腕立て伏せを毎日おこなうと動作に慣れてフォームが安定しやすくなり、上半身や体幹の基礎的な筋力向上にもつながり、習慣づくりにもおすすめ。しかし、筋肉痛が残った状態で無理に続けると、パフォーマンスの低下やフォームの乱れにつながってしまう。
この記事では腕立て伏せを毎日続けることで期待できる効果をはじめとし、注意点や負荷調整のやり方、腕立て伏せのバリエーションなどを紹介する。
この記事の監修者

古谷 有騎さん
スポーツモチベーション所属トップトレーナー|PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー
この記事の検証者

山下さん
筋トレ歴9年
学生時代から週3~トレーニングや運動を続けており、社会人になってからも週4~トレーニングを継続。コンテスト出場歴もあり。 正しいフォームを皆さんに伝えられるように日々奮闘。
毎日の腕立て伏せはおすすめ?
腕立て伏せを毎日おこなうことの大きなメリットは、トレーニングを習慣化しやすいこと。日々の反復によって身体が動作に慣れ、フォームの安定や基礎的な筋力向上につながる流れも生まれる。
基本的に筋肉痛がない限りは腕立て伏せを毎日おこなうことは問題ないが、疲労が抜けないまま続けるとパフォーマンスが落ちる可能性があるので注意が必要。

筋肉痛や強いだるさが残った状態で無理に続けると、筋肉の回復が追いつかずパフォーマンスが低下し、動作に力が入らない、フォームが崩れて違う部位へ負荷が流れるといったリスクも高まる。
とくに胸や腕の張りが強い、ストレッチで痛みが出る、日常動作に支障が出るといったサインが出た場合は、回復が不十分な可能性が高いため一度休息を挟もう。

監修者:古谷
筋肥大を目的とする場合は、しっかりと追い込み、48~72時間程度の休息をとることが必要です。そのため自分の目的に合わせた頻度の設定が大切です。
腕立て伏せを毎日やることで期待できる効果

- 上半身の筋力がつく
- 体幹が安定して姿勢がよくなる
- 二の腕のたるみ解消
- メンタル面によい影響を与える
上半身の筋力がつく

腕立て伏せは上半身の主要な筋肉を同時に鍛えられる自重トレーニング。大胸筋・上腕三頭筋・三角筋が中心となり、肩から胸まわりの筋力向上を期待できる。
とくに大胸筋が主働筋として強く働き、胸全体のボリュームアップやハリ感の向上につながる。肩関節の位置が整うことで、胸郭まわりが自然に持ち上がりやすくなり、立位姿勢でのシルエットが立体的に見えやすくなる。
また、毎日の積み重ねによって基礎的な筋力が向上し、日常動作が軽く感じられることも。
腕立て伏せをおこなう際は肩甲骨を軽く寄せて胸骨を引き上げた姿勢を維持するのがポイント。
腰が落ちたり肩がすくんだりすると、負荷が腕に逃げてしまい、胸のボリュームアップにつながりにくいので注意。
二の腕のたるみ解消

腕立て伏せでは腕を伸ばす動きが繰り返されるため、上腕三頭筋に集中的な負荷がかかりやすい。二の腕の裏側は日常生活で使われにくくたるみやすい部位のひとつだが、押し出す動作により筋肉が働き、二の腕のたるみ対策につながる。
とくに、二の腕痩せを目的とする場合はひじの向きと手幅がポイント。肩幅より広すぎると肘が外へ開き、肩前部へストレスが集中して腕の引き締めにつながりにくい。
そのため、手幅を通常の腕立て伏せより狭くした「ナロープッシュアップ」は、より上腕三頭筋に効果的なのでおすすめ。
体幹が安定して姿勢がよくなる

腕立て伏せでは体幹を一直線に保つ必要があるため、腹筋や背筋など姿勢を支える筋肉も同時に鍛えられる。とくに頭からかかとまでを一直線に保つ意識を持つと、腹圧が高まり、日常動作やスポーツ動作での重心のブレが抑えられる。
体幹が安定すると肩や腰への負担も減り、疲れにくい身体づくりにもつながる。また、正しい姿勢を維持しやすくなるため、継続しておこなうことで姿勢改善につながる。
体幹を鍛えることを目的とする場合は、腰が反れたり沈んだりすると胸の伸びる軌道が変わり、狙った筋肉への負荷が逃げやすくなるため、正しいフォームを意識しよう。
メンタルによい影響を与える

運動にはストレスを軽減するはたらきがあり、腕立て伏せも例外ではない。腕立て伏せを毎日おこなうことで、達成感や習慣化につながり、気分が安定しやすくなる。
また、小さな成功体験が積み重なることで自信がつき、心身のエネルギーが高まるとともに、結果として仕事や生活面でも前向きな感覚が得られることも。
無理せず、自分の習慣化しやすいタイミングでおこなうのがポイント。
腕立て伏せを毎日やる際の回数

| レベル | 回数 | ポイント |
| 初心者 | 10~15回 × 2〜3セット |
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| 中級者 | 20〜30回 × 2〜4セット |
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| 上級者 | 20~30回以上 × 3〜5セット |
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監修者:古谷
頭が上がる、お尻が上がるなど身体を一直線に保てなくなるとフォームが崩れ始めるサインです。正しい姿勢でおこなわないと鍛えたい部位を効果的に鍛えられないため、自分の状態と相談しながら休息をとることが大切です。
腕立て伏せを毎日やる際の注意点

- 休息なしで続けない
- 間違ったフォームでおこなわない
- 同じ負荷のかけ方をしない
- 筋肥大目的では十分でない場合もある
休息なしで続けない

筋肉はトレーニングで傷つき、休息で回復することで強くなる。十分に休息が取れていないと、筋肉が回復できず、筋力向上の妨げになってしまう。
そのため、毎回のトレーニングでは適度に休息を挟み、筋肉の回復を促すことが重要。とくに回数を多くこなす場合は、セット間のインターバルをいつもより長めに取ることを意識すると、筋肉の疲労が抜けやすく、次のセットも安定したフォームで取り組みやすくなる。
間違ったフォームでおこなわない

毎日腕立て伏せをおこなう場合、疲労が蓄積することでフォームが乱れやすくなる。とくに、疲れた状態では無意識のうちに肩がすくんだり腰が落ちたり、手首に過度な負担がかかったりと、正しい軌道から外れた動作になりがち。
こうした間違ったフォームのまま続けることは、鍛えたい筋肉に十分な刺激が入らないだけでなく、肩や手首を痛める原因にも。
腕立て伏せの効果を最大限に引き出すためには、回数よりもまずフォームを重視することが重要。疲れてフォームが崩れそうな日は無理をせず、正しい姿勢を維持できる範囲でおこなうことが、長期的な成果とケガ予防につながる。
【よくあるフォームの間違い】
- 頭が上がる
- お尻が上がる
- 腰が反れる
同じ負荷のかけ方をしない

身体は同じ刺激に慣れていくため、同じ強度の腕立て伏せを続けていては、効果が頭打ちになる停滞期が訪れる。そのため、負荷のかけ方に変化を加えることで、筋肉は新しい刺激に反応し、再び成長しやすい状態になる。
たとえば、回数を増やす、動作をゆっくり行う、手幅を変える、足を高くする、加重するなどの方法がおすすめ。これらを定期的に取り入れることで、筋肉への負荷が分散するだけでなく、効率よく刺激を高められるためトレーニング効果が向上する。
筋肥大目的では十分でない場合もある

筋肥大を目指す場合には筋肉に強い刺激を与え、その後の回復によって筋線維が太くなるサイクルを繰り返すことが必要。
そのため、毎日軽い腕立て伏せのみを続けていると、負荷が低すぎて筋肉への刺激が不足し、思うような成長につながらない。
そのため、筋肥大を目的とする場合は、週に数回の高強度トレーニングを取り入れ、毎セットで「もう上がらない」という負荷設定で取り組むほうが効果的なケースが多い。
自重腕立て伏せで負荷が不足している場合は、足を高くする・動作をゆっくりにする・加重するなどの工夫が必要。
腕立て伏せの負荷調整のやり方

毎日腕立て伏せをする場合、負荷がかかり続けられないケースも。ここでは負荷を減らす方法や強める方法を紹介。自分の状態に合わせて使い分けてみよう。
- 手幅や角度で効く部位を変える
- 時間をかけて動作をおこなう
- プッシュアップバーなど器具を使う
手幅や角度で効く部位を変える

手の幅や角度を変えることは、腕立て伏せの負荷を調整しつつ、刺激が入る部位をコントロールできる非常にシンプルかつ効果的な方法。
狭い手幅では腕(特に上腕三頭筋)に、広い手幅では胸(大胸筋)に刺激が入りやすくなり、目的に応じて使い分けることでトレーニング効果を高められる。
部位別に使い分けることでトレーニング効果に大きな変化を生み出すので、目的に合わせて適切に調整することが大切。

検証者:山下
手幅を変えながら腕立て伏せを試してみると、負荷の入り方がかなり違うのを実感しました。狭い手幅では腕の裏側に強い負荷がかかり、数回で上腕三頭筋がパンパンになりました。
一方、広い手幅にすると胸のストレッチ感が大きく、押し上げるたびに胸の外側に効いているのがわかりました。

監修者:古谷
手幅による効き方の違いを体感できているのは非常によい傾向です。狭い手幅ではひじが身体側に沿うため腕への関与が強くなり、広い手幅では胸の筋肉を大きく使う軌道になります。
ただし、極端に手幅を変えると肩関節への負荷が増えるため、目的に合わせて適度な範囲で調整することが重要です。
時間をかけて動作をおこなう

ゆっくり下げて、ゆっくり押し上げるスロートレーニングは、腕立て伏せの負荷を確実に高められる方法。動作に時間をかけることで筋肉が緊張している時間が長くなり、同じ回数でも筋肉へ与える刺激量が大きく向上する。
ゆっくりした動作は器具を使わずに強度を簡単に調整でき、フォームを意識し筋肉に効かせたいポイントを正確に狙えるため、トレーニングの質を高めたい人にも効果的。

検証者:山下
動作をゆっくりおこなうだけで、負荷が段違いに重く感じました。とくに下ろす動作を3秒かけたとき、胸と腕が焼けるような感覚になり、回数は少なくてもかなり効いている印象です。
ただ、テンポを守ろうとすると体幹がぶれやすく、フォームが乱れないように気をつける必要があると思いました。

監修者:古谷
スロートレーニングは筋肉が緊張している時間をのばせるため、軽い負荷でも強い刺激を得られる非常におすすめの方法です。とくに下ろす局面(ネガティブ動作)では筋力発揮が大きく、ゆっくりおこなうことで刺激が最大化されます。
ただし、疲労が溜まると体幹が抜けやすいため、背中とお腹の引き締めを忘れないことが重要です。
プッシュアップバーなど器具を使う

プッシュアップバーなどの器具は、手首への負担を軽減しながら腕立て伏せの可動域を広げられる器具。手のひらを床につけるよりも自然な角度で握れるため、手首が痛くなりやすい人でも快適に動作できる。
また、バーを使うことで身体をより深く沈み込ませられ、胸まわりへの刺激が強まり、負荷の強化にもつながる。

検証者:山下
プッシュアップバーを使ってみると、手首の角度が変わるだけでかなり楽に構えられました。深く沈み込める分、胸の伸びる感覚が増えて、通常の腕立て伏せよりも強い刺激が入りました。
ただ、その分だけ動作がぶれやすく、最初は肩や体幹が不安定になりやすかったです。

監修者:古谷
プッシュアップバーは、手首の負担を減らしながら可動域を広げられる器具です。とくに胸を深くストレッチできるため、胸筋への刺激が増し、より効率的にトレーニングを進められます。
ただし、バーを使うと重心が変わり不安定になりやすいため、最初は軽い負荷でフォームを安定させることが大切です。慣れてきたら徐々に深さや速度で負荷を調整すると効果が高まります。
腕立て伏せのバリエーション6選
腕立て伏せを毎日するなら、飽きがこないようにバリエーションを用意しておくことが大切。オーソドックスな種類からマイナーな種類まで幅広く紹介。
- ひざつき腕立て伏せ
- ななめ腕立て伏せ
- デクラインプッシュアップ
- プライオメトリックプッシュアップ
- T字プッシュアップ
- スパイダーマンプッシュアップ
ひざつき腕立て伏せ
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★★★ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★☆☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 四つん這いになり、手を肩幅よりやや広めに置く
- ひざを後ろに引いて、頭からひざまでを一直線にする
- ひじを曲げながら、胸を床に近づけていく
- 胸が床すれすれまで来たら、ひじを伸ばして元の姿勢に戻る
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | 床マット |
| 鍛えられる部位 | 大胸筋・上腕三頭筋・三角筋・体幹 |
| 負荷の調整 | 可能 |

検証者:山下
通常の腕立て伏せより負荷は軽いのですが、下ろしたときに胸を張る姿勢が維持できず、腕だけで押し返してしまう場面がありました。体幹の力が抜けると背中が丸まりやすいのも難点でした。

監修者:古谷
ひざをつくことで負荷が軽くなる分、フォームづくりに集中しやすくなります。胸を張り、ひじをやや外側に開くと胸筋を使いやすくなります。お腹の力が抜けると背中が丸まりやすいため、軽く腹圧をかけながら動作することが重要です。
ななめ腕立て伏せ
| 難易度 | ★★★★☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★★☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★★☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 安定したイスに手を置く
- 手幅は肩幅よりやや広めにセットする
- 脚を後方に伸ばし、頭からかかとまでを一直線に保つ
- ひじを曲げながら、胸を台に近づけるように身体を下ろす
| ケガのリスク | 低い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | イス |
| 鍛えられる部位 | 大胸筋・上腕三頭筋・三角筋・体幹 |
| 負荷の調整 | 可能 |

検証者:山下
台を使うことで動作自体はやりやすかったのですが、胸ではなく肩に負荷が入りやすく、手の位置や角度によって効き方が変わるのを強く感じました。とくに下ろす軌道を一定にするのが難しかったです。

監修者:古谷
インクラインは負荷の調整がしやすく、初心者が胸に効かせる感覚をつかむのにおすすめです。手を置く位置は「みぞおちのライン」に合わせると胸に刺激が入りやすくなります。
肩がすくむと肩前部に負担がかかるため、肩甲骨を軽く寄せて胸を張る姿勢を意識してください。
デクラインプッシュアップ
| 難易度 | ★★★★☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★★☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- イスに足を乗せ、腕立て伏せの姿勢になる
- 胸を床に近づけるようにゆっくり身体を下ろす
- 体幹をまっすぐ保ちながら押し上げる
| ケガのリスク | 高い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | イス |
| 鍛えられる部位 | 大胸筋上部・三角筋前部・上腕三頭筋 |
| 負荷の調整 | 可能 |
【注意点】
- 両手より頭が前に行く
- 腰を反らさない

腰を反らさない


検証者:山下
足を高くした状態で腕立て伏せをすると、通常よりも胸の上側と肩の前側に負荷が強く入りました。身体が斜めになるせいか、体幹がぶれやすく、バランスを取るのが難しく感じました。

監修者:古谷
デクラインプッシュアップは胸上部を強化するために非常に効果的ですが、足を高くするほど体幹の安定性が求められます。腰が反りやすくなるため、腹圧を入れて肛門を軽く締める意識を持つと安定します。
プライオメトリックプッシュアップ
| 難易度 | ★★★★★ |
| 続けやすさ(※1) | ★★☆☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★★★ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 通常の腕立て伏せの姿勢からすばやく身体を下ろす
- 地面を強く押し、両手が軽く浮くように跳ね上がる
- 着地後すぐに次の動作へ移る
| ケガのリスク | 高い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | 床マット |
| 鍛えられる部位 | 大胸筋全体・三角筋前部・上腕三頭筋・体幹全体 |
| 負荷の調整 | 可能 |

検証者:山下
地面を「押して跳ねる」動作が思った以上に難しく、胸だけでなく腕全体が一気に疲労しました。着地の衝撃でフォームがぶれやすく、連続でおこなうと手首や肩にも負担がかかりやすいと感じました。

監修者:古谷
プライオメトリック系は筋力だけでなく瞬発力も必要になる高難度トレーニングです。回数より「丁寧に跳ねて丁寧に着地する」ことを優先し、まずは正しいフォームで少ない回数からスタートしましょう。
T字プッシュアップ
| 難易度 | ★★★★☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★★☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★★☆ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 腕立て伏せで身体を押し上げた後、片腕を上げて身体を横向きに開く
- T字の姿勢をつくり、体幹を安定させる
- 身体を戻して反対側も同様におこなう
| ケガのリスク | 高い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | 床マット |
| 鍛えられる部位 | 大胸筋・上腕三頭筋・三角筋前部・体幹全体 |
| 負荷の調整 | 可能 |
【注意点】
- 肩だけで向かない


検証者:山下
腕立て伏せから体をひねってT字をつくる動きが、見た目以上に体幹を使うことに驚きました。回旋動作のときにバランスを崩しやすく、肩へ体重がかかる瞬間もありました。
腕立ての負荷と体幹の負荷の両方がくるため、少ない回数でもかなり効きました。

監修者:古谷
T字プッシュアップは、胸と腕の動作に加えて体幹の回旋筋を強く使うため、全身の連動力を鍛えられるトレーニングです。
安定しない場合は、ひねる速度をゆっくりにし、足幅を肩幅よりやや広めに取るとバランスが取りやすくなります。
スパイダーマンプッシュアップ
| 難易度 | ★★★★★ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★★★★ |
- ※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
- ※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
- 身体を下ろしながら片側の膝を肘へ近づける
- 押し上げると同時に脚を戻す
- 左右交互に繰り返す
| ケガのリスク | 高い傾向 |
| 実施できる場所 | 自宅・ジム |
| 器具・設備 | 床マット |
| 鍛えられる部位 | 大胸筋・上腕三頭筋・三角筋前部・体幹全体 |
| 負荷の調整 | 可能 |

検証者:山下
ひじを曲げながら片脚を引き寄せる動作が想像以上にきつく、胸・腕・お腹・脚の付け根まで一気に疲れました。とくに体幹が弱いと身体が左右にぶれやすく、フォームを維持するのが大変でした。

監修者:古谷
スパイダーマンプッシュアップは、プッシュアップ動作と股関節の屈曲動作を組み合わせた高負荷トレーニングで、全身に強い刺激を与えられます。動作がぶれる場合は、引き寄せる脚の高さを少し低めにして可動域を狭めると安定しやすくなります。
慣れるまではスピードを落としてコントロール重視でおこない、体幹の固定力が高まってきたら徐々に負荷を上げていきましょう。
腕立て伏せを毎日続けるためのコツ

- まずは小さな目標を立てる
- 記録管理・アプリを活用する
- 環境を整えて習慣化する
- ほかの運動を組み合わせる
- 休息日を取り入れる
まずは小さな目標を立てる

腕立て伏せを習慣化するためには、最初から高すぎる目標を設定しないことが大切。いきなり「毎日50回」や「1日3セット必ず行う」など無理のある目標を立ててしまうと、達成できなかったときにモチベーションが下がり、挫折につながりやすくなる。
まずは「10回だけ」「1セットだけ」「週に2回やる」など、達成の見込みを持てる小さな目標から始めることで成功体験を積み重ねられるのでおすすめ。もし回数を減らしたとしても、小さな達成感を得ることができます。
小さな達成感は継続の原動力となり、自信がつくことで自然と回数やセット数を増やせるようになる。
記録管理・アプリを活用する

腕立て伏せの回数やセット数、取り組んだ日付などを記録することで、自分の成長が視覚的にわかりやすくなり、継続のモチベーションにつながる。
とくにスマートフォンのアプリを活用すれば、グラフ化や自動記録などで手軽に管理でき、数字の変化が一目で確認できるため「続けている実感」が得られやすい。
習慣化を支える仕組みとして、記録管理をうまく取り入れることが効果的。
環境を整えて習慣化する

トレーニングを習慣化するためには、行動を始めるハードルを下げる環境づくりが大きく影響する。
例えば、運動をおこなうスペースをあらかじめ確保し、ヨガマットやトレーニング用品を見える場所に置いておくことで「やろう」と思ったときにすぐ行動しやすくなる。
また、実施する時間や場所を固定することでルーティン化しやすく、日常生活の中に自然と組み込みやすい。
ほかの運動を組み合わせる

腕立て伏せだけでなく、スクワットや腹筋、背筋など他のトレーニングを組み合わせることで、飽きずに取り組めるようになり長続きしやすくなる。
また、異なる部位を鍛えることで負荷を分散でき、疲労が一部に偏りにくいため、ケガの予防にもつながる。
全身の筋肉をバランスよく鍛えることで、腕立て伏せのパフォーマンス向上にも効果が期待できる。
休息日を取り入れる

軽い負荷であれば腕立て伏せは毎日続けても問題ないが、筋肉の疲労が強く残っている場合は、休息日を設けたほうが効果的なケースが多い。
筋肉は休息によって回復と成長を繰り返すため、無理に毎日続けるよりも、適度に休んだほうが次のトレーニングで力を発揮しやすくなる。
無理をしないことが長期的な継続につながるため、身体の状態を確認しながら休息を取り入れることが重要。
腕立て伏せに関するQ&A
Q:腕立ては毎日やらないと意味がない?
A:毎日やらなくても問題ない

監修者:古谷
腕立て伏せは、必ずしも毎日おこなう必要はありません。筋肉はトレーニング後に休息することで回復・成長していきますので、しっかり休みを挟むことで、むしろ効果が出やすくなります。疲労が強い日は無理をせず、体調に合わせて取り組むことをおすすめします。
Q:どのタイミングでおこなうと効果が高まりやすい?
A:生活習慣にあわせてトレーニングしやすいタイミングがおすすめ

監修者:古谷
効果自体は実施する時間帯によって大きく変わるものではありません。しかし、自分にとってトレーニングしやすいタイミングを選ぶことで、「もう少し回数を増やしてみよう」「今日は少し負荷を上げてみよう」といったように、前向きに取り組みやすくなります。
また、習慣化を目指す場合にも、自分が無理なく取り組める時間帯を選ぶことが続けやすさにつながるため、トレーニングしやすいタイミングを見つけて実施することをおすすめします。
































東京神楽坂・会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」で幅広い年代のクライアントの運動指導をおこなう。青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。その他にも『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)の出演、NHK文化センターの講師、書籍では『肩こり・腰痛 速効!かんたん体操』(コスミック出版)の構成を担当するなど、活動の幅を広げている。
【保有資格/実績など】
米国スポーツ医学会認定運動生理学士/大阪国際がんセンター認定がん専門運動指導士
/adidasトレーニングアカデミー認定ジム&ランインストラクター/TPI認定レベル1