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記憶力が悪い人と良い人の違いは?記憶力を低下させない習慣や上げる方法

記憶力は、日常の生活習慣を見直すことで後天的に改善できる部分も大きい。ただし、睡眠不足や慢性的なストレス・栄養不足が続くと脳の機能が低下しやすくなるため、特定の対策だけでなく生活習慣全体を整えることが重要。

この記事では、記憶力が低下する原因や記憶力を維持するための生活習慣、脳の疲労や記憶力に関わる栄養素、脳のトレーニング方法を紹介。

この記事の監修者

西 剛志さん

脳科学者、工学博士(分子生物学)

1975年生まれ。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。2002年に博士号を取得後、特許庁を経て2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。脳科学的なノウハウをこれまで企業や教育機関向けに4万人以上に提供。

NHKや日経新聞などメディアにも多数出演。20万部のベストセラーとなった『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)、『1万人の才能を引き出してきた脳科学者が教える 「やりたいこと」の見つけ方』(PHP研究所)など著書はシリーズ累計45万部を突破。

【所属】
武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー
台湾義守大学日本研究センター顧問
T&Rセルフイメージデザイン代表取締役
一般社団法人日本センテナリアン健康協会監修者

古谷 彰子さん

博士(理学) 管理栄養士

博士(理学) 管理栄養士
愛国学園短期大学 家政科 准教授、早稲田大学 ナノライフ創新研究機構 招聘研究員、(株)アスリートフードマイスター 認定講師、発酵料理士協会特別講師としても勤務。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチすることを専門とする。科学的根拠を基にしたライフスタイルへのアドバイス、実体験を基にした食育活動や講演活動、料理教室も開催している。『食べる時間を変えるだけ! 知って得する時間栄養学』(宝島社/2022)、『10時間空腹リセットダイエット』(主婦の友社/2023)、他多数の書籍を執筆。

【所属】
愛国学園短期大学 家政科 准教授
早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 招聘研究員
あきはばら駅クリニック 非常勤管理栄養士
アスリートフードマイスター認定講師
発酵料理士協会特別講師

目次

記憶力が悪い人の特徴とは?よい人の違い

記憶力は生まれつきの能力だけで決まるわけではなく、日常の習慣や脳の使い方によって後天的に改善できる部分も大きいとされている。

【記憶力が悪い人の傾向】

  • 睡眠(睡眠の質・量)・食事(食事時間や栄養バランスなど)のリズムが乱れている
  • 普段から運動する機会が少ない(あまり身体を動かさない)
  • 趣味や熱中できることがない
  • 生きがいや人生の目標を持っていない
  • 新しい情報に触れたり、新しいことを体験する機会が少ない(ほとんどない)

【記憶力がよい人の傾向】

  • 睡眠・食事・運動など生活習慣が整っている
  • 趣味や熱中できることがある
  • 生きがいや人生の目標を持っている
  • 新しい情報に触れたり、新しいことを体験する機会が多い

記憶力が悪い人とよい人の違いには、「睡眠や食事のリズム」「運動習慣の有無」といった普段の生活環境やリズムなどが大きく関わっている。

また、年齢に関わらず、「やったことがないことに挑戦する」「新しいツールを使ってみる」など、いつもと違う経験をする機会が多いかも、記憶力に影響を及ぼす。

このように、記憶力を鍛えるのに特別な行動やトレーニングが必要というわけではなく、毎日の生活の中に脳にとってよい行動や習慣を取り入れていくことが大切。

とはいえ特別なことをしなくても「いつもと違う道で通勤してみる」「行ったことがないご飯屋さんに行ってみる」など、簡単にできそうなことから始めるくらいでOK。

監修者:西

ほかにも、血糖値を緩やかに上昇させる「低GI食品を中心とした食事をしている人のほうが記憶力が高い」という研究結果も報告されています。

【参考文献】

記憶力が悪くなる(低下する)原因

脳の萎縮や集中力の低下

脳は通常、30代から少しずつ萎縮が始まり、60代半ばでは明らかに確認できる萎縮が起こり、情報を記憶したり、整理したりする海馬の機能が低下するとされている。また、記憶力と集中力には非常に高い相関関係があることも明らかになっている。

集中力は自分との関連性や興味の度合いから生まれるため、興味がない対象に対しては集中力が働かず、記憶として定着しにくくなる。この集中力のピークが43歳ごろであり、広い意味での記憶力のピークもこのあたりと考えられる。

監修者:西

好奇心の維持も記憶力と深く関係しています。ドーパミンの分泌量は10年ごとに約5〜7%低下していくとされており、加齢とともに新しいことへの興味が薄れ、いつも同じものを選ぶといった傾向が強まっていきます。

そういった意味でも、新しいことへの挑戦や視野を広げる習慣は、集中力の低下を防ぐ対策として有効といえるでしょう。

【参考文献】

Dopamine transporters decrease with age

睡眠不足

睡眠中に記憶の整理・定着がおこなわれるため、睡眠不足が続くと新しい情報が記憶として残りにくくなる。睡眠には量と質の両方が重要で、どちらか一方だけでは、十分な睡眠の効果を得られない。

睡眠の質を高めるためには、いくつかの環境要因を整えることが重要。

たとえば、就寝時に部屋を暗くしない傾向がある人ほど睡眠が浅くなりやすく、睡眠の質が低下するという研究も報告されている。明るさ以外では、寝室の温度も睡眠の質に直結する要因で、暑すぎても寒すぎても睡眠の質は低下する。

また、就寝中に汗をかいてしまうことも睡眠の質を低下させる要因となる。何℃以上がよい・悪いというよりは「自分にとって快適な温度・湿度を保つ」ことが、睡眠の質を高めるうえでとても重要。

監修者:西

良い睡眠の定義は個人差が大きいので、「翌朝にすっきり起きられているか」「日中に眠気やだるさがないか」といった自身の感覚も、睡眠の質を判断する1つの指標になります。

また、サーカディアンリズム(体内時計)が崩れるとワーキングメモリが下がるという研究もあるので、毎日決まった時間に寝て、決まった時間に起きるという規則正しい生活を送ることも非常に大切です。

※ワーキングメモリ:脳内で情報を一時的に保存・処理する能力のこと

【参考文献】

ストレスと自律神経の乱れ

慢性的なストレスによってコルチゾール(ストレスホルモン)が過剰に分泌されると、海馬の神経細胞がダメージを受ける。また、過度なストレスや慢性的なストレスによって自律神経のバランスが乱れると、脳への血流が悪化し、集中力・記憶力・判断力にも悪影響を及ぼす。

監修者:西

過度なストレスは、ワーキングメモリに悪影響を及ぼす要因の1つです。強いストレスを抱えている日は仕事がはかどらなかったり、物忘れが増えたりしたことがある人もいると思いますが、これは「ワーキングメモリが低下しているため」と考えられます。

脳の疲労

長時間のデジタル作業や情報過多によって脳が処理しきれない状態(脳疲労)になると、記憶の定着や想起に悪影響を及ぼす。

年齢を重ねるにつれ、体内の抗酸化成分の量が減少していくこともわかっており、酸化ストレスに対処しきれなくなると、脳の炎症や血流の鈍化による認知機能の低下につながる。

こまめに休憩を取ったり、デジタルデトックスを取り入れて脳を休ませることが、疲労回復と記憶力維持につながる。

また、抗酸化成分を意識的に摂取することで、脳の酸化・炎症を抑え、血流をスムーズにする効果が期待できる。

疲れと記憶。「イミダゾールジペプチド」が持つ、もうひとつの可能性【PR】

鶏むね肉やマグロなどの回遊魚の尾の部分に多く含まれる成分「イミダゾールジペプチド」は、日常生活で生じる身体的な疲労感の軽減をサポートする成分として注目されている。

さらに、イミダゾールジペプチドの一種であるアンセリン・カルノシンに関する研究では、高齢者を対象に、言語的記憶や前頭前野の血流に関する報告もあり、今後のさらなる研究が期待されている。

日常生活のなかで身体的な疲労感が気になる方は、食事や休養などの生活習慣を見直しながら、選択肢のひとつとして「イミダゾールジペプチド」を取り入れてみては。

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栄養不足

脳に必要な栄養が不足すると、認知能力が低下し、脳の記憶容量が減少するといわれている。

また、低栄養はアルツハイマー型認知症の発症・進行とも関連があることが報告されており、「栄養の乱れ→脳の炎症→記憶機能へのダメージ」という共通メカニズムの存在が示唆されている。

世界保健機関(WHO)が提唱する認知症予防ガイドラインにおいても、認知症のリスクを低減するためには、バランスの取れた食生活が重要であることが記されている。

近年の研究では、鶏肉などに含まれるイミダゾールジペプチドの一種であるアンセリン・カルノシンの補給が、アルツハイマー病の発症リスクに関わるAPOE e4を保有する高齢者や軽度認知障害(MCI)の人において、認知機能の低下抑制や前頭前野の血流維持に関わる可能性が示されている。

【参考文献】

記憶力を低下させないために意識したい生活習慣

  • 適度な睡眠時間を確保して質を高める
  • 適度な負荷の運動を継続する
  • 新しいことにチャレンジする
  • 趣味を持つ
  • 自分で選択する機会を増やす

適度な睡眠時間を確保して質を高める

「厚生労働省:健康づくりのための睡眠ガイド 2023」では、最低6時間以上の睡眠を確保することが推奨されており、6時間以上が1つの基準にされることも多い。

ただし、睡眠に関する研究は結果にばらつきが見られることも多く、最適な睡眠時間は個人差が大きいので、自身の体調やパフォーマンスなどをしっかりウォッチしながら、最適な睡眠時間を見つけることが大切。

起床・就寝などの基本的な生活のリズムを整えることは、日々のパフォーマンスの向上や維持において非常に重要。

【良質な睡眠を取るために大切なこと】

  • 毎日同じ時間に起床・就寝することで体内時計が整う
  • 就寝前1〜2時間はスマートフォン・PCの使用を控える
  • 最低6時間以上の睡眠を確保する
  • 快適に眠ることができる温度・湿度を保つ
  • 夜はしっかり湯船に浸かる

監修者:西

睡眠の質を高めるうえで、脳の温度(脳温)のコントロールが非常に重要です。脳温は平均38.5度、最大41度にもなるほど高く、脳温が高い状態から下がっていくタイミングでスムーズに眠りに入れるという仕組みになっています。

就寝の約1~2時間前に入浴することで、一度脳温を上昇させてからゆっくり下げていくという流れをつくることができるので、眠りの質も高まりやすくなります。

適度な負荷の運動を継続する

運動が記憶力によい影響を与えるおもな理由として、血流の改善と海馬の活性化があげられる。加えて、運動によってBDNF(脳由来神経栄養因子)という記憶力を増強する因子が分泌されることもわかっており、「運動直後に学習すると記憶の定着率が上がる」という実験結果も報告されている。

ただし、あまりにも激しすぎる運動の場合は、過度な疲労やストレスが溜まるというリスクも存在するため、血流の改善や海馬の活性化を目的とするのであれば、無理なく継続できる範囲でおこなうことが、長期的な効果につながりやすい。

監修者:西

記憶力向上という観点では、激しい運動よりも中程度から軽い運動のほうが効果が高いというデータが存在します。

たとえば、25万人以上を対象とした大規模なメタ分析においても、中程度の運動がもっとも効果的という結果が示されており、太極拳やヨガのようなゆっくりとした動きでも海馬の活性化や記憶力によい影響を与えることも確認されています。

【参考文献】

新しいことにチャレンジする

新しいことに取り組むことで、普段使っていない脳の部位を使うことができる。大人になってから同じことだけを繰り返していると、脳のネットワークが特定の領域に集中してしまい、広い視野や多様な視点、柔軟な発想が生まれにくくなる。

また、40〜81歳の男女1591人を対象に6年後の認知スコアを比較した研究では、開放性(新しいものへの興味・好奇心の強さ)が高い人ほど認知スコアの低下が少ないことが明らかになっている。

監修者:西

普段の生活とあまりにもかけ離れた変化は、脳にとって恐怖や負担になりやすいため、まずは「いつもと違う道で帰ってみる」「いつもと違うメーカーの商品を購入してみる」など、無理のない範囲からスタートすることが大切です。

小さな成功体験を積み重ねると、脳は、その体験を快感として記憶するため、自然と難易度の高いことにも挑戦しやすくなります。

趣味を持つ

同じできごとを体験してもストレスを感じる人と感じない人がいるように、ストレスは外側にあるものではなく、自分の脳の中で再現されるものといえる。

ストレスを軽減するうえで効果的な手段の1つが、趣味を持つこと。趣味を持っている人と持っていない人を比較した日本の研究では、趣味を持っている人のほうが職場でのストレス回復度が高いという結果が出ている。

さらに、動画視聴や読書などのインプット型よりも、料理や楽器演奏などのアウトプット型の趣味のほうがストレスからの回復力が高いとされている。

また、チームスポーツのように相手の動きを読みながら瞬時に判断する活動も、人との関わりと思考を同時に使う点において、脳への刺激になる。

監修者:西

「趣味に熟達している人ほどストレスからの回復力が上がる」という興味深い研究も存在します。

「料理であれば凝ったものを作れるようになる」「楽器であれば難しい曲が演奏できるようになる」など、熟達することで自己肯定感・自己効力感が高まることで、日常生活にもよい影響を与えると考えられます。

自分で選択する機会を増やす

強制的にやらされたグループと、選択肢の中から自分で選んだグループを比較した実験では、「自分で選んだグループのほうが、不都合なできごとが起きたときのストレス反応が低かった」という結果が出ている。

これは、自分で選んだ瞬間に腹内側前頭前野が活性化し、恐怖や不安を司る扁桃体の活動を抑えられることが関係しているとされている。

また、自分でコントロールできている感覚があると楽観主義バイアスが高まり、物事を前向きに捉えやすくなる。

仕事や勉強、人付き合いなど日常生活のあらゆる場面で「自分で選んだ」という感覚を持つだけでストレスの感じ方が変わることがあるため、できるだけ自分が選択して行動する機会を増やすことが大切。

監修者:西

職場で後輩や部下を抱えている方は、一方的に仕事を振るのではなく、「いつまでにできそうか」といった選択の機会を与えることで、自分のやるべき仕事という意識が芽生えやすくなります。

【参考文献】

脳の疲労や記憶力の維持に関わる栄養素

【脳の疲労】や【記憶力の維持】に関わるおもな栄養素は以下の通り。

  • DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)
  • ビタミンB群:B1・B6・B12・葉酸(ビタミンB9)
  • レシチン
  • トリプトファン
  • イミダゾールジペプチド
  • ビタミンD

検証者:古谷

「何を食べるか」に加えて「いつ食べるか」も脳の働きに大きく影響します。朝食を抜くと、午前中の脳のパフォーマンスが下がるという研究報告があります。とくに育ち盛りの子どもや、集中力を発揮したい大人にとって、朝食をしっかり摂ることは記憶力の維持にも欠かせません。

朝食はタンパク質(卵・納豆・ヨーグルト)、糖質(ごはん・パン)、ビタミン・ミネラル(野菜・果物)を組み合わせることが理想です。

DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)

DHA・EPAは、魚の油に多く含まれる「オメガ3脂肪酸」の一種。神経と神経のつなぎ目において情報伝達をスムーズにする、いわば「潤滑油」のような役割を担っている。

DHAやEPAの摂取量は、記憶や認知に関わる脳の体積の変化と関連があることが、国立長寿医療研究センターの研究により示唆されている。

【DHA・EPAを含む食品の例】

  • サーモン(鮭)
  • マグロ
  • サンマ
  • サバ
  • イワシ
  • アジ

※紹介している食品は、本記事で紹介しているほかの栄養素もバランスよく摂取できるものを上位にしています。

検証者:古谷

脂質は、朝のほうが身体に吸収されやすいといわれています。そのため、DHA・EPAは朝食でとるのが、効率よく身体に取り入れる方法としておすすめです。

とくに記憶力や集中力を活かしたい日は、朝食に焼き鮭やサバ缶、しらすごはんなどを取り入れることで、午前中の脳のパフォーマンスをサポートできますよ。生で食べられる場合は刺身も効率的です。

ビタミンB群:B1・B6・B12・葉酸(ビタミンB9)

B6・B12・葉酸は、神経にダメージを与える「ホモシステイン」という物質を分解するために必要な栄養素。不足すると血中のホモシステインが増加し、脳の血管を傷つけ、認知症リスクが高まるとされている。

軽度認知障害のある70歳以上の高齢者を対象に、葉酸・ビタミンB12・B6を2年間摂取させた無作為化比較試験(VITACOG試験/MRI解析対象168名)では、脳の萎縮速度が年率約30%低下したと報告されている。

また、B1が欠乏すると、記憶を司る「海馬」の機能が低下し、脳内で炎症が引き起こされることが明らかになっている。

【ビタミンB1を含む食品の例】

  • 大豆
  • うなぎ
  • 豚肉
  • 玄米

【ビタミンB6を含む食品の例】

  • マグロ
  • バナナ
  • カツオ
  • 鶏むね肉

【ビタミンB9(葉酸)を含む食品の例】

  • 枝豆
  • 納豆
  • ほうれん草など緑黄色野菜

【ビタミンB12を含む食品の例】

  • サンマ
  • レバー
  • チーズ
  • しじみ・あさり

検証者:古谷

ビタミンB群は8種類(B1・B2・B6・B12・ナイアシン・パントテン酸・葉酸・ビオチン)あって、それぞれが異なる代謝経路で働きながら、互いに連携しています。

たとえば、糖質代謝にはB1、脂質代謝にはB2、タンパク質代謝にはB6が中心的に働きますが、エネルギー産生のためにはこれらが連動する必要があります。1種類だけ単独で摂っても、ほかが不足していると効果を十分に発揮できません。

サプリメントで摂る場合は「ビタミンB群(マルチB)」として複合的に配合された製品を選ぶのがおすすめです。食事で摂る場合は、豚肉・レバー・卵・大豆製品・玄米・緑黄色野菜などをバランスよく取り入れることで、自然にビタミンB群全体を補えます。

【参考文献】

Homocysteine-Lowering by B Vitamins Slows the Rate of Accelerated Brain Atrophy in Mild Cognitive Impairment: A Randomized Controlled Trial

レシチン

レシチンは、人間の脳を構成する成分の中でも重要なリン脂質の一種。その主要成分である「ホスファチジルコリン」は、脳内の神経伝達物質「アセチルコリン」をつくる材料となる。

アセチルコリンはアルツハイマー型認知症で減少することが知られており、材料となるレシチンが不足すると神経伝達がうまく働かなくなり、記憶力の低下や認知症のリスクを高める可能性がある。

【レシチンを含む食品の例】

  • 大豆製品(きなこ・豆腐・納豆・豆乳・味噌)
  • 卵(卵黄)
  • レバー(鶏・豚・牛)
  • うなぎ
  • 枝豆
  • ピーナッツ
  • アーモンド
  • くるみ

検証者:古谷

レシチンは熱に比較的弱い性質があるため、なるべく加熱せず、そのまま食べられる形で取り入れるのがおすすめです。

大豆製品なら、納豆や冷奴、無調整豆乳がおすすめです。卵なら、半熟卵や温泉卵、卵かけごはんのように、卵黄をそのまま摂れる調理法が向いています。

サラダにアーモンドやくるみを散らすなどのアレンジも、手軽でおすすめですよ。

トリプトファン

トリプトファンは、タンパク質をつくる必須アミノ酸のひとつ。

朝にトリプトファンを含む食品をとると、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンがつくられる。そのあと、セロトニンの一部は脳で「睡眠ホルモン」であるメラトニンに変わり、約14時間後に自然な眠気が起こりやすくなる。

また、睡眠中には、記憶をつかさどる「海馬」の働きによって、起きている間に学んだことが整理され、記憶として定着していくといわれている。しっかり眠ることは、記憶力を保つためにも大切である。

【トリプトファンを含む食品の例】

  • 大豆製品(豆腐・納豆・きなこ)
  • マグロ
  • サーモン(鮭)
  • バナナ
  • 乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルト)
  • 鶏肉

検証者:古谷

トリプトファンは、身体の中でセロトニンという物質に変わり、その一部が脳で睡眠ホルモンのメラトニンになります。この変換には時間がかかるため、朝(寝る約14時間前)に摂っておくと、夜に自然と眠くなりやすくなります。

朝食でトリプトファンを含む食品(卵、納豆、ヨーグルト、バナナなど)を意識して取り入れると、夜の良質な睡眠と、翌日の記憶力・集中力アップにもつながりやすくなりますよ。

なお、トリプトファンからセロトニンへの変換にはビタミンB6が必要です。バナナや鶏むね肉と一緒に摂ると効率的です。

イミダゾールジペプチド

イミダゾールジペプチドは、抗酸化作用によって脳のダメージを防ぎ、疲れや記憶力の低下の原因にアプローチできる成分として注目されている。

また、脳の血流を維持したり、脳の炎症をおさえたりする働きがあり、認知機能の改善にも関わると考えられている。この成分は鶏むね肉に多く含まれており、継続してとることで、脳の疲れを軽くしたり、認知機能を保つ効果が期待できる。

抗酸化作用は、2週間ほど続けて摂ることで実感しやすいとされている。食事に加えて、飲料やサプリメントを活用しながら、無理なく日常に取り入れるのがおすすめ。

【おすすめの食べ方】

イミダゾールジペプチドは水溶性なので、煮汁と一緒に丸ごと食べられるスープやシチューがおすすめ。

熱には比較的強いが、鶏胸肉は加熱しすぎるとパサついて食べづらくなるため、余熱を上手に生かして調理することがコツ。

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鶏むね肉やマグロなどの回遊魚の尾の部分に多く含まれる成分「イミダゾールジペプチド」は、日常生活で生じる身体的な疲労感の軽減をサポートする成分として注目されている。

さらに、イミダゾールジペプチドの一種であるアンセリン・カルノシンに関する研究では、高齢者を対象に、言語的記憶や前頭前野の血流に関する報告もあり、今後のさらなる研究が期待されている。

日常生活のなかで身体的な疲労感が気になる方は、食事や休養などの生活習慣を見直しながら、選択肢のひとつとして「イミダゾールジペプチド」を取り入れてみては。

イミダゾールジペプチドの詳細を見る

ビタミンD

ビタミンDが不足している人は、認知症のリスクが高くなるという研究が複数報告されている。

記憶に関わる「海馬」が小さくなることとの関係も指摘されており、実際にビタミンDが不足している人は、認知症になるリスクが約2倍になるという研究結果も。

さらに、70歳以上の12,388人を対象にした研究では、ビタミンDのサプリをとっている人は、とっていない人に比べて、認知症発症率が約40%低かったという観察結果が報告されている。

【ビタミンDを含む食品の例】

  • サーモン(鮭)
  • サンマ
  • マグロ
  • イワシ
  • きのこ類(しいたけ・しめじ・まいたけ など)

検証者:古谷

観察研究では認知症リスクの低減との関連が報告されていますが、サプリメントで確実に予防できると証明されているわけではありません。

まずは、ビタミンDを多く含む魚やきのこ類を食事に取り入れることや、1日15〜30分ほど日光を適度に浴びることを意識して、ビタミンD不足を防ぐことを心がけましょう。日本人はビタミンD不足の方が多いといわれています。

とくに在宅ワーク中心の方や、紫外線対策を徹底している方は、食事からの補給がより重要になります。朝食に鮭、間食にきのこを使った料理を取り入れるなど、無理なく続けられる工夫をしてみてくださいね。

記憶力を上げる方法として脳のトレーニングは有効?

クロスワードパズルなどの一般的な脳トレについては、効果があるという研究もある一方で、効果がないという研究も存在するため、明確な結論は出ていない。

現在、認知機能向上に効果的な方法として注目されているのがデュアルタスク

マルチタスクはワーキングメモリを消耗させる要因になるが、意図的なトレーニングとして取り組むデュアルタスクは、認知機能を鍛える手段として数多くの研究で効果が確認されている。

たとえば、料理や歯磨きをしながらオーディオブックを聴くなど、普段の慣れている行動に対して、簡単にできそうなことを組み合わせるのがおすすめ。

監修者:西

バイリンガルの人は認知症の発症が平均4〜5年遅れるという研究が多数報告されており、相手によって話す言語を使い分けることが、高度な認知機能のトレーニングになっていると考えられています。

そういった意味では、外国語を習うのも脳のトレーニングになるといえるでしょう。

【参考文献】

記憶力に関するQ&A

最後に、記憶力に関する気になる疑問について、西先生に聞いてみた。

  • 記憶力が低下しているかチェックする方法は?
  • 病院に行くべき記憶力低下のサインとは?

記憶力が低下しているかチェックする方法は?

A. 物忘れや物覚えが悪くなるなどがサインの1つ

監修者:西

物忘れや物覚えが悪くなるといったことが、1つの目安になります。

【脳の老化や記憶力の低下に関係するおもな要素】

  • 物忘れが多くなる
  • 人の顔や名前が覚えられない
  • 同じことを何度も言う
  • 「あれ、あれ」という言葉が増える
  • 昨日食べたものが思い出せない

出典:西 剛志(2022)「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」アスコム

ただし、記憶力の低下自体は加齢とともに起こる自然現象なので、こういう傾向が見られるからといって、必ずしも何かの問題が起きているというわけではありません。

病院に行くべき記憶力低下のサインとは?

A. ヒントをもらっても思い出せない場合は注意が必要

監修者:西

名前が出てこない・顔を思い出せないといった物忘れは自然な加齢による変化であることが多いですが、ヒントを与えても思い出せない場合は注意が必要です。

また、できごとの一部を忘れているのではなく、そのできごとが完全に抜け落ちている場合は、軽度認知障害の可能性が考えられます。

ほかにも、普段は理解できているはずの会話や文脈が追えなくなる、ニュースを聞いても内容が入ってこないといった状態も、軽度認知障害に近いサインとして注意が必要です。

自分では気づきにくいケースも多いため、周囲の人から違和感を指摘された場合は、早めに受診を検討したほうがよいでしょう。

【認知症に関する相談先】

  • かかりつけ医
  • 認知症学会専門医
  • 地域包括支援センター
  • 公益社団法人 認知症の人と家族の会
  • 役所の高齢者福祉担当や介護保険担当窓口

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