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子どもにもおすすめ!豆乳習慣でたんぱく質をバランスよく摂取しよう【日本豆乳協会】

健康意識の高い人から人気が集まり、今では幅広い方々に愛飲されている豆乳。1970年代に市場に登場して以来、技術開発によりその風味が改善され、現在では多くのフレーバーが楽しめるようになった。そこで今回は、日本豆乳協会の杉谷さんに豆乳の製造方法やその種類、栄養成分、そしておいしく取り入れるためのアレンジ方法について詳しくお話を伺った。

杉谷 智博さん

日本豆乳協会 事務局長

1983年株式会社紀文フードケミファ(現キッコーマンソイフーズ株式会社)入社、豆乳の品質管理業務に従事。2001年同社営業部化成品営業グループにてグループ長、2004年同社鴨川工場のヒアルロン酸製造グループ長を務める。2011年キッコーマンバイオケミファ株式会社出向、同社鴨川プラント業務グループ長、2013年同社鴨川プラント工場長を歴任、豆乳に関する豊富な知識と経験をベースに、様々の業務において活躍。2014年キッコーマンソイフーズ株式会社において品質保証部長に就任、2020年6月、日本豆乳協会事務局長補佐、2021年4月事務局長に就任、現在に至る。

本記事のリリース情報

この度、オウンドメディア「Wellulu」に日本豆乳協会 杉谷事務局長のインタビューが8月26日に掲載されました。

目次

大豆からつくった豆乳!自然の恵みが詰まった健康ドリンク

豆乳の製造方法

──まず始めにお伺いしたいのですが、健康のために豆乳を取り入れる方が近年多くなっている気がします。なぜ豆乳が注目されるようになったのでしょうか?

杉谷さん:豆乳が一般市場に初めて並んだのは1970年代でしたが、当時は健康にはいいけれど、おいしくない!と敬遠されている方も多かったんです。その頃、豆乳は青臭くて飲みにくかったため、罰ゲームの飲み物として使われるほどでした。青汁も一時期そうでしたよね。

──え!そうなんですね。今ではコンビニで気軽に変えたり、カフェにソイラテがあったりとおいしい飲み物というイメージがありますね。

杉谷さん:それは技術開発が進み、成分は変わらず健康にいいまま、青臭さを取り除いておいしくすることに成功しました。これによって、さまざまなフレーバーが追加できるようになり、多くの人が手に取るようになったんです。現在では、飲むだけでなく料理やスイーツにも使われるようになって、大きく普及しています。

──確かに。おいしいフレーバーがたくさんありますね。豆乳はどのように作られているのでしょうか?

杉谷さん:豆乳の製造は大きく4つの段階にわかれます。まず、原料の大豆から皮を剥いて、胚芽(はいが)などを取り除きます。そのあと、蒸気やお湯で加熱して青臭さを除去します。次に、蒸した大豆をすり潰し、おからと豆乳に分離します。最後に、圧力をかけて豆乳を均一化して、喉越しをよくし、必要に応じて砂糖やフレーバーを加え、無菌充填してパック詰めします。

豆腐を作るときにも豆乳を作る段階があるのですが、製造方法は似ているようで違います。

豆腐はそのまま大豆を水につけて使いますが、飲む豆乳を作る際には、青臭さが出ないように工夫が加えられているところも、大きく異なる点ですね。

── 豆乳を作るのに、どれくらいの大豆が使われているんですか?

杉谷さん:大豆の栄養成分を水に溶かして作るため、大豆1キロから約7~8リットルの豆乳を作ることができますよ。

── 大豆を使えば、家庭でも豆乳を作ることはできるのでしょうか?

杉谷さん:はい、作れます。豆腐を作るときの豆乳と成分は変わりません。ただ、青臭みの原因となる胚芽(はいが)などを取り除いていない分、大豆のそのままの香りがすごく強く残ります。それが好きという方も、ちょっと苦手だと感じる方もいて、好みが分かれるかもしれません。

ただ、自宅で豆乳を作れば、出来たてのおいしさを味わえるのがメリットですね。豆乳もやはり出来立てはとてもおいしいんですよ。

── できたての豆乳、ぜひ飲んでみたいです。ちなみに時間が経つと味が変わる理由は何ですか?

杉谷さん:熱を何回も加えると、少しずつ風味が変わっていくんです。

昔は豆腐屋さんで買った豆乳をすぐに飲むのが一般的でしたが、現在は無菌充填によって長期保存が可能になったので、出来たてを飲む機会が少なくなってしまいましたね。長期保存ができる豆乳ももちろんおいしく、私も毎日飲んでいるのですが、やはり出来たてのおいしさにはかないません。

無調整豆乳・調製豆乳・豆乳飲料はどう違う?

── スーパーではさまざまな豆乳を見かけますが、豆乳の種類について教えていただけますか?

杉谷さん:豆乳の種類には大きく分けて3つあります。もともとは種類が定められていなかったのですが、1980年に日本農林規格(JAS規格)で基準が設定されました。

まずは無調整豆乳です。これは大豆と水だけで作られており、ほかに何も加えられていないシンプルな豆乳です。

次に、調製豆乳があります。これは無調整豆乳に砂糖やほかの調味料を加えて飲みやすくしたものです。消費者の方々にはこの違いがあまり知られていないことが多いのですが、先ほど紹介した無調整豆乳の「整」は「整える」という意味の字で、調製豆乳の「製」は「製造」の製です。この字のとおり、調製豆乳は、砂糖などを加えて製造行為をおこなっている商品になりますね。

最後は、豆乳飲料です。これは調製豆乳に、果汁やコーヒー、ココア、フルーツなどのフレーバーを加えたものです。

── 違いがよく分かりました。3種類の豆乳は、それぞれどのような人に飲まれているのでしょうか?

杉谷さん:一番販売量が多いのは調製豆乳です。次に無調整豆乳が多く、こちらはヘビーユーザーが多いのも特徴です。とくに毎日飲む人や料理に使う人が多く、年齢層も少し高めです。

一方、豆乳飲料は若い人たちに人気があり、小腹が空いたときやスイーツ感覚で手に取ることが多いようです。豆乳の風味が苦手な方でも、豆乳飲料なら飲めるという方も多く、手軽に飲んでいただいています。

そして最近では、砂糖不使用の調製豆乳も人気が出てきました。無調整豆乳の喉越しの良さと調製豆乳の飲みやすさを兼ね備えており、料理にも使いやすいんですよ。調製豆乳から始めて、最終的には無調整豆乳に移行する方も多いですね。

── ちなみに杉谷さんはどの種類を飲まれているんですか?

杉谷さん:私は特定保健用食品(トクホ)の調製豆乳を愛飲していて、健康のため毎朝欠かさず飲んでいます。スーパーで「特濃」として販売されているもので、大豆固形分が多く、無調整豆乳に近い濃さがあるのが特徴です。

豆乳に含まれる栄養成分

── 健康のために豆乳を飲まれているとのことですが、豆乳に含まれている栄養価について教えていただけますか?

杉谷さん:はい、豆乳にはさまざまな栄養成分が含まれていますが、一番注目すべきは大豆たんぱく質です。大豆たんぱく質は体内で作れない9種類の必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、アミノ酸スコア100点を誇るものです。100点をとっている食材として、動物性たんぱく質では卵や牛乳、肉が挙げられますが、植物性で最も飲食されているものとして大豆が挙げられます。

そのほかにも、豆乳にはイソフラボン、サポニン、レシチン、ビタミンEなどの栄養素が含まれています。イソフラボンはポリフェノールの一種で、女性ホルモンに似た構造を持ち、ホルモンバランスを整える効果があると言われています。また、サポニンやレシチンも微量成分として身体によい影響を与えます。

1日100mlを目安に!子どもの頃から豆乳習慣を身につけよう

植物性と動物性たんぱく質をバランスよく

── 牛乳との違いについても教えてください。

杉谷さん:牛乳と豆乳は、それぞれいい点があります。牛乳はカルシウムを豊富に含んでおり、骨の健康維持に、豆乳は鉄分を含んでおり貧血予防に効果があると考えられています。

たんぱく質も動物性たんぱく質と植物性たんぱく質のバランスが大事ですので、牛乳も豆乳も両方をバランスよく摂るのがいいですね。

── 豆乳は、幼い頃から飲んだ方がいいのでしょうか?

杉谷さん:はい、そうですね。乳幼児にはお母さんの母乳が最適ですが、離乳食が始まる6~7ヶ月頃から豆乳を少しずつ摂取するのがおすすめです。幼児は体が小さいので、大人と同じ量は飲めませんが、小学生くらいになったら1日1パックの半分(100ml)を飲むことを推奨しています。これにより、動物性と植物性のたんぱく質をバランスよく摂取する習慣がつくと思います。

豆乳の正しい知識を広めるために、協会ではさまざまな啓発活動をおこなっていますが、とくに若い世代に向けた教育やPR活動を通じて、豆乳を普段の生活に取り入れてもらうことを目指しているんですよ。

── 若い人たちへの豆乳の普及に注力されているんですね。

杉谷さん:若い方を対象にしたアンケートでは、約8割の方が豆乳を飲んだことがない、または飲まないと回答しているんです。その理由の1つとして、家庭に豆乳があまり置かれていないことが挙げられます。そのため、とくに若い人たちに豆乳のよさを知ってもらうことに力を入れています。

具体的には、高校生を対象にした豆乳レシピ甲子園や、食物科や調理学科のある学校に出向いて移動教室をおこない、豆乳の知識を直接教える活動などをおこなっています。移動教室では試飲コーナーも設けており、実際に豆乳を飲んで「意外とおいしい」と感じてもらうことが目標です。

また、スポーツが盛んな高校には豆乳を送って飲用してもらい、アンケートを実施して、飲んだ感想や意見を収集しています。とくに、スポーツをする生徒たちには、豆乳が優れた植物性たんぱく質を含んでいることを説明して、動物性たんぱく質とのバランスをとることの重要性を伝えています。

── 日常的にスポーツをおこなっている人は、ぜひ取り入れてもらいたいですね。スポーツをおこなっていない場合は、豆乳を飲むのに適したタイミングはありますか?

杉谷さん:どのタイミングで飲んでいただいてもいいのですが、豆乳を飲むおすすめのタイミングは、目的によって異なります。

たとえば、朝に豆乳を飲むと血糖値の急激な上昇を抑える働きが期待できます。朝食前に飲むことで、その働きが昼食時まで続きます。また、夜にホット豆乳を飲むと快眠効果が期待できます。

── 豆乳を日常的に飲む習慣がなかったので、健康のために、ぜひ積極的に取り入れていきたいです。

杉谷さん:豆乳は、継続して飲むことが大切です。健康診断や人間ドックの結果を改善しようと豆乳を飲み始める方も多いですが、数値が良くなったからといってすぐにやめてしまう方もいらっしゃいます。そういったライトユーザーが増えたり減ったりする中で、できるだけ多くの方に豆乳の良さを知ってもらい、継続して飲んでもらおうとアピールしているところです。

豆乳をおいしくアレンジして飲む・食べる!

── 豆乳が苦手な人やライトユーザーでも試しやすい、おすすめの飲み方があれば教えてください。

杉谷さん:飲み物として取り入れるなら、コーヒーに牛乳の代わりとして豆乳を加えたソイラテは多くのコーヒー店でも取り扱われていますね。ソイラテのように、ほかの飲み物に加えてアレンジしたものも、豆乳の風味が苦手でも違和感なく摂取できるのでおすすめですよ。

また、豆乳飲料はさまざまなフレーバーがあり、スイーツ感覚でも楽しむことができます。

夏には凍らせてシャーベット状にしたり、ゼラチンで固めてプリン状にしてもおいしく食べられます。通常のアイスクリームは1つあたり200〜300kcalくらいありますが、豆乳飲料であれば1パックで約100kcalと低カロリーな上、大豆たんぱくが摂取できるため、健康的なおやつとして人気があります。

── 凍らせてアイス感覚で食べるのもおいしそうですね。無調整豆乳よりも豆乳飲料の方がいいのでしょうか?

杉谷さん:そうですね。甘さが加えられた豆乳飲料の方が、スイーツ感覚で楽しむ場合は向いていると思います。冷たくすると甘さを感じにくいこともありますので、甘さが足りないというときには、蜂蜜をかけるなど、甘さを足すのがおすすめです。

── 料理に取り入れる場合でも、手軽に豆乳を使えるアイデアがあれば教えてください。

杉谷さん:豆乳をちょい足しすることで驚くほどおいしくなるものがあります。

たとえば、お味噌汁や豚汁に豆乳を加えると、マイルドな風味が加わって一味違ったおいしさになるんです。お味噌と豆乳はどちらも大豆を原料としているため、相性がとてもよいんです。

また、インスタント味噌汁にホット豆乳を加えるのもおすすめです。お湯を半分、豆乳を半分入れることで冷めにくくなり、温かいままおいしくいただけます。簡単にできるので忙しい朝にもぴったりですよ。

── すぐに試せそうですね。ほかにもおすすめの料理はありますか?

杉谷さん:お子さんにおすすめなのはカレーですね。カレーを作る際に、牛乳の代わりに豆乳を加えると、まろやかな風味が楽しめます。全部ではなく、一部を豆乳に代えてもおいしいですよ。豆乳を加えることで、栄養価もアップします。

また、豆乳でご飯を炊くと、モチモチとした食感が楽しめます。ただし、炊飯器で炊くと焦げ付きやすいので注意が必要です。パスタの生地に豆乳を練り込んでも、モチモチ感が増しておいしいですよ。

── 本当にいろんな活用法がありますね。豆乳の摂取量について目安があれば教えてください。

杉谷さん:豆乳の摂取量はとくに厳しい制限はありませんが、栄養バランスを考えると、200ミリリットルのパックであれば1日1〜3本を目安にするといいですね。飲みすぎは避けて、ほかの食事とバランスよく摂取することが大切です。小さい子どもの場合は、乳幼児は1日半分くらい、小学校低学年は1日1本くらいを目安にしてください。

私たちのホームページにも、高校生対象のレシピ甲子園で紹介されたレシピがたくさん載っています(こちら)。豆乳鍋やパスタのクリームソース、スイーツなどはとくに人気ですよ。各地の郷土料理に豆乳を取り入れたアイデアなど、おもしろいレシピも公開されていますので、ぜひ参考にしてみてください。

Wellulu編集後期:
豆乳の取材を通じて、その奥深い魅力を再認識しました。特に印象的だったのは、豆乳の製造過程における細やかな工夫と、種類ごとの特徴です。無調整豆乳、調製豆乳、豆乳飲料の3つの種類は、それぞれ異なる魅力を持ち、多様なニーズに応えています。取材で伺ったアレンジ方法も、手軽に試せるものばかりで、豆乳が苦手な方でも楽しみやすい工夫が凝らされています。

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