腹を軽く凹ませるように意識する

体幹が抜けると、腰が反ったりお尻が浮いたりして、フォームが崩れやすい。腹筋に力を入れ続けることが、体幹を固定する一番のポイント。お腹を軽く凹ませるように意識すると、身体の軸が安定しやすい。
さらに、お尻の筋肉を軽く締めることで骨盤も固定され、頭から足先までが一枚の板のように整う。フォームがぶれにくくなり、押し上げ動作も安定する。
正しい呼吸で動作を安定させる

呼吸を止めると体幹が不安定になり、動きもぎこちなくなる。身体を下ろすときは鼻から吸い、押し上げるときは口から吐くのが基本。
深い呼吸を続けるとリズムが整い、動作そのものが安定する。苦しくなりにくく、回数も重ねやすくなる。
腕立て伏せができるようになるまでの期間

初心者が腕立て伏せをできるようになるまでの目安は、早い人で2〜4週間。平均すると1〜2ヵ月ほどかかることが多い。ただし、筋力・体重・体の使い方・これまでの運動経験などによって、必要な期間には大きな個人差がある。
重要なのは焦らず継続すること。負荷を段階的に調整しながら、毎日少しずつでも練習を積み重ねれば、確実に筋力は向上していく。体重や年齢、性別によっても差が出るため、他人と比較せず自分のペースで進めることが大切。
腕立て伏せができるようになるための代替トレーニング5選
- 壁腕立て伏せ
- リバースプッシュアップ
- ハイプランク
- ひざつき腕立て伏せ
- ななめ腕立て伏せ
壁腕立て伏せ
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★★★ |
| トレーニング効率(※2) | ★★☆☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 壁から一歩ほど離れて立ち、肩幅よりやや広めに手をつく
- 手の位置は肩の高さあたりにし、指先はやや外側に向ける
- 身体をまっすぐに保ったまま、ひじを曲げてゆっくり壁に近づく
- 胸が軽く壁に近づいたら、ひじを伸ばして元の姿勢に戻る
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | 不要 |
| 鍛えられる部位 | 大胸筋・上腕三頭筋・三角筋・体幹 |
| 負荷の調整 | 可能 |

検証者:山下
壁に向かって身体を倒していく際、姿勢をまっすぐにキープするのが意外と難しく、腰が反ったり肩がすくんだりしやすかったです。力が軽い分、どこに効いているのかが分かりにくいと感じました。

監修者:古谷
壁腕立て伏せでは、胸や腕への刺激が軽いため効いていない気がすると感じがちですが、正しいフォームでおこなうことで基礎づくりにつながるトレーニングです。
足を少し後ろに引くと負荷が高まり、胸や腕の刺激も感じやすくなります。まずは「身体を一直線に保つ意識」を優先しましょう。
リバースプッシュアップ
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 安定したイスやベンチの端に座り、手をお尻の横につく
- 手は指先を前方に向け、ひじを軽く伸ばした状態にする
- お尻をイスから前にずらし、腕で身体を支える
- ひじを曲げて、ゆっくり身体を真下に下ろしていく
- ひじが90度前後になったところで、腕を伸ばして元の位置まで押し上げる
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | イス |
| 鍛えられる部位 | 上腕三頭筋・三角筋前部・大胸筋下部 |
| 負荷の調整 | 可能 |
【注意点】
- 脚を遠くに置かない


検証者:山下
ベンチに手を置いて身体を下ろすときに、肩の前側が詰まるような感覚があり、二の腕より肩に力が入ってしまうことがありました。動作の軌道も安定しにくく、深く下げるのが難しかったです。

監修者:古谷
肩に負担がかかるのは、身体がベンチから離れすぎている可能性があります。お尻をベンチに近づけ、ひじを後ろではなく真下に曲げる軌道を意識すると二の腕に負荷が入りやすくなります。
深く下げすぎると肩を痛めやすいため、痛くない範囲でおこなうことが大切です。
ハイプランク
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★★★ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★★☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 床にうつ伏せになり、腕をまっすぐ伸ばして肩の真下に置く
- 頭からかかとまでを一直線にする
- お腹とお尻を軽く締め、背中を反らす
- 十分に反らしたら元に戻す
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | 床マット |
| 鍛えられる部位 | 体幹・腹筋群全体・三角筋・上腕三頭筋・背筋群 |
| 負荷の調整 | 可能 |
【注意点】
- 身体が一直線


検証者:山下
静止して腰を反るという単純な動作なのに、時間が経つにつれて肩に力が入りすぎたりして、安定した姿勢を保つのが大変でした。とくに腹筋とお尻の力の入れ方が難しかったです。

監修者:古谷
ハイプランクはシンプルですが、体幹全体をしっかり使わないと姿勢が崩れやすいトレーニングです。お腹を軽くへこませて腹圧を高め、お尻を締めることで背骨が安定し、腰の沈みや反りを防げます。
ひざつき腕立て伏せ
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★★★ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 四つん這いになり、手を肩幅よりやや広めに置く
- ひざを後ろに引いて、頭からひざまでを一直線にする
- ひじを曲げながら、胸を床に近づけていく
- 胸が床すれすれまで来たら、ひじを伸ばして元の姿勢に戻る
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | 床マット |
| 鍛えられる部位 | 大胸筋・上腕三頭筋・三角筋・体幹 |
| 負荷の調整 | 可能 |

検証者:山下
通常の腕立て伏せより負荷は軽いのですが、下ろしたときに胸を張る姿勢が維持できず、腕だけで押し返してしまう場面がありました。体幹の力が抜けると背中が丸まりやすいのも難点でした。

監修者:古谷
ひざをつくことで負荷が軽くなる分、フォームづくりに集中しやすくなります。胸を張り、ひじをやや外側に開くと胸筋を使いやすくなります。お腹の力が抜けると背中が丸まりやすいため、軽く腹圧をかけながら動作することが重要です。
ななめ腕立て伏せ
| 難易度 | ★★★★☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★★☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★★☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 安定したイスに手を置く
- 手幅は肩幅よりやや広めにセットする
- 脚を後方に伸ばし、頭からかかとまでを一直線に保つ
- ひじを曲げながら、胸を台に近づけるように身体を下ろす
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | イス |
| 鍛えられる部位 | 大胸筋・上腕三頭筋・三角筋・体幹 |
| 負荷の調整 | 可能 |

検証者:山下
台を使うことで動作自体はやりやすかったのですが、胸ではなく肩に負荷が入りやすく、手の位置や角度によって効き方が変わるのを強く感じました。とくに下ろす軌道を一定にするのが難しかったです。

監修者:古谷
インクラインは負荷の調整がしやすく、初心者が胸に効かせる感覚をつかむのにおすすめです。手を置く位置は「みぞおちのライン」に合わせると胸に刺激が入りやすくなります。
肩がすくむと肩前部に負担がかかるため、肩甲骨を軽く寄せて胸を張る姿勢を意識してください。
腕立て伏せに必要な筋肉

- 大胸筋
- 上腕三頭筋
- 前鋸筋
- 背筋群
大胸筋

| 主な役割 | 腕を前に押し出す・胸を張るなどの動作に影響する。 |
| 位置 | 胸の前面に大きく広がる |
| 構成筋肉 | 鎖骨部・胸肋部・腹部の3部位で構成される大きな一枚の筋肉 |
上腕三頭筋

| 主な役割 | 肘を伸ばす動作を担い、日常生活では、押す・体を支える動きに関わる |
| 位置 | 二の腕の後ろ側 |
| 構成筋肉 | 長頭・外側頭・内側頭の3つの筋頭で構成 |
前鋸筋

| 主な役割 | 肩甲骨を前に引き出す・安定させる動作を担い、日常生活では物を押す・腕を前方に伸ばす動作で使われる |
| 位置 | 脇の下〜肋骨に沿って広がる筋肉 |
| 構成筋肉 | 独立した一つの筋肉 |
背筋群

| 主な役割 | 身体を一直線に保ち、姿勢を安定させる軸の役割をもつ。歩く・立つ・姿勢保持など、日常すべての動作の基盤。 |
| 位置 | 背骨まわり・骨盤まわりに広く分布 |
| 構成筋肉 | 脊柱起立筋など複数の筋群で構成 |
腕立て伏せにまつわるQ&A
手首や肩が痛いときはどうしたらいい?
A:手首の角度を変えたり、強度を下げるのがおすすめ

監修者:古谷
手首に痛みがある場合は、まず手首の角度を変えて負担が軽くなるか確認してみましょう。それでも痛みが続いたり、手をつく動作そのものがつらい場合は、プッシュアップバーなどの器具を使って手首の角度を調整する方法がおすすめです。
また、肩が痛い場合はできるだけ腕立て伏せはおこなわないようにしましょう。
腕立て伏せは毎日しても大丈夫?
A:毎日おこなっても問題ない

監修者:古谷
腕立て伏せは毎日おこなっても問題ありませんが、日常生活に疲労が残るようであれば、無理をせず適度に休息を取り入れましょう。
また、上級者の場合は毎日おこなうことにこだわらず、トレーニングの質を高めるために休息日を設けたり、負荷や種目を工夫したりすることも効果を向上させる1つの方法です。
腕立て伏せは1日何回を目指すべき?
A:初心者は10~15回を2〜3セットおこなう

監修者:古谷
初心者の方は、まず正しいフォームを維持できる範囲で10〜15回を目安に取り組むことが大切です。回数だけを追いかけるとフォームが崩れやすく、胸や腕に十分な刺激が入らなくなってしまうため、無理のない回数設定で2〜3セットを丁寧におこないましょう。
腕が太くなるのが心配、どうすればいい?
A:腕が太くなることはあまりない

監修者:古谷
腕立て伏せで腕が太くなることはほとんどないため、過度に心配する必要はありません。もし腕だけが太くなってしまう場合は、胸ではなく腕の力に頼ったフォームになっている可能性があります。
また、他の部位とのバランスによって腕が強調されて見えることもあるため、背中や胸などもあわせてバランスよく鍛えることが大切です。































東京神楽坂・会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」で幅広い年代のクライアントの運動指導をおこなう。青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。その他にも『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)の出演、NHK文化センターの講師、書籍では『肩こり・腰痛 速効!かんたん体操』(コスミック出版)の構成を担当するなど、活動の幅を広げている。
【保有資格/実績など】
米国スポーツ医学会認定運動生理学士/大阪国際がんセンター認定がん専門運動指導士
/adidasトレーニングアカデミー認定ジム&ランインストラクター/TPI認定レベル1