巻き込み力は、伝播する。
オフィスデザイン・オフィス家具のオカムラ社の岡本栄理さんに出会った。万博での挑戦!ありたい自分を本気で演じる劇団「ザ・オカムラ座」の主宰で、本プロジェクトの座長を務めあげた方だ。マサオ・コネクティッド(Zenken近藤さん)のいつもの「人繋ぎ」で出逢ったのだが、そこに集まったみんなが彼女の情熱と行動力の虜になった。
昨年に「大阪・関西万博」で社員が出演する舞台をやったと聴いて、その舞台のドキュメンタリー映像をみさせていただいた。株式会社オカムラの社員による劇団、その名も「ザ・オカムラ座」。彼らが挑む演目『12人のとびだす会社員』のコンセプトを聞いたとき、なんて無謀なことに挑戦したのか、と思った。 「同じ毎日を繰り返す会社員が、社会に着せられた殻を破り、自己解放できるか」という挑戦。これはまさに、僕が高校時代、サッカー部での怪我で絶望していた後に、演劇部を立ち上げて自分をさらけ出して1200人の前で演じた「走れメロス!」の、あの瞬間と重なった。
当時の僕は高校2年生、部員もいない中、サッカー部・バスケ部・ラグビー部の親友に声をかけ、「演劇部」をつくった。大阪・河内長野ラブリーホールの舞台で、高校生が「走れメロス?」と言われながら、みんなで演じきった高揚感と達成感は30年以上経った今も忘れない。観客の中では、先生が涙をぬぐっている。僕は、そこから「新たな一歩」を踏み出すことができた。自分たちは、何かに挑戦するときに、いつも何かリスクを考えてしまう。それを、周りの人たちを巻き込みながら進むことができたとき、動いたものだけが味わえる何かを得ることができる。
ぼくが、ウェルビーイング共創社会と言っているのも、ここに原点があるような気がする。自らの「意志」と「行動」で、人生をまったく違うものに変えていく。「自分らしく、生きる」そんなことを感じる経験ができたこと、仲間と共に何かをいっしょにやり切って達成できたことは、「巻き込み力」という形になり、周りにも伝播する。そう、ウェルビーイングが伝播するように。
座長・岡本栄理さんが描く「命の輝き」
この壮大なプロジェクトを率いているのが、座長の岡本栄理さん。 彼女の志が素晴らしいのは、この演劇を単なる「社内行事」に留めなかったこと。用意された台本を演じるのではなく、12人の演者の現実に沿った背景を丁寧にインタビューし、脚本に落とし込んでいく。さらには、観客が介入し、ステージ上で同時多発的にストーリーが変わる「インタラクティブ・ノンバーバル演劇」という、真剣勝負を仕掛けていた。巻き込み力で言うと、オカムラの社長や経営陣をどんどん巻き込んでいく。これこそ、最大のインナーブランディングにも通じるものをやり切った。
岡本さんは、「一人ひとりが主役という自覚を持って生きることで、世の中のあらゆる命がもっと輝くのではないか」と言う。 働く環境を支えるオカムラだからこそ、まずは自分たちが「働く喜び」を全力で表現する。そのために、100名を超える応募から選ばれた仲間たちが、部署や役割を超えて共創する。
岡本さんが作り上げようとしているのは、単なる演劇ではなく、社員一人ひとりの「ウェルビーイングな生き方」そのものなのだ。そのプロデュース力と、人を信じる強さに、僕は心からの敬意を表したい。
僕にとっての高校の時の演劇部「走れメロス」が、僕の「自分らしさ」を表現できたように、「ザ・オカムラ座」の12人も、お互いが無二の親友となり、未来の主役として羽ばたいていくと思う。それ以上に、舞台に出た12人以外のオカムラの社員みんなが巻き込まれて、「自分らしく働く」ことを見つめ直し、会社との絆が深まった取り組みである。
自分をさらけ出すことは、怖い。でも、その殻を破った先にしか、自分の可能性を見つけることはできない。
岡本栄理さん、「ザ・オカムラ座」のみなさん、オカムラの社員のみなさん、皆さんの挑戦が、たくさんの人のウェルビーイングの伝播につながっている。素敵な出逢いと素敵な情熱と行動に、感動をいただきました。ありがとうございました。

*画像は、オカムラのニュースリリースから頂いております。
堂上 研 株式会社ECOTONE代表取締役社長 Wellulu編集長