
毎日の通勤・通学や散歩など少しの時間から始められるウォーキング。また、歩くスピードを上げるだけでも消費カロリーを増やせるのも魅力。
この記事では、ウォーキングで消費できるカロリーの計算方法から、歩くスピード別の消費カロリー、ほかスポーツとの消費カロリー比較を紹介。ウォーキングでより多くのカロリー消費を目指している人はぜひ参考にしてみよう。
この記事の監修者

中野ジェームズ修一さん
フィジカルトレーナー
「消費カロリーの基本計算式」と「ウォーキングのメッツ表」
消費カロリーを計算するときはトレーニング強度の単位である「メッツ」と「体重」、「トレーニングを継続した時間」をもちいるのが一般的。式は下記のとおり。
消費カロリー(kcal) = メッツ(mets) ×体重(kg)× 運動時間(h) ×1.05
なお、ウォーキングのメッツは歩く速さによって異なる。以下の表は厚生労働省が公表している『生活活動のメッツ表』でウォーキングに関する数字を抜き出したものなので、参考にしてみよう。
活動の例 | メッツ |
---|---|
普通歩行(平地、67m/分、犬を連れて) | 3.0 |
歩行(平地、75~85m/分、ほどほどの速さ、散歩など) | 3.5 |
やや速歩(平地、やや速めに=93m/分) | 4.3 |
かなり速歩(平地、速く=107m/分) | 5.0 |
【体重別】ウォーキングの消費カロリー(目安)
体重が重たいほど、運動時に身体を支えるために多くのエネルギーが消費される。ここでは体重別で消費できるカロリーを「運動時間」と「運動強度」をもとに紹介。
- 体重50kgの場合
- 体重60kgの場合
- 体重70kgの場合
- 体重80kgの場合
体重50kgの場合
ゆっくり歩き(3メッツ) | 普通のスピード(3.5メッツ) | やや早歩き(4.3メッツ) | かなり早歩き(5メッツ) | |
---|---|---|---|---|
15分 | 39kcal | 46kcal | 56kcal | 66kcal |
30分 | 79kcal | 92kcal | 113kcal | 131kcal |
60分 | 158kcal | 184kcal | 226kcal | 262kcal |
体重60kgの場合
ゆっくり歩き(3メッツ) | 普通のスピード(3.5メッツ) | やや早歩き(4.3メッツ) | かなり早歩き(5メッツ) | |
---|---|---|---|---|
15分 | 47kcal | 55kcal | 68kcal | 79kcal |
30分 | 95kcal | 110kcal | 135kcal | 158kcal |
60分 | 189kcal | 221kcal | 271kcal | 315kcal |
体重70kgの場合
ゆっくり歩き(3メッツ) | 普通のスピード(3.5メッツ) | やや早歩き(4.3メッツ) | かなり早歩き(5メッツ) | |
---|---|---|---|---|
15分 | 55kcal | 64kcal | 79kcal | 92kcal |
30分 | 110kcal | 129kcal | 158kcal | 184kcal |
60分 | 221kcal | 257kcal | 316kcal | 368kcal |
体重80kgの場合
ゆっくり歩き(3メッツ) | 普通のスピード(3.5メッツ) | やや早歩き(4.3メッツ) | かなり早歩き(5メッツ) | |
---|---|---|---|---|
15分 | 63kcal | 74kcal | 90kcal | 105kcal |
30分 | 126kcal | 147kcal | 181kcal | 210kcal |
60分 | 252kcal | 294kcal | 361kcal | 420kcal |
【歩くスピード別】ウォーキングの消費カロリー(目安)
歩く速度によって消費できるカロリーに大きな変化があるのがウォーキングの特徴の1つ。とくにダイエット目的でウォーキングをおこなう場合は「早歩き」を心がけるとエネルギーや脂肪を消費しやすくなる。
- ゆっくり歩き(時速3km/3メッツ)
- 普通のスピード(時速4km/3.5メッツ)
- やや早歩き(時速5.4km/4.3メッツ)
- かなり早歩き(時速6km以上/5メッツ)

ダイエット効果を得られる速度はその人の心拍数の上がり方にもよります。ゆっくりでも心拍数が上がる人もいるため、最初はゆっくり歩いてみて、徐々にスピードを上げていくのがおすすめです。ウォーキングの終盤にかけて最高速度に到達するようなイメージでやってみてください。
ゆっくり歩き(時速3km/3メッツ)
体重50kg | 体重60kg | 体重70kg | 体重80kg | |
---|---|---|---|---|
15分 | 39kcal | 47kcal | 55kcal | 63kcal |
30分 | 79kcal | 95kcal | 110kcal | 126kcal |
60分 | 158kcal | 189kcal | 221kcal | 252kcal |
普通のスピード(時速4km/3.5メッツ)
体重50kg | 体重60kg | 体重70kg | 体重80kg | |
---|---|---|---|---|
15分 | 46kcal | 55kcal | 64kcal | 74kcal |
30分 | 92kcal | 110kcal | 129kcal | 147kcal |
60分 | 184kcal | 220kcal | 257kcal | 294kcal |
やや早歩き(時速5.4km/4.3メッツ)
体重50kg | 体重60kg | 体重70kg | 体重80kg | |
---|---|---|---|---|
15分 | 56kcal | 68kcal | 79kcal | 90kcal |
30分 | 113kcal | 135kcal | 158kcal | 181kcal |
60分 | 226kcal | 271kcal | 316kcal | 361kcal |
かなり早歩き(時速6km以上/5メッツ)
体重50kg | 体重60kg | 体重70kg | 体重80kg | |
---|---|---|---|---|
15分 | 66kcal | 79kcal | 92kcal | 105kcal |
30分 | 131kcal | 158kcal | 184kcal | 210kca |
60分 | 263kcal | 315kcal | 368kcal | 420kcal |
「ウォーキング」と「ほかスポーツ」の消費カロリー比較
ここでは、ウォーキングとほかスポーツの消費カロリーを比較。ウォーキングと似た要素の動きでも負荷のかかり方は異なるので、これから運動をはじめようとしている人や現在の運動にプラスしてトレーニングをしたい人は要チェック。
- ハイキングの消費カロリー
- プールでのウォーキング(水中ウォーキング)の消費カロリー
- ジョギングの消費カロリー
- ランニングの消費カロリー
ハイキングの消費カロリー
- 「ハイキング」の運動強度:6.5メッツ(0〜4.1kgの荷物を持って)
- 消費カロリーの目安(※):410kcal
※体重60kgの人が60分おこなった場合
起伏のある道のりを歩くハイキングは、通常のウォーキングより高い運動効果が期待できる。
高低差や舗装されていない道では普段あまり使用しない筋肉も使い、踏み出すごとにバランスを取る必要があるため体幹の強化にもつながる。
プールでのウォーキング(水中ウォーキング)の消費カロリー
- 「水中ウォーキング(中程度の運動)」の運動強度:4.5メッツ
- 消費カロリーの目安(※):284kcal
※体重60kgの人が60分おこなった場合
水中ウォーキングは水の浮力によりひざや腰への負担が少なく、高齢者や関節に不安がある人でもケガのリスクを抑えながら安心して取り組める有酸素運動。水の抵抗により通常の陸上でおこなう歩行よりも全身を使いやすいので消費カロリーが多くなる。

水中ウォーキングは長時間の屋外での運動に不安があったり、関節を痛めやすい体質の人にはおすすめの有酸素運動です。ただし、人は地上で生活する生き物のため、重力に逆らって姿勢やバランスを維持する能力を養うことも大切です。通常の歩行に問題がない人は陸上のウォーキングと組み合わせるようにしてください。
ジョギングの消費カロリー
- 「ジョギング」の運動強度:6メッツ(ゆっくりとしたジョギング)
- 消費カロリーの目安(※):378kcal
※体重60kgの人が60分おこなった場合
※普通の速さのジョギングであれば運動強度はメッツのため441kcal
ジョギングはウォーキングよりも速いペースでおこない、より短時間で多くのカロリー消費が期待できる有酸素運動。ウォーキングに比べて脚にかかる負荷が高まるため筋力もつきやすい。

通常のジョギングは時速8kmほどで、ウォーキングでも速度を上げていくと消費カロリーは増加しますが、同程度の速度になるのであればジョギングを選択するのがおすすめです。
次の信号からその次の信号までなど、目標を決めて区間ごとにウォーキングとジョギングを交互に繰り返していくと自然とジョギングできる距離も伸ばしやすくなります。
ランニングの消費カロリー
- 「ランニング」の運動強度:8.3メッツ(分速134m、1kmを7〜8分で走る)
- 消費カロリーの目安(※):523kcal
※体重60kgの人が60分おこなった場合
ランニングはウォーキングやジョギングよりもさらに運動強度が高いため、より短時間で多くのカロリー消費が期待できる有酸素運動。高い運動効果が期待できる反面、心肺機能や筋力への負担も大きいため、体力に合わせた無理のないペース配分が大切。
ウォーキングの消費カロリーを高める時間帯
実は運動にカロリー消費に役立つ「ベストタイミング」はなく、自身が続けやすい時間におこなった方が習慣化しやすい。結果的にダイエットや体型維持につながる。
- 朝:蓄積された脂肪に対する燃焼効果を引き出しやすい
- 夜:夕食後の血糖値上昇対策にも役立つ
朝:蓄積された脂肪に対する燃焼効果を引き出しやすい
空腹の状態で有酸素運動をおこなうと、体脂肪をエネルギーとして消費しやすくなる。とくに朝は完全に空腹な状態をつくりやすいため、ダイエットをしたい人にもおすすめの時間帯。朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、生活リズムを整えるのにも役立つのも魅力の1つ。
また、午前中は代謝が低いため、軽く運動をしておくことで1日の代謝を上げやすくなる。
夜:夕食後の血糖値上昇対策にも役立つ
夜のウォーキングは、1日の締めくくりにしながらリフレッシュやストレス解消にもおすすめ。歩くだけで複雑な要素がないため、1日の振り返りなど考えごとをする時間をつくれる。
夕食後であれば、食後の血糖値上昇を防ぐ効果も。血糖値がピークを迎える食後1〜2時間後を目安に運動をすることで、生成された糖を消費して血糖値を下げるインスリンの効果を高めやすくなる。
ウォーキングで消費カロリーを高める歩き方
ウォーキングで消費カロリーを増やすために大切なのは「スピードをできるだけあげること」。
- 背筋は伸ばして視線は15m先に向ける
- 自然な振り幅で腕を振る
- 歩幅は「身長−100cm前後」を意識する
- 上り坂や階段をコースに取り入れる
背筋は伸ばして視線は15m先に向ける
背筋を伸ばして、顎を引き、視線は15メートルほど先を見据えることで、正しい姿勢を保てる。地面ばかりを見下ろすと首や肩に余計な力が入り、疲労の原因にもなるため注意が必要。
自然な振り幅で腕を振る
脚の動きは腕の動きと連動している。自然な振り幅で前後に振って胸や背中の筋肉を動かすと、歩幅が広くなったり、身体のバランスが安定して早く歩きやすくなったりする。なお、腕を振るだけで筋肉がついたりすることはないので注意しよう。

腕を振ったからといって身体全体が鍛えられたり、筋肉量が増える可能性は低いです。腕を鍛えたり細くしたい場合は筋トレを取り入れることをおすすめします。
歩幅は「身長−100cm前後」を意識する
歩幅を広げることで負荷を与える筋肉が増えるため、消費カロリーが高まりやすくなる。目安となる歩幅は「身長-100cm前後」といわれることもあるが、歩幅を広げるためには相応の筋肉量や柔軟性が必要。まずは無理せず、できる範囲で歩幅を広げる意識をもつことが大切。

歩幅を無理やり広げようとすると、ケガの原因になることもあります。「歩幅をいかに広げるか」よりも「いかにスピードを上げられるか」を意識し、その過程で自然と歩幅を広げていくのがおすすめです。
上り坂や階段をコースに取り入れる
ウォーキングでいかに消費カロリーを増やそうと工夫しても、ジョギングやランニングに比べると運動強度が低いことには事実。ただし、階段や坂道など脚の筋肉を使いやすくすることで強度を高めることはできる。
時間の確保が難しく短い時間でも、負荷を大きくすることで効率的にカロリー消費ができる。雨天時やスキマ時間には室内で踏み台昇降を取り入れるのも1つの手。
ウォーキングの消費カロリーに関するQ&A
歩き方(姿勢や歩幅)でカロリー消費は変わる?
A:姿勢では変わらないが歩幅では変わる

消費カロリーは歩く際の姿勢によっては変わらないのですが、歩幅はすなわちスピードなので、歩幅を大きくするとよりカロリー消費は大きくなります。また、坂道を利用するなどウォーキングコースの選択でも消費カロリーは変わってきます。
1時間以上は歩きすぎ?
A:人にもよるが時間があるなら筋トレやクロストレーニングをしたい

個人差はありますが、もし運動時間を1時間以上確保できるのであれば筋トレやクロストレーニングのほうがおすすめです。もしくは数十分おきにウォーキングとジョギングを交互におこなうのもよいでしょう。
ウォーキング前後の食事で気をつけることは?
A:脂質の少ない食事を意識し、夏なら塩分補給を

脂質の多い食品は消化吸収に時間がかかってしまうため、ウォーキング前の摂取は控えたいですね。あとは夏の暑い時期には熱中症対策のためにもしっかりと塩分補給をおこなうようにしてください。
性別や年齢で消費カロリーは違う?
A:異なる

消費カロリーは体重によって変わってきますが、性別や年齢でも筋肉量の違いという点では消費カロリーに違いは出てきます。とくに筋肉量が多く、体重が重い男性の方が消費カロリーが大きい傾向があります。
アメリカスポーツ医学会認定運動生理学士として、運動の大切さを広める活動を行っている。2014年からは青山学院大学駅伝部のトレーナーも務めており、東京神楽坂にある会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」で一般の方やアスリートを指導。「科学的根拠に基づき、必ず結果を出す」が合い言葉で熱意のある指導を常に心がけている。