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子どもたちが安心して暮らせる未来をつくるために。「再生可能エネルギー」普及への挑戦

自然環境やエネルギーのあり方が見直されるなか、2016年の電力小売り自由化を経て、電力にも新しい選択肢が求められている。より安心で、持続可能な未来へ──。私たちは今、その転換期にいるのかもしれない。

そんななか、太陽光や風力、水力・地熱・バイオマスによる発電方式を組み合わせ、化石燃料に依存しない“再生可能エネルギー100%”の電力供給に挑み続けているのが「ゼロワットパワー株式会社」だ。大手資本に属さず、独立した立場で“CO₂ゼロの未来”を目指すエネルギーベンチャーである。

今回は、ゼロワットパワー株式会社 代表取締役社長の佐藤和彦さんをはじめ、発電事業部の赤木真さん、経営企画室の森本香衣さんに、再生可能エネルギーへの思いや仕事観、そしてプライベートで感じるウェルビーイングについて、Wellulu編集長・堂上研が話を伺った。

 

佐藤 和彦さん

ゼロワットパワー株式会社 代表取締役社長

千葉県生まれ。高校を卒業して、プロのモトクロスライダーを目指した経験を持つ。その後、機械商社での勤務を経て、2012年に電力会社に入社。東南アジアでの発電所建設などの業務に携わる。2015年にゼロワットパワー株式会社を設立し、現職。

https://zerowattpower.co.jp/

赤木 真さん

ゼロワットパワー株式会社 発電事業部 GTCCグループ

2017年より市原発電所で勤務。2022年にゼロワットパワー株式会社が市原発電所を譲り受けたタイミングで入社。発電所内で英語勉強会のリーダーを務めている。

森本 香衣さん

ゼロワットパワー株式会社 経営企画室

大学卒業後、宝飾関連企業の流通・仕入れ・企画業務を担当。2020年よりゼロワットパワー株式会社に入社し、需要家の料金に関する業務に携わる。その後、経営企画室に異動し、現職。

堂上 研

株式会社ECOTONE 代表取締役社長/Wellulu 編集長

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集長に就任。2024年10月、株式会社ECOTONEを立ち上げる。

https://ecotone.co.jp/

目次

異色の経歴を持ちながら「再生可能エネルギー」の普及に取り組む

堂上:本日は再生可能エネルギー事業に取り組むゼロワットパワー株式会社から、代表取締役社長の佐藤さん、発電事業部の赤木さん、経営企画室の森本さんにお話を伺います。持続可能なエネルギーの追求は、まさに社会ひいては地球のウェルビーイングに直結する重要なテーマですね。よろしくお願いいたします!

まずは、みなさんのご経歴を教えてください。

佐藤:代表取締役社長の佐藤です。千葉県で生まれ育ち、高校までは地元の学校に通っていました。高校卒業後は、じつはプロのモトクロスライダーを目指して活動していたんです。

その後、28歳で現役を引退し、機械系の商社に就職しました。機械設備関連の仕事を経て、2012年からは新電力会社に入社。東南アジアでの発電設備建設にも携わりました。

2015年3月にゼロワットパワー株式会社を設立し、代表取締役として「再生可能エネルギー」の安定供給と普及に取り組んでいます。

堂上:ありがとうございます。続いて赤木さん、お願いいたします。

赤木:発電事業部の赤木です。ゼロワットパワー市原発電所の運転管理を担当しています。

若い頃は、正社員として会社に縛られる働き方に疑問を感じていて、ハンバーガー店などさまざまなアルバイトを経験しました。どの職場でも、責任のあるポジションを任されることが多く、自分では“仕事には誠実に向き合う人間”だと思っています。

堂上:ゼロワットパワー株式会社に入社されたきっかけは何だったのですか?

赤木:発電所で働き始めたのは2017年。当時は派遣社員として勤務していました。2022年にゼロワットパワーが市原発電所を譲り受けたタイミングで、これまで関わってきた発電所をこれからも円滑に運転させたいという思いから、正社員として入社しました。

堂上:なるほど。発電所の運転を熟知されているからこその決断だったのですね。赤木さんのように、自分の専門性を活かして社会に貢献できる仕事に就くことは、個人のウェルビーイングにとっても重要な要素だと感じます。森本さんはいかがですか?

森本:経営企画室の森本です。私は宝飾品に強い興味があり、大学卒業後は宝飾業界で働いていました。

堂上:ジュエリーをデザインする仕事ですか? 宝飾品という美しさや喜びを提供する仕事から、エネルギーという生活基盤を支える仕事への転換は興味深いですね。

森本:私は流通・仕入れ・企画などを担当していました。当時は天職だと感じていましたが、転機となったのはコロナ禍でした。「宝飾品は、生活において必ずしも必要なものではないのかもしれない」と考えるようになったのです。

父がエネルギー関連の仕事をしていたこともあり、「再生可能エネルギー」という分野への関心が高まりました。当時から千葉に住んでいたので、県内で再生エネルギー関連の職場を探し、6年前にゼロワットパワーに入社したんです。

堂上:宝飾業界からエネルギー関連会社に転職して、やりがいは感じていますか?

森本:ありますね! 父から聞いていたネルギー関連の話ともリンクする部分が多く、毎日がとても充実しています。

堂上:みなさん、それぞれ違ったバックグラウンドをお持ちなんですね! 多様な経験や視点を持つ方々が集まることで、組織としての創造性や問題解決能力も高まりますよね。

幼少期の記憶から生まれた想い。「再エネ100%」にこだわるゼロワットパワーのビジョン

堂上:では、佐藤さんに再生可能エネルギーへの思いについて聞いていきたいと思います。ゼロワットパワー株式会社は、ほかのエネルギー関連企業の資本が入っていない、完全に独立した会社だと伺っています。

佐藤:そうなんです。2016年4月に電力の小売りが自由化されましたが、「この自由化には大きな意味がある」と私は感じました。

つまり、生活する人たちが「どんな電気を使うか」「どの会社から買うか」を自由に選べる時代になったということです。だからこそ、私たちは“誰が見てもわかりやすい仕組み”にこだわりたいと考えました。

堂上:具体的には、どのような仕組みなのでしょうか?

佐藤:「ゼロワットパワーから購入する電気は、すべて再生可能エネルギー由来である」というものです。電気を選ぶことで、エコなエネルギーを社会に広げることにつながる。このシンプルな流れを実現したかったのです。

だからこそ、私たちは他の大手エネルギー関連企業とは資本関係を持たず、再生可能エネルギーに特化して、安定した電力供給を目指しています。それが私たちの挑戦です。

堂上:その“安定した電力”を供給したいというこだわりには、何か佐藤さんの実体験などが影響しているのでしょうか?

佐藤:そうですね。私が子どもの頃は、今ほど電気が当たり前に使える時代ではありませんでした。停電も多くて、親が仕事に出かけているときは、祖母と一緒にロウソクの灯りの下で過ごすこともありました。外には街灯も少なく真っ暗で、小学校の帰り道から見える家の明かりにとても安心するんですよね。当時は「化石燃料はいつか尽きる」とも言われていました。

だからこそ、再生可能エネルギーの安定供給は、子どもたちが安心できる“未来”を照らすと信じているんです。

堂上:安定したエネルギー供給と考えると、火力発電のようなコストが低く安定したエネルギー源を選ぶという考えもありますよね。その選択肢は検討されなかったのでしょうか?

佐藤:もちろん、そうした選択肢もあります。ただ、石炭・石油などの化石燃料は、再生するまでに数億年規模の途方もない年月がかかります。一方で、太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーは、10~20年ほどのサイクルで再利用が可能です。

これからの地球、そして次世代のためにエネルギーを届ける。それこそが、私の考える「本当の安定供給」なんです。

堂上:なるほど! そうした思いが、「ゼロワットパワー」という社名にも込められているのですね。

佐藤:はい。「ゼロワットパワー」という社名には、“二酸化炭素(CO₂)排出ゼロの発電を目指す”という私たちの理念が込められています。2020年10月からは、東京都庁舎向けに再生可能エネルギー100%の電力を供給しています。

堂上:千葉県内への電力供給にとどまらないんですね!

佐藤:そうなんです。あまり知られていないかもしれませんが、電気は設備さえあれば、ほとんどロスなく遠方まで送ることができるという特徴があります。ですので、県内に限らず、全国へ“再生可能エネルギーの輪”を拡げています!

学びの姿勢を持った挑戦が、やがて楽しさへとつながる

堂上:後半は、みなさんのプライベートな話も伺っていきたいと思います。赤木さん、森本さんは異業種からゼロワットパワーに入社されたとのことですが、これまでどのようなチャレンジをされてきましたか? 新しいことへの挑戦や学びは、成長・充実感といったウェルビーイングに大きく影響すると言われています。

赤木:私にとって、一番大きな挑戦は「英語」です。当社ではアメリカでの研修機会もあるので、英語の習得に積極的に取り組んでいます。

堂上:アメリカでの研修というのは、どのような内容なのでしょうか?

赤木:ゼロワットパワーでは、「ガスタービンエンジン」を使用した発電を行なっており、それらはアメリカで製造されたものなんです。そのため、メンテナンスの技術を習得するための現地研修が実施されています。

マニュアルも現地のスタッフとのやりとりもすべて英語。ですので、英語は必要に迫られて、本格的に勉強を始めました。

堂上:もともと英語は得意だったんですか? 必要に迫られて始めた学びが、自発的な成長につながるというのは、理想的なプロセスのように感じられました。

赤木:いえ、むしろ嫌いでした(笑)。 でも、海外のフライトシミュレーターゲームが好きで、それもすべて英語で説明されていたんです。趣味から始めた英語でしたが、学んでいくうちにどんどんと楽しくなって。

もともとは、知らない言葉を調べて内容をなんとか理解するという作業だったのが、少しずつ、聞いた言葉がダイレクトに自分の中に入ってくるようになったんです。

堂上:直接伝わってきたことで、理解できる喜びが得られたんですね。外的な要因で始めたことが、自分の中で意味を持ち始めて、喜びや達成感につながっていく。ウェルビーイングの重要な要素である「自律性」と「成長感」が体現されているように感じました。

赤木:はい。あるときテレビでニュースを見ていたら、アメリカ大統領の言葉が翻訳文を読まずに理解できたんです。そのときは、とても感動しました。

堂上:それも素晴らしい体験ですね! 趣味から広がった学びが仕事に生かされるというのは、相乗効果を生み出していて、とてもいい環境だと感じました。

では、森本さんはジュエリー業界からの転職で、どのようなチャレンジをされていますか?

森本:私は最近、部署異動があり、現在は経営企画室で働いています。それまでは電力利用者さまの料金関連を担当する部署にいました。

経営企画室では、会社全体を見渡して今後の方向性を考えていく、いわば会社の中枢に近い仕事を担当しています。

堂上:私も会社の経営をしている身として、とても興味深いです。会社全体を俯瞰して考えるのは、やりがいがありますよね。

森本:本当に面白いですね。プライベートで行った旅行先でも、「この近くに発電所がある」と聞くと、ふらっと見に行ってしまうこともあります。完全に職業病ですね(笑)。

堂上:お二人とも、いわゆる「フロー状態」なのかもしれません。仕事が楽しくなって、作業に没頭したり、時間が経つのを忘れてしまうような感覚ではないでしょうか。自分の能力と挑戦のバランスが取れたときに生まれる没入感は、人生の質を高める重要な要素です。

森本:おっしゃる通りですね。今は経営について、いろいろと学ばせていただくのが私のチャレンジだと思っています。

再生可能エネルギーが当たり前の社会に。自らの選択が未来を変える

堂上:みなさんは、どんなときに一番ウェルビーイングを感じますか? 日々の生活の中で、特に充実感や生きがいを感じる瞬間はどんなときなのか教えてください!

赤木:私はTOEICの問題集を解いているときが楽しいですね。勉強というより、謎解きのような感覚です。休みの日はカフェでずっと問題集に取り組んでいます。

堂上:TOEICをゲーム感覚で学ばれているんですね! 面白いですね。

森本:私は汗を流しているときですね。最近はランニングやピラティスをやっています!

佐藤:私はやはり、仕事をしているときが一番楽しいかもしれません。物事を論理的に考えるのが好きなんですよね。オートバイのレースをやっていたときも、コンマ何秒を縮めるために、コストと時間を考え、整理しながらチーム全体で詰めていくんです。

ゼロワットパワー株式会社でも、お客さまに満足していただくために、チームでコストやサービスの最適化に取り組む。そうしたプロセスが本当に好きで、やりがいを感じています。

堂上:佐藤さんが仕事を「楽しい」「好き」だと感じるようになったのには、何か理由があるのでしょうか?

佐藤:私は、千葉県の田舎のほうで育ちました。初めて自転車を買ってもらったときに、行動範囲が一気に広がって、世界がぐっと広くなったように感じたんです。

その後、オートバイに乗るようになり、さらに見える景色が変わっていきました。そこで感じたのは、「移動の自由」が人生を拓いてくれるということ。そして、その「移動の自由」にはエネルギーが必要不可欠です。

堂上:その実感が、エネルギー事業につながっていくんですね! これまでの話からゼロワットパワー株式会社には、佐藤さんの思いを社員一人ひとりが共有して、仕事を楽しむ文化が根づいているように感じました。

佐藤:エネルギー関連の会社は、いわゆるエッセンシャルワーカーなので、組織としては保守的になりがちな面もあります。

しかし、私たちは「電力自由化」した意味を深くとらえ、もっと自由な発想で、実験的にチャレンジしていきたいという思いを持っているんです。

堂上:今回、ゼロワットパワー株式会社さんとご縁が生まれたのは、千葉県柏市で開催された国際サッカー大会「JAPAN FOOTBALL FESTA in KASHIWA」の冠協賛としてスポンサードいただいたことがきっかけでした(※)。
※関連ブログはこちら「子どもの夢を応援するサッカー大会」

「子どもたちの世界・可能性を拡げるサッカー大会」をコンセプトに開催された大会でしたが、今の子どもたちが主役になる2050年を見据えたときに、私たちはどのような社会を目指していくべきでしょうか。

佐藤:私の一番の願いは、子どもたちが安心して暮らせるような社会をつくっていくことです。そのためには、やはり子どもの頃からエネルギーについて学ぶことが大切だと思います。

堂上:子ども時代からエネルギーについて学び、再生可能エネルギーを選んで使っていくことで、安心して暮らせる社会が循環的に築かれていくということですね!

佐藤:まさに、その通りです。ゼロワットパワーは創業当初から、小学校低学年向けに「エネルギーの大切さ」を伝えるワークショップの開催に協力するなど、教育活動にも力を入れてきました。

今回の「JAPAN FOOTBALL FESTA in KASHIWA」も、その流れの一環として協力させていただいたんです。

堂上:なるほど! 子どもたちが安心して暮らせる社会づくりは、まさに社会全体のウェルビーイングを高める取り組みですね。再生可能エネルギーの普及を通じて、未来世代のウェルビーイングにも貢献されているゼロワットパワーの挑戦に、これからも注目していきたいと思います。ぜひ共にウェルビーイングな社会を創っていきましょう。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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